秋のジャケット講座。オンとオフの着分け方を解説

秋のジャケット講座。オンとオフの着分け方を解説

大人の日常着は、テーラード型のジャケットが基本。とはいえ、1年中同じというわけにはいきません。そこで、秋冬らしいジャケットを着こなしとともに紹介します。

池田 やすゆき

2016.10.26

アウター
ジャケット
テーラードジャケット
秋の着こなし・コーデ

秋冬ジャケットは素材選びが肝心です

サラッとドライなトロピカルウールやリネンといった春夏用の素材に対して、フランネルやツイードなど、昔ながらの紡毛素材は秋冬の基本であって大定番。これらの“もしゃもしゃ素材”はイギリスで織られていた生地に多く見られますが、最近ではイタリアをはじめとする海外の生地メーカーも“もしゃもしゃ素材”を手がけています。ただ、基本的に、もしゃもしゃ=英国というのが暗黙の了解となっているんです。これファッション業界の基本なので、覚えておきましょう。

今年の秋冬は、イタリアよりもイギリスのメンズスタイルがトレンド。そのためか、昔の映画にでてくるイギリス紳士のようなジャケットが多く見られます。なかでもフランネルやツイード、コーデュロイなどの素材はヴィンテージ感と相まって人気。また、レディースで使われていたブークレーなどもメンズに進出しています。ニットを採用したテーラード型ジャケットも人気で、こちらも各ブランドがリリースしています。とはいえ、「素材のことがわからない」「ブークレーって何? はじめて聞いた」という方も多いはず。そこで、例にあげた“もしゃもしゃ素材”を軸に、今季のおすすめジャケットを解説します。

素材別にレクチャー。“もしゃもしゃ素材”の特徴と着分け方

“もしゃもしゃ素材”とひとくちにいっても、その種類はさまざま。セレクトの幅が広いのは今季ならではの楽しみといえるでしょう。ただし、どのような素材にもスタイリングの相性があります。そこで、素材別に特徴やオンとオフの着こなしをまとめてご紹介。見た目や着用感の好みもチェックしつつ、秋冬の参考にしてください。

素材1:フランネルのジャケットはあくまで正統派に着る

アメカジの定番ネルシャツなどでもお馴染みですが、「ネル」というと一般的にはコットン素材を指すようです。なのでジャケットの場合はウールベースのフランネル。細かい毛羽の浮く厚手の素材です。

オンのフランネルジャケットは、グレーやネイビーなどベーシックカラーをタイドアップして正統派に着るのが基本。柄物のフランネルも出ていますが、多くは無地のため、タイも無地にしてミニマルに合わせるとモダンに着こなせます。

また、素材であればウールやカシミヤのタイもマッチするのでおすすめ。定番的に人気のグレーフラノ生地のジャケットにエンジのタイは、オジサンっぽさがぐっと増すので注意が必要です。ですので、「グレーフランネルは、どんな色でも許容します」の売り文句にだまされて、ピンクやイエローなどのカラーシャツを着てしまうと、一気に野暮ったくなりますので、こちらも安易に真似しないようご注意ください。

オンの着こなしシンプルなカラーリングがグレーフランネルをモダンに見せます

グレーフランネルにはネイビーや、同系色のグレーなど、寒色系のソリッドタイを合わせるとモダンな印象に。こちらは『カノニコ』のソフトフランネルですが、サテンやツイル系のシルクタイではなく、マットな質感のウールタイを合わせていますね。起毛素材のフランネルには、こんなVゾーンが鉄板ってことです。

オフの着こなしリラックスした素材感を生かすなら、インはシンプルにTシャツ1枚で

フランネルは“田舎くさい”と思われがちな素材。しかし、それはシンプル過ぎて、ついごちゃごちゃと足し算コーデをしがちだから。あくまでシンプルに着こなせば、フランネルを都会的に着こなせます。ライトグレーのシルク混フランネルは、くつろいで着られる軽量素材ですので、インも白Tシャツ1枚ぐらいがベスト。

素材2:ツイードはきっちりも、ラギッドにもイケる素朴な素材

本来は英国羊毛を使って粗く織った、硬くて厚手の生地なのですが、近年は薄手で軽いものも出ています。表面にケンピと呼ばれる白い毛が起毛するため、チクチクする素材です。おじいちゃんのクロゼットに1着ぐらい入ってるのでは?

ヘリンボーン織りや、カラーネップが交じるホームスパンなどが有名。ハリスツイードなどで知られるスコットランド地方原産でゴワっと硬い手触りだったツイードも、近年はやわらかくて軽いものが増えてきました。見た目はいまだにゴワっとしていますので、素材の味を生かすならデニムシャツやケーブル編みのニットなどをコーディネートするのが◎。ソフトツイードの場合は、フランネルと同じようにコーディネートすれば大抵の場合うまいこと着こなせます。

オンの着こなしシャンブレーシャツと合わせてカントリーなタイドアップを

ツイードのラギッドな素材感は、デニムやシャンブレー、オックスフォードなど粗めのシャツと相性が良好。タイドアップするならウールやロウシルク(シルクなんだけど、ツルツルテカテカしてないざらりとしたもの)など、光沢を抑えた素材のタイがよいでしょう。ちなみに、こちらのハリスツイードのジャケット、ラペルにタブがついています。これはハンティングジャケットに特有のディテールで、スポーツ用のユニフォームからきているデザインなんです。

合わせて読みたい:
ジャケットもコートもこの素材で。ハリスツイードで作る大人の装い

オフの着こなしツイードと出身地がほど近い、ケーブル編みのニットと合わせる

『インバーアラン』などで知られるケーブル編みのニットと、ツイードは同じスコットランド生まれの素材です。当然のことながらコーディネートの相性がよく、ケーブルニットにツイードジャケットを羽織るだけで、気分は即カントリージェントルマンに。「おじいちゃんぽいのでは?」と思われるかもしれませんが、大人っぽく装えるので逆に若い人に似合いますよ。

