デキる大人におすすめ。オーダースーツ入門<後編>

オーダースーツの生地選び、サイズ測定についてお届けした前編に続き、後編ではオーダスーツならではの醍醐味である”ディテール選び”についてとことん解説してきます!

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デキる大人におすすめ。オーダースーツ入門<後編>

スーツの印象を決めるのはディテールです!

スーツの印象を決めるのはディテールです!

前半戦では、スーツの生地選び、サイズ測定についてお届けしてきました。
参考:デキる大人におすすめ。オーダースーツ入門<後編>

ここからの後半戦では、スーツの印象を決めるのに重要になってくる”ディテール選び”についてお送りします。引き続き、『オンリー』渋谷店の丸山さんに教えてもらいました。

ステップ1:ベースとなるモデルを選ぶ

スーツには大雑把に分けて「イギリス式」と「イタリア式」があります。「イギリス式」は分厚い芯地を使ったがっちり仕立て、対して「イタリア式」は、芯地も薄くやわらかな仕立てが主流です。『オンリー』ではイギリス式、イタリア式をベースにしながら独自のアレンジで数種類のデザインを用意しています。

いくつか試着してみて、好みのものを選びましょう。なんとなくシャープな雰囲気だとか、なんとなくやさしい雰囲気だとか、そんな感じで好きなものを選べばOKです。では、どんなモデルがあるのかひと通りご紹介しましょう。

モデル1

ブリティッシュトレンドモデル

こちらのモデルは現代的なイギリス式で、細身のフィット感でシャープなシルエットのスーツです。

ステップ1:ベースとなるモデルを選ぶ

ハイウエストでタイトなシルエットは、今のトレンドにぴったり。肩幅が狭く、肩先が盛り上がったロープドショルダーも特長です。ポケットが斜めになっているのもイギリス式ならでは。

ステップ1:ベースとなるモデルを選ぶ 2枚目の画像

シングルの2ボタンはピークドラペル(とんがってる襟)とノッチドラペル(普通の襟)、3ボタン段返り(一番上のボタンはとめないタイプ)、ダブルの6ボタンが選べます。会社に着ていくなら、シングルの2ボタンノッチドラペルか、シングルの3ボタン段返りがいいでしょう。

モデル2

ブリティッシュベーシックモデル

いわゆるクラシックなイギリス式のモデルです。先ほどのトレンドモデルと比較して重厚な面持ちが印象的。

ステップ1:ベースとなるモデルを選ぶ 3枚目の画像

昔ながらのパッド入りの肩構築とややゆとりあるフィット感が特長といえます。特にミドルエイジの方におすすめのモデル。

ステップ1:ベースとなるモデルを選ぶ 4枚目の画像

シングルの2ボタン、3ボタン、そして段返りの3ボタンが選べるのですが、トップボタンが掛けられる3ボタンスーツは、ずいぶん昔に流行したモデルですので、あえて選ばなくてもよろしいかと。

モデル3

マンハッタンモデル

その名からアメリカ式にも思えますが、伝統的なアメリカ式はウエストダーツをとらないボックス型の「サックスーツ」と呼ばれる型ですので、こちらはモダンアメリカンとでもいいましょうか。

ステップ1:ベースとなるモデルを選ぶ 5枚目の画像

イギリス式のモデルに対し、ナチュラルなショルダーライン、細めのラペルでよりシャープな印象です。マンハッタンのウォール街に務める金融系ビジネスマンのイメージでスーツを着たいなら、選んでみてはいかがでしょう。

ステップ1:ベースとなるモデルを選ぶ 6枚目の画像

こちらはシングル2ボタンのノッチドラペルとピークドラペルが選べますが、ビジネススーツとしてはノッチドラペルが間違いないでしょう。

モデル4

ソフトコンストラクションモデル

これが一般的に、今一番スーツのスタンダードとして着られているモデルですね。肩パッドのない薄芯のみの仕立てですので着心地が断然軽いです。

ステップ1:ベースとなるモデルを選ぶ 7枚目の画像

分厚いパッドが入っていると、”ジャケットを肩に乗せて着ている”イメージですが、肩パッドがないと、”首の中心でバランスよく支えて着ている”ような着心地でとても軽く感じるのです。

ステップ1:ベースとなるモデルを選ぶ 8枚目の画像

シングルの2ボタン、段返りの3ボタン、ダブルの6ボタンが選べますが、クラシックなイタリアンスタイルを狙うなら段返り3ボタンを。

モデル5

インターナショナルモデル

その名のとおりビジネススーツの世界標準。どこの国と限定することなく、どこへ着ていっても納得して受け入れられる今の時代のスタンダードなデザインです。

ステップ1:ベースとなるモデルを選ぶ 9枚目の画像

ナチュラルショルダーモデルでコンフォータブルなフィット感とイタリアンノッチが特長のこちらは、個性を発揮するというよりは、誰が着ても似合うベーシックなスーツといえるでしょう。

