
チノパンブランド10選&季節別コーデ。カジュアルもビジネスも男の永久定番をはこう
テイストを問わず重宝するチノパンは、ワードローブに欠かせない存在。中でも汎用性が高い実力派ブランドや、季節別のおすすめコーデをご紹介。チノパン攻略の参考にぜひ。
そもそもチノパンの定義とは。綿パンとの違いは?
チノパンは元々、丈夫で厚手の綾織りの生地、チノクロス素材を用いたトラウザーのこと。アメリカ陸軍の軍服として採用されていたユニフォームを指し、当時は生地を中国(China)から輸入していたこともあり”チノ”クロスを使用したパンツ、すなわちチノパンと呼ばれるようになったのだとか。
ただ近年はその定義もゆるくなっており、チノクロス素材だけでなく、コットン素材の生地ならば広義のものがチノパンに含まれる。綿100%ではなく、ストレッチ性能を備えたようなモノも、同様だ。また、ファッションにおいてはチノパンのほか「チノ」、もしくは「チノーズ」と呼ばれることも多く、カジュアルな着こなしはもちろん、きれいめコーデ派からも支持を集める定番アイテムとなっている。なお、よく綿パンツ(コットンパンツ)と混在しているケースが多いが、これは綿(コットン)素材で仕立てられたパンツの総称を指すため、チノパンはコットンパンツの1種類といえる。
チノパンを選ぶ際に注意したい。押さえるべき重要な3つのポイント
素材はもちろん、チノパンはシルエットもさまざま。豊富なラインアップが魅力だが、大人がタウンユースとして取り入れるためのポイントは把握したいもの。しかし、身構えることはない。いずれも難しくはなく、簡単なことばかり。チノパンを新調しようと考えている方はぜひ参考に。
ポイント1
スリムからワイドまで。シルエットは自身のテイストに馴染むセレクトを
どんなアイテムにも合わせやすく、テイストを問わずに着られるのは、ストンと落ちるストレートシルエットか細身に仕立てられたスリム&テーパードが効いた1本。ただし、あえてカジュアル度合いを強くしたり、野暮ったく着たりするならばワイドシルエットという選択肢もありだ。リラックス感を強調することで今っぽくはきこなす場合にも、ワイドシルエットは有効であると押さえておこう。スケーターライクな着こなしとも、相性が良い。
ポイント2
丈の長さはジャストからやや短めを選択して
どんなシルエットを選ぶにしろ、裾がたるむ程の長めのレングスだともたついたイメージに。ジャストサイズからくるぶしが見える程度の短め丈を選ぶことで、洗練されたシルエットにまとまりやすい。どうしても長め丈が好みという場合は、ロールアップして調整するのもベター。ただしその場合も、1から2ロール程度でくるぶしが露出するような着こなしを心がけたい。ロールアップのしすぎは裾の厚みが増して、上品さに欠けてしまう。
ポイント3
1本目は着回し力の高いベージュ。2本目以降はネイビーやブラック、オリーブがおすすめ
最初に入手してほしいのがチノパンの定番カラーであるベージュ。大人の着こなしに欠かせない紺ブレや白シャツといったアイテムと相性が良く、合わせるアイテムを選ばない。2本目以降は、手持ちのアイテムに合う色をセレクトしよう。ネイビーやブラック、オリーブといったコーデの鉄板カラーがそれに当たるはずだ。
カジュアル派・きれいめ派別。質・シルエットともに定評のある人気ブランド
チノパンはもともと軍由来のアイテム。と同時に、アメトラベースのキーアイテムとしての一面も持ち合わせる。汎用性の高さがウリではあるけれど、カジュアルときれいめ、各々のスタイルで活用するブランドをわきまえれば、コーディネートに違いを生み出せる。
▼カジュアル派向けのチノパンなら、これ。人気ブランド5選
カジュアルめのスタイリングに合わせるなら、やはりラフなチノパンが上手くまとまりやすい。となれば、適度に抜け感あるワイドシルエットに照準を合わせるのが正攻法といえるだろう。旬度の面で見ても申し分ないため、簡単にあか抜けたコーデを構築出来る。ここでは、『ディッキーズ』や『ベンデイビス』など超王道をあえて省いたファッションブランドモノをセレクト。
ブランド1
『スティーブン アラン』
