
今年のフリースはこの中からどうぞ。選びのポイントと大人におすすめの15着
フリースジャケットが頼りになる季節到来。ダウンと肩を並べる冬の主役は、選択肢が増えた現在、群雄割拠の状態に。選びの要点を押さえつつおすすめ品を披露しましょう。
今や冬の代名詞となったフリースジャケット。……って、そもそもフリースって何?
ダウンと双璧を成す冬の定番アウターとしてのポジションを、確たるものにした感のあるフリースジャケット。双方ともアウトドアが出自ゆえ、ブームが追い風になっているのは明白です。ですが、今ではハイブランドさえもが本腰を入れてフリースを手がけており、おしゃれ着としてのステータスもかつてないほど高いものに。ゆえに、この冬も主役を任せることになるに違いありせん。ということで本記事では、そもそもフリースとは何かという基本の「き」をおさらいしつつ、失敗しないフリース選びのポイントを見ていくことにしましょう。
フリース自体の誕生したのは、1970年代のこと。その生みの親は皆さんもよくご存じの『パタゴニア』で、同社がウールセーターの弱点を解消した防寒ウェアを追い求め、繊維メーカーのモルデンミルズ社(現在のポーラーテック社)と共同開発したポリエステル製パイル素材が始まりでした。高保温力が期待できるウールは当時のアウトドアシーンで重宝されていましたが、濡れると重くなって保温力も低下。乾きにくく、洗濯にも手間がかかるといった短所が目立ちました。そんなウールと同等の保温性を発揮し、なおかつ軽量で乾きやすくてイージーケアな奇跡の素材として開発されたのが、当時“シンチラ”と呼ばれたパイル素材だったのです。これがジャケットに採用されるようになり、90年代のアウトドアMIX全盛時代に街着としてのポジションを獲得。ファッションブランドにおいても定番の仲間入りを果たし、現在にいたるというわけです。
全部同じじゃないんです。フリースを選ぶ際に注目したい3つのポイント
フリースを選ぶうえで留意したいポイントは、3点。一口にフリースといっても素材感や厚みに違いがあり、プラスαの機能にもいくつかの選択肢があります。
ポイント1
インに使うか、アウトに使うか。用途に合わせて選ぶ「厚さ」と「サイジング」
フリースにはアウターとして仕立てられたものに加え、ミッドレイヤーとしてインナー使いすることを想定されたものが存在します。前者は当然ながら生地が厚手で、シルエットはゆとりを持たせたものが主流。この冬であればトレンドに則り、オーバーサイジングで着られるアイテムが狙い目といえます。一方でそんな流れに反するように、後者は生地も薄手でジャストサイズ。シルエットは多種多様ですが、インナー使いのしやすさも念頭に置くのならやはり細身のモノの方が中に仕込んだときのもたつきに悩まされません。
ポイント2
「毛足」の長さで印象激変。古着好きの大人なら、迷わず毛足短め
これは生地の厚さにも影響することですが、フリースは毛足の長さもいろいろ。大別すると毛足の長いボアフリースと、短めのマイクロフリースに分けられますが、前者がふわもこ感強めゆえ、温かみがあってどこか愛嬌のある佇まいに。対して、後者は短毛ゆえの古着然としたレトロ感が魅力。大人っぽい印象に持っていきやすい素材感でもあります。
ポイント3
防風、ストレッチ、リバーシブル……。群雄割拠の現在ゆえに「付加価値」も検討
レッドオーシャン化して競争原理が働いたことと、日進月歩で進化を遂げる素材開発の技術が功を奏し、フリース自体の高機能化も進んでいます。ストレッチ性や防水性といった付加価値を享受できるフリースも珍しくなく、ものによっては風を通しやすいというフリースの弱点を「ゴアウインドストッパー」のライニングで解消したタイプも。キャンプでも着用するのか、あるいは自転車に乗るときにも着たいのかといった使用シーンを前提に、こうした付加価値も検討要素に入れるのが賢明です。
鉄板ブランドからファッションブランドまで。今冬のフリースジャケット15選
この冬は、フリースの代名詞といっても過言ではない鉄板ブランドに加え、ファッションブランドからも秀作が揃い踏み。戦力になってくれるに違いない15着をご紹介します。
1着目
『パタゴニア』クラック・レトロX・ジャケット
フリースの生みの親として知られる『パタゴニア』が1993年に発売して以来、継続的に作り続けている名品が本作。ボディに採用したボンデッド・シェルパフリース素材は、風と通しやすいというフリースの弱点を裏面にラミネートした防風フィルムで解消したもの。体に触れる面には吸湿発散性と通気性に富むメッシュ素材を張り合わせた3層構造で、保温性の高さと爽やかな着心地の両方を享受できる1着に仕上げています。
2着目
『ザ・ノース・フェイス』マウンテン バーサ マイクロジャケット
『ザ・ノース・フェイス』の代名詞といっても過言ではない肩の切り替えを生かした、ブロックカラーが特徴的な本作。インナー使いもしやすい、マイクロフリース仕立てとなっています。肩の切り替えにはバックパックのショルダーハーネスが当たることを想定し、耐摩耗性に優れたナイロンを採用。袖口は柔らかで伸縮性に富むパイピング仕様で、フリース自体は静電気の発生を抑える静電ケア設計を採用となっています。快適さに対するこだわりが細部まで行き届いた作りも魅力。ボディのフリースはもとより、肩周りの切り替えにもリサイクル素材が用いられています。
3着目
『ロスコ』ECWCS フリース ジャケット
