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- トラッドスタイルの足元に。ウイングチップシューズのルーツと名作9選
カジュアルスタイルの心強い味方。“ウイングチップ”のルーツ
ウイングチップシューズとは、その名の通りまるで鳥の羽を思わせるW型の切り替えがトゥに施された革靴のこと。その起源は、16~17世紀のスコットランドやアイルランドの高地に住むケルト民族が履いていた労働靴にあるといわれている。ワックス引きされた堅牢かつ耐水性に優れた労働靴には現在のブローグに通じる穴飾りがすでにあったとされており、後述するように機能から生まれたデザインであったことがうかがえる。これらが19世紀末にイギリス貴族の手に渡り、『トリッカーズ』に代表されるとするカントリーブーツとして進化していくことになる。
現代のファッションにおけるウイングチップの立ち位置とは
上述したように、ウイングチップシューズのルーツは狩猟や労働に適した活動的なワークシューズ。一見華やかな印象を与えてくれるメダリオン(穴飾り)も、下層の革の水はけをよくするための機能的なディテールであったりする。その名残もあり、革靴ながら活動的でカジュアルな印象を与えるものがほとんどだ。そのため、装飾の度合いによってはビジネスに不向きとされるものもあるため注意が必要。また、冠婚葬祭の場でも控えたほうが無難とされている。
ウイングチップの種類は大きく分けて3種類
外羽根・内羽根の違いやソールの種類など、ディテールの差異で合わせるべき着こなしも変わってくるのが革靴の難しいところ。ウイングチップにおいては、大きく分けて3種類を覚えておけば問題ない。それぞれマッチする着こなしのテイストも変わってくるので、正しく使い分けたい。
種類1ウイングチップシューズの基本、フルブローグ
我々がウイングチップシューズと聞いてまず思い浮かべるのがこのフルブローグだろう。トゥが“W”状にピンキング(ジグザグに革を裁断した、装飾的なディテール)され、その上にメダリオンが施されている。他のシューズ同様、シューレースを通す羽根部分が大きく開かない内羽根式のほうがフォーマル度が高く、比較的スーツスタイルにも相性が良いとされている。さらに、ソールの厚さ、革の種類でも印象が大きく変わってくるシューズであるため、さまざまな種類を履き比べることをおすすめする。
種類2カジュアルなアメトラコーデに欠かせないにアメリカンブローグ
別名、ロングウイングチップ。その名前の通り、米国流にアレンジが施されたフルブローグシューズだ。トゥの“W”字の装飾がヒール部分まで一直線に伸びており、日本では「おかめ」の愛称で呼ばれることもある。上のフルブローグと比べるとジーンズやチノパンなどよりカジュアルなアイテムとの相性が良く、ブレザーを合わせるようなアメリカントラッドなコーディネートが好みならまず確保しておきたい意匠だ。
種類3カジュアルとドレスの中庸を行くブラインドフルブローグ
メダリオンやパーフォレーションを排し、シンプルなステッチに置き換えたもの。上記2種類に比べると、ドレス感がありながらも落ち着いた空気を醸し出している。各ブランドモデル数も多くなく、あまり目にすることのないデザインではあるが、パーティーシーンからビジネスにも見合ういでたちは1足あると重宝するはずだ。
ウイングチップを着こなす、3賢者の着こなしサンプル
着こなしサンプル1トラッド感満点のセットアップを、足元と小物で現代的に
まずは、英国ブランド『アルフレッド・サージェント』の外羽根ウイングチップシューズに旬のセットアップを合わせたこちらのスタイリング。オーセンティックなフルブローグタイプの武骨さと、インナーに挿したスポーティなダウン、キャップが絶妙なマッチングを見せる上級者の着こなしだ。ウインドウペンチェックのトラッドなセットアップを見事にカジュアルダウンしている。
着こなしサンプル2ワーク的アプローチの中に光る大人のこだわり
アウターに選んだのはワークの代表格である『リーバイス』のデニムジャケット。その粗野感溢れる印象を、胸元のタイドアップやスラックス然としたチノパン、『トリッカーズ』のウイングチップで巧みにいなした点がお見事。お茶目なキャスケットもブリティッシュテイストをさりげなくアピールしている。
着こなしサンプル3スエードが温かみを添える大人のダウンジャケットスタイル
洗練された印象のネイビーダウンジャケットを主役とした今季的なコーディネート。そこにスエードのウイングチップとフリンジが効いたキャメルニットを合わせることで、親しみやすい柔らかな空気を生み出した。『パドローネ』のウイングチップは、『サンダース』の名作よろしくマッドガードを装備した厚みのあるデザイン。同じくボリュームのあるダウンジャケットに良く似合う。
カジュアルな装いも大人顔に。必携ウイングチップシューズ9選
大人らしく履けて、なおかつカジュアルにもハマるウイングチップシューズとは何か。その具体例を紹介しよう。カジュアルなファッションにマッチすることを前提にセレクトしたが、スラックスなどを軸にしたきれいめな着こなしにも取り入れるなど自分らしい履きこなし方を模索してほしい。
アイテム1『トリッカーズ』
イギリス王室御用達の名門、『トリッカーズ』の代名詞ともいえる1足。上質なカーフを使った甲革、オークの樹皮でなめした革底など、最高品質の素材を使いながらベンチメイドで仕上げたシューズには、イギリスならではの気品も感じさせる。履き始めの革質は重厚そのもので足の痛みに悩まされるかもしれないが、エイコンカラーのレザーに濃淡が刻まれ、コルクが沈みこむころには自分だけの『トリッカーズ』に仕上がっているはずだ。

