
パイロットウォッチを攻略しよう。人気ブランドと選び方の基本を総まとめ
ダイバーズと並び、腕時計の重要ジャンルのひとつに数えられるパイロットウォッチ。いったいどのような時計なのかを改めて解説しつつ、人気ブランドについてご紹介します。
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色濃く薫るミリタリー感が男らしい。パイロットウォッチって何モノだ?
装飾品という側面も大きい腕時計。しかしパイロットウォッチは計器のひとつといわれるほど、実用性重視のモデルが揃っています。すべてのディテールが必要に応じて生まれたものゆえ、デザインもトレンドも関係なしの普遍的なシンプルさを持つのが特徴です。特に各国の空軍に納入されたモデルは、質実剛健の極みといえるものばかり。機能美に溢れた硬派なミリタリー感は、あざとさを嫌う現代のファッションシーンにも合わせやすいと評判なのです。
ところで「パイロットウォッチ」とは何か、説明できますか? 同じくプロフェッショナルウォッチであるダイバーズウォッチは、ISO規格(国際標準化機構)やJIS規格(日本工業規格)でその定義が定められています。一方のパイロットウォッチには明確な基準はありません。現在手に入るパイロットウォッチは先にご紹介したミリタリー由来のシンプルモデルが多いものの、飛行機による海外渡航があたりまえになった旅客機時代に突入すると、複数のタイムゾーンを表示できるGMTウォッチがパイロットウォッチとして登場したりします。その定義が、時代とともに変化する稀有なジャンルなのです。
パイロットウォッチにおける、“ならでは”の機能についておさらい
「パイロットウォッチ」に定義はないといいましたが、それでも歴代の名パイロットウォッチには、特徴的なディテールが存在します。ここでは、パイロットウォッチたらしめる4つの主な機能をご紹介していきましょう。
機能1
命を守る計器だから。空の上でも間違いない、圧倒的視認性
現代航空機が実現している快適な空の旅とは程遠い環境で操縦桿を握っていた、20世紀初頭のパイロットたち。空気が薄く視界が狭く感じようと、パイロットたちは一瞬で時計の針を読み取らなくてはいけません。そのため、パイロットウォッチには視認性に徹底的にこだわったモデルが多く存在します。モデルによって工夫は違いますが、12時位置に特大のアワーマークを施す、アラビアインデックスを採用する、針やインデックスはできるだけ見やすく太くしてそこに夜光塗料を塗布する、といったディテールが代表的です。また、反射を抑える無反射コーティングが施されているモデルも存在します。
機能2
いざというときに飛行をサポートしてくれる、独自性の高い機能
計器のひとつとして見なされているパイロットウォッチ。そんなパイロットウォッチだけの独自機能も数多く存在します。その中でも、ビジュアルとしても映えるのが回転計算尺。簡易的なものではありますが、パイロットは腕元の時計で残燃料計算や速度、距離計算を行うことができます。また、GMTも国際時代のパイロットウォッチの機能といえますし、気圧計を搭載していたり、横風の影響を測れる偏流修正角計算機能を備えていたり……と、マニアックな機能を持つパイロットウォッチも登場しています。
機能3
グローブ着用のままでも操作可能な、気の利いたディテール群
操作性の追求もパイロットウォッチに多く見られる特徴です。パイロットの必需品といえば、手の防寒や保護、グリップ向上のために着用するグローブ。ところが、グローブを着けたままだと腕時計を操作しにくくなります。それを解消するためのディテールが、特大リューズです。特に溝状のコインエッジ加工が施されたオニオン型、または円錐型のリューズは指の引っ掛かりが良く、パイロットウォッチに多く見られます。また、クロノグラフのプッシュボタンに特殊トリガーを装備したモデルや、回転させやすいようタブやくぼみを採用した回転ベゼル搭載モデルなど、各ブランドがそれぞれさまざまな工夫を凝らしています。
機能4
空の上で壊れるわけにはいかないから。ダイバーズ同様のタフネス
故障すれば重大な事故につながりかねない航空機、その計器には、命がかかっているといっても過言ではありません。その意味で、パイロットウォッチには高度な信頼性を担保する必要があるのです。そんなわけで、パイロットウォッチの特徴として、タフな作りが挙げられます。耐衝撃性能や耐気圧性能、また腕時計の精度を狂わす原因のひとつとなる磁力を防ぐ耐磁機能など、パイロットウォッチには信頼性を後押しするさまざまな技術が注ぎ込まれています。
時計史に残る名作揃い。パイロットウォッチの傑作5本
まずはデザイン、機能、歴史でパイロットウォッチのランドマークとなった歴史的なモデルを5本ピックアップしていきましょう。
