
八面六臂の大活躍。インサレーションウェアを日常着に取り入れよう
アウトドアでは、インナーとアウターの両方で快適さをもたらす服として欠かせないインサレーションウェア。こんなに使い勝手の良い服を、日常使いしない手はありません。
インサレーションウェアって? アウトドアでは当たり前の1着をワードローブに
まずは、インサレーションウェアとは、という用語の解説から。インサレーションとは“断熱”という意味合いを持つ言葉で、アウトドアにおいては中綿をフィリングした防寒着のことをこのように呼んでいます。フィリングする中綿は、ダウン、あるいはプリマロフトのような化繊中綿が主流であり、レイヤリングにおける中間着に位置付けられる服のためボリュームは控えめになっているのが特徴。登山などの行動時として着用する際は、雨風を遮る役割を果たすシェルアウターの下に仕込んで保温力を担保する役割を担います。
一般的なダウンジャケットのようにかさ張らず、テントサイトや山小屋周りで快適に過ごすうえでちょうどいい保温力を得られるインサレーションウェア。雨風にさらされる可能性が少ない状況下では、軽アウターとしての活躍が期待できます。加えて、まだ寒さが残る春先の保温に適した保温力でもあるので、秋を含めると3シーズン着用できる点も魅力です。加えて夏期の登山においてもリュックに忍ばせている登山者が多いため、コンパクトにたためる設計になっているアイテムが多いのも強みでしょう。このようにインナーとアウターの二刀流をこなし、手軽に持ち歩くこともできるインサレーションウェアはアクティブに過ごす日常の相棒としても八面六臂の活躍が期待できるのです。
賢く選んで、長く使う。インサレーションウェア選びの三大ポイントとは
次にインサレーションウェア選びにおける留意点を見ていきましょう。ポイントになるのは、「着用シーン」と「中綿の種類」、そこに「ファッション性」を加えた3点。これらの要点を押さえ、自分好みの1着を絞り込んでいきましょう。
ポイント1
いの一番に。インサレーションウェアを“どこで使うのか”考える
選びの大前提として考えておきたいのが使用シーン。機能性が伴うテクニカルなウェアだからこそ、後悔しないためにここはしっかり踏まえておくべきです。登山とキャンプのどちらをメインで使用するのかによっても、適した中綿や保温力が変わってきます。また、街着で使うとしても、アウターの下に仕込むのか、軽い羽織りとしてメイン使いするのかで狙うべきデザインも異なるはず。例えば登山での使用を想定する場合は、いざというときに頭部も保温できるフード付きを選ぶのが賢明。街使いがメインで、さまざまなアウターの下に仕込んでレイヤード使いする可能性があるならば、ノーカラーや低めの立ち襟を選ぶなど合わせる服と相談しながら絞り込んでいくのがベターです。
ポイント2
ダウンか、化繊の中綿か。自分に必要なフィリングは何かを検討する
これも使用シーンを踏まえて考えるべきことですが、ダウンと化繊中綿のどちらにするのかも快適さを担保するうえで重要なポイント。保温力の高さや軽さにおいてはダウンに軍配が上がる一方、雨や汗で濡れるとロフトが失われて保温性が下がるという弱点も持っています。価格も中綿と比べ、高くなる傾向に。対して化繊はダウンより温かさが若干劣るものの、比較的安価で雨に強い(濡れてもロフトを保てる)のが特徴。登山など急激に気温が下がる状況下での使用がメインの場合は、収納性も高く、それでいて保温力が期待できるダウンのほうが安心感があり、悪天候への対応や発汗を伴う可能性がある場合は後者の中綿のほうが使い勝手が良いでしょう。
ポイント3
やっぱり気になるファッション性。アウター使いを検討するなら
当然といえば当然ですが、街でのアウトドアMIXの主役としてアウター使いだけを考えている場合は、“山感”控えめなデザインのほうがコーデに手間取らず使い勝手が良好です。例えばシルエットに関しては、タイト過ぎるとインナー感が強く出てコーデの主役を任せるには心許ない印象に。街の景色にいまいち映えない可能性もあるので、アウター感を印象付けやすいゆったりめなシルエットを選ぶのが良いでしょう。また、インナーっぽさを感じさせないという意味では、ポケットやロゴが主張しやすいデザインも狙い目。表地についても光沢が強過ぎるものより、どちらかというとマットなもののほうが合わせる服を選ばず、街馴染みも良好です。
普段着としてはこれで十分。インサレーションウェアを使った街のコーデ実例
