ここまでOK!スーツ×靴のコーディネートの新常識

「スーツにはひも靴(革靴)」というのが、これまでの鉄則でした。しかし近年は足元事情に変化アリ。「スーツ+ローファー」「スーツ+スニーカー」もアリな時代です。

ここまでOK!スーツ×靴のコーディネートの新常識

スーツに合わせる靴といえば「ひも靴」が定番でした。

服飾評論家の故・落合正勝氏は「スーツにはひも靴以外は許されない。唯一の例外がモンクストラップである」と言いました。たしかにイギリスやイタリアなどスーツの本場では、スーツにはひもで締め上げる革靴を合わせるのが鉄則で、しかも靴下は「すね毛を見せない」長さのものを履くことが紳士の嗜みとされていたんです。

もっともフォーマルなスーツスタイルには、ストレートチップやプレーントゥを。ビジネスには穴飾りの入ったメダリオンシューズという組み合わせがスーツを着るときの条件だったわけです。

最近は、足元もカジュアル化しています。

ところが近年はスーツより単品ジャケット&単品パンツで自由なコーディネートを楽しむビジネススタイルが一般化してきました。ドレスコードは時代と共に変化してきて「スーツにはひも靴」はもはや過去のもの。今ではスーツに合わせる靴は、ローファーやブーツ、スニーカーまでもっと自由になってきているんです。

どこまでありなの? スーツ×靴の新常識

自由だからといってなんでもいいのかというと、そこまで無法地帯ではありませんよ。もちろん会社に行くのにスニーカーというわけにはいかないでしょうし、あまりにも色が鮮やかすぎる靴は、ビジネススタイルに適しません。そこで今回は、スーツに合わせる靴の新常識をご紹介しましょう。

靴1:スリッポン

甲部にひもがないので簡単に履けるスリッポンは、正式名称を「Slip-on(スリップ・オン)」といいます。つまりすべらせる(=スリップさせる)ように履いてオンする(=履く)という靴です。「コインローファー」や「ヴァンプシューズ」、「タッセルローファー」なども、このカテゴリーに入れていいでしょう。

今風の細身のスーツには、スリッポンもラストの細いスマートなものが似合います。ただしロングノーズ過ぎるタイプは、クラシックなスーツとは似合いませんのでご注意を。こちらはチェックのスリーピースですが、シルエットは実にモダン。足元は素足にローファーを合わせています。このときパンツの裾丈は、くるぶしがのぞくぐらいの少し短めが似合います。

『G.H.バス』

『G.H.バス』は、世界で初めてローファーを作ったといわれるアメリカの老舗シューメーカー。土踏まずにかかる衝撃を吸収してくれるアーチクッションの採用や、ラバー素材のヒールにより、歩きやすく足なじみの良いコインローファーです。ルックスはトラッドど真ん中ですが、フォーマルにも履けますし、あえて素足でカジュアルに履くのもいいでしょう。

『オールデン』

タッセル(房飾り)が、いまどきスリッポンのトレンドです。こちらはアメリカを代表するシューズブランド『オールデン』の、希少なコードバン(馬の尻の革)を使ったタッセルローファー。カーフ(子牛の革)とは経年変化の仕方が違い、柔らかく艶が増していくのがコードバンの魅力です。少々お値段は張りますが、一生モノとして持っておいて損はないでしょう。

『フェランテ』

イタリア・ナポリのシューメーカー。スリッポンが有名で、そのモダンなフォルムはスーツに合わせれば色気ある足元を演出できます。こちらのビットローファーは、某高級ブランドでもおなじみのデザインですが、馬の「はみ」と呼ばれるパーツをデザインしたもので、足元にメタルパーツが付くことでモダンな雰囲気を醸してくれます。

靴2:モンクストラップ

「モンク」とは「僧侶」の意味で、修道士が履いていた靴を元に作られたという説があります。甲部を覆うベルト付きの革で、足にフィットさせるのが特徴。ベルトが1本の「シングルモンク」とベルトが2本の「ダブルモンク」の2種類があります。服飾評論家の故・落合正勝さんが「スーツに合わせるひも靴以外の唯一の例外」と言いましたが、その理由は英国のウィンザー公がスーツにダブルモンクの靴を合わせたことが由来といわれています。

ネイビーのストライプスーツに、茶のダブルモンクの組み合わせ。茶のニットとうまく呼応させています。ネイビースーツに黒のひも靴ではいかにもお堅い感じがしますが、こちらの方のようにファッショナブルなスーツの着こなしをされる方には、ダブルモンクは人気です。ひも靴だと当たり前すぎてしまいますが、モンクストラップだと「おしゃれしている」感がありますね。

『ナノ・ユニバース』

セレクトショップのオリジナルシングルモンクストラップ。キャップトゥのバランスといい、ラストのクラシックなフォルクまで、実によく計算されています。『ナノ・ユニバース』はこれまで、ちょっと若い印象のスーツ&クロージングを展開してきましたが、ここ最近どっしりと構えたクラシックスタイルに進化してきました。それでいてお値段はお手頃のものが揃っていますので狙いドコロです。

『タケオキクチ』

英国調の丸いフォルムが特徴的なシボ革のダブルモンク。日本人の足型に合うように作られたラストなので履きやすいはず。しっかりコバも張り出した、見るからに屈強なグッドイヤー風ですが、実はこれ「マッケイ製法」だそうです。ウェルトもあるし、ソールにもチャネルがあるのでグッドイヤールックですが、柔らかく履きやすいのはうれしいですよね。

