タフに履ける高級靴。チャーチで英国紳士を気取る

タフに履ける高級靴。チャーチで英国紳士を気取る

英国の靴作りの聖地、ノーサンプトンで生まれた、高級シューズブランド『チャーチ』。250工程、8週間かけて生み出される1足は、世界中の紳士たちを虜にしています。

八木 悠太

2018.11.05

チャーチ(Church’s)
レザーシューズ

正統な英国紳士靴、『チャーチ』の歴史を読み解く

1873年、中世より靴産業で栄えた英国・ノーサンプトンでスタートした同ブランド。創業した3兄弟の姓をとって、『チャーチ』と名付けられました。その確かな技術力によりわずか数年でハイエンドなフットウェアメーカーとして成長し、ロンドンだけでなく欧州の各都市でも知られる存在に。1999年にはプラダグループに買収されるも、伝統的なモデルは守りながらトレンドに応じたモダンなスタイルを提案し始めたことで、世界中のファッショニスタが愛用するブランドへと成長しました。これを境に“旧チャーチ”と分類し買い求める方もいますが、新旧それぞれでまた異なる魅力を見せてくれています。

丁寧な作りから、『チャーチ』というブランドを知る

250もの工程を経て世に送り出される同ブランドのアイテムから、『チャーチ』の魅力を3つのポイントに絞ってお話をしましょう。1つ目は、靴好きなら1度は聞いたことがあるグッドイヤーウェルト製法によるソール付け。履きこむほどに内部のコルクが個々の足型に馴染み、唯一無二の1足へと成長していくのが醍醐味です。耐久性も高く、ソールの張り替えも可能なので長い付き合いができるのもうれしい限り。現代ではそこまで珍しい仕様ではなくなってしまいましたが、『チャーチ』では19世紀の初頭からこの製法にこだわり丁寧な仕事を続けてきました。

2つ目に推したいのは、ブランドを代表する素材となるポリッシュドバインダーカーフの存在。似た見た目の素材で、乾燥途中の皮革をガラスに張り付けて均一な光沢を生み出すガラスレザーがありますが、『チャーチ』の皮革は表面に樹脂加工を施すことで高い防水性を獲得しています。肉厚なカーフレザーを使用しているためガラスレザーのような細かなしわが入りにくく、履きこむほどに同素材ならではの美しいうねりを堪能できます。

3つ目が『プラダ』の傘下に入ることで新たに見えてきた、ファッションシューズとしての魅力です。転機となったのは、イタリア男の心をつかんだ「シャンガイ」と呼ばれるモデルと、既存の内羽根式ウイングチップシューズ「バーウッド」に大胆なスタッズを打ち込んだモデル。とくに後者はレディースでもリリースされ、『チャーチ』の美しいブローギングを浮きだたせる名采配として飛ぶように売れました。今では写真のように他モデルでも展開されるなど、根強い人気を獲得しています。

『チャーチ』7モデルを徹底解説 

『チャーチ』の魅力を理解していただいたところで、ここからは現行の定番モデルを7つご紹介。スーツスタイルを格上げしてくれる格式の高いモデルから、男らしいカジュアルコーデにもマッチするモデルまで、『チャーチ』というブランドの幅の広さを堪能してください。

モデル1コンサル

まさに「領事=コンサル」の名にふさわしい正統靴。内羽根ストレートチップデザインは、ビジネスだけでなく、冠婚葬祭までどんなシーンでも履くことが許されるもっともフォーマルなデザインです。 こちらはポリッシュドバインダーカーフではなくきめの細かい上質なカーフレザーを使用しており、深い光沢が品の良さを主張してくれます。

ラストにはブランドを代表するラスト173を使用。程良く丸みを帯びたトゥにいやらしくない程度のロングノーズを合わせた端正なフォルムが作り出す、バランスの良い顔立ちも魅力です。まさに英国紳士といった、エレガントで大人らしい足元を作ってくれます。