ステップ1:ベースとなるモデルを選ぶ 10枚目の画像

こちらは、シングルの2ボタン、3ボタン、3ボタン段返り、ダブルの4ボタンが選べます。シングル3ボタンよりも、3ボタン段返りが現代のスタンダードです。

モデル6

フィオレンティーナモデル

こちらは、ちょっと個性的なデザインです。

ステップ1:ベースとなるモデルを選ぶ 11枚目の画像

フロントダーツのないシングル2ボタンのみの設定で、ディテールも「9cm幅ラペル」「ポケットフラップなし」「サイドベンツ」など、固定デザインとなっています。

ステップ1:ベースとなるモデルを選ぶ 12枚目の画像

ポケット縁の柄合わせなどにこだわって仕立てていますので、柄スーツをオーダーするなら選んでみてよいのではないでしょうか。

ステップ2:ディテールを決める

ベースとなるモデルが決まったら、次は細かい部分を決めていきましょう。裏地にボタン、ポケットなどなど、すべて自分の好きなように選べます。

ジャケットの裾の切り込み「ベント」を決めます

ディテール1

ジャケットの裾の切り込み「ベント」を決めます

「ノーベント」はフォーマルウェアの仕様ですので、冠婚葬祭用のスーツをオーダーするときのものと思ってください(もちろん理解した上で、ノーベントを選んでもOKです)。

「センターベント」か「サイドベンツ」が一般的ですが、若い人向けのモダンなスーツは「センターベント」が多いようです。

クラシック(「古クサい」という意味ではなく、「最高峰」という意味)なスーツは「サイドベンツ」が多いですので、真面目な大人のスーツをオーダーするなら「サイドベンツ」をおすすめします。

モデルによっては選べない場合もありますので、そのあたりはご確認を。

ジャケットの裏地(背裏)を選びます

ディテール2

ジャケットの裏地(背裏)を選びます

裏地は、ジャケットとシャツとのすべりがよくなり、着ているときにツレたりしないようにする重要なパーツです。

秋冬用、オールシーズンで仕立てるのなら、「総裏」と呼ばれるフルで裏地を使うタイプを、春夏用なら「背抜き」や「半裏」でよいと思います。

ちなみに半裏を選ぶと、内ポケットはありますが裾下部のチェンジポケットがつけられませんのであしからず。

ステップ2:ディテールを決める

続いてこちらの見本から裏地の生地を選びます。ジャケット前がめくれたときにチラリと見えたり、ジャケットを脱いだときに見える部分になります。

基本的にはお好きな色を選んでOK! 種類がありすぎてどうしても選べないというのなら、表地と同系色が無難です。

また素材はキュプラが標準です。なかには表地の特性によっては選べないものもありますので、お店の人に聞いてみましょう。

ステップ2:ディテールを決める 2枚目の画像

夏向けスーツに適した涼しい裏地もありますよ。こちらは「クールインサイド」という涼感素材でシャリっと軽く、衣服内のムレやべたつきを軽減します。春夏スーツに選ぶとよいでしょう。こちらは別料金1,000円(税抜)がかかります。

ステップ2:ディテールを決める 3枚目の画像

最後に袖裏用キュプラの色柄を選びます。とくにこだわらなければ標準のクリーム色でよいと思います。

ポケットのデザインを選びます

ディテール3

ポケットのデザインを選びます

フラップの有り無し、パッチポケットにするかどうかを選ぶのですが、とくにこだわらなければフラップ有りを。フォーマル用のスーツでしたらフラップ無しがいいでしょう。

デニムと合わせたり、休日にカジュアルに着ることを想定しているなら、パッチポケット+胸パッチポケットの3パッチを選ぶのがおすすめです。

ステップ2:ディテールを決める 4枚目の画像

ポケットはチェンジポケット付き(親子ポケット)にすることもできます。ロンドンのサヴィルロウのテーラーでよく見られる仕様ですので、イギリス好きならチェンジポケットつきにしてもよいでしょう。

ポケットを斜めに取り付けるスラントポケットもイギリス式ならでは。スラントポケットは角度を選べますが、この角度がきつくなるほどデザイン性が高まります。

ステップ2:ディテールを決める 5枚目の画像

内ポケットは、ボタン止めにするか、フラップ付きにするかを選びます。どちらかといえば、フラップ付きのほうが満員電車でのスリ防止に役立ちそうですし、ジャケットを脱いで椅子などにかけたときにポケットの中身が落下しにくいので実用的かと。

袖ボタンは3タイプ。これはもうホントお好きにどうぞ。ちなみに、ボタンホールが開いていて、実際に袖を開閉できる仕様を「本切羽」といいます。「ジャケットの袖ボタンを開けるのは、カニを食べるときだけだ」と書いた粋人もいますので、カニを食べにいくなら本切羽をどうぞ。

