スペックに惹かれる男心。ダイバーズウォッチの選び方と人気モデル

スペックに惹かれる男心。ダイバーズウォッチの選び方と人気モデル

機能美にあふれ力強く、背景のあるダイバーズウォッチ。いつの世も、スペックにこだわる男を虜にしてきた。数ある名作の中から、我々が選ぶべきモデルを解説しよう。

牟田神 佑介

2019.07.08

腕時計

メンズウォッチのスタンダード。ダイバーズウォッチに惹かれる

メンズウォッチのスタンダード。ダイバーズウォッチに惹かれる

空のプロである飛行士に支給されたパイロット(ミリタリー)ウォッチに対し、海のプロである潜水士に愛用されてきたダイバーズウォッチ。腕時計にとって大敵とされる水圧との闘いとなる深海への挑戦を続けてきただけあり、その耐水性能は生身の人間にとって無用ともいえる深海数百メーターに達するモノも少なくない。文字通り、都市生活者においてはオーバースペック。だが、そんな腕時計に惹かれるのもまた男心であり、ダイバーズウォッチは長らくメンズ腕時計の主力カテゴリとして鎮座してきた。

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スペックと同時に、そのルックスも時代を問わず支持され続けている理由である。潔く視認性の高いインデックスに、ソリッドな回転ベゼル、そしてケース自体にも厚みがあり、着用していると金属の塊ともいうべきその存在感に圧倒される。スーツの腕元に合わせた際にも、その重厚感から信頼と誠実さの象徴として良い働きをしてくれる。もちろん、カジュアルスタイルのアクセントとしても申し分ない。この懐の深さはデジタルウォッチやドレスウォッチには真似できない、ダイバーズウォッチならではの利点だろう。

ダイバーズウォッチを選ぶときにチェックしておきたい4つのポイント

ダイバーズウォッチを、ドレスウォッチやパイロットウォッチなど他の腕時計と差別化するディテールや機能がいくつか存在する。これからダイバーズウォッチを検討する、という方は以下の4つのポイントに気を配ってみると良いだろう。

ポイント1どれぐらいの水圧に耐えられるかを示す「防水性能」

プロダイバーの装備品として位置づけられるダイバーズウォッチなのだから、やはり防水性能は必須条件。一般的に、実用に足ると判断されるのが200m防水からと言われている。このメーター数は、あくまで静止状態でどれぐらいの深さまで耐えられるかという数値。泳ぐ、潜水するなど動きを伴う際は、その数値の限りではない。

どれぐらいの水圧に耐えられるかを示す「防水性能」

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200m防水…サーフィン、水泳などのマリンスポーツに対応可能だが、潜水することは難しい
300m防水…本格的にダイビングに使用できるのはここから。飽和潜水と呼ばれる体組織にヘリウムを飽和状態になるまで浸透させてから行う深海での作業には対応していない
500m防水~…飽和潜水士、職業潜水士が海底でサルベージ作業などを行う際に、ようやく必要になるレベル

つまり、実際は200~300mもの防水性があれば十分ということ。昨今では1,000m超えの防水性能を謳うモデルもあるが、スポーツカーが最高時速何キロ出せるかという話と一緒で、男のロマンとでもいうべき世界だ。

ポイント2腕時計への磁気による影響をシャットアウトする「耐磁性」

防水性能ばかりに目が行って、見落とされがちなのが耐磁性能。目に見えない磁力まで考えて腕時計を買わないよ、という方が多数だろうが、デジモノに囲まれている現代においては機械式腕時計の寿命を延ばす大切な要因だったりする。大手メーカーによる、ひげぜんまいをシリコンに切り替えるなどの動きもその一環だ。そして、この耐磁性能もダイバーズウォッチをダイバーズウォッチとして位置づけるスペックの1つである。

腕時計への磁気による影響をシャットアウトする「耐磁性」

ISOまたはJIS規格における第一種の耐磁性を有していることが、ダイバーズウォッチの条件とされている。この第一種とは、磁気を帯びた製品から5cmまでの距離であれば機能に支障が出ないことを保証するもので、数字で表すと4,800A/mとなる。それでも5cm以内には近づけてはいけないのかと驚かれるだろうが、一般的な腕時計は1,600A/m。テレビや携帯電話のスピーカー部ですら影響があるのだから、いかに腕時計が磁気に弱い製品かお判りいただけることだろう。ぜひ耐磁性能も、購入時の判断基準としてほしい。

