はじめてでも安心。腕時計のベルト調整と交換方法
腕時計は収集家でもない限り1~2本を使い回すのが当たり前。しかし同じ時計では飽きることも。気分を変えるために、自宅でもできるベルトの調整と交換方法を伝授します。
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腕時計のベルト調整と交換に関する6つの質問
腕時計が“腕時計らしく”あるためのパーツがベルトやブレスレットです。しかし、無頓着に扱っていると傷がついたり、レザーベルトにいたってはもろくなったりちぎれてしまうこともあるでしょう。もしもの事態に備えて、素人ができることはあるのでしょうか? そして、どのような点に注意すればよいのでしょうか? そんな素朴な疑問から応用的なテクニックまでをQ&A方式で解説します。
Q1:腕時計のベルト調整や交換は、そもそも必要なの?
A1:絶対必要です。簡単ですからマスターしましょう
調整に関しては「微調整」程度でも、必要になることがあります。そして交換に関してお答えすると、調整以上に必要です。その理由を確認していきましょう。
理由1
多かれ少なかれ、人間の体は変化します
人間の体型は変わるもの。これは、日常品として愛用している腕時計にも影響があります。痩せればベルトがゆるくなりますし、太ればキツくなるでしょう。一般的には「ベルトと手首の間に指1本分のスペースを空ける」、という目安がありますが、着け心地の好みも含めて調整する必要が生じるはず。レザーベルトは留め穴を変えるだけでよいのですが、ブレスレットの場合はバックルに調整の仕組みがあるので、ぜひ活用しましょう。
理由2
レザーベルトは無敵ではありません
レザーベルトは高級腕時計の代名詞ですが、一部を除くと高温多湿や日光に弱いシロモノです。とくに日本の梅雨から夏にかけてはレザーにとって最悪のシーズン。汗による雑菌で腐食することもあります。そのため、夏の間は別の素材に変えたり、ほかの季節でも別のベルトとのローテーションにしたり、という手段があります。
理由3
時計1本分よりもコスパよくイメチェンできます
デザインや素材、カラーが違うベルトに付け替えると、時計全体の印象が変わることがあります。交換前と比べると、スポーティな表情に変化したり、ヴィンテージライクなルックスに変化したり。こうした変化に興味を持つと、あれこれ試したくなるでしょう。数千円から数万円で腕時計のイメチェンができるので、時計1本分の値段よりもはるかにコスパがよいのです。
Q2:腕時計のベルト調整や交換は自宅でもできるの?
A2:三大ツールとセロテープで、誰でもできます
ベルトの付け替えって、意外に簡単にできるものなんです。少数ではありますが、一部の時計メーカーやベルトメーカーでは、簡単に付け替えができる仕組みを採用しているものもあります。しかし、そうでない腕時計であっても、交換用のツールを3種類揃えれば十分。あとはセロテープがイイ仕事をしてくれるんです(笑)。
ツール1
自宅に1個。“バネ棒外し”
必ず入手しておくべきは、バネ棒外しと呼ばれるこちらのツール。時計のベルトやブレスレットの要所の穴には、バネで引っ込む棒(=バネ棒)をはめ込んでいます。バネ棒外しとは、そのネーミングのとおりバネ棒をさらに引っ込めて、外すためのツールです。セロテープは、このツールを使う時に、時計のケースを傷めないために、ラグ(ケース側の接合部)に貼り付けておきましょう。
ツール2
不器用な人は“両つかみ式バネ棒外し”を使いましょう
バネ棒外しのような得体のしれない棒で、「細かい作業をするのは心配だ」と思うのは当然です。そこでおすすめしたいのが、この“両つかみ式バネ棒外し”です。バネ棒をトングのように挟み込む形で、バネ棒を引っ込めて外すことが可能です。バネ棒外しよりも少々高価ですが、不器用な人でも安心してベルトの着脱作業を行えるようにしたスグレモノ。
ツール3
ブレスのコマを脱着する“ピン抜き”も必需品
メタルのブレスレットは、バックルを金具でカチッとはめ込む仕様が多いのですが、よいブレスレットは、長さ調整の仕組みをバックルに備えています。ただ、それを使うだけでは調整しきれない場合、ブレスのコマを外したり、加えたりできます。この“ピン抜き”は、その接合部を固定しているピンを抜くためのツールで、素人でも安心して使えます。
Q3:素人が知るべきポイントは?
