
MA-1のすべて。今買いのブランドと真似したいコーデ術
男の鉄板アウターとして定着したMA-1。アイテム自体はプレーンなタイプを選ぶのがセオリーですが、ディテールや選び方、コーデ術はアップデートしていきましょう。
そもそも、MA-1ってどんなアウター?
まずはそもそも論として、MA-1がどういうジャケットかについて軽く解説を。1944年に誕生したフライトジャケットB-15の後継モデルとして、1950年代初頭にアメリカ空軍で採用されたのがその始まりです。“インターミディエイトゾーン”と呼ばれる10℃から-10℃の気温で着用され、カラーはくすんだ緑であるセージグリーンが基本。飛行機のシートに座った際に生地が挟み込まれないよう、後ろ身頃を短めに設定しているのも特徴です。また、本来のMA-1は裏地に視認性の高いオレンジカラーを用いていますが、これは万一の墜落・脱出を想定しての仕様。裏返しに着ることで救出部隊の発見率を上げる役割を果たします。
今年もMA-1は安定の人気。持っておかない手はナシ!
“ミリタリーがルーツのタフなアイテム”という印象のMA-1ですが、今ではワードローブの定番としてすっかり市民権を獲得しています。その支持率の高さは今シーズンも健在ですが、選び方や着こなし方には微妙に変化が。どういったモデルをピックアップし、それをどう着こなすべきか。センス良く装うためにも最新のMA-1スタイルを知っておきましょう。
今年らしさを取り入れる、MA-1の選び方とは
“着ておけば間違いない”。そう言っても過言ではないほど不動の定番であるMA-1ですが、今年らしく見せるためにはセレクトの際に押さえておくべきポイントがあります。購入時に見ておきたいのは、以下の3つの要素!
ポイント1
サイジングのキモは“丈感”にあり
リラックスフィットが隆盛を極める昨今のファッションシーンですが、MA-1に関しては注意が必要。オーバーサイズで今シーズンらしさを演出するとしても、丈の長さがあまりにも長いと単なる“だらしないファッション”に見えてしまいます。そのため、身幅は広めでも丈の長さは腰の位置におさまるモノを選びましょう。また、よりシティライクに着こなすのであれば細身のデザインを選ぶとベターです。
ポイント2
古き良きMA-1と同様、無駄のないディテールが良い
多数のポケットやワッペン、刺繍などでカスタムされたMA-1も散見されますが、大人っぽさを保ちつつ着るのであれば、1950年代当時のMA-1と同様の簡潔なデザインが吉。もともとのMA-1は、コックピット内で機材に引っかからないようきわめてシンプルに作られていました。余計な装飾は子供っぽさを高めてしまうのでご注意を。
ポイント3
ナイロン以外の素材で遊んでみるのもアリ
MA-1の素材といえば、生地表面についた水分の氷結を防ぐナイロンがオリジナル。しかし、周囲との差別化を狙うのであれば、それ以外のマテリアルを選んでみるのも良手です。たとえばコットン×ポリエステルの混紡素材でミリタリーコーデに軽快感を演出したり、写真のようなボア素材でトレンド感を強調したりと、テイストの好みに合わせてセレクトしましょう。
今年狙い目のブランドはこれ。おすすめのMA-1をピックアップ!