ポイント3潜水時間を計るための「回転ベゼル(インナーベゼル)」

ダイバーズウォッチにおいてルックスの大きな比重を占めているのが、この回転ベゼル。もとは潜水時に、自分が何分潜っているのかを計測するための機能として誕生したものだ。12時位置にあるポイントを潜水開始時の時刻に合わせておくだけなので、ウェットスーツを着用した指先でも容易に操作が可能。現在では、潜水時にベゼルが逆行してしまい命に係わる事故が起こることを防止すべく、一方向へのみ回転する「逆回転防止ベゼル」が主流になっている。

潜水時間を計るための「回転ベゼル(インナーベゼル)」

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とはいえ、陸にいる我々にとってはあくまでデザインの1つ。いわゆるペプシカラーと呼ばれるレトロな赤青のメタルのモノから、光沢の美しいセラミック、経年変化を存分に楽しめるブロンズとその素材の種類も今では多岐にわたっている。ビジネスシーンにも使うのか、カジュアルスタイルのアクセントとして取り入れるのかなど、目的に沿って選ぶと良いだろう。

ポイント4深海でも高い視認性を誇る骨太の「インデックス」

深海でも高い視認性を誇る骨太の「インデックス」

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薄暗い水中を想定して作られるダイバーズウォッチ。ならば、その視認性もまた命を守るためのツールとしては不可欠なディテールだ。インデックスと時分針には夜光塗料が塗布されているだけでなく、そのインデックスも大きく数字をあしらったり視認性重視のドットを採用していたり、針も同様にどこを指示しているのかがひと目でわかる幅広のモノを載せている場合が多い。それらの要素が結果として、ダイバーズウォッチの武骨で男らしいルックスを作り上げているのである。機能がデザインに昇華された、良い例だろう。

ダイバーズウォッチといえど、スペックに過信しすぎるのは注意が必要

ダイバーズウォッチといえど、スペックに過信しすぎるのは注意が必要

200m防水を備えているモデルでも、積極的に水にさらして良いわけではない。身近なNG例としては、温泉や浴場への持ち込み。シャワーの水圧は我々が思っているより高く、かつ熱湯による防水パッキンの変質・変形は重大な問題を引き起こしかねない。また、時刻や日付を修正した際にねじ込み式リューズをねじ込み忘れる……、なんてミスをした日には目も当てられないことになる。

上記のスペックは、日常生活において「あると安心」ぐらいにとらえておいたほうが良いだろう。

まずはここから。ダイバーズウォッチといえば、の10モデル

ダイバーズウォッチに一家言あるブランドから人気モデルをピックアップ。古き良きテイストの復刻から、現代的で武骨な1本までより取り見取りに取り揃えた。

アイテム1『ロレックス』サブマリーナ デイト

『ロレックス』サブマリーナ デイト

高級腕時計の王者、『ロレックス』の「サブマリーナ」は1953年初出のモデル。それまでに『ロレックス』でもオイスターケースを採用したモノなど高い防水性を誇るモデルがあったが、いわゆるダイバーズウォッチとしては「サブマリーナ」が有名だろう。今作は2010年のバーゼルワールドで発表された1本だが、当時すでに完成されていたデザインは大きく変えず、クロマライトの夜光塗料にパラクロムヒゲゼンマイ、セラミック製のベゼルと現代的なディテールをふんだんに盛り込んでいる。

王者ロレックス。我々を惹きつけてやまない人気モデルを知る

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『ロレックス』ほど機能と価値を備えるブランドも珍しい。時計界では後発ながら、革新的なアイデアと確かな技術により現在の地位に上り詰めた稀な存在。その魅力に迫る。

ワダ ソウシ

アイテム2『オーデマ・ピゲ』ロイヤルオーク オフショアダイバー

『オーデマ・ピゲ』ロイヤルオーク オフショアダイバー

ドレスにも使えるスポーツウォッチとしての地位を確立している「ロイヤルオーク」にも、実は本格派のダイバーズモデルが存在している。それが「ロイヤルオーク オフショアダイバー」。アイコニックな8角形のベゼルデザインはそのままに、10時位置のリューズで操作できるインナーベゼルを搭載することでダイバーズウォッチとしての機能を踏襲している。防水性は、自社製ムーブメント・キャリバー3120を拝める裏蓋スケルトンながら堂々の300m防水。ストラップも腕馴染みの良いラバー製で、水濡れにも強い1本に仕上がっている。