A3:とにかく押さえたい三大ポイントを紹介します
「素人が手を出して、本当にいいのか……」と思われますが、もちろん可能です。ただし、最初は注意を払うべきですし、慣れても油断大敵。そこで留意点を3つほど挙げておきます。
ポイント2
周囲を十分に片付けて
バネ棒外しを使う際に多いのが、バネ棒を飛ばしてしまうこと。冗談ではなく、シャフト部分にバネ棒外しの先を押し込むとバネの効力で棒が飛んでしまいます……。「バネ棒がどこかに飛んでいってしまった」という時、作業する机や周囲が汚ければ、見つかるのは時間のみぞ知るところ。お恥ずかしいのですが、私は何本か失くしました(笑)。ですから、作業する前の整理整頓はマスト。超重要事項なのです。
ポイント3
何事につけ、ゆっくりと丁寧に
ポイント2と関連しますが、ベルトの接合部をラグから引き抜く際は、ゆっくりと落ち着いて行いましょう。バネ棒が出てきたら、そこに指を添える。「急がず、丁寧に」と心で唱えながら作業をすれば大丈夫。慌てて何かをやろうとしなければ、バネ棒外しの先でケースに傷をつける可能性だって減ります。慎重にやりましょう。
Q4:調整や交換の作業ではじめに確認すべきことは?
A4:ベルトと時計の接合部であるラグを確認してください
まずベルトと時計側の接合部であるラグを見て、「ラグの外に穴が開いているかどうか」を確認しましょう。これによって作業のやり方が変わります。
バネ棒の両端がバネで伸縮します
修理工房や時計店の業務用ですが、このケースの中に詰まっているスティックがバネ棒です。ケースの図を見るとわかりますが、シャフトの両端に、内蔵されたバネで出入りする棒がついています。その棒の部分に出っ張りがあって、これにバネ棒外しの一方の先を引っ掛けて、引っ込めさせることができます。これがなかなか重要パーツなんです。
バネ棒外しを使った実例を紹介!
バネ棒外しの先端には2種類あります。シンプルな棒状のものはI型と呼ばれ、ラグの側面に穴が開いている時計で使います。二股になっている方はY型と呼ばれ、バネ棒先端部の出っ張りに引っ掛けて使います。こちらはオールラウンドに使えます。そして、作業に入る前に、最初のうちはラグの裏にセロテープを貼るようにしましょう。作業中に傷をつけないための配慮です。
ラグに穴がある場合の外し方1
バネ棒外しのI型をラグの穴に差します
時計のラグの側面に穴が開いているタイプでは、その穴にバネ棒外しのI型になっているほうを差し込んでいきます。差し込んだ穴の中にはバネ棒があるので、バネ棒外しの先端で、バネ棒を押し込んで縮めていきましょう。外から留め具に力を加えてベルトを外すイメージです。
ラグに穴がある場合の外し方2
ゆっくりと引き抜きましょう
バネ棒の先が十分に縮んだことを確認後、バネ棒外しを差し込んだ側のベルト根元部分を軽く引っ張るだけで、バネ棒が外れます。さらにベルトを引っ張ることにより反対側のバネ棒も外せます。
ラグに穴がない場合の外し方1
ラグの内側にY型先端を差し込みます
ラグの側面に穴がない場合、I型とは違い内側から力を加えてバネ棒を縮めベルトを外すイメージです。まずはY型の先端をラグとベルトの隙間に差し込みます。バネ棒先端には出っ張りがあるので、そこへバネ棒外しの二股部分を引っ掛け、バネ棒をベルト方向へと縮めていきます。
ラグに穴がない場合の外し方2
引っ張り出しますが気を抜かないで
バネ棒が縮んだ状態でベルトを軽く引っ張ることにより、バネ棒が外れます。ただし、バネ棒が飛んでいかないように、Y型先端でバネ棒の先を引っ込めさせ続けておいてください。バネ棒先端が外に出たら、ゆっくりと力をゆるめ、ベルト全体を引き抜きましょう。
バネ棒の取り付け方
