新生セイコー5スポーツが示す、機械式時計のニュースタンダード

新生セイコー5スポーツが示す、機械式時計のニュースタンダード

紆余曲折を経て、昨年に復活を遂げた名機『セイコー5スポーツ』。日本が誇る古きよき機械式時計のアップデートは、多様化する現代の新たなるスタンダードを提示します。

増山 直樹

2020.01.04

セイコー(SEIKO)
セイコー5スポーツ(Seiko 5 Sports)
腕時計
機械式

2019年、世界的な機械式時計の名品が日本に復活

スマホが生活の主導権を握る現在を例にとるまでもなく、腕時計の持つ役割は時代とともに変化するもの。それをどう捉えて形にするかが、各ブランドの腕の見せどころです。そんな中、日本の老舗ウォッチメーカーとして多くのラインを従える「セイコー」は2019年、世界的に有名なシリーズを編集し、再び世に送り出しました。そうして生まれたのが、新生『セイコー5スポーツ』です。ロゴデザインを一新して、“Show Your Style”をキーワードに再出発。そこには、自己表現としての腕時計を突き詰めた先の、強烈なメッセージが込められています。

『セイコー5』とはどのようなブランドだったのか、現在に続くルーツを探る

「セイコー」。そう聞くと、クォーツ時計のイメージが強いかもしれません。しかし、1881年創業の名門が世界初の水晶式機構搭載モデル「セイコーアストロン」を発表したのは、1969年のこと。それ以前はクロック・ウォッチを問わず、時計大国スイスをも凌駕する機械式時計を手掛けていました。そんな“クォーツ前夜”のアイテム群の中でも特に若年層から圧倒的な支持を集めたのが、高機能でリーズナブルな『セイコー5』です。1963年発表の「セイコー スポーツマチック5」をルーツとする人気シリーズは、名前の“5”にちなんで5つのアイデンティティを忍ばせていました。

その5つとは、切れないゼンマイ、耐震装置、自動巻きムーブメント、防水機能、デイデイト表示。こうした機能面の充実こそ『セイコー5』の代名詞だったのです。画期的な実用時計として登場した『セイコー5』は、外見もセンセーショナル。ドレスウォッチ全盛の時代にアクティブなイメージを打ち出し、差別化を図りました。以降、多くの国で好評を博しますが、前述のクォーツ時計の登場などにより販売規模は縮小。日本国内での正規販売はストップします。一方で海外では引き続き需要が多く、生産が続けられていました。結果、その希少性とプロダクト本来の質実剛健な魅力から日本でも逆輸入品として受け入れられ、2019年の復活につながったのです。

『セイコー5スポーツ』が提案する、5つのスタイルを解説

実は“5”の意味するところは、時代を追うごとに多少変わっていきます。長年愛されたシリーズだからこそ、バリエーションが拡大。時代感に応じて、優れた性能やセールスポイントが強調されました。そして今回のリローンチにあたり、“5”はスタイルとしての意味も持つことに。より多様化する現代的ライフスタイルにフィットする、『セイコー5スポーツ』の新しいラインアップを探っていきましょう。

▼スタイル1:アクティブさを体現。オーセンティックな顔立ちの「スポーツスタイル」

ダイヤルやベゼルに爽やかなブルーを用い、アクティブマインドを表現。「スポーツスタイル」には、“先代”のDNAを特に色濃く受け継いだモデルが顔を並べます。なお、後述の4つを含めた5つのシリーズは、すべて同じ形のダイヤル&ケースの派生デザイン。これには“捉え方1つで、既存の枠組みは超えていける”というブランドのメッセージが秘められているのです。

▼スタイル2:スタイリッシュなディテールがビズの腕元にも似合う「スーツスタイル」

フィット感の高いSSメッシュブレスレットに、レトロテイストなフェイスデザイン。「スーツスタイル」は、その名の通りオンのビジネスシーンでも頼れるデザインが特徴です。『セイコー5スポーツ』特有の4時位置のリューズも、品行方正なルックスの中で楽しいアクセントを添えます。仕事は真面目に、そして遊びも忘れず。そんな充実した大人のライフスタイルを彩ってくれることでしょう。

▼スタイル3:色と素材でクラス感も獲得できる「スペシャリストスタイル」

その特別感は、移ろう時代に流されず我が道を行くスペシャリストが如し。色と素材で他とは一線を画す高級感を味わえるのが「スペシャリストスタイル」の魅力です。こちらのモデルはケースとベゼル外周にピンクゴールドメッキを使用し、質感の豊かなカーフストラップを装着。トラディショナルかつドレッシーな面持ちで、華やかなシーンでも活躍しそうです。

▼スタイル4:軽妙さと個性を巧みに表現した「ストリートスタイル」

例えばこんなオールブラックの1本。時計に求められるべき視認性をあえて無視したかのようなスタイリッシュかつ自由な発想は、まさに「ストリートスタイル」を象徴するものです。ケースは光沢を抑えたマット加工で仕上げられ、コーディネートの幅が拡大。着こなしの一部として服と同列に捉えたくなる感覚も、このシリーズならではの魅力でしょう。

▼スタイル5:満を持して登場。唯一無二の「センススタイル」

直感に響くクリエイティビティなシリーズ。そう謳われる「センススタイル」ですが、実は2019年8月のリローンチ当初、5つのスタイルのうち当カテゴリのみ日本展開がありませんでした。約3か月後の11月、満を持して登場したのがTVアニメ『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』との限定コラボレーションモデルです。今なお続く“ジョジョシリーズ”の第5部にあたる作品は、ファッションの国イタリアが舞台。洒脱で個性的なラインアップのスペシャルウォッチは、ディ・モールト(非常に)優れた出来栄えです。ファンならずとも必見の各1,000本限定ッ!

チームのムードメーカー的存在のグイード・ミスタ。「単純に生きる」という彼の人生観を踏襲したシンプルデザインながら、各所にギミックが仕込まれています。ベゼルに記されるのは、スタンド「セックス・ピストルズ」のナンバー。あえて“4”を飛ばしているのも、原作を知る方なら納得でしょう。5発の弾丸とピストルズの瞳を思わせる5つのドットであしらわれたインデックスも、ベネ(良し)ですね。

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会社員として15年ほど働き、複数の出版社で若者向け・大人向けのメンズファッション各誌、サッカー専門誌、グルメ誌などを担当。現在はフリーのエディター・ライターとして活動中。これからもジャンルレス&ハピネスな感じで頑張りたいデス。
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