
カーゴパンツをはこう。押さえておきたいコーデ&おすすめブランド
ミリタリーアイテムのなかでも人気のカーゴパンツ。なかなか知ることのないその歴史や着こなすコツ、大人になじむ1本まで、カーゴパンツにまつわる情報を網羅します。
カーゴパンツの起源と、その魅力
カーゴパンツとはカーゴシップ、つまり貨物船の船員がはいていた作業用パンツが原点。両手が空くようにと、道具の持ち運びに重宝する大型のポケットが両脚に施されているのが特徴です。
ワークウェアであるためもともとは耐久性に優れた素材が採用されていましたが、ファッションとして展開されるようになってからのカーゴパンツにはさまざまな素材が用いられています。素材以外でもシルエットなどにも変化が生まれており、長い歴史のなかで時代に即したアレンジが加えられてきたところもカーゴパンツの面白さと言えるかも知れません。
魅力1
ポケットの数が豊富で収納力抜群
前述の通り、カーゴパンツの特徴といえば荷物運搬用のフラップ付きポケット。太ももをはじめひざ下やバックポケットなど、いずれもモノの出し入れが容易に行えるよう大きめに作られています。通常ポケットには広くマチが取られているものですが、『GTA(ジーティーアー)』に代表される昨今のドレスカーゴのように、シルエットを美しく見せるために省略されているタイプもあります。いなたい雰囲気を出すのであれば前者、ジャケットなどと合わせてクリーンな印象にまとめるなら後者がベターです。
特徴2
着心地も加味したタフな作り
作業着としての出自もあり、カーゴパンツは丈夫な素材が採用されることが多いです。また、最近は綿100%やギャバジンのものだけでなく、ストレッチ素材やスウェットタイプのカーゴパンツも増えています。スリム化が進むパンツのトレンドにおいては、運動性を損なわないためのありがたい変化と言えます。
特徴3
男らしい雰囲気を演出するのにぴったり
もともと作業着として誕生したカーゴパンツなだけに、いつもの着こなしにラフに取り入れるだけで男らしさが充満。ワッフル地のカットソーやスウェットシャツなど、あえて粗野な印象のアイテムを身につけるのも男らしい雰囲気を演出する方法のひとつです。
いつ誕生したの? カーゴパンツの歴史
さきほど、船員がはいていた作業用パンツが原点と書きましたが、現在私たちが知っている形状のカーゴパンツはアメリカ軍が採用していたパラトルーパー(落下傘兵)パンツがベースです。その当時のカーゴパンツといえば、写真のような8ポケット。1951年にM-51が誕生すると現在でも馴染みの深い6ポケットが主流となっていきました。それまで作業着として重宝されていたカーゴパンツは、太平洋戦争の頃に軍事用として重宝され、今日のミリタリーファッションの一端を担う存在になっていきます。
定番タイプのカーゴパンツは6つのポケットがついているので、シックスポケットという呼び名があります。また、作業用だったため黒やネイビー、カーキが基本色でしたが、軍事用に使われるようになってからは迷彩柄もラインアップに加わりました。こうしたカラーバリエーションは、ファッションとして起用されるようになった今でも、カーゴパンツの定番色として知られています。
現在では、ミリタリーウェアという枠にとらわれず、男性ファッションの人気アイテムとなったカーゴパンツ。カットソーなどのカジュアルなトップスはもちろん、クリーンな白のシャツやテーラドジャケットなどのドレッシーなアイテムと合わせるコーディネートも多く見られるようになりました。こうした汎用性の高さが、現在でもカーゴパンツが愛されている由縁です。
3つのヒントを伝授。カーゴパンツの着こなし方
サイドに大ぶりなポケットが配されたコンセプチュアルな形状から、すっきり今風に着こなすにはコツが必要です。ここでは相性の良いトップスや、定番のワイドシルエットのはきこなし方など基本的なポイントをお伝えしましょう。
ヒント1
清潔感のあるリラックスコーデにはニットとの組み合わせが正解
本来、ニットもカーゴパンツ同様に作業用・運動用の服でした。そのためかどうかは不明ですが、ニットとカーゴパンツの相性は抜群です。柔和で優しげな素材感のニットとタフで男らしいカーゴパンツにより、緩急のバランスのよい着こなしが構築できます。冬のコーディネートはもちろん、春夏にはサマーニットのような季節感のある素材を取り入れることで、上品ながらもカジュアルなコーディネートが楽しめるのです。
ヒント2
オーバーサイズのセットで、あえて野暮ったさを強調
男らしいシルエットが魅力であるワイドなカーゴパンツは、むしろルーズに履いてそのテイストを強調するのもアリ。トップスにもややオーバーサイズのアイテムを合わせつつ、着丈は短めでまとめると全体のシルエットにもメリハリが生まれます。
ヒント3
ショート丈カーゴは重心を上に
2016年春夏から続くトレンドのショート丈ショーツ。足元がすっきりと見えるのがショーツの利点ですが、カーゴポケットが付属することでボトム素にアクセントとボリュームが生まれます。そんなカーゴショールに負けないよう、トップスのシルエットにゆとりを持たせるのが着こなしのポイントです。といっても、ビッグシルエットにすればよいというわけではなく、帽子などの小物でバランスを取りつつリラックスした素材感のものを選ぶとよりこなれ感を演出できます。
