スペックに惹かれる男心。ダイバーズウォッチの選び方と人気モデル20本

スペックに惹かれる男心。ダイバーズウォッチの選び方と人気モデル20本

機能美に溢れ力強く、背景のあるダイバーズウォッチ。いつの世も、スペックにこだわる男を虜にしてきた。数ある名作の中から、我々が選ぶべきモデルを解説しよう。

牟田神 佑介

2020.05.19

腕時計

メンズウォッチのスタンダード。ダイバーズウォッチに惹かれる

空のプロである飛行士に支給されたパイロットウォッチに対し、海のプロである潜水士に愛用されてきたダイバーズウォッチ。腕時計にとって大敵とされる水圧との闘いとなる深海への挑戦を続けてきただけあり、その耐水性能は生身の人間にとって無用ともいえる深海数百メーターに達するモノも少なくない。文字通り都市生活者においてはオーバースペックなのだが、そんな腕時計に惹かれるのもまた男心だ。そんな背景もあり、ダイバーズウォッチは長らくメンズ腕時計の主力カテゴリとして鎮座してきた。

スペックと同時に、そのルックスも時代を問わず支持され続けている理由である。潔く視認性の高いインデックスに、ソリッドな回転ベゼル、そしてケース自体にも厚みがあり、着用していると金属の塊ともいうべきその存在感に圧倒される。スーツの腕元に合わせた際にもその重厚感から、信頼と誠実さの象徴として良い働きをしてくれる。もちろん、カジュアルスタイルのアクセントとしても申し分ない。この懐の深さはデジタルウォッチやドレスウォッチには真似できない、ダイバーズウォッチならではの利点だろう。

ダイバーズウォッチを選ぶときにチェックしておきたい4つのポイント

ダイバーズウォッチを、ドレスウォッチやパイロットウォッチなど他の腕時計と差別化するディテールや機能がいくつか存在する。これからダイバーズウォッチを検討する、という方は以下の4つのポイントに気を配ってみると良いだろう。

ポイント1どれぐらいの水圧に耐えられるかを示す「防水性能」

プロダイバーの装備品として位置づけられるダイバーズウォッチなのだから、やはり防水性能は必須条件。一般的に、実用に足ると判断されるのが200m防水からと言われている。この数字は、あくまで静止状態でどれぐらいの深さまで耐えられるかというもの。泳ぐ、潜水するなど動きを伴う際は、その数値の限りではない。

・200m防水…サーフィン、水泳などのマリンスポーツに対応可能だが、潜水することは難しい
・300m防水…本格的にダイビングに使用できるのはここから。飽和潜水と呼ばれる体組織にヘリウムを飽和状態になるまで浸透させてから行う深海での作業には対応していない
・500m防水~…飽和潜水士、職業潜水士が海底でサルベージ作業などを行う際に、ようやく必要になるレベル

つまり、実際は200~300mもの防水性があれば十分ということ。昨今では1,000m超えの防水性能を謳うモデルもあるが、スポーツカーが最高時速何キロ出せるかという話同様に男のロマンとでもいうべき世界だ。

ポイント2腕時計への磁気による影響をシャットアウトする「耐磁性」

防水性能ばかりに目が行って、見落とされがちなのが耐磁性能。目に見えない磁力まで考えて腕時計を買わないよ、という方が多数だろうが、デジモノに囲まれている現代においては機械式腕時計の寿命を延ばす大切な要因だったりする。大手メーカーによる、ひげぜんまいをシリコンに切り替えるなどの動きもその一環だ。そして、この耐磁性能もダイバーズウォッチをダイバーズウォッチとして位置づけるスペックの1つである。

ISOまたはJIS規格における第一種の耐磁性を有していることが、ダイバーズウォッチの条件とされている。この第一種とは、磁気を帯びた製品から5cmまでの距離であれば機能に支障が出ないことを保証するもので、数字で表すと4,800A/mとなる。それでも5cm以内には近づけてはいけないのかと驚かれるだろうが、一般的な腕時計は1,600A/m。テレビや携帯電話のスピーカー部ですら影響があるのだから、いかに腕時計が磁気に弱い製品かお判りいただけることだろう。ぜひ耐磁性能も、購入時の判断基準としてほしい。