1本目
『ブライトリング』ナビタイマー
航空用回転計算尺を搭載した「ナビタイマー」は、1952年に誕生。それ以来、特徴的かつメカニカルなルックスを持つ本モデルは、パイロットウォッチのアイコンとして確固たる地位を築いてきました。飛行のための各種計算ができる回転計算尺に加え、グローブを着けたままでも回しやすい形状を持つベゼルなど、操作性にも高いこだわりを感じさせます。
2本目
『オリス』ビッグクラウン ポインターデイト
『オリス』を代表するパイロットウォッチ「ビッグクラウン」が登場したのは1938年のこと。操作性を考慮したパイロットウォッチの特徴的なディテール“デカリューズ”を示すモデル名は、その出自を色濃く表すものです。レトロな書体のアラビアインデックスやコブラ針は、往年のミリタリーウォッチらしいデザインとなっています。
3本目
『ロンジン』アヴィゲーション タイプ A-7 1935
大西洋単独無着陸飛行を1927年に成功させたチャールズ・リンドバーグの腕時計を製作するなど、パイロットウォッチに古くからかかわり続けている老舗スイスブランドが『ロンジン』です。今回ご紹介するモデルは1935年に誕生し、アメリカ軍パイロットが使用したパイロットウォッチの復刻。40度右に回転された文字盤は、操縦桿を握ったままでも文字盤を見やすくするためのもの。クロノグラフですが、プッシュボタンがひとつしかないモノプッシュ式を採用しており、そのボタン自体は特大オニオンリューズに内蔵されています。
4本目
『ロレックス』GMTマスターII
先代「GMTマスター」は、1955年に誕生。世界を飛び回るパン・アメリカン航空のパイロットのために開発されました。通常の時針のほか24時間で1周するGMT針を備え、異なるタイムゾーンの時刻を同時に表示できるこのモデルは、今でもGMTウォッチの代名詞的存在。現行の「GMTマスターII」は1982年に発売され、文字盤上から3つのタイムゾーンの時刻を読み取ることが可能になっています。
5本目
『カルティエ』サントス ドゥ カルティエ
これまで説明してきた機能美溢れるパイロットウォッチと毛並みが違うものの、“初代”パイロットウォッチとして誕生したのがこちらのモデル。ルイ・カルティエ3世の友人でパイロットのサントス・デュモンから、飛行中でも時刻を確認しやすい時計が欲しいとの依頼を受け作られたのが、メンズ初の腕時計ともいわれる「サントス」。1904年のことでした。そんなエピソードを持つ「サントス」は『カルティエ』らしいエレガントさを感じさせつつも、れっきとしたパイロットウォッチとして認知されています。
モダンな1本をお求めなら。今買えるパイロットウォッチのおすすめ8選
歴史に名を刻む往年の傑作から、現代技術を駆使した最新モデルまで、今おすすめのパイロットウォッチを8本ご紹介します。
1本目
『IWC』パイロットウォッチ マークXVIII プティ・プランス
『IWC』の看板モデルとして人気を博すのが「パイロットウォッチ」。その中でも「マーク」シリーズは、1936年に登場した「マークIX」を始祖とする歴史あるパイロットウォッチです。当時から耐磁性や気圧変化に配慮した構造を持ち、離陸時間を示すマーカーを操作する回転ベゼルを搭載するなど、航空ウォッチにおけるひとつのベンチマークとなりました。1948年に登場した「マークXI」以降はデザインテイストをほとんど変えず、小型のラウンドケースに12時のアワーマーカーとアラビア数字の組み合わせが基本に。そのストイックでシンプルなルックスに人気が集まりました。こちらのプティ・プランスモデルは裏蓋にパイロットでもあった作家、サン=テグジュペリの代表作『星の王子さま』のイラストが刻印されています。
2本目
『ハミルトン』カーキ アビエーション X-ウィンド オートマティック
1930年代から数々のパイロットウォッチをリリースしてきた『ハミルトン』。飛行中に受ける横風の影響をパイロットが計算して記録できる「偏流修正角計算機能」を腕時計として初めて搭載したのが、「カーキ X-ウィンド」です。クロノグラフやデイデイトなど、便利な機能も搭載し、極めてマニアックなギミックを搭載しながら、デイリーでも使える仕様になっています。
3本目
『グラハム』クロノファイター オーバーサイズ
第二次世界大戦時、英国空軍パイロットがグローブを着けたまま操作できるように開発された、トリガー型のプッシュボタンを再現したのがこちらの「クロノファイター」。ベゼルにはラグジュアリーなホワイトセラミックを採用するなど、宝飾時計としても確かな存在感を醸し出していますが、特大インデックスなど、しっかりパイロットウォッチのデザイン文法を踏襲しています。
4本目
『ジン』703.EZM3.F.M
