メンズクラブ編集長戸賀さんが考える、大人おしゃれ論

+CLAP Menでは“大人のおしゃれ”を多角的に提案してきたが、そもそも大人のおしゃれとはどうあるべきなのか。そのヒントを、メンズクラブ編集長の戸賀さんに伺った。

メンズクラブ編集長戸賀さんが考える、大人おしゃれ論

最古参ファッション誌、メンズクラブ編集長の金言

最古参ファッション誌、メンズクラブ編集長の金言

1954年に創刊し、みゆき族ブーム、アイビーの活況、アウトドアライフの浸透など、シーンの大きなムーブメントを最前線で伝えてきた「メンズクラブ」。現在、その編集長を務めるのが戸賀敬城さん。メンズファッションの最先端を知り発信している業界内の大先輩に、大人のおしゃれについて質問をぶつけてみたところ目からウロコのご意見が。業界の重要人物が語る言葉は、読者の今後の糧になること必至。ぜひともお聞き逃しのないように。

ルーキーとの差を生む“色気”という大人の武器

ルーキーとの差を生む“色気”という大人の武器

■単刀直入に、“大人のおしゃれ”についてどのようにお考えでしょうか。

若い方々を目にしてきて思うのは、モードな着こなしも、スーツもみなさん本当にうまく着こなしているということ。おしゃれに対するバイタリティーや探究心はすばらしいと思います。では、彼らと大人を分かつものは何かと考えたら、僕は“色気”ではないかと思うんですね。決して“エロ”というわけではありませんよ(笑)。みなさんはイタリアの洒落者にギラギラした印象をお持ちかもしれませんが、現地でそのような人はほとんどいませんから。

■確かに“色気”は大人の特権のように思います。

ただ勘違いしてほしくないのは、年齢を重ねたからといって労せずして得られるものでもないということです。どんな洋服を選べばいいか、どう着こなすべきか。おそらくみなさんの出発点はそこかもしれませんね。洋服や小物で“色気”を表現するのも間違ってはいませんが、まず前提として言いたいのは洋服が似合う体をキープすること。プロポーションの維持は年を追うごとに難しくなっていきますが、そんな一般論に甘んじてはいけないと考えています。“色気”のベースはそこにあると思いますから。

■そのために戸賀さんが行っていることとは?

今でも、時間の許すかぎりジムには通っています。そこで1つ気付いたのは、腹筋よりも胸筋のほうが筋肉はつきやすいということ。誰もが6パックの腹筋に憧れて一生懸命に腹筋を鍛えようとしますが、胸周りを主に鍛えることで意外に早く逆三角形の体に近づけるかもしれませんよ。

ルーキーとの差を生む“色気”という大人の武器 2枚目の画像

■まずは意識の逆転が必要ですね。

体型を維持すれば、アイテム選びの幅も広がりますしね。しかも、私は店頭に並んでいる洋服がもっとも美しいバランスを表現していると思っています。デザイナーが、最善と判断して仕上げているものですからね。袖を通すだけで自然と美しく見えます。今日着ている『チルコロ1901』のジャケットも同様です。普段からさほどスーツを着ることはないのですが、クライアントの方々とお会いする機会は多いのでジャケットは必須。大半は車で移動しますから、動きやすくシワにならないアイテムが個人的にはベストです。これは端正な見た目にもかかわらず、ストレッチが効いていますから体にフィットしてくれます。

■不滅のワードローブといったところでしょうか?

“不滅のワードローブ=懲りない定番”と考えるなら、そうかもしれませんね。今回着用したダブルブレストのジャケットは、ここ数年着ないことがないというぐらい自分にとっては“懲りない”もの。年に4、5着は購入します。濃紺で後染めされていますからちょっとした“色気”も出せる。ゴルフへ行く、または妻とディナーへ出かけるなど、さまざまなシーンで活躍してくれますね。出張時にもだいぶ重宝しています。

■いつもエレガントな戸賀さんを見ていらっしゃる一般の方々には、少々意外な選択に映るかもしれませんね。

もちろん、シーンに合わせてキメるときはビシッとさせますが、ちょっとした“余裕”も大切だと思うんです。表現の仕方はさまざまありますよね。先ほど言ったリラックス感もありますし、スタイリングに取り入れたさりげない遊びもそう。収入の部分から透けて見える場合も当然あるでしょう。自分では意識していなくても、周りは人の身に着けているアイテムをよく見ているものですから。たとえば、ラグジュアリーブランドの一品を身に着けるだけでワンランク上の自分をアピールでき、“大人の余裕”も自然と醸し出せます。

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■たとえば腕時計などはその例に含まれますか。

そうですね。ただこのご時世、周囲を納得させるような腕時計を購入するとなれば、おそらく200万〜250万円はくだらないでしょう。それを無理につければ後々アラが見えてしまいます。何事も分相応が重要です。個人的におすすめしたいのはブレスレット。そこまで先行投資は必要ないですし、ネックレスほど“エロ”になりません。私もよく活用しています。

■なるほど。足元はいかがでしょうか。“おしゃれは足元から”、とはよく耳にしますが。

足元は重要なポイントだと思います。個人的には、あまり足元で遊びを表現することはしませんね。とはいえ、普段から堅苦しいのもどうかとは思うので基本はローファー。歩きやすく、コーディネートも引き締めてくれますから。ジャケットにも合わせやすいオールマイティーな靴なので普段からよく履いています。スタンダードなブラックやブラウンもいいですが、ネイビーであればよりモダンに見せられると思います。

