ハミルトンの名機15選。アメリカ生まれの時計ブランドを深掘り

ハミルトンの名機15選。アメリカ生まれの時計ブランドを深掘り

アメリカ経済の発展期に創業した『ハミルトン』は、鉄道時計や軍用時計の開発で信頼性を高めた。現在はスイスを拠点に、高コスパかつ高品質な腕時計を手がけている。

ワダ ソウシ

2020.05.15

ハミルトン(HAMILTON)
腕時計

アメリカの古き良き時代を知る時計ブランドとして

時計といえばスイスや日本、ドイツ製がメジャーだが、かつてはアメリカも一大製造国として名を馳せていた。その代表格が、1892年にペンシルバニア州ランカスターで創業した『ハミルトン』である。19世紀後半、アメリカの好景気を支えたのがヒト・モノを運ぶ大陸横断鉄道だったが、その安全な運行には正確な時刻の共有が必須だった。そこで『ハミルトン』は高精度な鉄道時計を供給し、飛躍的な成長を遂げる。その後、スウォッチ グループの傘下に入り、本社を時計の本場であるスイスへと移転。以来、中間価格帯までのモデルを中心に、本格時計初心者も手の出しやすい良心的なブランドとして評価されている。

名機でたどる、『ハミルトン』の革新と歴史

鉄道時計で成功した『ハミルトン』は、古くからアメリカ軍向けの腕時計やアビエーションウォッチも生産していた。また時計界ではいち早くエレクトロニクスを利用したブランドでもあり、世界初の電池式時計の開発に成功している。

名品1軍用時計を起源とする実用的な「カーキ」シリーズの誕生

長年に渡って同社の主軸を担うのが「カーキ」である。そのルーツは第二次世界大戦やベトナム戦争などで使われた同社製ミリタリーウォッチで、兵士たちが正しく作戦行動に移るためには時計が不可欠だったことから重宝された。劣悪な環境の戦地で確かな機能性を実証し、さらに低コストなことも支持された軍用時計は後に「カーキ」の名称で市販化され、現在は“陸・海・空”をコンセプトとする3シリーズに分別されている。どれも優れたコストパフォーマンスを誇り、近年はETA社製の専用ムーブメントを取り入れることで駆動時間や精度を大幅に高めている。

ミリタリーウォッチの系譜。ハミルトンのカーキ、魅力とおすすめを徹底解説

ミリタリーウォッチの系譜。ハミルトンのカーキ、魅力とおすすめを徹底解説

アメリカの名門ウォッチメーカー『ハミルトン』。同ブランドの入門機として人気が高いのが、「カーキ」です。特徴を踏まえつつ、大人の腕にふさわしい10本をご紹介します。

Hiroshi Watanabe

名品2100年前の定期航空便をサポートしたアビエーションウォッチ

2018年は、『ハミルトン』がアメリカ初の定期航空便(ワシントンD.C.~ニューヨーク間)の公式時計に選ばれてから100周年にあたる。当時は飛行機事故がたびたび起きていたが、その理由の1つが満足な計器類を備えていなかったこと。現在地や燃料残量の確認が難しかったのだ。そのため計器として信頼性の高い『ハミルトン』は、パイロットウォッチも製造していたのである。現行の航空時計は「カーキ アビエーション」としてラインアップしており、2017年からはレッドブル・エアレースのオフィシャルタイムキーパーに就任するなど、現在も航空界とのつながりを継続している。

名品350年代のアメリカ文化を語るうえで欠かせない「ベンチュラ」

『ハミルトン』が現在の地位へと上り詰めた要素に、前衛的なデザインと革新性がある。ロングセラーの「ベンチュラ」は、伝説的な1959年型キャデラックも手がけたインダストリアルデザイナーの鬼才、リチャード・アービブ氏によるもの。そのフォルムは1957年製としては斬新で、時のスターであるエルヴィス・プレスリー氏が『ブルーハワイ』(1961年公開)で着用したこともあって大ヒットを記録。以降、同社製品はたびたびハリウッド映画に登場する。またベンチュラは初の電池式時計であり、時計界に新技術を持ち込んだ歴史的傑作でもあった。

ハミルトンの定番人気モデル、ベンチュラの魅力を読み解く

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『ハミルトン』の定番かつ人気モデルといえば「ベンチュラ」。2017年には誕生から60周年を迎えましたが、半世紀を経てもなお新鮮に映るデザインは名作と呼ぶに値します。

黒野 一刻

デザインもスペックも充実した満足度の高い15作

スポーティな「カーキ」シリーズからミッドセンチュリーの雰囲気を備えるデザインウォッチまで、『ハミルトン』のラインアップは幅広い。しかもその全てが高性能ムーブメントを搭載しているので、外観の好みで選択しても安心感が高いといえる。

