
山使いにも普段履きにも。トレッキングシューズはおしゃれで頼れる実力派
山を主戦場としてきたトレッキングシューズが、今や街履きとして頻繁に使われている。改めてそのイロハとおすすめの旬アイテム、そしてコーデ術について取り上げたい。
タフに履けておしゃれ。トレッキングシューズが山でも街でも人気
ゴツゴツした悪路や急勾配の上り坂……難所だらけの山登りには、強靱で機能面に長けたトレッキングシューズがなければ始まらない。これまでにも街で履くことがもてはやされるケースはあったが、“山靴”特有のいかついルックスを見るにつけ、やはり専門靴であることを実感させられた人も多いのではないだろうか。それが近年、アウトドアブームの後ろ盾もあり、街でも存在感を発揮しているのだ。持ち前のタフさやファンクションはキープしながら、街にも息を合わせられるモダンに表現された今な1足。そこからは、ブレイクの可能性をビンビン感じるのだ。
そもそもトレッキングシューズとは? 登山靴の代表的な3タイプについて知っておく
先述したようにトレッキングシューズは登山靴の一種で、他にもハイキングシューズやアルパインブーツなどタイプの異なるさまざまなモデルが存在する。そこに明確な定義や使用場所・方法の規定などは定められていないが、それぞれの特徴を把握しておくことでアイテム選びの指針になるはず。まずは、今回の主役であるトレッキングシューズから特徴をご紹介していこう。
タイプ1
登山靴に活用の幅を生んだ「トレッキングシューズ」
登山靴の起源は諸説あるが、1800年代中頃にはすでに革鋲(銀製)が打たれた頑丈なシューズを履く人々の姿を資料で目にすることができる。重量がとてつもなかったという欠点はあったにせよ屈強さは登山時に頼もしく、以後、ソールのラバー化や保温性に優れるライナーなど改良が繰り返されてきた。その進化の果てに位置付けられるのがトレッキングシューズといえる。強靱ながら柔軟性もあるソールやタフな表生地によりもたらされた軽さは、日帰り登山でも山小屋泊登山でも最適だ。
タイプ2
より街感覚で履ける「ハイキングシューズ」
ハイキングシューズもまた登山靴の一種ではある。一般的なスニーカーよりはソール&アッパーの強度、透湿防水性、耐摩耗性といった点で優れているが、トレッキングシューズと比べるとやや控えめ。山中のウォーキングやキャンプなど、ライトなアウトドアシーンで扱いやすいよう軽量さや快適性、歩きやすさに重きを置いて作られている場合が多い。クッション性にも優れているため、山や街を問わず長時間の歩行において抜群の威力を発揮する。
タイプ3
ハイスペックを追求した本格派向きな「アルパインブーツ」
より険しい道や岸壁を伝っていくような難易度の高い登山、またはシビアな気候の多い厳冬期などに活躍するハイスペックな登山靴。スノーブーツ、ないしはハイカットのクライミングシューズのような見た目で、狭い足場につま先だけで固定できるようソールはハードめに作られている。先端にはクライミングゾーンと呼ばれる平らな作りのゾーンが設けられ、接地面積が広がる分ソール裏の摩擦力を存分に生かすことができる。
トレッキングシューズには機能がたくさん。その特長を知っておこう
ぬかるみ、道のデコボコ、急勾配。天候によっても状況は刻一刻と変わる山。トレッキングシューズは、そんな場所でもしっかり歩行をフォローするために作られた靴だ。それだけに、有する機能は頼もしく、さまざまなテクノロジーが駆使されている。ここではその最たる例を取り上げたい。
特長1
雨にも負けず、蒸れにも負けずな防水性&透湿性
時間とともに靴内に充満する蒸れ、急な天候の変化により降り出す雨……。登山時には、さまざまな障害が待ち受ける。だからこそ、足を包み込む生地に対する要求は高く、多い。耐久性は言わずもがなで、透湿性・防水性なども相応の水準が必要となってくる。そのため、トレッキングシューズで使われている生地の大半は、ゴアテックスなどそれらすべてをハイレベルでクリアしているものばかりが揃っているというわけだ。
特長2
歩きやすさも考慮した屈強なオールマイティソール
山道の大半は土。しかも、長短の木々や大小の石、岩の上を歩く場合だってある。そのため、山道で歩くことを目的としたトレッキングシューズのソールは肉厚かつ強靱で、安定性も群を抜く。しかし、それだけにあらず。登山の目的地はさまざまだが、概ね達成までには長い時間を有する。当然疲労も蓄積されていくため、これを軽減するクッション性や適度な柔軟性が必須。その硬軟のバランスの良さこそトレッキングシューズの真骨頂である。
特長3
安定感と履きやすさの一端を担う履き口