ゆったりとしたバギーシルエットを基軸としつつ、裾に向かって細身に仕上げることで野暮ったさを取り払った1本。旬なリラックス感を楽しみながらも、大人っぽさもきちんとキープできるのでまさに一石二鳥だ。ストレッチ混紡の快適な生地で、締め付けを感じることなくはきこなせるのもGOOD。
ブランド2
『ユニフォームエクスペリメント』
今季らしいワイドテーパード型となった今作は、生地と同色で施したリペアがさりげないアクセント。さっぱりとなりがちな春夏のコーディネートにこなれ感を演出してくれる。また、付属する細身のチェーンコードは自在に取り外しできるので、その日の着こなしに応じてアレンジしよう。
ブランド3
『ビームスライツ』
最高級綿として世界的に名高いスーピマコットンを惜しみなく使ったモデル。そのため、カジュアルなワイドチノでありながらもどことなく品行方正な顔立ちだ。さらに、ヒザ裏にダーツを配すことによって立体的なフォルムを描き出した。腰裏にトーマス・メイソン社製のプリント生地を用いるなど、普段見えない箇所への注力もお見事。
ブランド4
『イートウツ』
いわゆるチノクロスを用いた正統なチノパンがほしいなら、信頼と歴史のあるブランドに頼るのも手だろう。こちらは、徹底した英国生産にこだわった150年以上の歴史を持つ『イートウツ』。ツヤのあるコットン素材を用いてテーパードが効いたワイドなツータックのシルエットを構築しており、昨今のオーバーサイズトレンドもクリーンにこなすことができる。多少値は張るが、ここぞの1本としては間違いない選択だ。
ブランド5
『マスターアンドコー』
ブランドが定番展開しているストレートシルエットのチノパン。高密度に織り上げられたチノクロスはしっかりとしたハリ・コシがあり、耐久性にも秀でている。製品洗いでフィニッシュして、最初からはき慣れたような風合いを打ち出しているのも◎。バックルベルト付きなのも何げにうれしいポイントだ。上記『イートウツ』に比べ、さらにカジュアルにはきこなせる。
▼ビジネス&きれいめのおすすめチノパン5選
ドレスライクなスタイルに添えるチノパンであれば、他のアイテムと足並みを揃えるたセレクトがベター。軍由来の野暮ったさを感じさせない洗練されたシルエットは大前提だろう。さらに、生地にこだわった上質な風合いを備えていれば、もう言うことはない。
ブランド1
『シップス』×『トムソン』
米国の老舗トラウザーズブランドと『シップス』による共同製作。コールドマーセ加工で仕上げられたチノクロスは上品な光沢感があり、着こなしを格上げしてくれる。ストンと落ちた潔いストレートシルエットで、コーデのテイストを問わず合わせられるのも持ち味だ。おまけに、国内有数のドレススラックス工場で生産されているため、非常に高い縫製クオリティを誇っている。
ブランド2
『スペルバウンド』
トルコの名門テキスタイルメーカーであるイスコ社のストレッチチノを素材に抜擢。すらりとしたスリムなレッグラインとは裏腹に、キックバックの良い生地のおかげでフットワーク良く動き回れる。最終工程でガーメントダイ加工を施して、コクのある風合いを出しているのもGOOD!
ブランド3
『ソブリン』
『ユナイテッドアローズ』が手掛ける最高峰レーベルより新着。コットン×ポリエステルからなるチノクロスは、強度と光沢感を兼ね備えているのが特徴だ。さらに、裾にかけてテーパードを掛けたスマートなシルエットも大きな魅力。ジャケットスタイルとの親和性が極めて高いので、幅広いシーンで活躍してくれる。
ブランド4
『ビューティ&ユースユナイテッドアローズ』
ノープリーツのウエスト×膝下テーパードにより、すっきりとしたフォルムを実現。シンプルなコーデにさらりと合わせるだけでサマになるので、重宝すること間違いなしだ。ストレッチチノ素材を駆使することによってコンフォートさもきちんと担保。しかも、ウエストの後部にはゴムが内蔵されていて、ベルトレスでの着用にも対応可能だ。
ブランド5
『ジャパンブルージーンズ』
オフィス使いでも違和感ない細身のフォルム。ドレスシューズともスニーカーとも相性良好なので、使い勝手は抜群だ。なお、国内生産されたハイクオリティな生地はシャディー加工という手法で染め上げられており、最初から独特の深みを有している。ここは、『ジャパンブルージーンズ』ならではの”面白み”だ。ガシガシ洗ってもへこたれないそのタフさも強みの1つ!