ジャケットの前ボタンの素材と色を選びます

ディテール4

ジャケットの前ボタンの素材と色を選びます

こんなに数があると迷ってしまいますが、上質なボタンがついたスーツは見た目にも高級感がありますので、本水牛や本貝ボタンをおすすめしたいですね。色は表地となじむものがビジネス向きです。夏物のカジュアルなジャケットなら白いボタンを選ぶと涼しげに見ますよ。

ラペルの縁のステッチ(糸目)を選びます

ディテール5

ラペルの縁のステッチ(糸目)を選びます

ステッチはコバの縁ギリギリに入れるか、内側(『オンリー』では7mm位置)に入れるか選べます。縁ギリギリに入れて糸目を目立たせないようにしたほうがドレッシーな印象に、縁より内側に入れると、ちょっとスポーティーな印象になりますよ。

続いて縫い目を選びます。こちらは「本縫い」といって、ミシンを使った細かなステッチです。

ステップ2:ディテールを決める 6枚目の画像

それに対して、「AMF」は実際はミシンで縫っていますが、まるで手縫いのような不揃い感が特長。ちなみに「AMF」が重用されるのは、職人の手仕事感を味わえるため。スーツは手仕事感をよしとする風潮がありますので、先ほどの袖ボタンの重ね付けや、ラペルコバの不揃いなステッチを好まれる方も多いです。

こんな見えないところまで選べます!

こんな見えないところまで選べます!

裏地の縁に入れる色ステッチを「コロンビアステッチ」といい、そのカラーも選びます。さりげなく遊び心が演出できるポイントですね。

例えば、ネイビースーツのネイビー裏地にオレンジ色のコロンビアステッチなんて、デニムみたいな配色にもできます。とくにこだわりがなければ同系色を。

ステップ2:ディテールを決める 7枚目の画像

「コロンビアステッチ」で選べる色糸のバリエーションで、各部のボタンホールのかがり糸の色も変えることができます。

以前は袖のボタン穴を1つだけ色糸にするデザインも流行りましたが、真面目なスーツなら表地と同系色にしておきましょう。多くの穴を色変えすると、チャラいイメージになってしまいますのでご注意を。

ステップ2:ディテールを決める 8枚目の画像

これぞ、オーダースーツの最大のポイント! ネームを入れるのは、世界で一着だけの自分のスーツをオーダーする醍醐味ですので、ぜひとも入れましょう。

ステップ2:ディテールを決める 9枚目の画像

驚かれるかもしれませんが、ジャケットの上襟の裏地(カラークロス)を選ぶことができます。標準はダークな無地ですが、別料金でこっそり色柄生地を使うことができるんです。

普通に着ていてもほとんど見えない微妙な部分ですが、見ないところにおしゃれをする遊び心。これは英国紳士が好む仕様です。ちなみに、着物の裏地に派手な色柄を使う「裏勝り」という遊びが江戸っ子の粋ですので、日本人の粋を解する紳士ならぜひどうぞ。

ステップ2:ディテールを決める 10枚目の画像

さていよいよオーダーの最終工程。こちらは『オンリー』のオリジナル仕様で「空(KU)仕立て」を選ぶことができます。

独自に開発した芯地を使うことで、ジャケットの重さはなんと従来の1/2。かといって芯地の保型・補正性能を損ねることなく、しっかりと立体感あるスーツに仕上がります。通気性にも優れるため、夏場はムレにくく快適に過ごせます。春夏スーツをオーダーするなら、自信をもっておすすめいたします。別料金10,000円(税抜)かかります。

お疲れ様でした。以上でオーダーの行程は終了です。知識も時間も労力もかかりますが、フィット感といい、好みの色柄・ディテールなど、自分の思いどおりで世界に1つだけ、まさに”オンリー1”のスーツが仕立てられるので、オーダーするだけの価値はありますよ。時間に余裕をもって、お店に足を運んでみましょう。

そうして完成したスーツがこちら!

そうして完成したスーツがこちら!

『オンリー』の場合、オーダーから約2週間で完成品が上がってきます。これはほかのオーダースーツとくらべて短時間ですよ。仕上がりスーツは、ご希望の場所に届けてくれますので、自宅でも会社でも受け取ることができます(別途送料発生)。地元に『オンリー』のお店がないから……と、出張先やお出かけ先でお店を見つけたときにオーダーしても、全国配送してくれるのでご安心を。

photo_Katsunori Suzuki

今回お伺いしたのは、『オンリー』渋谷店

『オンリー』はもともと京都の仕立て屋さんが発祥のスーツブランドです。既製品のスーツを19,000円(税抜)と28,000円(税抜)の2種類から選べる、いわゆる「2プライススーツ」を初めて手掛けたブランドで、全国に約40店舗を展開しています。現在、テーラーメイド「早割」キャンペーン を開催中。

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