どちらでもY型先端を使っての作業です
ラグの穴の有無にかかわらず、取り付け作業は同じです。ベルトの根元の穴にバネ棒を通し、片側をラグの内側に差し込みます。そして反対側のバネ棒をY型先端で引っ込めてからラグ内に収めて作業終了です。
Q5:バネ棒外しの扱いが難しいです…
A5:両つかみ式バネ棒外しなら、本当に簡単です
前出した両つかみ式バネ棒外しなら、どんなに不器用な方でも簡単にベルトの調整が可能です。ここでも、その実例をご紹介します。
両つかみ式バネ棒外しの使い方1
ピンセットを使う要領で済みます
大昔、修理技術者がバネ棒外しの代わりにピンセットを使う裏技があるといっていたのですが、それをバネ棒外しとして実現しました。2つのY型先端をセットしてから左右のラグの内側に差し込みます。そして左右同時にバネ棒の先端を引っ込めていきます。
両つかみ式バネ棒外しの使い方2
左右同時に引き抜くので楽です
まさにピンセットでバネ棒を左右からつまんだ状態です。そのまま、このバネ棒外しで左右均等にベルトの基部ごと引っ張り上げることができます。手から両つかみ式バネ棒外しを取り落とさないかぎり、バネ棒が飛ぶ恐れはありません。
両つかみ式バネ棒外しの使い方3
完全に引き抜いても、まったく問題なし
重量のあるメタルブレスレットを引き抜いても、まったく不安がありません。このままの状態で、反対の手でブレスをつかむなり、机に置くなりしてから、力をゆるめれば大丈夫。力を抜いた場合でも、バネ棒外しの先端がバネ棒が飛ぶのを防いでくれます。
Q6:ブレスレットについては、どんなことを知っておくべき?
A6:ポイントだけを押さえれば簡単です
ブレスレットの交換は、革ベルトとは少し異なります。ここでは、ブレスレットの特徴も踏まえつつ、交換や調整の手順を見ていきましょう。
特徴1
デキたブレスは、バックルに技があります
メタルブレスレットは板をかみ合わせてカチッとロックするので、普通のベルトのように長さの調整が利かなさそうに見えます。しかし、ブレスレットはきちんと考えて作られており、バックルの中に長さ調整の仕組みが隠されているのです。
特徴2
ブレスの延長プレートはダイバーズでよく見られる仕組み
バックルの中に板が収納されていて、それを引っ張り出して、伸ばす仕組みをエクステンション(プレート)と呼びます。ウェットスーツ上から時計を腕に巻くダイバーズでよく見られる仕組みで、装着するのが厳しい条件でも、臨時的な対応を可能にします。
手順1
確認すべきはサイドビュー
バックルのサイドビューですが、3つの穴が開いていることがおわかりですね。そのうちの1つにバネ棒がセットされており、バックルのプレートとブレスのコマをつないでいるのです。バネ棒外しで、これを外して取り付け直せば、長短どちらでも調整可能です。
手順2
バックルのコマを調整しましょう
バックルにつながるコマには足したり、外したりできるコマがあります。その部分をピン抜きという道具にしっかり固定。右サイドから付属のピンを差し込んでいくことで、その細い先端がブレスのコマ内を通るピンを押し出していきます。
手順3
ピンを押し込みましょう
コマを必要に応じて外したり、足したりした後は、再度ピンを戻してブレスを固定します。まずはブレスをつなぎ直し、ピンを元の穴に手で押し込めるだけ押し込みましょう。
続いてピン抜きにセットし、ピンを押していくのですが、ここで注意が必要です。ピンを押し出すために使用したアタッチメントは外してから、戻すようにしてください。ピン抜きでしっかり押し込んだら、完成です。
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