ひと目でわかる! 日本のアメカジ文化の系譜

ひと目でわかる! 日本のアメカジ文化の系譜

ファッションの歴史を知ることがセンスアップの近道。では、みんなの定番であるアメカジはどんな変遷を辿ってきたのでしょうか。当時に近い着こなしでなぞってみました。

平 格彦

2016.01.31

アメカジファッション

60年代のアイビースタイル

アメリカ東部の名門8大学 (=アイビーリーグ) の学生に見られる伝統的で正統派の学生スタイルが原型。日本では1950~60年代にかけて流行し、2000年代にも進化形がトレンドとなりました。ネイビーのブレザー、スタジャン、ニット、レタードカーディガン、ボタンダウンシャツ、コインローファーなどが代表的なアイテム。

『ジェイプレス』のブレザーや『リーガル』のコインローファーなど、王道ブランドの象徴的アイテムばかりをセレクトして築いたオーセンティックなアイビースタイル。

ブレザーとシャツはヴィンテージ品。その他のアイテムも『オールデン』のローファーや『ブルックスブラザーズ』のタイといった正統派です。肩に巻いたニットがアクセント。

レタードカーディガンにギンガムチェックのシャツを合わせつつ、タイドアップして品のよい学生風スタイルに。ストレートジーンズ×ローファーの組み合わせも上品です。

70年代のヒッピースタイル

ヒッピーは、1960年後半ごろから台頭した反体制・自然賛美派の若者たちのこと。ラブ&ピースを掲げ、東洋哲学に耽り、物欲主義に背を向けるライフスタイルを実践していました。インド的な民族衣装やサイケデリックな要素がアイコン。長髪やヒゲも特徴的です。そんな外観を取り入れたのがヒッピースタイルです。

ベルボトムのジーンズもヒッピースタイルの代表アイテム。ネイティブ柄のアウターを合わせることで、ムードを高めています。ツバが広めのハットで今っぽさもブレンド。

民族調の柄入りパンツが目を引くスタイリング。ヒッピースタイルではベストも多用されていましたが、それを現代に置き換えて着こなしています。白いシャツで品格も上乗せ。

ビーズのネックレスもヒッピースタイルを連想させるアイテム。ワイドなパンツやロングブリムのハットを選ぶことで、ヒッピーに通じるリラックス感を演出しています。

80年代の渋カジ

“渋カジ” は “渋谷カジュアル” の略。渋谷に集まる大学生や高校生たちの間で誕生した日本独特のスタイルで、1980年代の後半に広まっていきました。流行に合わせて細かい変化が見られたものの、ポロシャツ、ジーンズ、ローファーなどが軸。プレッピースタイル (アイビースタイルの高校生版) がベースと言われています。

アイビーでも用いられたネイビーのブレザーですが、渋カジでは “紺ブレ” という愛称で重用されてしました。スウェットパーカーなどで着崩すのがひとつのスタンダード。

カレッジロゴも象徴的なエッセンス。ジーンズやチノパンを合わせるのが定番です。カジュアルなのにどこか品のよさも感じさせるコーディネートが渋カジ初期の特徴です。

映画『トップガン』の影響でMA-1も大流行。N-3BやM-65といったミリタリー系アウターも渋カジで多用されていました。『リーバイス』などのジーンズを組み合わせるのが王道。

90年代のウエスタン系

モノや情報が溢れ始め、流行のスタイルも細分化。“渋カジ” は原点のきれいめを強調した “キレカジ” と、不良性を高めた“チーマー系” などに分かれました。アメカジ感が強いのは後者。ランチコートやジーンズ、ウエスタンブーツやインディアンジュエリーなどが象徴的であることから “ウエスタン系” と呼ぶこともできます。

ランチコートが主役。“ランチ” は “牧場” の意味です。『リーバイス』のジーンズに加え、『コンバース』のスニーカーや『レッド・ウィング』のブーツを合わせるのが基本形。

ウエスタンブーツとユーズドジーンズの組み合わせは王道。シャツやハットもウエスタンなムードの演出に貢献しています。ボリュームあるアクセサリー類も当時を連想させます。

日本製インディアンジュエリーの先駆者『ゴローズ』。今でも行列ができる人気ブランドですが、1990年代前半もオーダーが殺到していました。デニム素材との相性は抜群です。

2000年代のミックススタイル

スタイルはますます多様化。グランジや裏原系など、アメカジ系のストリートファッションは枝分かれして淘汰を繰り返しました。2000年代に入ると個人的センスも尊重されるようになり、ヴィンテージ品とブランド品を融合するスタイルが台頭。カジュアルとドレス、ロックとフォークロアなど、テイストもミックスされるように。

ドレッシーでフォーマルなブラックジャケットに、カジュアルでヴィンテージ調のブルージーンズを合わせたミックススタイル。セレブやショップスタッフが着こなしのお手本に。

アウトドアミックスのスタイル。リアルなヴィンテージ加工のブルージーンズに、『パタゴニア』のフリースベストを合わせながら、全体的には大人っぽくまとめています。

架空のサッカーチームを想定した『ソフネット』の別ライン『エフシーレアルブリストル』が1999年に登場。その後、『ナイキ』とのWネームに進化し、スポーツミックスも人気が上昇。

出版社を経て独立。「Men’s JOKER」と「RUDO」は創刊から休刊までほぼ毎号で執筆。さらに「MEN’S CLUB」「GQ」「GOETHE」など、60以上のメディアに関わってきた。横断的、俯瞰的に着こなしを分析するのが得意。そんな視点を活かし、「着こなし工学」としての体系化を試みている。
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