ダウンジャケットが自宅で洗える! 洗濯のプロ流お手入れ方法とは?

ダウンジャケットが自宅で洗える! 洗濯のプロ流お手入れ方法とは?

ダウンジャケットが自宅で洗えるってご存じでした? 洗濯王子こと中村祐一さんに、正しい洗濯方法を伺いました。きれいになるのはもちろん、ふっくら感もアップ!

CANADA

2019.11.28

インタビュー記事
ハウツー

ダウンジャケットって家で洗濯できるの?

今や街着として定着しているダウンジャケットですが、基本的には自宅での洗濯が可能。洗濯表示には手洗い不可マークがついているものもありますが、ちょっとしたコツで洗えてしまう場合も。基本的には雪山でも着るようなアウトドアウェアですので、水でさっと洗うくらいなら洗えるものも多いのです。ただし、表地にレザーやシルクなどを使用したファッション性重視のダウンジャケットは、自宅での洗濯は厳禁。クリーニング店に持って行き、プロの手で手入れしてもらうことをおすすめします。

洗濯王子 中村祐一さんに、ダウンジャケットの洗濯方法を教えてもらいました!

ダウンジャケットは簡単に洗える? 自分で手入れするなら何が必要? 知っておきたい洗濯方法を、洗濯王子こと中村祐一さんに教えていただきました!

教えてくれたのは:中村祐一さん

国家資格を持つクリーニング師で洗濯家の中村祐一さん。”洗濯王子”の愛称で呼ばれ、テレビや雑誌などの各種メディアでも活躍中。 自身のホームページ やSNSでも洗濯に関する情報を発信しており、プロならではの視点は必見です!

実践! 『カナダグース』のダウンベストを洗濯

「数多くの人気ショップでセレクトされている『カナダグース』ですので、お持ちの方も多いのではないでしょうか? タフに着回してかなり汚れが付着しているこのダウンベストを、自宅での洗濯で新品同様に生まれ変わらせます!」

▼今回洗濯するのはこちら

今回はスタッフ私物のダウンベストを使用。もちろん、ダウンジャケットも同様の方法で洗えます。

「こちらのダウンベストは、きれいな発色が特徴のはずですが、しばらく洗っていなかったようで全体的に薄汚れていますね。ところどころに目立つ汚れも……」

「汗をかいて皮脂が付着しやすい襟裏は、最も汚れやすい部分。このまま放置してしまうと変色の原因になってしまうので、汚れの有無をしっかりと確認しましょう」

「手や物で触れる機会の多いポケット部分も汚れが付着しやすい箇所です。次の冬にまた気持ちよく着られるように、そのシーズンの汚れはそのシーズンのうちに落としておきましょう」

▼用意するものは、スポンジ、石けん、おしゃれ着用洗剤

「自宅での洗濯に必要なものは、たったこれだけでOK。スポンジ、石けん、中性洗剤(おしゃれ着用洗剤)と、どこの家庭にもあるものだけでダウンが洗えてしまうのです」

「ただし、スポンジは必ず研磨剤の入っていないタイプを選んでください。研磨剤入りのスポンジを使うと、洋服を傷める原因となってしまいます」

▼それでは洗濯スタート!

「準備が整ったところで、さっそく洗濯をしていきましょう。失敗しないためには、最初の洗濯表示、表面の素材など、きちんとチェックしてから行うことが重要です」

1.洗濯表示をチェック

「まず洗う前に洗濯表示を確認し、『洗濯機マーク』か『手洗いマーク』がついていれば自宅での洗濯が可能です。また、水洗い不可マークがついていたとしても、ダウンジャケットは本来アウトドアウェアなのでナイロンやポリエステル、コットン素材などは工夫すれば自宅で洗えるものも多いです。ただし、レザーやシルクなどを使用したファッション性の高いダウンジャケットは、クリーニング店に出すことをおすすめします。

また最近は、縫い目のないシームレスタイプのダウンジャケットが増えていますが、洗うとはがれてしまうことも。年数の経ったものほどシーム部分が劣化しやすいので、洗う際には注意が必要」

表面の素材別に注意すべきこともチェック!

「洗濯表示をチェックする際、表面の生地の素材も確認しましょう。素材によって、洗濯する際に注意すべきポイントも異なってきます」

ウール素材は、毛羽立たないようにやさしく

「ニットは自宅で洗濯する方が多いように、ウール素材のダウンジャケットも自宅で洗うことができます。ウール素材の場合は、石けんではなく中性洗剤を使い、スポンジでこすりすぎないようにやさしくなでるように洗ってください」

綿、デニム素材はやさしく、スピーディーに

「洗濯が簡単な化繊と比べて、綿やデニムなどの天然素材はいくつか気をつけてほしいポイントがあります。まずは、ウール素材と同様、こすりすぎないようにやさしく洗うということ。そして、綿素材は水分を吸ってしまうと乾きにくいので、なるべく水に浸しすぎないよう表面の汚れだけを取るイメージでスピーディーに行ってください」