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■戸賀さんが考える着こなしのルールのようなものはあるのでしょうか。

そうですね。基本的にファッションは自由だと思います。ただ、大切なのは秩序と個性の調和。シーンごとのルールの中でどれだけ表現できるかだとは思います。大人のおしゃれはそれをわきまえてこそだと思いますから。たとえショーツをおしゃれに着こなしたとしても、会社に履いていくのはやはり無理がありますよね。僕がそのスタイルで出勤したら、確実に周りから白い目を向けられると思います(苦笑)。

戸賀さんの着こなしから学ぶ大人スタイルの美学

「メンズクラブ」本誌では、エレガントかつスタイリッシュな趣を披露することもある戸賀さん。今回も、独自のこだわりをのぞかせたスタイリングで登場していただいた。その詳細を、ご自身の声とともにお伝えする。

濃紺のシックなスタイルに潜ませたリラックス感

濃紺のシックなスタイルに潜ませたリラックス感

「普段はコンサバなトラッドをベースに、抜け感を加えた着こなしが多いかもしれません」とは戸賀さん。「トレンドにも負けずこなれて見える色」のネイビーを使いシックにまとめているが、選んだジャケットは伸縮性のある“ラクジャケ”で、インナーは同色のカットソー。基本的にはワントーンやツートーンでまとめることが多く、挑戦的なアイテムはネイビーを選ぶとか。その中にあって、微妙に濃度を変え淡白に見せない配慮もお見事。

戸賀さんの普段の着こなしに欠かせないワードローブとは

これまでに数多のアイテムを目にし、袖を通してきた戸賀さんのワードローブ。かなり気になっている人は多いかもしれない。そこで、絞りに絞った3神器を戸賀さんに教えてもらった。お話を参考に編集部がチョイスしたアイテムも、合わせてどうぞ。

『チルコロ1901』ダブルブレスト2Bジャケット

戸賀さんチョイス

『チルコロ1901』ダブルブレスト2Bジャケット

スウェット生地をミックスしたこちらのジャケットは、程よい伸縮性が体の自由を約束してくれる。ジャケットとして仕上げた後にインディゴ染めされているためムラなく色がのり、着ていくほどに現れる色落ちや縫製部のアタリが渋さを演出してくれる。

+CLAP Menチョイス1

『ベルベスト』のジャケット

スーパー110’sの繊細な糸を使いつつ、しっかりとした着心地を感じさせるグログラン調のジャケット。過去のアーカイブをもとに、今を意識したシルエットへと昇華させた一着は、身に着けたときに浮き上がる美ラインがすばらしい。

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+CLAP Menチョイス2

『エルメネジルド・ゼニア』ジャケット

『エルメネジルド・ゼニア』社のオリジナル生地、“トラベラー”で仕上げられたアイテム。極細の繊維に強撚をかけ、糸の反発力を強めたことでシワに強く、耐久性も高められている。シルエットはスリムフィットで実にモダン。

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『ジェイソン オブ ビバリーヒルズ』のブレス

戸賀さんチョイス

『ジェイソン オブ ビバリーヒルズ』のブレス

『ジェイソン オブ ビバリーヒルズ』は、ビバリーヒルズを拠点に高度な技術とセンスの良さでセレブリティーたちをとりこにしているカスタムジュエリーブランド。トップにバーコードをあしらったユニークなデザインが目を引くこちらは、戸賀さんがオーダーしたオンリーワン。

+CLAP Menチョイス1

『カルティエ』ラブブレス

シンプルで華奢なフォルムながら、全体をホワイトゴールドで仕上げたことでよりエレガントさを増した逸品。等間隔に散りばめたダイヤモンドが、美しくも華やかな印象を与える。付随するネジまわしもホワイトゴールド製。

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+CLAP Menチョイス2

『ブルガリ』のブレスレット

18Kのピンクゴールドとシルバーのコンビが魅力的な、『ブルガリ』を代表するアクセサリー、ピー・ゼロワン カフブレスレット。シルバー部分に刻まれたブランドネイムに見るささやかな主張も手元のアクセントにはちょうどいい。

『トッズ』のローファー

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『トッズ』のローファー

「『トッズ』のローファーは僕の足にぴったりなんです」と、かれこれ5年ほど愛用している一足。オーソドックスなデザインはさまざまなスタイルにすんなり溶け込み、ラバーソールに張り替えたことで歩きやすさも抜群。「スーツでも取り入れられる万能靴」と終始絶賛。

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『チャーチ』ローファー

上質なレザーを惜しげもなく使用した『チャーチ』のローファー。オーソドックスなフォルムながら、ピンキングやサドルのあしらいなど、さりげないデザインもいい。ヒールキッカーがつき着脱もイージー。

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+CLAP Menチョイス2

『ジョンロブ』ローファー

“キング オブ シューズ”と称される英国の名門、『ジョンロブ』。スタイリッシュなフォルムや、“パリジャンブラウン”と呼ばれる美しい色彩が足元に上質感を届ける。グッドイヤーウェルト製法による丈夫な作りも◎。

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photo_Katsunori Suzuki(出典記載の写真を除く)

取材協力/戸賀敬城さん

1967年、東京生まれ。現在、「メンズクラブ」 、および「エスクァイア・ザ・ビッグ・ブラック・ブック」 の編集長を兼任。『結果を出す男はなぜ「服」にこだわるのか?』などの著書を執筆するほか、ナノ・ユニバースの新ライン、「クアトロオット」のディレクターも務める。50歳を目前に控え、ただいま本格ワインも製作中。

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