アイテム3『オリス』ダイバーズ65

『オリス』ダイバーズ65

1965年に誕生した『オリス』の人気モデルを復刻した、ファン垂涎の「ダイバーズ65」。日に焼けたようなインデックスやドーム型風防などにヴィンテージウォッチの面影を見ることができるが、その風防もサファイアクリスタルを使用するなど現代的な技術が落とし込まれている。今作においてはゴールド使いも効いており、『オリス』らしいこなれた価格も相まって大人の男性の2本目としても最適だ。防水性能は100mだが、デザインを重視するならこういった1本もアリだろう。

手の届く名品。スイスを代表する実用時計ブランド、オリス

手の届く名品。スイスを代表する実用時計ブランド、オリス

高価な印象のスイス時計。だが、作りは一流にも関わらず手の出しやすい価格帯のブランドも存在する。『オリス』はその代表格。ビギナーにもおすすめしたい魅力を解説する。

ワダ ソウシ

アイテム4『ブランパン』フィフティー ファゾムズ

『ブランパン』フィフティー ファゾムズ

1953年に『ロレックス』の「サブマリーナ」とともに、現代に続くダイバーズウォッチの基礎を築いたとされるのが『ブランパン』の「フィフティー ファゾムズ」だ。もちろんそれ以前から『パネライ』などが軍用の潜水時計を製造していたが、回転ベゼルを持ち、防水性・視認性を兼ね備えた“いわゆる”とでもいうべきルックスに仕上げたのはこの2社だった。

ダイバーズウォッチの国際規格が制定されたのが1993年のこと。当時の「フィフティー ファゾムズ」の性能はその規格をクリアするものだったといわれることから、レトロなルックスだけではない同モデルの高機能さがうかがい知れる。今モデルも300m防水を実現。

アイテム5『パネライ』ルミノール 1950 サブマーシブル 3デイズ アッチャイオ

『パネライ』ルミノール 1950 サブマーシブル 3デイズ アッチャイオ

19世紀の設立当初より、イタリア海軍に蛍光物質・ラジオミールを使用した精密機器を納品していた『パネライ』もまた、ダイバーズウォッチのラインアップには欠かせないブランドの1つ。そのなかでも耐久性と視認性に特化した「サブマーシブル」シリーズには、まさにプロフェッショナルに向けた高スペックな腕時計が揃っている。

今モデルも、300m防水を誇るデカ厚ケースのに自社製造の自動巻きムーブメントであるキャリバーP.9010を搭載。3日間のロングパワーリザーブを備えており、実用性も申し分ない。ベゼルの存在感も特筆ものだ。

軍との蜜月が作り上げた機能美。パネライが今、欲しい理由

軍との蜜月が作り上げた機能美。パネライが今、欲しい理由

『パネライ』は前例を見ないダイバーズを作り上げたことで知られている。その存在は長く軍事機密とされたが、90年代に晴れて民間市場に進出し現在の地位へと上り詰めた。

ワダ ソウシ

アイテム6『ロンジン』レジェンドダイバー

『ロンジン』レジェンドダイバー

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デカ厚揃いのダイバーズウォッチのなかで異彩を放つのが、1960年代の伝説的モデルを復刻した『ロンジン』の「レジェンドダイバー」。回転ベゼルを文字盤の外円に配し、2時位置のリューズにより操作するインナーベゼルの採用により圧倒的にスマートな見た目を実現しているのである。ねじ込み式リューズやスクリューバックなど、ダイバーズウォッチとして必要なディテールはもちろん抑えており、防水性能は300m。メタルブレスのモデルも用意されているので、そこはお好みで。

復刻腕時計好きにはたまらない。ロンジンのヘリテージ・コレクション

復刻腕時計好きにはたまらない。ロンジンのヘリテージ・コレクション

今年創業185年を迎えたスイス腕時計界の重鎮『ロンジン』。数多の賞を獲得し、著名な冒険者たちと積み上げてきた歴史が、ヘリテージ・コレクションには詰まっていた。

牟田神 佑介

ブランド7『ジン』U2.S

『ジン』U2.S

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腕時計大国ドイツからは『ジン』をレコメンド。「ジン特殊時計会社」という社名の通り、特殊環境下で活躍する腕時計が数多く展開される同ブランドだが、こと「Uシリーズ」はそのスペックの“変態性”でマニアからも一目置かれているモデルになる。

