トラッドスタイルの足元に。ウィングチップシューズのルーツと名作10選

トラッドスタイルの足元に。ウィングチップシューズのルーツと名作10選

上品な表情ながらもカジュアルな着こなしにもハマる。そんなウィングチップシューズこそ、大人にはおすすめ。その選び方や着こなし方、選ぶべき10足を紹介しよう。

菊地 亮

2018.01.17

ウィングチップシューズ
革靴
着こなし・コーディネート

カジュアルスタイルの心強い味方“ウィングチップ”のルーツ

ウィングチップシューズとは、その名の通りまるで鳥の羽を思わせるW型の切り替えがトゥに施された革靴のこと。その起源は、16〜17世紀のスコットランドやアイルランドの高地に住むケルト民族が履いていた労働靴にあるといわれている。ワックス引きされた堅牢かつ耐水性に優れた労働靴には現在のブローグに通じる穴飾りがすでにあったとされており、後述するように機能から生まれたデザインであったことがうかがえる。これらが19世紀末にイギリス貴族の手に渡り、『トリッカーズ』に代表されるとするカントリーブーツとして進化していくことになる。

現代のファッションにおけるウィングチップの立ち位置とは

上述したように、ウィングチップシューズのルーツは狩猟や労働に適した活動的なワークシューズ。一見華やかな印象を与えてくれるメダリオン(穴飾り)も、下層の革の水はけをよくするための機能的なディテールであったりする。その名残もあり、革靴ながら活動的でカジュアルな印象を与えるものがほとんどだ。そのため、装飾の度合いによってはビジネスに不向きとされるものもあるため注意が必要。また、冠婚葬祭の場でも控えたほうが無難とされている。

ウィングチップの種類は大きく分けて3種類

外羽根・内羽根の違いやソールの種類など、ディテールの差異で合わせるべき着こなしも変わってくるのが革靴の難しいところ。ウィングチップにおいては、大きく分けて3種類を覚えておけば問題ない。それぞれマッチする着こなしのテイストも変わってくるので、正しく使い分けたい。

種類1ウィングチップシューズの基本、フルブローグ

我々がウィングチップシューズと聞いてまず思い浮かべるのがこのフルブローグだろう。トゥが“W”状にピンキング(ジグザグに革を裁断した、装飾的なディテール)され、その上にメダリオンが施されている。他のシューズ同様、シューレースを通す羽根部分が大きく開かない内羽根式のほうがフォーマル度が高く、比較的スーツスタイルにも相性が良いとされている。さらに、ソールの厚さ、革の種類でも印象が大きく変わってくるシューズであるため、さまざまな種類を履き比べることをおすすめする。

種類2カジュアルなアメトラコーデに欠かせないにアメリカンブローグ

別名、ロングウィングチップ。その名前の通り、米国流にアレンジが施されたフルブローグシューズだ。トゥの“W”字の装飾がヒール部分まで一直線に伸びており、日本では「おかめ」の愛称で呼ばれることもある。上のフルブローグと比べるとジーンズやチノパンなどよりカジュアルなアイテムとの相性が良く、ブレザーを合わせるようなアメリカントラッドなコーディネートが好みならまず確保しておきたい意匠だ。

種類3カジュアルとドレスの中庸を行くブラインドフルブローグ

メダリオンやパーフォレーションを排し、シンプルなステッチに置き換えたもの。上記2種類に比べると、ドレス感がありながらも落ち着いた空気を醸し出している。各ブランドモデル数も多くなく、あまり目にすることのないデザインではあるが、パーティーシーンからビジネスにも見合ういでたちは1足あると重宝するはずだ。

ウィングチップを着こなす、3賢者の着こなしサンプル

着こなしサンプル1トラッド感満点のセットアップを、足元と小物で現代的に

まずは、英国ブランド『アルフレッド・サージェント』の外羽根ウィングチップシューズに旬のセットアップを合わせたこちらのスタイリング。オーセンティックなフルブローグタイプの武骨さと、インナーに挿したスポーティーなダウン、キャップが絶妙なマッチングを見せる上級者の着こなしだ。ウィンドウペンチェックのトラッドなセットアップを見事にカジュアルダウンしている。

着こなしサンプル2ワーク的アプローチの中に光る大人のこだわり

アウターに選んだのはワークの代表格である『リーバイス』のデニムジャケット。その粗野感溢れる印象を、胸元のタイドアップやスラックス然としたチノパン、『トリッカーズ』のウィングチップで巧みにいなした点がお見事。お茶目なキャスケットもブリティッシュテイストをさりげなくアピールしている。

着こなしサンプル3スエードが温かみを添える大人のダウンジャケットスタイル

洗練された印象のネイビーダウンジャケットを主役とした今季的なコーディネート。そこにスエードのウィングチップとフリンジが効いたキャメルニットを合わせることで、親しみやすい柔らかな空気を生み出した。『パドローネ』のウィングチップは、『サンダース』の名作よろしくマッドガードを装備した厚みのあるデザイン。同じくボリュームのあるダウンジャケットに良く似合う。

カジュアルな装いも大人顔に。必携ウィングチップシューズ10選

大人らしく履けて、なおかつカジュアルにもハマるウィングチップシューズとは何か。その具体例を紹介しよう。カジュアルなファッションにマッチすることを前提にセレクトしたが、スラックスなどを軸にしたきれいめな着こなしにも取り入れるなど自分らしい履きこなし方を模索してほしい。

イギリス王室御用達の名門、『トリッカーズ』の代名詞ともいえる1足。上質なカーフを使った甲革、オークの樹皮でなめした革底など、最高品質の素材を使いながらベンチメイドで仕上げたシューズには、イギリスならではの気品も感じさせる。履き始めの革質は重厚そのもので足の痛みに悩まされるかもしれないが、エイコンカラーのレザーに濃淡が刻まれ、コルクが沈みこむころには自分だけの『トリッカーズ』に仕上がっているはずだ。