特殊部隊など、極限状態で任務を実行するプロフェッショナル用に作られた『ジン』。パイロットウォッチによく見られるアラビア数字ではなく、バーインデックスを採用していますが、無駄を排したスーパーシンプルな文字盤で視認性は抜群。80,000A/mの耐磁性や除湿機構、オイル封入で80~マイナス45度まで精度を保つタフな仕様など、唯一無二の特殊機能が目を引きます。
5本目
『ブレゲ』トランスアトランティック タイプXXI
高級時計ブランド『ブレゲ』も、パイロットウォッチをリリースしています。1955年、フランス航空部隊のために製作されたのが「タイプXX」。1995年には、現代的に解釈されたフライバッククロノグラフ「アエロナバル タイプXX」が登場し、大きな話題を呼びました。今回ご紹介の「トランスアトランティック」は、その派生版。よりラグジュアリーに進化し、スーツスタイルにも馴染みます。
6本目
『ハンハルト』パイロットウォッチ
マーカーを動かすためのコインエッジベゼル、大きなアラビアインデックスなど、往年のパイロットウォッチの特徴を受け継いだドイツブランドの正統的モデル。クロノグラフ連動し速度を計るタキメーター、距離を測るテレメーターも装備。特にダイヤル中央に配置された渦巻状のタキメーターはデザイン上の大きなアクセントになっています。
7本目
『シチズン プロマスター』スカイシリーズ AT8195-85L
回転計算尺を搭載したメカメカしいルックスが魅力。世界26か国のワールドタイマーや電波機能など、世界を駆けるジェットセッターにも最適なモデルです。軽量かつタフなスーパーチタニウムをケースとブレスレットに採用。もちろん光発電エコ・ドライブの搭載で電池いらず。プロフェッショナル用とはいえ、その使い勝手はさすが『シチズン』です。
8本目
『ユンハンス』マイスター・パイロット
最大の特徴が波打つような凹凸のある立体的なベゼル。実はこれ、パイロットグローブを着けたままベゼル操作をしやすいよう、人間工学に基づいた設計になっているのです。ベゼルがモダンな形状である一方、焼けが入ったかのようなレトロなカラーリングのインデックスや針、丸みのあるボンベダイヤルなど、パイロットウォッチがもっとも活躍した時代を思い起こさせるクラシカルさを併せ持つのも魅力です。
この記事の掲載アイテム一覧(全13商品)
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『ブライトリング』 ナビタイマー
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『オリス』 ビッグクラウン ポインターデイト
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『ロンジン』 アヴィゲーション タイプ A-7 1935
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『ロレックス』 GMTマスターII
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『カルティエ』 サントス ドゥ カルティエ
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『IWC』 パイロットウォッチ マークXVIII プティ・プランス
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『ハミルトン』 カーキ アビエーション X-ウィンド オートマティック
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『グラハム』 クロノファイター オーバーサイズ
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『ジン』 703.EZM3.F.M
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『ブレゲ』 トランスアトランティック タイプXXI
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『ハンハルト』 パイロットウォッチ
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『シチズン プロマスター』 スカイシリーズ AT8195-85L
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『ユンハンス』 マイスター・パイロット
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