参考記事: ニットアイテムならここ!インバーアラン解体新書

素材3:レディース素材のブークレーがメンズでも市民権を得ました

ブークレーは、生地の表面がモコモコとループ状に起毛した素材で、レディースのアイテムによく見られるものでしたが、近年なメンズに起用されて注目されています。起毛のループが細かいほうがドレッシーなイメージで活用できます。

数年前はメンズで見ることのなかったフワフワモコモコのブークレー。レディースのジャケット生地や、インテリア生地として使われることが多かったこの生地が、メンズにやってきた途端、物珍しさも手伝って一気に広まりました。とくにイタリア系のジャケットブランドが好んで使っているので、大手セレクトショップのジャケットセレクトには必ずブークレーが入ってるはずです。ブークレーは、伸縮性が高いので着たときや動くときにつっぱり感がないことが特徴。素材の特性にあわせて芯地を省いたアンコンジャケットが多いことも人気に拍車をかけているようです。

オンの場合ベーシックカラーのブークレーならビジネススタイルにもOK

ネイビーやグレーなど、ベーシックなビジネスカラーのブークレージャケットなら、遠目には普通の紺ジャケ、グレージャケットにしか見えませんので、いつもどおりの着こなしが可能です。春夏のジャージージャケットを、衣替えのときに秋冬はごっそりブークレージャケットに入れ替えるというわけですな。

オフの場合オフスタイルはカットソーで軽~く着るのがブークレーのお約束

とにかく生地感が軽いので、ブークレージャケットはインを重くし過ぎないことが大切です。オフの場合はニットよりカットソーを。タートルネックよりも、クルーネックやヘンリーネックを着ることで、ブークレーの軽さが生かせます。シャツを着るときも、裾出しで着るぐらいが似合いますよ。

素材4:技術の工場でニットもテーラード型ジャケットに進化

セーターなどに使うニットをテーラード型のジャケットに仕立てたものが今年は大人気です。多くのブランドがリリースしています。ITやクリエイティブ系の職場でしたら会社に着ていっても全然大丈夫でしょう。金融機関やお役所では難しいかもしれませんが、度胸がある人はぜひ。

ニットは「編み」の特性上、立体的に作り上げるには人間の手作業が不可欠なため、ジャケットに編みあげるのはコストが掛かり過ぎるものでした。しかし、近年の技術革新によって、肩まわりを立体フォルムに整形したり。フロントカットがなめらかに曲線を描くよう目減らし編みする技術が誕生したことで、ニットジャケットが多くのブランドからリリースされるようになったんです。イノベーションってすごいですね。

オンの場合ニットだってタイドアップすれば会社に行けます

ニットジャケットもテーラード型のものなら、タイドアップしてビジネススタイルに使えるものが多数あります。ネイビーやグレーなどビジネスカラーであること、そしてルーズフィットでないことが選びのポイントになります。裾のカットがきちんとラウンドしていることも、ニットジャケットとしてビジネスOKかNGの判断基準ですよ。

オフの場合ニットジャケットにはボリューミーな巻き物が似合います

ハイゲージではカーディガンっぽいですし、ローゲージではカウチンセーターのようになってしまうからでしょうか、ほとんどのニットジャケットが、やや粗めのミドルゲージです。となるとインはシャツでもTシャツでもいいのですが、襟元にちょっとボリュームがあると全体のバランスがよくなります。そこで巻物の登場です。マフラーやストールなど、ちょっと量感あるように巻くと好印象です。

素材5:秋冬の定番、コーデュロイも再注目

コーデュロイは、コール天ともいいますが、畝織りの起毛素材です。本来は夏物のワークウェアの素材だったのですが、秋冬の起毛素材として着られます。しばらくトレンドの俎上から外れていましたが、今年は再注目されています。

もとは夏の労働着の素材として誕生したものだと、なにかで読んだ記憶がありますが、いまではヨーロッパはもちろん、日本でももっぱら秋冬素材です。細めの畝から太めの畝まで、種類もさまざまですが、細いものは少々ラギッドで、太いものはちょっとモードな印象です。ビジネス用ジャケットとして着るなら、細すぎる畝はカジュアルに見えますのでご注意を。逆に太畝のものはデザイナーズっぽく見えますので、こちらもご注意を。つまりIT系以外、会社に着て行くなってことですね。遊び用ですかね。

オンの場合カントリージェントルマンにはチェックシャツをタイドアップ

コーデュロイという素材自体にカジュアルな印象があり、しかも必ず無地ですので、Vゾーンに色柄を差して着るのが間違いありません。カジュアル系のスタイルがOKのビジネスシーンで着用するなら、少し抑えめのカラーチェックシャツを選んで、こんな風にコーディネートしてみては。

オフの場合ラギッドな風合いを生かしてデニムとコーディネート

コーデュロイとデニムはともに労働着を出自にもつ、ワークウェア同士同士ですから相性も良好です。ちょっとダメージがはいったデニムでも、コーデュロイジャケットと合わせると、まとまって見えるんです。インはTシャツでも十分ですが、ニットでもOK。足元はベーシックなスニーカーがよいでしょう。

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TASCLAP編集部

「FINEBOYS」編集部を30歳で独立。以後フリーのファッションエディター&ライターとして「MEN’S EX」「LEON」「GQ」「AERA STYLE MAGAZINE」など各メンズ誌・WEB版のほか、企業広告、オウンドメディアにて執筆。BBQインストラクター、第二種電気工事士など資格多数。目下の目標は危険物取扱者乙種4級取得。
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