
一年中使えるビルケンといえば。モンタナならではの魅力を再確認
サンダルのイメージが強い『ビルケンシュトック』の中において、一風変わった魅力を放つ「モンタナ」。その特徴と取り入れ方を、順を追って解説しましょう。
まずは『ビルケンシュトック』についておさらい
『ビルケンシュトック』は、遡るとおよそ2世紀半にも及ぶ歴史を持つドイツブランド。今では夏に履くサンダルのイメージが強い『ビルケンシュトック』ですが、当時は“臣王のシューメーカー”の名に恥じない格式高い革靴も製造していました。そんな同ブランドの転換期は1896年。コンラッド・ビルケンシュトック氏がオリジナルのブルーフットベッドを製造したことで、一躍注目を浴びることになります。木製・金属製のフットベッド(中敷き)が一般的だったころにコルクとラバーを使用したブルーフットベッドはそれまでの靴の概念を変える画期的な発明だったのです。
1915年にはコンラッド氏はフランクフルトの野戦病院にて負傷兵のための整形外科靴の製作に着手。ブルーフットベッドをはじめとする氏の製品は医学博士にも認められ、援助も受けることでブランドはさらに発展。1954年に整形外科医であったカール・ビルケンシュトック氏が入社すると、サンダルの開発にも着手し始めます。そしてその9年後に誕生したのがファーストモデル「マドリッド」。ブルーフットベッドの開発から、約70年後の出来事です。そこからのブランドの成長は、皆さんの知っているとおり。何気なく履いている1足のサンダルには、1世紀以上にわたるテクノロジーが詰まっています。
『ビルケンシュトック』の「モンタナ」ってこんなシューズ
「モンタナ」は、『ビルケンシュトック』の中ではシューズカテゴリに位置するモデル。フォルムとしてはクロッグタイプの定番「ボストン」に近いものがありますが、2パーツで構成されたアッパーはヒールまですっぽりと足を覆う構造となっており、よりフィット感を高めています。やや幅広めに通されたデザインアクセントにもなっているシューレースも、足馴染みをサポートしてくれる要素の1つです。
例えるなら、「モンタナ」はサンダルと革靴が融合したようなデザイン。『ビルケンシュトック』ならではのオーセンティックな雰囲気は受け継ぎつつ、ほかのモデルよりもデコレーションが施されたよりカジュアルな顔立ちがその魅力です。また、スムースレザーやヌバック、スエード素材など革のバリエーションは他モデル同様ですが、2つのパーツを掛け合わせているため素材のコンビ使いも可能となっています。
これはモンタナに限らず全製品にいえることえすが、フットベッドの機能面も見逃せません。一般的に足の裏には3つのアーチがあり、そのアーチが浅く扁平(へんぺい)になると疲れやすいといわれています。『ビルケンシュトック』ではフットベッドの土踏まずの部分にメリハリをつけることでアーチをサポートしており、たくさん歩いても疲れにくくなっているのです。アウトソールのEVA素材もソフトで、下手なスニーカーよりも足に優しい靴作りこそが、同ブランドの真骨頂です。
同じヒールカップ付きのモデル「ロンドン」とは何が違う?
シューレースがワンポイントとなっている「モンタナ」に対し、クロッグサンダルの名作「ボストン」のようにストラップで甲を固定しつつヒールカップまで設けたのがこちらの「ロンドン」。「ボストン」が一枚革で校正されているのに対して「ロンドン」は中足部を境に二枚革で構成されており、ホールド力と歩きやすさを向上させています。「モンタナ」に比べてきれいめに履きこなせるため、自分の服のテイストに合わせて使い分けるのも良いでしょう。
『ビルケンシュトック』の「モンタナ」を、おしゃれなコーデを参考に履きこなす
2パーツ構造やシューレースの存在など、他の『ビルケンシュトック』のモデルとはひと味違う顔を持つ「モンタナ」。だからこそ気になるのが、着こなしへの落とし込み方です。持ち前のカジュアルさをどういなすべきか、先人達のスタイリングを参考にしてみましょう。
コーデ1
「モンタナ」がミニマルなツートーンコーデに味を生み出す
温かみのあるニットキャップやトップスと、「モンタナ」の色味を合わせた統一感のあるスタイリング。トップスとパンツでカラーを二分してすっきりとまとめつつ、アーシーにまとめることでアウトドアMIXの要素も取り入れています。色合わせがシンプルな分パーツで素材を変えた「モンタナ」の存在感がひときわ引き立ち、アクセントとして機能しています。
コーデ2
色あわせ次第では上品なコートスタイルにも難なくマッチ
インナーのシャツ以外をベージュカラーでまとめた着こなしは品がありつつも難易度高め。しかしそこに素材感豊かな「モンタナ」を合わせることでメリハリが生まれます。ベージュから「モンタナ」のブラウンまでのカラーグラデーションや、コートのAラインとシューズのボリュームとのバランスも絶妙です。
コーデ3
ヌバック素材の「モンタナ」は秋冬のアーシーなコーデと相性抜群
2パーツで素材を変えた「モンタナ」。その色を拾うようにコートやインナーをあつらえた上級者コーデです。その間に挟んだアースカラーのワイドパンツとの相性も上々で、「モンタナ」の持つ朴訥とした雰囲気を上手く生かしてスタイリングしています。全体を引き締めるように被った小ぶりな黒キャップの采配もお見事。
コーデ4
オールブラックならカジュアルな革靴感覚で落とし込める
アウターとパンツをブラックで合わせつつ、そこにオールブラックの「モンタナ」を履いたソリッドなスタイリング。リベットやシューレースなど要素の多い「モンタナ」ですが、色を絞り込むことでボリュームのある革靴やブーツのような感覚で見せることができます。インナーで利かせた赤で視線を上に持っていくことで、「モンタナ」を馴染ませている点にも注目です。
コーデ5
春秋のシンプルコーデでは、気の利いたアクセントに
プルオーバーパーカーにジーンズというアメカジの王道スタイルは、ともすれば没個性にも陥りがち。アクセサリーや小物でポイントを作るのが定石ですが、そんなときにも「モンタナ」は活躍します。こちらのコーデでは、ジーンズに合わせてブルーをセレクトすることで色味もガチャ付かず程良い統一感を演出。裾は太めにロールアップさせることで、「モンタナ」のボリュームを上手く中和させています。

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