コンクリート舗装された街中とは異なり、平坦な道などほとんどないに等しい山道においてはケガのリスクはつきもの。そのため、屈強なアッパーやソールに加え、ひねらないよう足をしっかりホールドしてくれる1足が好ましい。その点においてもトレッキングシューズに抜かりはない。クッショニングに優れる履き口は足をやさしくサポートし、ヒールカップががっちりとフォロー。山中での歩行のストレスを一気に解消してくれる。
特長4
つま先にまでいたるリスクヘッジが安心を生む
岩につまずくかもしれないし、落下物があるかもしれない。あらゆるシーンを想定し、万全の状態を期しているからこそトレッキングシューズは山で欠かせないパートナーとされる。それを象徴する1つがトゥ部分。一見いつものそれとなんら変わらないが、内部には保護パーツが入っている場合が多く、外部からのプレッシャーや周囲のトラブルにも慌てふためくことはない。しかもソールは屈曲しやすいように作られ歩きやすさもひとしおだ。
見た目GOODで普段履きにも。おすすめトレッキングシューズ12足
トレッキングシューズの特徴や強みは確かに頼もしい。しかし、それはあくまでも山の使用を想定してのこと。街で履くとなると重さやいかつさが街の空気とかみ合わないことも考えられる。ただ、今のトレッキングシューズは、そんなフィールドの垣根を余裕で飛び越えるビジュアルを備えている。今回ピックアップしたアイテムを見れば、それも概ね納得するはずだ。
アイテム1
『パラブーツ』モンタナ
今では「シャンボード」や「ミカエル」といった「シティ」モデルがよく知られるところだが、ブランドの原点は登山靴にある。こちらは、その血統を感じさせつつ街との調和も図られたモデルで、30年ほど前に作られた登山靴の「ガリビエール」をベースに再構築。つま先からかかとにかけて施されたラバーが水の浸入を徹底的にガードする。
アイテム2
『ホカ オネオネ』カハGTX
強さとサポートを意味するマオリ語のモデル名に恥じない機能性のこちら。独自のフォーム素材、特許を取得した構造、ビブラムRメガグリップソールの機能が、登りは楽に、下りは足への負担を軽減しながら早くといった長距離トレッキングを可能にする。ゴアテックス素材を採用しているため、全天候的に対応してくれるのも良い。
アイテム3
『ヨーク』ジャーニー
優れた防水性・耐久性・耐摩耗性はアウトドアフィールドで心強い。まさに、場所を問わずあらゆるところへ連れて行ってくれそうな1足だ。ナイロンの7倍ほどの強度を誇るコーデュラ ナイロンや屈強なビブラムソールを採用し、スパンテックスのライナーは足へのフィッティングを高めるだけでなく靴ひもを緩めることなく着脱が可能に。
アイテム4
『ZDA』CLIMBER TREC
ブランドの名を知っている人はかなりのツウ。なにせ1950~80年代、チェコスロバキア(今はチェコとスロバキアは各々独立)に存在していた小さなブランドであるからだ。当時使われていた機材を使い復刻させたのがこちらの1足。凹凸のあるソールやアッパーのコンビが堅牢さとグリップ力を発揮し、パッド入りの履き口がフィット感とホールド感を担保する。
アイテム5
『マムート』デュカン ロー GTX
159年の歴史を誇るスイスのアウトドアブランドは、もとよりその性能を高く評価され多くの登山家から信頼を寄せられてきた。その最先端テクノロジーを盛り込んだのがこの1足。Flextron Technology、Georganic 3D Technology、Vibram Litebaseを搭載したことで、どんなハードな地形でも抜群の履き心地を提供。解剖学に基づいて作られたラストもそれを後押しする。
アイテム6
『イノヴェイト』ロックライト プロ G 400GTX
2003年創設の“トレラン”シューズブランドが、本格的なトレッキングシューズを製作。スイスの高級生地メーカー、ショーラー社謹製の屈強かつ軽量なセラミックコーティング生地が足回りを覆い、グリップ力と耐久性を備えたグラフェン素材ソールが登山時もしっかりカバー。カーボンを加えたヒールサポートで安定性と柔軟性を格段に向上させている。
アイテム7
『ビルケンシュトック』ジャクソン
サンダルがよく知られるブランドだが、秋冬にも活躍するアイテムは豊富にラインアップされている。しかもこちらは、今の空気を巧みに捉えた山顔のレースアップブーツときている。表面に撥水加工を施したワキシーヌバックレザーは、男らしい見た目とともに雨を弾く頼もしさ。もちろん、サンダルで実証済みの履き心地も健在だ。
アイテム8
『ネーム』×『トモタカオノザキ』トレッキングトレーナー
