
ローファーのコーデに悩んだら。基礎から押さえる装いのノウハウ
誰もがよく知るローファー。万能靴ともいわれるが、それを取り入れたコーディネートの基本とはいかなるものか。応用力を養うためにも基礎をイチから学んでおこう。
大人の万能靴。ローファーを履こう
ローファーは革靴。ゆえにレザー特有の品格をほのめかすことができる。しかし、ドレスシューズではない。他のフォーマル靴と比べるとどこか愛嬌もある。そう、ローファーの魅力は、他の革靴ではカバーしきれない応用の振り幅にある。カジュアルな服装に合わせれば適度な引き締め役となり、シャキッとしたスタイルでは良い抜け感をもたらしてくれるのだ。そのポテンシャルを生かすためにも基本の“き”をぜひとも押さえておきたい。
ビジネスでもカジュアルでも、ローファーを履くなら押さえたい2つの前提
ローファーは脱ぎ履きしやすいスリッポンタイプ。レースアップのように、シューレースによってフィッティングを変えられることはできない。そのため、サイズ選びはとりわけ重要。窮屈さを嫌い、大きめを選ぶことでかかとが抜けてしまうようではダラしなさが際立ってしまう。
もう1つのポイントがボトムスの丈感。ローファーは、カジュアルパンツのラフさをフォローし、スラックスの堅苦しさをいなしてくれる。しかし、パンツが長過ぎるがゆえのがさつさまではカバーできない。今なら、くるぶし丈&ノークッションが最良と知ろう。
ビジネスか、カジュアルか。ローファーの種類とスタイルの関係とは?
ひとえにローファーといっても種類はさまざま。それぞれ、魅力は千差万別であり、言わずもがな、その魅力を存分に生かしたコーディネートだってある。どんなスタイリングとの連携が好印象を生みやすいか、そのポイントをタイプ別に説明していこう。
種類1
コインローファー
別名“ペニーローファー”とも呼ばれる、ローファーの中では最も定番の形。つま先革を横切るようにかぶせられた切れ込み入りのサドルが大きな特徴といえるだろう。そもそも、アイビーリーガー御用達の靴であり、アメトラベースの着こなしにはとりわけ相性が良い。そのため、スラックスやチノパン、ジーンズに加え、ショートパンツともウマが合う。ローファースタイルの入り口としては、申し分ない一足といえるだろう。
種類2
ビットローファー
1953年に発表した『グッチ』が本流とされるビットローファー。サドル部にあしらった装飾、通称“ホースビット”がラグジュアリーな印象を生み、足元に華を添える。ジーンズやチノパンなどを取り入れたカジュアルなスタイルの足元としてもワルくはないが、ビットローファーの華美な姿はパーティシーンでこそ真価を発揮するにちがいない。ジャケパンスタイルを格上げする頼もしいパートナーとなってくれるだろう。
種類3
タッセルローファー
時のハリウッド俳優、ポール・ルーカス氏が、英国国王エドワード8世の履いていた靴に憧れ、『オールデン』に同様の靴を作らせたのが起源とされる。以後、学生時代にコインローファーで過ごしてきた大人が社会人になってもローファーを履きたいという意向から、東海岸を中心に大ブレイクを果たす。ゆえに、ローファーの中ではビジネスシーンにもマッチする一足として知られる。それもあり、カジュアル過ぎるスタイルには不向きかもしれない。
種類4
コブラヴァンプ
モカ縫い以外の装飾がないシンプルなデザインや、程良く跳ね上がったトゥが独特なコブラヴァンプ。その姿が蛇の頭に似ていることからその名が付いたとされる。スマートな見た目により、どのパンツと組ませても軽快な姿へと変貌。そのため、今どきなワイドシルエットや徐々に熱を帯び始めたカーゴパンツといった男らしい1本ともウマが合う。逆に、かっちりさせたいときには、その軽快さが仇となる場合もあるのでご注意を。
種類5
キルトローファー
スコットランドの民族衣装でも用いられるキルトをローファーにあしらったものがキルトタッセル。’50年代、ゴルフシューズのシューレースに泥などが付着するのを防ぐため、シュータンより大きいキルトを付けたのが革靴に採用されるきっかけとされている。それもあり、ジーンズやワークパンツといった、カジュアルな1本にハマる。逆にドレッシーなスタイルだと、粗野感や野暮ったさが目につきミスマッチを起こしかねない。