本作は、E.C.W.C.S.(エクワックス)と呼ばれる米軍の極寒冷気候向けレイヤリングシステムに対応したフリースジャケット。現行モデルに当たる第3世代のもので、ボディには毛足の長いフリースを採用。肩周りの切り替えには、インナー使いした際の滑りの良さに配慮したナイロンを選択しています。
4着目
『スノーピーク』サーマル ボアフリース ハンテン
トレンドの波に乗っているボタンレスアウター感覚で着られるのが、柔らかなボアフリースを半纏風にデザインに落とし込んだ本作。フリース自体はポーラーテック社のもので、保温性に加えて吸水速乾性の面でも優秀。フロントを1か所留められる設計なので、開きっぱなしにしたくないときも問題なし。収納力の高い前ポケは、ハンドウォーマーとしても使い勝手のいい角度で手を入れられる作りになっています。
5着目
『L.L.ビーン』メンズ マウンテン・クラシック・ウインドプルーフ・フリース・ジャケット
レイヤリングした際にももたつかない格子状のマイクロフリースボディは、外からの風をシャットアウトし、内側からの湿気は外に逃すエアシールド・テクノロジーを採用したもの。冷たい風をブロックしながら、温かく柔らかな着心地をもたらしてくれます。ジッパーは手袋をしたままでも扱いやすいプルタブ付きで、フルでジップアップした際に首元に当たらないようチンガードもプラス。
6着目
『ザ・ノース・フェイス パープルレーベル』ウール ボア フリース フィールド ジャケット
こちらは『ザ・ノース・フェイス』の「デナリジャケット」をアップデートした1着。ボリューム感がありながらも軽い着心地とどこか上品な空気感が魅力的です。パイル部分には天然繊維のウールを、裏側にはゴアテックス インフィニアム ウィンドストッパー ライナーを採用。肌触りの良さに加え、風の侵入やムレを軽減した機能性も十分なアイテムとなっています。
7着目
『コロンビア』スティーンズ マウンテン フルジップ フリース ジャケット
初冬から着やすい、軽量かつ薄手のマイクロフリースジャケット。生地目が見えないくらい細かい毛羽で覆われたフィラメントフリースは肌当たりが非常にやさしく、じんわりと体を温めてくれます。インナー使いした際にアウターのデザインと喧嘩しない、シンプルに徹したデザインも魅力です。
8着目
『タトラス』バトラ
都市型ダウンの代表格として知られるイタリアブランド『タトラス』からもフリースジャケットが登場しています。防風性のある裏地付きのスタンドカラーボアブルゾンは、リラックスした着心地なうえに大人っぽさも十分。高級感のあるラッカーニファスナーや胸のグログランテープなど同ブランドならではなこだわりも随所に見られます。
9着目
『アークテリクス』コバート カーディガン
『アークテリクス』の定番に位置付けられているこのフリースジャケットは、柔らかなダブルニットのポリエステルを用いた独自のフリース素材をボディに採用。裏面の起毛感を強くすることで保温力を向上させ、腕の上げ下げがしやすい立体裁断によってアウターとインナーのどちらで着用しても高いパフォーマンスが期待できる1着に仕上げられています。
10着目
『チャムス』ボンディングフリースジャケット
『チャムス』ならではの遊び心を感じさせるブロックカラーが目を引く本作は、3層構造のボンディング素材を採用。毛足の長いボアフリースの表地とやさしい着心地をもたらすマイクロフリースの裏地の間に、防風フィルムをサンドイッチしています。カツオドリを描いたブービーバードの刺繍ロゴは、左胸のユーティリティポケットにさりげなく鎮座。
11着目
『ホグロフス』コンビネーション フリースジャケット
スウェーデンを代表するアウトドアウェアブランドである『ホグロフス』が手がけた本作は、ポーラーテック社のフリースの中では厚手に位置付けられる「ポーラーテック300」を採用。前身頃の上部から肩周り、両肘、背ヨークはストレッチ性に優れるツイルで補強と動きやすさを兼備した作りに。ナポレオンポケットと呼ばれる縦ポケは、フロントジップの左右に用意。左右のどちらか空いているほうの手で、スマホやサングラスなどを収納できるのがさりげなく便利です。
12着目
『アンドワンダー』ハイロフトフリースジャケット
『イッセイミヤケ』出身のデザイナーが登山に魅せられ、山でも街でも主役を張れるアウトドアウェア&ギアを製造している『アンドワンダー』。代表作の1つである本作は、長い毛足に温かい空気をたっぷり溜め込んでくれるポーラーテック社のハイロフトフリース仕立て。スタンドカラーの襟足部分でドローコードのアジャスターがあり、首周りのフィット感を高めて冷気をシャットアウトすることでさらなる保温力の向上が期待できます。
13着目
『フーディーニ』パワーフーディ
アウターとしてもミッドレイヤーとしても使い勝手のいい中間的な厚みと、ミニマルデザインが登山やキャンプ、自転車ライドといった幅広シーンで好評を博している定番モデル。ふわふわとした軽やかなマイクロフリースは、「ポーラーテック パワーストレッチ プロ」と呼ばれる耐久性と伸縮性に優れたもの。袖口のサムホールに親指を入れて着用することで、自転車に乗る際のずり上がりを防ぐことも。
14着目
『シーグリーン』ネイティブパターンフリースジップフーディ
2012年にL.A.と東京を拠点としてスタートしたブランド『シーグリーン』。スリムなサイジングと上品なヴィンテージ加工にヨーロッパテイストとトレンドを盛り込んだ逸品が並びます。こちらのネイティブ柄のフリースも洒落感たっぷり。毛足の柔らかい両面フリースが極上の肌触りを生み出しています。重たくなりがちな秋冬コーデをパッと明るく華やかにしてくれるでしょう。