ポイント3潜水時間を計るための「回転ベゼル(インナーベゼル)」

ダイバーズウォッチにおいてルックスの大きな比重を占めているのが、この回転ベゼル。もとは潜水時に、自分が何分潜っているのかを計測するための機能として誕生したものだ。12時位置にあるポイントを潜水開始時の時刻に合わせておくだけなので、ウェットスーツを着用した指先でも容易に操作が可能。現在では潜水時にベゼルが逆行してしまい命に係わる事故が起こることを防止すべく、一方向へのみ回転する「逆回転防止ベゼル」が主流になっている。

とはいえ、陸にいる我々にとってはあくまでデザインの1つ。いわゆるペプシカラーと呼ばれるレトロな赤青のアルミニウムから、光沢の美しいセラミック、経年変化を存分に楽しめるブロンズとその素材の種類も今では多岐にわたっている。ビジネスシーンにも使うのか、カジュアルスタイルのアクセントとして取り入れるのかなど、目的に沿って選ぶと良いだろう。

ポイント4深海でも高い視認性を誇る骨太の「インデックス」

薄暗い水中を想定して作られるダイバーズウォッチ。ならば、その視認性もまた命を守るためのツールとしては不可欠なディテールだ。インデックスと時分針には夜光塗料が塗布されているだけでなく、そのインデックスも大きく数字をあしらったり視認性重視のドットを採用していたり、針も同様にどこを指示しているのかがひと目でわかる幅広のモノを載せている場合が多い。それらの要素が結果として、ダイバーズウォッチの武骨で男らしいルックスを作り上げているのである。機能がデザインに昇華された、良い例だろう。

ダイバーズウォッチといえど、スペックに過信しすぎるのは注意が必要

200m防水を備えているモデルでも、積極的に水にさらして良いわけではない。身近なNG例としては、温泉や浴場への持ち込み。シャワーの水圧は我々が思っているより高く、かつ熱湯による防水パッキンの変質・変形は重大な問題を引き起こしかねない。また、時刻や日付を修正した際にねじ込み式リューズをねじ込み忘れる……、なんてミスをした日には目も当てられないことになる。

上記のスペックは、日常生活において「あると安心」ぐらいに捉えておいたほうが良いだろう。

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アイテム1『ロレックス』サブマリーナ デイト

高級腕時計の王者、『ロレックス』の「サブマリーナ」は1953年初出のモデル。それまでの『ロレックス』にもオイスターケースを採用した腕時計が散見されていたが、“いわゆる”なダイバーズウォッチとしては「サブマリーナ」が有名だろう。今作は2010年のバーゼルワールドで発表された1本だが、当時すでに完成されていたデザインは大きく変えず、クロマライトの夜光塗料にパラクロムヒゲゼンマイ、セラミック製のベゼルと現代的なディテールをふんだんに盛り込んでいる。

アイテム2『オーデマ・ピゲ』ロイヤルオーク オフショアダイバー

ドレスにも使えるスポーツウォッチとしての地位を確立している「ロイヤルオーク」にも、実は本格派のダイバーズモデルが存在している。それが「ロイヤルオーク オフショアダイバー」。アイコニックな8角形のベゼルデザインはそのままに、10時位置のリューズで操作できるインナーベゼルを搭載することでダイバーズウォッチとしての機能を踏襲している。防水性は、自社製ムーブメント・キャリバー3120を拝める裏蓋スケルトンながら堂々の300m防水。ストラップも腕馴染みの良いラバー製で、水濡れにも強い1本に仕上がっている。

アイテム3『ブランパン』フィフティー ファゾムズ

1953年に『ロレックス』の「サブマリーナ」とともに、現代に続くダイバーズウォッチの基礎を築いたとされるのが『ブランパン』の「フィフティー ファゾムズ」だ。もちろんそれ以前から『パネライ』などが軍用の潜水時計を製造していたが、回転ベゼルを持ち、防水性・視認性を兼ね備えた“いわゆる”とでもいうべきルックスに仕上げたのはこの2社だった。

ダイバーズウォッチの国際規格が制定されたのが1993年のこと。当時の「フィフティー ファゾムズ」の性能はその規格をクリアするものだったといわれることから、レトロなルックスだけではない同モデルの高機能さがうかがい知れる。今モデルも300m防水を実現。