ローファーを取り入れた「ビジネスコーデ」の参考集
基本的にローファーはビジネス靴ではない。しかし、昨今のビジカジスタイルの浸透から徐々に受け入れられているのも事実。かっちりとした姿の良いハズし役として取り入れている人も見受けられる。では、どのように取り入れていくのがベストな選択なのか、好サンプルをベースに探っていきたい。
コーデ1
肩の力を抜いたジャケパンスタイルは、ローファーで歩調を合わせる
チノスラックスを採用したジャケパンスタイルに、ローファーで程良いカジュアル感を演出。中間色で仕上げながら季節感も取り入れた。足元や胸元にくっきりとした色を投入したことで、ぼやけがちな配色にメリハリを生み、全体を引き締めている。
コーデ2
ベーシックなスタイルこそ、足元のテクで差を付ける
ネイビーのジャケット、そしてグレーのスラックスを掛け合わせた実にオーソドックスなジャケパンコーデ。基礎スタイルならではの安定感を享受しつつ、無難すぎる印象を抱かせないのは、肌見せ&ローファーによる抜け感のおかげ。
コーデ3
淡色コーデはビットローファーでアクセントを
インナーの自由度が広がった今を象徴するルック。定番グレーのフォーマルセットアップに同色のカットソーを加えて統一感を図りつつ、トーンを変えることで奥行きを出している。その足元へあの名作ビットローファーを加えれば、自然と漂うのは大人の色気。
コーデ4
タッセルローファーでジャケパンスタイルに遊びをプラス
こちらもまた、アメトラを想起させる往年のジャケパンスタイル。お馴染みであるがゆえに、胸元にペイズリー柄のタイを挿すという大胆な合わせも可能になる。その足元は、ビジネス時でも胸を張れるエレガントなタッセルローファー。足元をすっきりさせて軽快に装った。
ローファーを取り入れた「カジュアルコーデ」の好サンプル
万能靴だけに、たとえ革靴だろうとカジュアルコーデとは相性よし。良い塩梅で引き締め役となり、アメカジやワークといった土臭いスタイルとも違和感なく惹かれあう。とはいえ、うまく合わせるためにはちょっとした気遣いも必要。そのツボを、街行くファッショニスタから学ぼう。
コーデ1
ローファーでゆったりとしたスタイリングにメリハリを
ニット、シャツ、ボトムスをブルー~ホワイトのグラデーション調に合わせた、実に清々しいスタイリング。今の空気を的確に捉えたボトムスのゆるいシルエットも気が利いている。そして、その野暮ったさを中和しているローファーの存在も見逃せない。
コーデ2
シンプルなカジュアルは、ローファーで引き締めて大人らしく
カットソーにチノパンという、潔いシンプルなコーディネート。淡いトーンで全体をまとめることで、さりげなく季節感も匂わせている。甘くなりがちな配色を、ボトムスの味のある趣と、茶ソックス×茶ローファーのクラシカルな足元で渋さをプラスした。
コーデ3
MIXコーデをまとめあげるのは、ローファーならではの守備範囲の広さ
クリーンな白シャツとチノパンの上に羽織ったのは、相反する辛口なミリタリーコート。そのギャップにより、定番アイテムの組み合わせに新鮮さを呼び込んだ。そんな甘辛感をバランス良くまとめ、さらに全体を引き締めた功労者が足元のローファー。
コーデ4
色味のテクニックで白パンを攻略
アウターはワーク風味のジャケットでも、インナーにモダンなカットソーを挿し、ネックにチーフを巻くことで上品なフレンチカジュアルに。ボトムスにアイボリーを選び、黒のローファーとともに濃厚な色味でサンドすることで気恥ずかしい白パンを見事に取り込んだ。
ローファーを履くなら、名門ブランドのチェックも忘れずに
ひと口にローファーといっても種類はさまざまで、何を選ぶかは大いに悩みどころ。そんなときこそ名門に頼りたい。『オールデン』や『チーニー』、ローファーの元祖『ジーエイチバス』しかり、確固たる歴史に裏打ちされたアイテムは、年を重ねてもなお色褪せない価値がある。

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