エアソールなどで世界から注目されている『トモアンドシーオー』のデザイナー、小野崎朋孝氏。彼の自由な発想力と、独特な色使いやパターンを駆使したリアル目線のウェアを展開する『ネーム』のコラボが実に痛快だ。ベースとしたスニーカーにトレッキングシューズの要素をドッキングし、履きやすさと機能性が見事に調和された渾身作。
アイテム9
『ザ・ノース・フェイス』トラバース トレッカー ゴアテックス
近年のアウトドアブームをけん引する立て役者の1足は、バランスの良いシティデザインとファンクションの融合がことさら目を引く。内部に高い防水透湿性を誇るゴアテックスメンプレンを投入し、着実に地面をつかむビブラム社のハイスペックソールは雨の日でも安心だ。スエード&ナイロンのアッパーをオールブラックで仕上げたモダンさもならでは。
アイテム10
『キーン』テンポ フレックス ミッド ウォータープルーフ
「ユニーク」をはじめ、人気のアイテムを続々と展開する『キーン』。こちらの「テンポ フレックス ウォータープルーフ」は、トレッキングシューズの技術にミリタリーブーツのデザインをドッキングさせた意欲作だ。最大の特徴であるキーン ベローズ フレックスをトゥ部分に搭載し、抜群の屈曲性を実現。また、アッパーにはリサイクルPETを採用しているため、環境にやさしく大人にとって選びたいポイントの1つといえる。
アイテム11
『コールマン』トレッキングミッドスニーカー
アウトドアギアをはじめとした、最早アウトドアを語るうえで欠かせない存在『コールマン』。アウトドアを知り尽くしている同ブランドなだけに、そのトレッキングシューズは機能性抜群。高い防水機能を搭載し、アッパーとシュータンをつないだガゼット構造は甲部からの砂利などの侵入も防止。さらにアウトソールに採用したラギットソールはグリップ力に優れ、かつ高い防滑効果を発揮してくれる。防臭効果もついていて、まさにいたれりつくせりだ。
アイテム12
『メレル』カメレオン 8 ストーム ゴアテックス
『メレル』から2006年に登場し、アウトドアシーンだけではなくファッションシーンなどでも支持される「カメレオンストーム」シリーズからの1足。メッシュ素材のアッパーは、国際基準のISO規格において、濡れた状態で繰り返される摩耗テストにもクリア。さらに抗菌防臭テクノロジーであるクリーンスポートNXTや防水透湿性を持つゴアテックス、従来よりも耐久性に優れるビブラム XS トレック エヴォなど欲しい機能がすべて詰まったような逸品だ。
普段使いも難しくない! おしゃれ賢者から学ぶトレッキングシューズの履きこなし術
山でも威力を発揮する機能性を備え、街にもすんなり溶け込むルックスで仕上げられたアイテム。その新世代のトレッキングシューズは、ファッションシーンでも多くの共感を得ている。フィールドの垣根を軽々飛び越える1足だけに、想像通り幅広いコーディネートに応用可能。その好サンプルを参考に、自分らしい取り入れ方を探ってもらいたい。
着こなし1
ハイカット&ソックスインで表現するベテラン感
トレンドの最前線をいくアウトドアスタイルだが、全身それ一辺倒では芸がない。となれば、普段の着こなしにド直球なアウトドアシューズを合わせるぐらいがちょうど良い。さらに、ハイカットを選びながらボトムスの裾をソックスインさせ、クラシカルなアウトドアスタイルを演じればグッと味わい深い印象になるだろう。
着こなし2
山っぽさを巧妙に引き締めるブラックの一手
モコモコのほっこりアウターは今季も引き続きシーンのトレンドをけん引する存在。アウトドア色の強いアイテムだけに、足元もトレッキングシューズではトゥーマッチな印象になりかねない。しかし、モダンさがほのかに香るブラックのシューズなら野暮ったさを控えられるうえ、カモ柄&派手色ソックスのアクの強さまでコントロールできる。
着こなし3
アーバンな定番スタイルを山っぽい足元で鮮度アップ
モッズコート、ニットカーディガン、そして細身のジーンズ。間違いのない着こなしではあるが、定番だけに代わり映えしない危険性も。ただ、いつもならスニーカーや革靴を合わせるところをトレッキングシューズに変更することで一気に印象が変わる。ボトムスと同系色のアイテムを選べば、違和感なくスタイルに馴染ませられるのでおすすめだ。

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2021.11.25
この記事の掲載アイテム一覧(全12商品)
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『パラブーツ』 モンタナ
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