アイテム4『パネライ』ルミノール 1950 サブマーシブル 3デイズ アッチャイオ

19世紀の設立当初より、イタリア海軍に蛍光物質・ラジオミールを使用した精密機器を納品していた『パネライ』もまた、ダイバーズウォッチのラインアップには欠かせないブランドの1つ。その中でも耐久性と視認性に特化した「サブマーシブル」シリーズには、まさにプロフェッショナルに向けた高スペックな腕時計が揃っている。

今モデルも、300m防水を誇るデカ厚ケースのに自社製造の自動巻きムーブメントであるキャリバーP.900を搭載。3日間のロングパワーリザーブを備えており、実用性も申し分ない。ベゼルの存在感も特筆ものだ。

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アイテム5『ロンジン』レジェンドダイバー

デカ厚揃いのダイバーズウォッチの中で異彩を放つのが、1960年代の伝説的モデルを復刻した『ロンジン』の「レジェンドダイバー」。回転ベゼルを文字盤の外円に配し、2時位置のリューズにより操作するインナーベゼルの採用により圧倒的にスマートな見た目を実現しているのである。ねじ込み式リューズやスクリューバックなど、ダイバーズウォッチとして必要なディテールはもちろん抑えており、防水性能は300m。メタルブレスのモデルも用意されているので、そこはお好みで。

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アイテム6『オリス』ダイバーズ65

1965年に誕生した『オリス』の人気モデルを復刻した、ファン垂涎の「ダイバーズ65」。日に焼けたようなインデックスやドーム型風防などにヴィンテージウォッチの面影を見ることができるが、その風防もサファイアクリスタルを使用するなど現代的な技術が落とし込まれている。今作においてはゴールド使いも効いており、『オリス』らしいこなれた価格も相まって大人の男性の2本目としても最適だ。防水性能は100mだが、デザインを重視するならこういった1本もアリだろう。

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アイテム7『ブライトリング』スーパーオーシャン ヘリテージ クロノグラフ 44

パイロットウォッチのイメージが強い『ブライトリング』だが、海のプロフェッショナルに向けたダイバーズウォッチの製造を行っている。この「スーパーオーシャン」シリーズは1957年に発表されたもの。今作はその当時のレトロシックな風貌を保ちつつ、200m防水をキープした2カウンターのクロノグラフとしてブラッシュアップするなど、現代的な技術を盛り込んだ実用性の高い1本として仕上げている。どちらかというとシンプルな3針モデルが主流の「スーパーオーシャン」だが、せっかくの『ブライトリング』ならクロノグラフを選ぶのもオツだろう。

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アイテム8『ジン』U2

腕時計大国ドイツからは『ジン』をレコメンド。「ジン特殊時計会社」という社名の通り、特殊環境下で活躍する腕時計が数多く展開される同ブランドだが、こと「Uシリーズ」はそのスペックの“変態性”でマニアからも一目置かれているモデルになる。

こちらの「U2」に使用されている素材は、ドイツの潜水艦にも使用されているUボートスチールに耐傷性を高めるテギメント加工を施したもの。防水性は圧巻の200気圧(2,000m)防水、さらに内部の水分を除去するドライカプセルの搭載、深海でも視認性を確保するアルゴンガスの充てんと、数え上げればきりがない。間違いなくプライス以上のスペックを有した、良い意味で“変態”な腕時計の筆頭である。

アイテム9『ベル&ロス』BR03-92

『ベル&ロス』といえば、航空機器にデザインのヒントを得た「BR」シリーズが有名だろう。ワンピース構造のスクエアケースを表から4本のビスで密閉した独自の構造は他に類を見ないもので、ブランドの名前は知らなくともその時計を見たことはある、という方も多いはずだ。ゆえに“空”のイメージが強い『ベル&ロス』だが、ブランドとしてアビエーションウォッチに絞っているわけではない。プロユースの高機能時計を目指すブランドのフィールドは、時に宇宙や深海に到達する。こちらは、まさに海の腕時計。300m防水を備えたスクエアフェイスは実に堅牢で、ダイバーズに範を取ったドットインデックスや逆回転防止ベゼルがまた異なる「BR」シリーズの魅力を見せる。

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アイテム10『エドックス』スカイダイバー ミリタリー リミテッドエディション