センス良いコーディネートの一助となってくれる、こなれ顔のMA-1ジャケットを15着レコメンド。どれもさりげなくスタイリッシュで、今どきな大人の好みにマッチしてくれます。
アイテム1
『バズリクソンズ』MA-1 D-タイプ
ヴィンテージのミリタリージャケットを追求する、実力派日本ブランドよりお目見え。こちらのMA-1はグランドクルー(地上整備兵)が着用するモデルがモチーフで、パイロットが空中からでも視認しやすいよう袖と背面にリフレクターテープがあしらわれています。表地は屈強なヘビーナイロンツイルで、ウール×コットンの中綿により充分な保温性も確保。
アイテム2
『アヴィレックス』MA-1ヴィンテージ
MA-1の3rdモデル「MIL-J-8279B」の中でも、とりわけ人気の高い1959年版をイメージソースとして製作。表地のナイロンに始まり、中綿・リブ・ボタンに至るまで、忠実に当時を意識して作り上げています。ただし、シルエットのみ現代的にアップデート。クラシック感と今っぽさの両方を兼ね備える1着となっています。
アイテム3
『アルファ インダストリーズ』MA-1 ナイロンジャケット U.S.サイズ ビッグシルエット
サプライヤーとして軍用ジャケットを4千万枚以上も生産してきたミリタリー界のリーディングブランド。中でも看板アイテムと言えるのがMA-1です。こちらのモデルは身幅や肩周りがゆったりめに作られたUSスペックで、今季らしいビッグシルエットコーデに最適。袖のシガレットポケットにはお馴染みのレッドリボンが付属し、“らしさ”を主張します。
アイテム4
『ビームス』MA-1
レトロなMA-1を踏襲したモデルですが、撥水性に長けたナイロンツイルを表地に用いたり、軽量性&保温性を併せ持つ機能中綿サーモライト マイクロを封入したりと、スペックは今日的! 太番手ステッチで縫製してパッカリングを表現するなど、細部ディテールも妥協はありません。なお、着丈はかなり短めに設定されています。
アイテム5
『エストネーション』ダンボールニット MA-1ブルゾン
“ド”が付くほどの定番アイテムであるMA-1ですが、柔らかなダンボールニット素材だと一味違った上品な見栄え。しかも、保温性が高いので真冬でもメインアウターとして活用できます。シルエットはやや細身で、きれいめパンツとも相性良好。共地のパンツも展開されており、セットアップ使いにも対応します。
アイテム6
『ビューティアンドユースユナイテッドアローズ』パーテックス ジップブルゾン
MA-1をデザインベースとしつつも、中綿やシガレットポケットを省くことによりシャープなルックスを実現。表地には軽量性・撥水性・耐久性の三拍子が揃ったパーテックスナイロンを起用しており、快適性も申し分ありません。ニュアンス付けがイージーなダブルジップもうれしい要素!
アイテム7
『ネイビーバイ ナノ・ユニバース』MA-1
『ネイビーブルー』と『ナノ・ユニバース』による注目のコラボコレクションより登場。素材には特殊加工を施したポリエステルナイロンを選択しており、独特な風合いを有しています。加えて、着込むほどに表情が深まる素材なので、育てる楽しみを味わうことも可能。洗練された印象を呼び込むネイビーカラーも目を引きます。
アイテム8
『アタッチメント』シュリンクナイロン パッカブルMA-1
シュリンク加工でフィニッシュした、こなれ感あるナイロンボディーが魅力的。しかも、本体ポケットに自己収納できる便利なパッカブル仕様ですから、気温が曖昧な日の羽織りものとしても重宝します。シルエットは一見細身ですが適度にゆとりがあり、中にニットやスウェットを着込むことができます。
アイテム9
『ショット』レザージャケット バワリー MA-1
大人っぽさを打ち出すならば、リッチなレザー素材を選んでみるのもひとつのテです。このMA-1は、しっかりとした厚みがある高品質ベビーシープを素材にチョイス。ブランドオリジナルのレシピでなめされており、コクのある風合いに仕上がっています。サイズ感はゆったり目で、レイヤードスタイルもお手の物!
アイテム10
『マージン』ナイロン フリース リバーシブル MA-1
表地に撥水加工のナイロンツイル、裏地に暖かなフリースを使ったリバーシブルデザイン。表裏でガラっと雰囲気が変化する、1着で2度美味しいアイテムです。ナイロンとフリースの間には中綿が配されているため、防寒性も抜群! それでいてアンダー3万円のプライスですので、コストパフォーマンスは◎です。
アイテム11
『ラトルトラップ』フェイクスウェードMA-1
品良い顔立ちのフェイクスウェード製。リアルレザーさながらの質感でありながらもイージーケアなので、ヘビロテにはもってこいです。おまけに、カットソー素材のフェイクスウェードのためストレッチ性も良好で、窮屈感とは無縁。ラフなデニム~きちっとしたスラックスまで、ボトムス不問なのもメリットです。
アイテム12
『カンビオ』レザー×ナイロンMA-1ジャケット
パーツや縫製糸まで一貫してブラックで統一したシック&ミニマルなMA-1。しかし、身頃ナイロン×袖レザーのコンビネーション素材のおかげでメリハリある面持ちです。すっきりシャープなシルエットも奏功し、カットソーやシャツにさらっと羽織るだけでも洒落感を演出できます。
アイテム13