1本目カーキ フィールド オート

第二次世界大戦におけるアメリカ陸軍支給モデルの系譜を継ぐミリタリーウォッチ。リューズを時刻調整の位置まで引くと針が止まるハック機能は、兵士同士が時刻を合わせる際に使われ、「ハック」という掛け声で再スタートさせたことから当時「ハックウォッチ」と呼ばれた。直径40mmのステンレスケースに、モスグリーンのダイヤルと肉厚なキャンバスストラップをセット。標準持続時間80時間を誇るキャリバーH-10を搭載する。10気圧防水。自動巻き。

2本目カーキ パイロット クロノクォーツ

2018年シーズンも、引き続き『ハミルトン』がレッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップの計時を担当することから製作された公式タイムキーパーモデル。グレーダイヤルに青い針や数字、赤いインダイヤル針をセットしてレッドブルカラーを表現した。また、12時位置にはチェッカーフラッグを模したインデックスを採用するなどちょっとした遊び心も潜んでいる。ステンレスブレスモデルのほかにカーフストラップバージョンもラインアップ。ケース径44mm。10気圧防水。

3本目カーキ X-ウィンド オートクロノ

「カーキ アビエーション」シリーズの最上位モデルで、クロノグラフなどを操るボタンやリューズが対極線上の“X”に配されていることから命名。ブラックPVD加工されたステンレスケースと黒色カーフストラップで、スタイリッシュな漆黒デザインを作り上げた。パイロットが使う編流修正角計算機能を始め、5つの機能を備える。同社エクスクルーシブ・ムーブメント、キャリバーH-21を搭載。ケース径45mm。10気圧防水。自動巻き。

4本目カーキ ネイビー オープンウォーター チタニウム

深海1000mの水圧に耐えられる設計の屈強なダイバーズウォッチ。1940年代に『ハミルトン』が発明した軍用モデルを想起させるリューズカバーは、ペットボトルのフタのようなスクリュー式の構造になっており、しっかりねじ込むことで水が浸入しやすいリューズ周りの防水性能を上げることができる。潜水からの経過分を計る赤い回転ベゼルは視認性の高いアルミニウム製で、安全設計の逆回転防止タイプ。自動巻きムーブメント、キャリバーH-10搭載。ケース径46mm。

5本目カーキ アビエーション パイロット パイオニア メカ

このルックスにピンときたなら、立派な軍モノウォッツウ。1973年、英国空軍に納入されたヴィンテージウォッチをリアルに再現し、現代的なスペックで仕上げている。ムーブメントは手巻きムー部の最新形、「H-50」。当時ならではのボックス型風防は加工が難しく耐傷性が高いサファイアクリスタルで仕上げられている。復刻というとサイズもモダンにされがちだが、こちらは堂々の33mm径。ファンも「そういうことだよ!」と諸手を挙げて喜ぶ名采配だ。ケースは縦35mm、横33mm。10気圧防水。

6本目カーキ ネイビー ビロウゼロ1000

『ハミルトン』屈指の存在感で、映画の衣装として採用されることも多い「カーキ ビロウゼロ」。2016年には映画『オデッセイ」にて主人公を演じるマット・デイモン氏の腕元にはまっていたことを、覚えている人もいるだろう。分類としてはダビングウォッチとなり、防水性は圧倒的な1,000m。ヘリウムエスケープバブルも搭載した、“本気”のスペックを実現している。ケースは46mm径。

7本目ジャズマスター ビューマチック スケルトン

19世紀末から20世紀初頭にかけてアメリカ南部を象徴する音楽として生まれた、“ジャズ”にフィーチャーしたシリーズである「ジャズマスター」。ダイヤルを大胆にスケルトン化し、駆動するムーブメントのメカニズムを視覚的に楽しめるモダンなデザインを構築している。搭載するキャリバーH-20-Sは、同社の頭文字“H”のパターンが入ったパーツやブラッシュ仕上げのローターなど、見られる意匠として独自の加工を施したスペシャル仕様だ。ケース径40mm。5気圧防水。自動巻き。

腕元で薫るエレガンス。ハミルトンのジャズマスターを徹底解剖

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数ある『ハミルトン』のシリーズの中でも、ドレッシーなルックスからビジネスマンからの支持も厚いジャズマスター。特に注目すべきモデルを、ピックアップしました。

Hiroshi Watanabe

8本目ジャズマスター シンライン オート

「ジャズマスター」から生まれた2018年のコレクションは、古典的スタイルのスリムな2針自動巻きモデル。ベージュダイヤルとグリーンのカーフストラップが、ヴィンテージウォッチライクなムードを漂わせる。文字盤はほかにゴールド系ブラウン、ブラック、ブルーを揃える。さらに取り外しが容易なイージークリックシステム付きのストラップはグリーン、ブラック、バーガンディ、ブラウンを用意しており、後に購入しての交換も可能だ。ケース径40mm。5気圧防水。