お好きなテイストでセレクト。カーゴパンツの選び方
シルエットもディテールも多種多様なカーゴパンツが各ブランドから出ている今、その選び方を間違えなければ自分の好きな着こなしの空気に似合う1本を見つけることができます。アメカジ、きれいめ、ドレスの3軸でピックアップ。
選び方1
アメカジ大好きなカジュアル派は、太めをセレクト
カーゴパンツの主流は、太めから徐々にスリムへと変わりつつあります。しかし、上記着こなしのヒントでも紹介したとおり、あえての太めシルエットももちろんおしゃれ。ストリートファッションとしてゆるめにコーディネートするもよし、ロールアップしてワイドなシルエットを楽しむもよし、カジュアルな着こなしを好む方であればこちらをセレクトしたいところ。
選び方2
きれいめ派は、細身で上品に
ジャケットを中心としたきれいめな着こなしには、やはり細身のカーゴパンツが似合います。定番のテクニックではありますが、ロールアップしてソックスを見せるようにはくとすっきり見えておしゃれですね。
選び方3
ドレッシーな着こなしには、テーパード+アンクル丈を
ビジカジシーンにふさわしいドレス感のある着こなしのハズしとして、カーゴパンツを投入するのも良し。ただし、その際はポケットにマチのないテーパードシルエットのものを選び、トップスの雰囲気を壊さないように注意しましょう。こちらの方のようにアンクル丈ではきこなせば、より今らしいムードに。
厳選。大人の着こなしにハマる、おすすめのカーゴパンツ
はきこなし方と選び方がわかったら、いよいよ実践。自分の感性に響く1本を見つけて、着こなしに取り入れてみましょう。ミリタリー・ワークの名門からファッションブランドまで、10本のおすすめカーゴパンツをご紹介します。
アイテム1
『エンジニアド・ガーメンツ』ノルウェージャンパンツ
ノルウェー軍のミリタリーカーゴをモチーフにフロントとバックに大きなマチ付きのフラップポケットを採用し、ゆったりとしたシルエットながら裾にかけてテーパードすることでスッキリとした絶妙なシルエットに仕上がっています。
アイテム2
『ナイジェル・ケーボン』ライブロ WW2パンツ
第二次大戦時に英国軍が使用していたカーゴパンツをベースにアップデート。左の太腿にはボタン留めのフラップ付きポケットを採用し、右腿には同じくボタン留めのパッチポケットをレイアウト。ヴィンテージ加工によってこなれた雰囲気を出しています。
アイテム3
『ロスコ』カラーカモBDUカーゴパンツ
MIL-SPEC規格に基づく生産背景を有し、米軍への納入実績もある『ロスコ』の6ポケット仕様のカーゴパンツ。ハリと耐久性を備えたポリエステルとコットンの混紡素材を採用し、湾岸戦争時に使用されたチョコチップデザート迷彩を施している。
アイテム4
『ヒューストン』リップストップBDUパンツ
日本ではじめてオリジナルのフライトジャケットを製作したミリタリーの老舗『ヒューストン』のカーゴパンツ。引き裂き強度に優れ、格子状の織りによってシャリ感や立体感も感じるリップストップ素材を使用しており、軽量さを感じる着心地も魅力です。
アイテム5
『リックオウエンス』カーゴパンツ
カニエ・ウエストをはじめさまざまな海外セレブが着用したことで火が着いたのが『リックオウエンス』のカーゴパンツ。クロップド丈でイージー仕様の腰回りになっており、モードやラグジュアリーな着こなしの中にカーゴを取り入れることができる。
アイテム6
『デサント』カーゴパンツ
高機能素材の使用に長けた『デサント』はコットン風の肌さわりを備えたナイロン短繊維素材“CEBONNER” を生地に使用。耐久性や撥水性を備えつつ、シンプルなデザインのカーゴパンツにシワ加工によってシャリ感と風合いをプラスしています。
アイテム7
『ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ』ジャーマンストレッチ カーゴパンツ
厚手で丈夫なジャーマン生地を使用してストレッチ性をプラスすることで、細身に仕立てつつも快適な履き心地を実現。スラントポケット仕様やテーパードのかかったシルエットによってジャケットと合わせたときもスッキリとキマります。
アイテム8
『アーバンリサーチ ロッソ』スリムカーゴパンツ
一見して分かるスマートなシルエットが特徴。程良くテーパードがかったレッグラインと短めの丈により、クリーンな大人の着こなしに重宝するデザインとなっています。また、軽やかな素材感は春先の装いにも好都合。スリムなカーゴパンツを探している方におすすめの1本です。
アイテム9
『ナンガ』タキビダウンパンツ
生地にケブラーを配合した難燃素材を使用しており、焚き火の前でも穴が開く心配のないダウンパンツ。保温性に優れたヨーロピアンダックを使用しつつ、羽毛の量を適度に抑えることで、タウンユースにもフィットするスリムなシルエットに仕上げています。
アイテム10
『ジョン・グラッコー』コンバットトラウザース
多くの有名デザイナーを顧客に持つヴィンテージディーラーが、自身の所有するスーパーヴィンテージを元に製作したカーゴパンツ。カナダ軍のパンツをベースに、硬さと厚みのあるナイロンオックスフォードを使用し、アジャスターは別色で切り返されるなど、独特の仕様が魅力です。