ここからは、インサレーションウェアを着こなすうえでのポイントを、実際のスタイルサンプルから見ていくことにしましょう。日常着として取り入れる場合に注目し、アウター使いとインナー使いの成功パターンをそれぞれご紹介します。
着こなし1
きれいめ見えを狙うなら、トーンと色数を抑えるべし
こちらは、ノーカラー型のインサレーションジャケットを主役にした装い。インナーには厚手のスウェットシャツを合わせることで必要十分な保温力を確保しつつ、首元のマフラーによってアウトドア感を抑えるのにも成功しています。また、インサレーションウェアだけでなくコーデ全体でマイルドな配色に徹している点も、アウターが都会見えする一因に。
着こなし2
インサレーションウェアのネックの高さを生かして、タートル見えを狙う
こちらは、インナー使いの場合。ステンカラーコートに仕込んだのはスタンドカラーのインサレーションジャケットですが、首元までジップアップすることでタートルネックのようなアクセント効果を狙っています。インサレーションジャケットを挿したことでアクティブな印象が加味されているので、同様にスポーティなスウェットパンツも違和感なく街に馴染みます。
アウトドアで着こなすなら、インサレーションウェアをミッドレイヤーとして
アウトドアシーンに落とし込む際のヒントもチェックしておきましょう。このコーデで着用しているアウターはコーチジャケットですが、撥水加工で防水性と防風性が高められています。そこにインサレーションジャケットを仕込むことで、保温力をプラス。このように、アウトドア使いにおいてはアウターとインナーがお互いの足りないところを補い合うのが理想型なわけです。なお、こちらのインサレーションウェアの中はオーバーオール。オーバーオールのラフな素材感に対して、インサレーションウェアの光沢ある質感が奥行きを生み出しています。オーバーオールに挑戦したい! と意気込んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
人気アウトドアブランドも続々。インサレーションウェアのおすすめ10選
明日からでも即戦力として使えるインサレーションウェアを、厳選してご紹介しましょう。アウトドアマンたちが信頼を寄せる定番モデルに加え、街にもよく映える新顔も含め10着をピックアップしました。
アイテム1
『アークテリクス』アトム LT フーディ
しなやかなシェルボディの着心地を損ねない、絶妙なボリューム感でフィリングした化繊中綿は『アークテリクス』が独自開発したコアロフトと呼ばれるもの。一般的な化繊中綿に比べ繊維自体が強く速乾性に優れるため、予期せぬウェットコンディションでも頼りになります。熱がこもりやすい脇下には中綿を使用せず、代わりにストレッチ素材で切り替えている点にも注目です。
アイテム2
『パタゴニア』マイクロ・パフ・フーディ
『パタゴニア』における化繊中綿インサレーションの代表作といえば、独創的なキルティングパターンが印象的な本作「マイクロ・パフ・フーディ」。ダウンに比肩する軽さを実現した革新的な化繊中綿が、重量に対して最高レベルの保温力を約束します。着用しないときは左側のポケットにたくし込んで小さくたためるパッカブル仕様。
アイテム3
『ザ・ノース・フェイス』レッドランフーディ
防風性と耐摩耗性に優れるパーテックスカンタムのボディに対し、同社とプリマロフト社が共同開発したサーモボールを封入。これは羽毛特有の膨らみを再現すべく、プリマロフトをボール状に加工したものです。あくまで化繊ゆえ、濡れたり湿ったりしてもロフトの高さが失われないのが長所となっています。また、脇と袖下は4WAYのストレッチ性と通気性を兼備したフリースで切り替え。重ね着に適したタイトシルエットながら、動きやすさの面でも優秀です。
アイテム4
『ワイルドシングス』インサレーションパーカー
こちらは、『ワイルドシングス』が90年代に手がけていたインサレーションパーカーのデザインをベースに、『ビショップ』が型別注をかけた1着。プリマロフトをフィリングしたボディはデザイン性控えめながら、左胸のロゴがアウター使いした際の見栄えも担保してくれます。
アイテム5
『ネイチャーハイク』ネイチャーハイクインナーインサレーションジャケット
インナーやアウターの襟に干渉しない、Vネック型のインサレーションジャケット。大型のフラップポケットが前身頃に備わっているため襟なしの懸念材料であるインナー見えの心配がなく、アウターとしての存在感も申し分なしです。中綿は3M社製のシンサレートゆえ、保温力の高さも折り紙付き!