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2019.10.15
アイテム2『チャーチ』
イギリスの老舗、『チャーチ』からバーウッドが登場したのは、1950年代。以降、ブランドを代表する人気モデルとしてシャノンと並び君臨してきた。内羽根のためスラックスと合わせても良いが、ラスト81ならではのぽってりとしたシルエットはジーンズやコーデュロイなどのカジュアルなパンツと楽しみたい。なお、『チャーチ』オリジナルのポリッシュドバインダーカーフを使用しているので、雨にも強くお手入れも簡単とレザーシューズ初心者にこそおすすめしたい逸品でもある。

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アイテム3『サンダース』
1873年にイギリスの革靴の聖地であるノーサンプトンで設立された実力派メーカー。英国軍支給品であることを示す矢印型のステッチが甲に入ったブロードアローは、あまりにも有名だ。長らくイギリス軍にシューズを納入してきた歴史もあり、エレガントさと実用性を兼ね備えた靴作りに定評がある。こちらのオリーは、毛足が短く品のあるスエード素材とクレープソールによる履きやすさが魅力。天然素材とグッドイヤーウェルト製法にこだわる『サンダース』のシューズらしく、長く愛せる耐久性も有している。

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アイテム4『リーガル』
100年以上の歴史を持つジャパンブランドの1足は、クラシカルなデザインが大人っぽさをより強調してくれるロングウイングチップ仕様。木型には幅広の日本人の足に近いモノを使っているため、いつものサイズよりハーフからワンサイズ下を選ぶのが『リーガル』を購入する際のコツだ。もちろん、履き心地は上々。日本におけるアメトラの歴史を支えてきたブランドに敬意を払い、濃紺ジーンズをあわせるのもオツだ。

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アイテム5『オールデン』
武骨なフォルムでありながらエレガント。男性が求める相反する要素を絶妙なバランスで詰め込んだ『オールデン』のウイングチップシューズは、男なら1度は履きたい名作だ。しっとりと大人顔のブラックは、ジーンズはもちろん、チノパンやスラックス、カーゴパンツとも相性良く馴染む。『オールデン』といえば艶のあるホーウィン社のコードバンが思い浮かぶが、あくまでカントリーシューズと考えて気負いなく履けるカーフを選ぶのもいいだろう。

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アイテム9『ドクターマーチン』
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