モデル2チェットウインド

もとはカントリー靴に起源を持つと言われるフルブローグを、正統さを求めるときに採用されることが多い内羽根式で仕立てた斬新なデザインが特徴的です。こちらも「コンサル」同様に、ドレスシューズの王道的ラストである173を採用。

カラーリングがブラウンになると陰影がはっきりするため、印象がかなり変わって見えることでしょう。ブローグシューズがカントリー靴起源であるということが良く分かります。しかし、『チャーチ』のそれはシャープなフォルムゆえに変な野暮ったさはありません。クラシカルなスーツに合わせれば、スタイルをキリッと引き締めてくれます。

モデル3シャノン

もとは軍靴として考案されたと言われる、履き口が外に開き紐で閉めて固定する「外羽根式」のモデル。英国ではダービーシューズとも言われる、『チャーチ』を代表するモデルです。今作ではカーフに特殊な樹脂加工を施したポリッシュドバインダーカーフを使用しており、絶妙な光沢感が目を引きます。ちなみに、映画『007/慰めの報酬』でジェームズ・ボンドが着用されたモデルがこちらです。

トゥに張り出したコバには、ストームウェルトを採用。内部への雨やほこりの侵入を防ぐことで愛靴を長持ちさせてくれます。このコバの張り出しが、トリプルソール仕上げのプレーントゥの武骨さと相まってボリューミーでタフな印象を醸し出すのです。

モデル4ライダー

毛足の短い上質なカーフスエードを使った、カントリーテイストたっぷりのチャッカブーツです。使用しているラスト81は、”旧チャーチ”の面影を残すぽってりと丸みのあるフォルム。捨て寸が短いので、普段ラスト173を履き慣れている方は必ずフィッティングを行いましょう。もちろんこちらも、グッドイヤーウェルト製法仕上げ。

ソールは、ゴムの木の樹液から作られる天然ゴムを使ったクレープソール。優れた柔軟性とクッション性により、それこそゴムのように弾み、吸い付くような足運びを実現してくれます。グリップ力が強く、疲れにくいのも特徴。

モデル5グラフトン

武骨な風合いと流麗なシルエットのバランスが美しい、外羽根タイプのフルグローブモデル。ラストは「バーウッド」同様に173ですが、羽根部分のデザインが異なるだけでずいぶんとボリューミーでカジュアルな印象になります。一方でポリッシュドバインダーカーフの採用により、程良い光沢感も確保。スーツスタイルのアクセントとしてはうってつけでしょう。

細やかなパーフォレーションと張り出したコバが、カントリー靴らしいタフな印象を与えてくれます。また、厚さ約1センチもあるダブルソールと、コバをぐるりと1周するストームウェルトで雨の日も安心です。まさに晴雨兼用の1足といえます。

モデル6ディプロマット

「コンサル」と「チェットウィンド」のいいとこどりなデザインとなる、内羽根セミグローブモデル。モデル名に「外交官」の意味を持つように、背筋の通ったすっきりとしたフォルムが紳士の装いをサポートしてくれます。インソールと中底の間にはクッション層を取り入れることで、履き心地も上質なものに。

ラストは現代人の足型を考慮して作られた、『チャーチ』定番の173。角ばりすぎず、丸すぎない、流麗なトゥでクラシカルな印象を与えてくれます。そこに施した穴飾りにより、遊び心も演出。ハレの日のスーツスタイルを、いっそう重厚で優美な雰囲気に仕上げられます。

モデル7バーウッド

一見すると「チェットウィンド」と同じ、内羽根式のフルグローブモデルです。しかしラスト173を採用した「チェットウィンド」に対して、こちらは丸みのあるラスト81を採用。ノーズが短くなるだけで、同様の意匠でも印象ががらりと変わります。

やや丸みを帯びたエッグトゥによる、ぽってりとした表情がなによりの魅力。パーフォレーションが放つどこかワイルドな雰囲気が、ヨーロピアンカントリー風のラフさを演出します。ジーンズやカーゴパンツなどのカジュアルなボトムスとも相性抜群です。

    KEYWORD関連キーワード

    BACK