アイテム6
『ザ・ノース・フェイス』ライモジャケット
激しい動きを伴うことが想定されるシーンでは、表地に加えて化繊中綿にも伸縮性を持たせた本作で動きやすさを確保するのも手でしょう。中綿のストレッチ性は蛇腹状に加工することで生み出されており、この設計によってかさ高のアップも可能に。着ていることを感じさせない軽さとは裏腹の、高い保温力を享受できます。
アイテム7
『L.L.ビーン』メンズ プリマロフト・パッカウェイ・フード・ジャケット
中綿には、潰れた際の復元力を高めたプリマロフト ゴールド・インサレーション・ウィズ・クロス・コアを使用。この中綿にはNASAが開発したエアロジェルが混紡されており、同じ重量の中綿と比べ15%高い保温性を発揮します。耐水性、防風性に優れる表地のシェルには再生ポリエステルを使用しており、サステナビリティにも配慮。
アイテム8
『パタゴニア』メンズ ダウンセーター
『パタゴニア』における、ダウンをフィリングしたインサレーションジャケットの定番が本作。800フィルパワーというスペックは申し分なく、流行に左右されない普遍のデザインはレイヤリングの主役にも名脇役にもなれる存在感を放っています。なお、使用しているダウンは強制給餌や生きたまま羽毛採取が行われたものではないことが証明されています。
アイテム9
『デサントオルテライン』インサレーテッド L/Sシャツ
メインで着ればシャツジャケット風に、インナーとして着ればそのままシャツ代わりにもなってくれる汎用性の高い1着。撥水加工が施されたシェルボディには、シルエットが崩れない絶妙な厚みで3M社のシンサレートをフィリングしています。仕立て自体は縫製ではなく、超音波による溶着がメイン。縫い目のゴワつきを感じさせないやさしい着心地に仕上がっています。
アイテム10
『ピークパフォーマンス』アルゴンライトフードジャケット
ダウンの偏りを防ぐ役割も担うキルティングを、縫製でも圧着でもなく、表地と裏地を二重織りする独自製法で仕上げていることが最大の特徴。これにより縫製した箇所からの風の侵入を防ぎ、デザイン面でも新鮮さを印象付けることが可能になっています。また、表地と裏地、中綿に100%リサイクル素材を使うことで環境に配慮したモノ作りに軸足を置くブランドの哲学を体現しています。
この記事の掲載アイテム一覧(全9商品)
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『アークテリクス』 アトム LT フーディ
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『パタゴニア』 マイクロ・パフ・フーディ
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『ザ・ノース・フェイス』 レッドランフーディ
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『ネイチャーハイク』 ネイチャーハイクインナーインサレーションジャケット
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『ザ・ノース・フェイス』 ライモジャケット
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『L.L.ビーン』 メンズ プリマロフト・パッカウェイ・フード・ジャケット
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『パタゴニア』 メンズ ダウンセーター
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『デサントオルテライン』 インサレーテッド L/Sシャツ
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『ピークパフォーマンス』 アルゴンライトフードジャケット
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