こちらの「U2」に使用されている素材は、ドイツの潜水艦にも使用されているUボートスチールに耐傷性を高めるテギメント加工を施したもの。防水性は圧巻の200気圧(2,000m)防水、さらに内部の水分を除去するドライカプセルの搭載、深海でも視認性を確保するアルゴンガスの充てんと、数え上げればきりがない。間違いなくプライス以上のスペックを有した、良い意味で“変態”な腕時計の筆頭である。

アイテム8『ブライトリング』スーパーオーシャン ヘリテージ クロノグラフ 44

『ブライトリング』スーパーオーシャン ヘリテージ クロノグラフ 44

パイロットウォッチのイメージが強い『ブライトリング』だが、海のプロフェッショナルに向けたダイバーズウォッチの製造を行っている。この「スーパーオーシャン」シリーズは1957年に発表されたもの。今作はその当時のレトロシックな風貌を保ちつつ、200m防水をキープした2カウンターのクロノグラフとしてブラッシュアップするなど、現代的な技術を盛り込んだ実用性の高い1本として仕上げている。どちらかというとシンプルな3針モデルが主流の「スーパーオーシャン」だが、せっかくの『ブライトリング』ならクロノグラフを選ぶのもオツだろう。

ブライトリング10傑。プロフェッショナルのための計器を腕元に

ブライトリング10傑。プロフェッショナルのための計器を腕元に

20世紀初頭、ライト兄弟の有人動力飛行などによって幕を開けた航空史。その時代から『ブライトリング』は大空への挑戦をサポートするべく、優れた航空時計を輩出している。

ワダ ソウシ

アイテム9『ゾディアック』スーパーシーウルフ53

『ゾディアック』スーパーシーウルフ53

加坪屋(かつぼや)加坪屋(かつぼや)

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ヴィンテージウォッチ界隈で、マニアから高い支持を受けていたブランド『ゾディアック』。同ブランドが2014年に復活するにあたり、当時画期的な20気圧防水を達成した時計として注目されていた今モデル「スーパーシーウルフ」も復刻することとなった。熱狂的なファンが多かったため、アーカイブに忠実に再現された結果、当時の空気を存分に堪能できる1本に仕上がっている。ミネラルクリスタルを使用した透明感のあるベゼルは、清涼感がありなんとも心地良い。もちろん、20気圧防水。

アイテム10『ブローバ』デビルダイバー

『ブローバ』デビルダイバー

加坪屋(かつぼや)加坪屋(かつぼや)

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なんとも物騒な名前だが、この“デビル(悪魔)”の名前は1960年代としては革新的であった当機種の防水性能666フィート(約200m)にちなんで名づけられたもの。オリジナルの名前は「オーシャノグラファー」という。

今回紹介するオレンジダイヤルのモデルは、1971年製造版と思われるものを復刻したモノ。ダイバーズウォッチならではのレスキューオレンジが腕元に鮮烈な印象を与えてくれる。ケース径はレギュラーモデルよりひと回り小さい40.5mmとなっているので、日本人の細腕にも馴染みやすい。

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小林 大甫

アイテム11『セイコー』プロスペックス ダイバースキューバ

『セイコー』プロスペックス ダイバースキューバ

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国産ダイバーズとして、「プロスペックス」を忘れてはいけない。同シリーズのダイバーズとしては外胴プロテクターを有した“ツナ缶”が有名だが、今回は同じく異名を持つ“モンスター”を紹介したい。

大ぶりな42mm径・14mm厚のケースに200mの防水性能を誇る“モンスター”。ブルーグレーの文字盤は、この腕時計が活躍する深海を思い起こさせる。極太のインデックスにルミブライトをこれでもかとあしらったインデックスは、極厚なベゼルに負けない存在感を放つ。人と違う「プロスペックス」が欲しいなら、ぜひ“モンスター”を検討してほしい。

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国産ダイバーズでも、より機能面でストイックなモデルが欲しいとのことであれば『シチズン』の「プロマスター」シリーズからこちらをおすすめ。200m防水、ウレタンバンド、高い耐磁性能とプロユースを考慮したスペックに加え、『シチズン』らしく光発電エコ・ドライブに電波による時刻修正機能の搭載と普段使いにもうれしい1本となっている。深海のみならず、コンクリートジャングルにおいてもおおいに活躍してくれるはずだ。

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横山 博之

「Men’s JOKER」、「STREET JACK」と男性ファッション誌を経た後、腕時計誌の創刊に携わり現職。メンズ誌で7年間ジャンルレスに経験してきた背景を生かし、TASCLAPでは主に腕時計や革靴、バッグなど革小物に関する記事を担当している。
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