『シュタンバウム』Gum-A1
MA-1をダウンアウターとして再構築。中には最高品質を誇るハンガリーグースダウンがたっぷりと充填されていて、圧巻の防寒生を誇ります。加えて、この羽毛にテフロン加工を施すことにより、耐久性と反発性を一段と向上。表地にはオリジナルで製作したライトウエイトなポリエステル生地をピックしています。
アイテム14
『ユニフォームエクスペリメント』リバーシブルMA-1
表側はナイロン製のフライトジャケット、逆サイドはウール×ポリエステルのテーラードジャケットという、一風変わった両A面アウター。これ1着でカジュアルからトラッドまでカバーできますので、コーデの幅がグッと広がります。MA-1側の袖に付属するバゲッジタグは、好みに応じて取り外し可。
アイテム15
『N.ハリウッド』ブルゾン
限りなくディテールを削ぎ落とし、かつ薄手生地で仕立てることでスマートな風貌を形成。表地のポリエステルタフタは高機能なソロテックス糸で織り上げられており、形状記憶性や伸縮性などさまざまな特性を備えています。また、撥水加工も施されていますから、ちょっとした雨であれば苦にしません。見た目も機能も隙がない、才色兼備な1着です。
今年はどう着る? MA-1の最新コーデの作り方
最後は、MA-1を今っぽく着るためのコーデテクにフォーカスし、3つのパターンを紹介します。MA-1は“ド”がつく定番アイテムだけに、着こなし術で周囲と差をつけたいところです。
▼コーデテク1:ニットとのコンビネーションでトラッド感をブレンド
男らしさに満ちあふれる一方で、一歩間違えると野暮ったい感じに転んでしまう危険性があるMA-1。しかし、トラッドなニットをインナーにもってくるだけで武骨さが簡単に和らぎ、グッと今年らしくまとまります。ミリタリージャケットをスマートに着こなせるテクです。
MA-1ジャケットのもつ骨太感を、品行方正なタートルネックニットで緩和。ミリタリー×トラッドのMIXコーデに仕上げています。ニットだけでなくスニーカーにもホワイトをもってくることで、軽やかさをアップさせているのもキーポイントです。
タートルニット&ボトムスともにモノトーンカラーをチョイス。こうすることでミリタリーアウターの土くささをそぎ落として、都会的なMA-1コーデを実現しています。ウェアだけでなく、ニットキャップやシューズも無彩色を選び、一体感をさらに向上させました。
“ワイルドさ”がどうしても先行しやすいミリタリースタイルですが、インナーのニットとボトムスをアースカラーで連動させることで大人の落ち着きにアプローチ。さらに、足元にかっちり感あるレザーシューズを持ってくれば、街っぽい印象がいっそう高まります。
▼コーデテク2:スラックスとの競演できれいめに着こなす
きれいめにミリタリージャケットを着るのがトレンドとなっている昨今において、スラックスはかなり頼りになるパートナー! 男らしさと大人っぽさが好バランスで共存するスタイルを形成できます。まずはブラックやグレーといった定番色のスラックスから押さえておきましょう。
ホワイトパーカー&黒スラックスのクールなモノトーンスタイルに、MA-1でミリタリーテイストを加味。ただし、シャープなサイズバランスでハイセンスな雰囲気をキープしています。大人っぽさを強調するため、足元には上品なレザーシューズをピックアップ。
黒ニット&グレースラックスの無彩色コンビで、MA-1ジャケットを巧妙にアク抜き。清々しいホワイトスニーカーを足元にチョイスし、季節感も上手に落とし込んでいます。こんなクリーンなミリタリーコーデならば、好印象は間違いなしです。
細身のスラックス使いやタックインテクで、ミリタリースタイルを品良くアップデート。ハット、ベルト、シューズのカラーを黒で連動させることで、シック感をさらに格上げ! 袖のロールアップや足首を見せることで、重くならないよう配慮しているところもさすがです。
▼コーデテク3:スポーツアイテムとのMIXでメリハリを
スポーティなアイテムとミリタリーウェアの組み合わせも見逃せないビッグトレンド。ガラッと異なるテイストの両者ですが、意外にも高い親和性を見せてくれます。スウェットパンツは比較的取り入れやすいスポーツアイテムですので、ビギナーはまずそこからチャレンジを。
ワッペンつきのスウェットパンツでスポーティさをMIX。色褪せたデニムシャツをインナーに挿して抜け感を出したのもキーです。男らしい印象が前に出るMA-1ですが、こんな感じでゆるく着こなすのも良いですね。足元の真っ赤なオールスターがアイキャッチ。
『チャンピオン』のスウェットパンツに『アディダス』のパーカーと、スポーツアイテムを多めに投入。ダークカーキのタフなMA-1をうまく着崩すことに成功しています。しかも、バーガンディカラーのスニーカーで季節感を巧みに取り入れました。
下手を打つとラフさが強くなり過ぎてしまうミリタリー×スポーツのMIXスタイル。しかし、彼はMA-1&スウェットパンツともに細身のフォルムでまとめて、アーバンな印象を入手しています。ボリューミーなスニーカーでシルエットにリズムをつけるテクも参考に。
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山崎 サトシKEYWORD関連キーワード