■参考: 履き続けるべき価値がある。トリッカーズの革靴&ブーツ名作リスト

アイテム2『チャーチ』

イギリスの老舗、『チャーチ』からバーウッドが登場したのは、1950年代。以降、ブランドを代表する人気モデルとしてシャノンと並び君臨してきた。内羽根のためスラックスと合わせても良いが、ラスト81ならではのぽってりとしたシルエットはジーンズやコーデュロイなどのカジュアルなパンツと楽しみたい。なお、『チャーチ』オリジナルのポリッシュドバインダーカーフを使用しているので、雨にも強くお手入れも簡単とレザーシューズ初心者にこそおすすめしたい逸品でもある。

■参考: チャーチの革靴:英国を堪能する人気モデルを徹底紹介

アイテム3『サンダース』

1873年にイギリスの革靴の聖地であるノーサンプトンで設立された実力派メーカー。英国軍支給品であることを示す矢印型のステッチが甲に入ったブロードアローは、あまりにも有名だ。長らくイギリス軍にシューズを納入してきた歴史もあり、エレガントさと実用性を兼ね備えた靴作りに定評がある。こちらのオリーは、毛足が短く品のあるスエード素材とクレープソールによる履きやすさが魅力。天然素材とグッドイヤーウェルト製法にこだわる『サンダース』のシューズらしく、長く愛せる耐久性も有している。

■参考: 実力派英国靴サンダースの魅力とおすすめしたい10足

アイテム4『リーガル』

100年以上の歴史を持つジャパンブランドの1足は、クラシカルなデザインが大人っぽさをより強調してくれるロングウィングチップ仕様。木型には幅広の日本人の足に近いモノを使っているため、いつものサイズよりハーフからワンサイズ下を選ぶのが『リーガル』を購入する際のコツだ。もちろん、履き心地は上々。日本におけるアメトラの歴史を支えてきたブランドに敬意を払い、濃紺ジーンズをあわせるのもオツだ。

■参考: 革靴の王道。リーガルのおすすめシューズ15選

アイテム5『オールデン』

武骨なフォルムでありながらエレガント。男性が求める相反する要素を絶妙なバランスで詰め込んだ『オールデン』のウィングチップシューズは、男なら1度は履きたい名作だ。しっとりと大人顔のブラックは、ジーンズはもちろん、チノパンやスラックス、カーゴパンツとも相性良くなじむ。『オールデン』といえば艶のあるホーウィン社のコードバンが思い浮かぶが、あくまでカントリーシューズと考えて気負いなく履けるカーフを選ぶのもいいだろう。

■参考: オールデンの革靴で、コードバン以外に買い増ししたい10足

アイテム6『クラークス』

クレープソールを採用したワラビーをはじめとする、上品なカジュアルシューズが人気の『クラークス』。同社でおすすめしたいのが、アッパーにスコッチグレインレザーを使ったこちら。シャープな木型と鈍いレザーの光沢が足元に品格を添える、イギリスブランドらしい意匠が光る。グッドイヤーウェルテッド製法のため、ソールの交換が可能。ビジネスにあわせるなら、ジャケパンスタイルのカジュアルダウンに使うのが最適だ。当然ながら、ラフな装いをセンスアップするのにも活躍してくれる。

■参考: クラークスの傑作ワラビー。押さえたいカラーとおすすめの着こなしはコレ!

カジュアルシューズと割り切るなら、機能的なEVAソールを採用した『コールハーン』らしいこちらはどうだろう。シックなベージュスエードと、ソールの大胆なカラーパレットが唯一無二の魅力を放つ。人間工学に基づいたクッション性の高いインソールと、前半分とヒール部分でパッドの硬さを調節した2重構造のソールによりノンストレスな履き心地を実現。あえてカジュアルよりもクリーンなジャケットスタイルのハズしとして活用するのが、ツウな使い方だ。

■参考: 普遍的な表情とナイキの機能が融合。コールハーンの靴

1886年創業の『ジョセフチーニー』が贈るカントリーコレクション。その名の通りワーク感の強い武骨なルックスと堅ろうなディテールが魅力のウィングチップモデルだ。大粒のシボが並ぶ迫力のカントリーグレインレザーは、ウィングチップシューズ本来の役割を思い出させてくれる耐水性を保持。英国軍にも納入していたミリタリーラスト12508の丸みのあるフォルムは、日々のカジュアルコーデにおいてヘビロテしていきたい。

■参考: おしゃれな大人にハマる英国靴。チーニーの魅力とおすすめモデル

セレクトショップのオリジナルシューズのクオリティーも、年々上がってきている。洗練されたフォルムがドレスシーンでの着用をイメージさせるこちらは、『ナノ・ユニバース』のライフスタイルブランドのもの。日本製にこだわりつつコストパフォーマンスの高い1足に仕上がっており、アンティーク調のグラデーションカラーが足元をエレガントにしてくれる。

8ホールブーツに代表されるワークシューズで人気の『ドクターマーチン』だが、ドレス感の高いシューズの完成度も見逃せないものがある。程良く丸みのあるフォルムが、カジュアルな着こなしと難なくなじむ点が特徴だ。『ドクターマーチン』オリジナルのスムースレザーが持つマットな質感により、品の良さも感じさせてくれる。とはいえエアクッションソールのタフさはそのままなので、日々のローテーションの中に組み込んでガシガシ履き込んでいきたい。

■参考: どんな服装とも相性抜群。ドクターマーチンの3ホール

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