15着目
『ナンガ』ポーラテックフリースジップブルゾン
1941年にスタートした国産シュラフメーカー『ナンガ』。こちらはウールライクな見た目にフリースのパフォーマンスを兼ね備えたポーラテックサーマルプロ生地を採用。ジップタイプのスタンドカラーブルゾンは1枚で着てもインナーで着ても活躍すること間違いなし。シンプルかつカジュアルなフリースは持っておいて損はありません。
鍵は、独特な山っぽさをどういなすか。先人に学ぶフリースの着こなし方
フリースの魅力といえば、特有のアウトドア感。ですが、ファッションに落とし込む場合は、それを前面に押し出してしまうと、街で浮いてしまう原因になりかねません。なので、コーデを成功させられるかどうかはこの山っぽさをどうやっていなすのかにかかっています。3つのスタイルサンプルで、お手本になりそうな着こなしテクを見てみましょう。
コーデ1
白シャツを仕込んで、すまし顔のフリースコーデに
黒フリースを主役にしたこちらのコーデが山男感控えめに見える理由は、上下ブラックという色合わせだけにあらず。よく見ると、インナーが品良く見える白シャツ。しかも第一ボタンまで全留めゆえ、フリースのアウトドア感がグッと中和されて見えます。同色のジョガーパンツを合わせ、中に仕込んだのはサコッシュというストリート目線の合わせも奏功。
コーデ2
スラックス合わせで、上級者感をお手軽に演出
フリースは『ザ・ノース・フェイス』のロゴが燦然と輝く本格派。ですが、パンツはセンタークリースをバチバチに効かせたドレス顔のスラックス。山と都会という真逆の世界観を持つ服を掛け合わせることで、フリースのアウトドア感をいなすことができるのは、言わずもがな。異なる個性を放つ服同士がお互いを引き立て合い、上級者っぽさを簡単に印象付けられます。
コーデ3
コート1着あれば、それだけで街顔コーデに激変!
拍子抜けするくらい簡単に山感をいなせる技が、こちらのコーデで実践しているチェスターコート使い。要はフリースをインナー使いするということなのですが、コートをバサッと羽織ってしまえばフリースが見える分量もちょうどいい塩梅に削減でき、街馴染みの良いコーデに落とし込めます。キャップでアクティブさを補い、バランスをとると、よりまとまりの良い装いに。
この記事の掲載アイテム一覧(全15商品)
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『パタゴニア』 クラック・レトロX・ジャケット
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『ザ・ノース・フェイス』 マウンテン バーサ マイクロジャケット
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『ロスコ』 ECWCS フリース ジャケット
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『スノーピーク』 サーマル ボアフリース ハンテン
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『L.L.ビーン』 メンズ マウンテン・クラシック・ウインドプルーフ・フリース・ジャケット
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『ザ・ノース・フェイス パープルレーベル』 ウール ボア フリース フィールド ジャケット
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『コロンビア』 スティーンズ マウンテン フルジップ フリース ジャケット
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『タトラス』 バトラ
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『アークテリクス』 コバート カーディガン
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『チャムス』 ボンディングフリースジャケット
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『ホグロフス』 コンビネーション フリースジャケット
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『アンドワンダー』 ハイロフトフリースジャケット
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『フーディーニ』 パワーフーディ
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『シーグリーン』 ネイティブパターンフリースジップフーディ
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『ナンガ』 ポーラテックフリースジップブルゾン
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