9本目ボルトン 機械式 手巻き

エレガントなアールデコの空気漂う、1940年の名作「ボルトン」。スクエアともトノー(樽)とも異なる、まさに「ボルトン」というべき形状で80年以上にわたり愛されてきた名品の1つだ。クォーツも用意されているが、こちらはよりクラシカルな空気を楽しめる手巻き。見た目は懐古的ながら、ムーブメントには『ハミルトン』の最新手巻きムーブ「H-50」を搭載しておりパワーリザーブも80時間を確保している。ケースは縦38.8mm、横34mm。5気圧防水。

10本目イントラマティック

『ハミルトン』でドレスウォッチを探しているなら、この「イントラマティック」が適任だろう。自動巻きながら1cmを切るケース厚に、細身の2針。バーインデックスもスタイリッシュで、42mm系と程良く主張するサイズ感ながらしっかりとドレス感を備えている。ボンベダイヤルやドーム型の風防など、細かな衣装は1960年代のディテールをきっちり踏襲するなど、『ハミルトン』らしく過去への敬意も忘れない。5気圧防水。

11本目イントラマティックオートクロノ

コントラストが効いたパンダダイヤルが特徴的なこちらは、1968年にリリースされた「クロノグラフB」の復刻モデル。実は過去に一度限定でリリースされているが、今作はケース径40mmと小ぶりになり、よりビジネスシーンにも似合う顔立ちになった。文字盤のロゴは、当時同様のものを採用。ムーブメントまでバルジュー7730……ではなく、60時間連続駆動高性能クロノグラフムーブメント「H-31」を搭載している。まさに正統なアップデートだ。10気圧防水。自動巻き。

世代を超える名作揃い。ハミルトンのアメリカンクラシックが面白い

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現在は本拠地をスイスに移しながら、旧き良きアメリカの空気漂う製品をリリースしている『ハミルトン』。ここでは大人に似合う「アメリカンクラッシク」を紹介しましょう。

夏目 文寛

12本目ブロードウェイ オートクロノ

「ジャズマスター」以来、約10年振りとなる2016年に生まれた新シリーズ「ブロードウェイ」は、ファッションと文化の最先端であるニューヨークの街がモチーフ。ダイヤル表面の縦縞模様は、ブロードウェイの摩天楼を表したもの。リューズガードを持たないケース、スクエア型のクロノグラフ用プッシャー、タキメーターを刻印した細めのベゼルを用い、スマートかつスポーティなデザインにまとめた。ケース径43mm。10気圧防水。自動巻き。

13本目パン ユーロ

1970年代に同社からリリースされた「パン ユーロ」を、現代技術で復刻した自動巻きウォッチ。クッションフォルムの42mmケースに、ラウンド型の文字盤とベゼルを組み合わせたレトロスタイルで人気を博している。パワーリザーブ最大80時間を誇るムーブメント、キャリバーH-30を搭載。写真のテキスタイルストラップのほかにブラックカーフストラップも付属しているので、カジュアルからスーツまで服装に合わせて使うことができる。5気圧防水。

14本目ベンチュラ

世界初の電池式時計「ベンチュラ」の誕生60周年を記念して復活した、蛇腹状に伸びるフレックスブレスレット装備の新バリエーション。当時エルヴィス・プレスリー氏自身が好みで愛機をフレックスブレスへと換装したという逸話もあり、このスタイルが確立した。個性的なケースは縦が約50.3mm、横が約32.3mmで、実用的なクォーツムーブメントを搭載する。イエローゴールドケースのホワイトダイヤル仕様も存在。5気圧防水。

15本目ベンチュラ エルヴィス80 スケルトン オート

“キング・オブ・ロックンロール”ことエルヴィス・プレスリー氏の生誕80年を祝す特別な「ベンチュラ」。スケルトン仕様のキャリバーH-10-Sの精緻さを眺められるよう、文字盤を格子状にしたユニークなデザインを取り入れた。ステンレス製のブレスレットはフレックスブレスの形状をモチーフにしたもので伸び縮みはしないが、観音開きタイプの堅ろうなバックルを備える。パワーリザーブ80時間。ケースは縦42.5mm、横44.6mm。5気圧防水。自動巻き。

雑誌やWEBを中心に活動するモノ系フリーライター。時計やクルマへの趣味が高じ、それらを専門的なジャンルとしている。最近欲しいモノは、同い年のアンティークウォッチ。
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