『エンツォボナフェ』

イタリア・ボローニャに工房をもつ『エンツォボナフェ』は、浅い歴史ながらクオリティーの高い靴作りをするメーカーです。こちらは細身のフォルムに絶妙なラウンドトゥという、『ビームス』の別注ラスト。うしろ姿はピッチドヒールといって、ヒールが高く下へ向かって少しだけ細くテーパードするというデザインです。これは高級ビスポーク(注文)靴に見られる仕様なので、ちょっとハイクラスなイメージを醸します。

靴3:ブーツ

さすがにワークブーツというわけにはいきませんが、チャッカブーツやカントリーブーツをスーツと合わせるという着方も今ならOK。レースアップタイプのものでも、履き口をパンツの裾の中にいれてしまえば、普通のひも靴と見た目は変わりませんが、歩くたびにちらっとのぞく足元が短靴とは違い、ちょっとしゃれた感じに見えるんです。

60年代のモッズスーツにはサイドゴアブーツを合わせましたが、その進化系といった感じでしょうか。あまりゴツすぎるのはバランスが難しいので、スマートな顔つきにものを選ぶのが良さそうです。こちらはネイビースーツにスエードのチャッカブーツをコーディネート。明るい色でまとめたVゾーンとのバランスの巧みな合わせ方です。

『クラークス』

砂漠行軍用の「デザートブーツ」として知られるクラークスの代名詞的ブーツ。チャッカブーツ然としたスエードアッパーに、クレープソールの柔らかな履き心地が特徴です。スーツにはもちろん、デニムやチノパン、カーゴパンツなど、合わせるパンツを選ばない万能シューズなのです。

『トリッカーズ』

イギリス・ノーザンプトンの老舗にして、カントリーブーツの名門。張り出したコバのごっつい顔つきはスーツには不向きを思われるかもしれませんが、もともと英国貴族が野山を歩くときに履いていた靴ですので、大人っぽくて品格がありますよね。基本的には英国調のツイードやフランネルのスーツに合わせますが、ネイビースーツに足元だけ『トリッカーズ』のカントリーブーツという合わせ方も、英国紳士風で上品な雰囲気を出してくれますよ。

『フラテッリ ジャコメッティ』

足首をベルトでホールドするジョッパーブーツは、乗馬用のショートブーツ。履き口が細く閉じるようになっているので、スーツにも合わせやすいデザインです。プレーントゥのものが多いので、すっきり見えすぎると思いがちですが、サイドからベルトのバックルがアクセントになって、ちらりとのぞくのがおしゃれなんです。

靴4:スニーカー

スポーツスニーカーとスーツの組み合わせも最近見かけるようになってきました。「スニーカーで着くずす」のは、昔からある鉄板テクニックですので、スーツスタイルにもハズシとしてスニーカーを取り入れるわけですね。『コンバース』オールスターといったオールドスクール的なものから、安定人気の『ナイキ』、さらに注目度の高い『スピングルムーブ』をピックアップしてみました。

スーツにスニーカーを合わせるときは、かなり「遊び心」を意識したコーデになります。そこで結婚式の二次会やパーティーなど、遊んだ着こなしが許されるシーンで着るのが良いかもしれません。色柄の派手なハイテクスニーカーより、シンプルなローテク系が合わせやすいですよね。会社にスーツ×スニーカーで行くなら、インナーをタイドアップするよりTシャツ一枚にするなど、こなれた印象に着こなす必要がありますよ。

『コンバース』

かつての名バドミントンプレーヤーの名を冠して1935年に誕生した「ジャックパーセル」。つま先の「スマイルマーク」とヒールカウンターの「青ヒゲ」が目印です。シンプルなルックスなのでスーツにも合わせやすいですよ。近年は、インソールがカップインソールになっていたりして、外観はそのままに履き心地を向上させたモデルが登場しています。

『ナイキ』

『ニューバランス』や『フィリップモデル』と並ぶハイテク系のスニーカーを合わせるなら、『ナイキ』のエアフォースワンの白が断然使いやすいです。スーツのシャープなシルエットに、足元のボリューム感がいいバランスでハマります。スーツスタイルには、シューレースのメタルプレートをはずして履いたほうが良さそうですね。

『スピングルムーブ』

広島県で80年、靴作りを手掛けてきたファクトリーが、持てる技術の粋を集めてつくり出す純国産のバルカナイズスニーカー。海外でも高く評価されているそのフォルムの美しさと履き心地は、シンプルなルックスのローテク系とコンフォータブルシューズのいいとこ取り。カラーリングが抑えめのものを選べば、スーツにも合わせやすくおすすめです。

知っておきたい、スーツと合わない靴とは

スーツ×靴の新常識、いかがでしたでしょう。ワークブーツ以外なら、ほとんどどんな靴でも合わせられるのですが、デッキシューズやドライビングシューズはちょっと難しいようです。デッキシューズは、マリンなイメージがスーツには合わせにくく、ドライビングシューズは、軽すぎてスーツの重量感とバランスをとるのが難しいのかもしれません。

昔のように「スーツのルール」といったものは時代と共に希薄になってきています。ルールはルールと知っておいて結構ですが、新しいルールは時代と共につくり出していくべきだと思います。服なんて自由に楽しんでいいのですから、スーツだって同様ですよね。

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