季節別にお届け。チノパンで作りたい、おすすめコーデサンプル集
チノパンは汎用性の高さが売りではあるが、季節によっては求めるところがやや異なる。春夏なら堅苦しさをいなしたリラックス感のある着こなしが良い。逆に秋冬ならスマートなスタイルが好ましいだろう。それらをわきまえた、格好のチノパンのコーデサンプルを。
▼春夏のチノパンコーデ集
ラフに合わせてもシュッと見えるのがチノパンの頼もしさ。春夏はその旨味を存分に活用したい。ワイドかつ短丈の1本ならば旬も意識させられ、ベージュ以外の色を取り込めば新鮮さもプラスすることができる。ならばトップスは、リラックス感のあるビッグシルエットを選ぶのも手だろう。
意外と難しいのが、スウェットシャツとのマッチング。リラックス感が強くシンプルなアイテムであるため、ただチノパンに合わせるだけではワンマイル感が強くなってしまう。そこで気に掛けたいのが、両者のシルエットの妙。ともにややルーズなシルエットをセレクトし、着こなしに意図を持たせることで部屋着感を緩和している。なお、このコーデではヘアをきっちりこなすことで洒落感を出しているが、キャップやリボンベルトなどでアクセントを付けると着こなしやすくなるはずだ。
中太ピッチのストライプがほのかに主張するシャツは、ドロップ気味のビックシルエット。センターラインをオープンにし、ふんわりとした特徴を存分に生かした。その引き締め役としてオリーブのチノパンは格好。ビットローファーとの相乗効果で大人っぽい印象に誘導している。
アウターとしてざっくり羽織ったアノラック。そのアウトドア感を清々しいホワイトパンツで軽やかにいなした点にセンスの良さがうかがえる。鮮烈なカラーパレットに、落ち着きを与えるブラウンをインナーと足元で採用したさりげないアシストも光る。
白Tに生成りのチノパン。アプローチしやすい取り合わせだが、淡白になりやすいのがタマにキズ。それを、ベレー帽、腕時計、ベルト、シューズといった黒小物で引き締め&アクセントにしたところが良い。パンツのカラーも淡く合わせた分、アート性の強いTシャツのデザインを効果的に効かせている。
▼秋冬のチノパンコーデ集
チノパンが備えるエレガントな雰囲気は、大人っぽさをナチュラルに産む。ゆえに、ジャケットを選ぶのも良いし、スポーティなブルゾンを選ぶのも一興。その際には、色味やテイストなど、どこかにリンクする要素を備えたアイテムを合わせるのが望ましい。
きれいめな雰囲気のコーチジャケットにスウェットシャツをオン。取り入れたアイテムはスポーティだが、グレンチェックの採用や英国ブランド優先のチョイスによりどこかクラシカルな雰囲気に。さらに、クリース入りのチノパンや革靴がカジュアルな空気にエレガントさをもたらしている。
紺ブレにチノパンと、ベースはオーソドックスなアイビールックである。しかし、ボトムスの身幅をさりげなく太めにしたことで堅苦しさを程良く解き、今っぽい解釈をプラスした。Vゾーンの色使いも、“無難”になりがちなコーデの良い味付けに。
片や白シャツはタックインすればブラウジングが生まれるほどのゆとり。片や、チノパンは短丈。アウターはヒップを覆うほどのオーバー気味の一着を選び、革靴は足袋型の異色作。このサイジングのバランス感は、おいそれと真似できない。そんな細部にいたるちょっとしたこだわりで、しゃれた印象へと昇華させた上級者の着こなしだ。
ニットとボトムスを同系色で統一。共に白系でのっぺりしそうな趣だが、織り柄やシワ感が程良いニュアンスを加えてくれる。その甘さを引き締めるアウターのセレクトも出色。あえて武骨さ漂う『バブアー』の「インターナショナル」を合わせたことで、がぜん引き締まった印象へと誘導した。