ダイバーはダイバーでも、“スカイダイバー”。スイスのパラシュート部隊のために極秘に開発されたというこちらの1本だが、300m防水にハイテクセラミックによる逆回転防止ベゼルの採用と、ダイバーズウォッチとしては文句なしのスペックを備えている。そんな本気のスペックに対して、小ぶりなアワーマーカーや美しいグラデーションを見せる文字盤などでスーツにも似合う品格も獲得。通常は時針がベンツ針になっているが、こちらのリミテッドモデルではよりスタイリッシュなアロー針になっているなどの変更点も見逃せない。

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アイテム11『ボールウォッチ』エンジニア ハイドロカーボン

時にスペック面において「やり過ぎじゃないか」と思ってしまうブランドが、各国に存在する。ドイツならば『ジン』、日本においては『セイコー』、そしてアメリカではこの『ボールウォッチ』が該当するだろう。こちらの「エンジニア ハイドロカーボン」は耐衝撃・耐磁・耐水の“3耐”を高クラスで備えた1本。特に耐磁性能に関しては『ボールウォッチ』の得意とするところで、ミューメタル製インナーケースの採用により80,000A/mを実現している。これは耐磁時計として特化した「ミルガウス」、「インヂュニア」と同等と聞けば、いかに優秀な数値かわかるはずだ。しかし何より純粋に40mm径に収められた“金属の塊”感がいとおしい。人と違うブランドを求めているなら、まず間違いない。

アイテム12『グランドセイコー』スポーツコレクション ダイバー

国産時計において永遠のスタンダードといっても過言ではない、研ぎ澄まされた3針ウォッチのイメージが強い『グランドセイコー』。しかし近年では「セイコー プロスペックス」にて積んだノウハウを生かして、高性能なスポーツウォッチの製造にも取り組んでいる。4時位置のリューズや骨太の回転ベゼルなどダイバーズウォッチの文脈を汲み取りながら、1967年に確立して以来デザインの軸となっている“セイコースタイル”をどこか感じさせるバランスには、ただただ驚かされるばかり。200m防水でスペックが上がった分値段も上がったのでは……、と心配になるかもしれないが、9Fクォーツ搭載機を選べば十分ボーナスによる射程範囲内だろう。

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アイテム13『ハミルトン』カーキ ネイビー オープンウォーター

陸・海・空。それぞれのフィールドにおいて必要とされる機能を搭載したミリタリーウォッチをリリースしている、『ハミルトン』の「カーキ」シリーズ。今作は存在感抜群のアルミニウムベゼル、リューズの誤作動を防ぐリューズガードが物語るようにその中の“海”のモデルにあたる。ルックスだけでなくスペックも十分なものを有しており、防水性能は300m、パワーリザーブも安心の80時間を獲得している。1,000m防水ほかリアルなダイバーに向けた機能を備えた上位モデルも存在するが、デイリーに扱うならこちらが適役だろう。

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腕時計大国スイスにおいて、圧倒シェアを誇っている時計ブランド『ティソ』。その数字を支えているのは、プライスに対する高いスペックにある。こちらの「シースター1000」は、モデル名の数字が示すとおり“1000”フィート(約300m)の防水性能を有するダイバーズウォッチ。グループにETA社を持つブランドの強みとして80時間のロングパワーリザーブを備えた最新ムーブメントを搭載しており、太めのペンシル針、視認性の高いドットインデックスと基本の機能もきっちり押さえている。これで10万円を切るあたりは、「流石ティソ」と唸らざるを得ない。

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アイテム16『ブローバ』デビルダイバー

なんとも物騒な名前だが、この“デビル(悪魔)”の名前は1960年代としては革新的であった当機種の防水性能666フィート(約200m)にちなんで名づけられたもの。オリジナルの名前は「オーシャノグラファー」という。

今回紹介するオレンジダイヤルのモデルは、1971年製造版と思われるものを復刻したモノ。ダイバーズウォッチならではのレスキューオレンジが腕元に鮮烈な印象を与えてくれる。ケース径はレギュラーモデルより一回り小さい40.5mmとなっているので、日本人の細腕にも馴染みやすい。

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横山 博之

「Men’s JOKER」、「STREET JACK」と男性ファッション誌を経た後、腕時計誌の創刊に携わり現職。メンズ誌で7年間ジャンルレスに経験してきた背景を生かし、TASCLAPでは主に腕時計や革靴、バッグなど革小物に関する記事を担当している。
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