2.汚れている部分をチェックする

「いきなり水でぬらす前に、まずはどこが汚れているのかを入念にチェック。汚れがどこに付着しているかを知ることで、無駄に素材を傷めずに済みます。汗をかきやすい首まわりはもちろんのこと、手で触れる機会の多いポケット部分や前面のボタン・ファスナー部分、袖や裾は汚れやすいのでしっかりと確認してください」

3.汚れ部分をスポンジでぬらす

「水をふくませたスポンジで、汚れた部分をぬらしていきます。洗う前の下準備ですね」

4.汚れた部分に直接石けんを塗る

「黒ずんだ汚れに一番効果的なのが、石けんなんです。スポンジ洗いする前に、石けんをまんべんなくつけていきましょう」

頑固な汚れを落とすポイント

「全体を洗う前に、襟裏などの特にしつこそうな汚れはピンポイントでスポンジでこすっておきましょう。洋服の素材によって力の微調整をしながら、強めにこするのがコツです!」

5.中性洗剤を薄めたものをスポンジにふくませ全体をこする

「水でも大丈夫ですが、できればぬるま湯1Lに小さじ半分程度の中性洗剤を溶かして、スポンジにふくませます。それで表面全体を洗っていくのですが、力を入れすぎないように表面を中心になでるように洗いましょう。革靴と同じで磨く感覚ですね」

6.内側も忘れずに洗う

「表面と比べれば汚れにくい内側ですが、ワンシーズン着ればそれなりの汗や汚れが付着しますので、しっかり洗いましょう」

7.ぬるま湯ですすぐ

「洗い終わったら、ぬるま湯(もしくは水)で軽くすすぎます。表面の泡が完全になくなるまですすいでください」

8.洗濯機で脱水する

「ダウンベストは、軽く折って形を整えてから洗濯機に入れてください。ここから3分間脱水していきます」

シワになりにくくするポイント

「3分間一気に脱水してもいいのですが、どうしてもシワができやすくなります。シワを防ぎたいなら、1分ごとに脱水を止めて、形を整えてからまた脱水するようにしてください。こうするとダウンも片寄りにくく、シワもつきにくいので、きれいに仕上がりますよ」

9.形を整えて干す

「しっかりと形を整えてから干すと乾いたときの仕上がりがきれいになります。ファスナーやボタンなどはすべて開けて、通気性を確保しておくのが早く乾かすコツ。浴室乾燥機で乾かすのもアリです。洗濯後にダウンから変なにおいがする場合は、生乾きの証拠。形を整えて干し直すことで、においは取れますよ」

ダウンの中まで乾いているかのチェック方法は?

「ダウンを上下にゆすってみて、ダウンが動いているのを感じられたら乾いた証拠です。まだ湿り気が残っている場合は、ダウンに重みがあって動きません」

10.乾燥機で仕上げ

「乾いたところで、さらに乾燥機をかけるとダウンのふっくら感が増して保温性も高まります。自宅に乾燥機がなければ、ダウンを手でたたいてあげるとふくらみやすくなりますよ」

出来上がり!

「いったい、何年洗わずに着倒していたんだろう……というくらいの汚れっぷりでしたが、買ったばかりのような美しさが取り戻せたんじゃないかなと思います。ダウンジャケットは自宅で洗濯可能です! ぜひ面倒くさがらずに、シーズン終わりにはきちんと洗ってあげてください」

ポケットの汚れがこんなにきれいに!

今回、一番汚れが付着していたポケット部分は新品同様の美しさに。くすんだ汚れに石けんがこんなに効くとは感動モノ!

全体のトーンも明るくなった!

くすみのあったダウンベストが、元の鮮やかな赤に復活! 一度褪せた色は洗濯では復活しないので、汚れを放置して色あせしないように、そのシーズンの汚れはそのシーズンのうちに落とすことが大切です。

ふっくら感がパワーアップ!

今回、一番の驚きだったのが、このふっくら感! 洗う前はしなびた布団のようにぺちゃんこだったダウンベストが、まるで生き返ったかのようにふんわりとボリューミーに大変貌しました!

こちらも知っておきたい。ダウンジャケットのこんなトラブルどうしたらいい?

最後に知っておくと役に立つ、ダウンジャケットのトラブル別対処方法をご紹介! あまりにもひどい場合に関しては、きちんとクリーニングに持って行くことをおすすめします。

洗ったあとにシミになってしまった……

「洗っている最中にダウンジャケットの内側から汚れが浮き出てきて、シミになってしまう場合も。今回紹介した洗い方では、そのようなことが起こりにくくなっていますが、もし出てしまった場合は、全体をがっつり濡らして40度くらいのお湯でしっかり洗って処置をします。ただ、縫い目の輪染みやキワつきなどを解消するのは難しいので、プロに任せることをおすすめします」

シーズン中で洗濯できないのに、タバコや焼き肉などでにおいがついてしまった……

「スプレータイプの消臭剤を吹きかけるのもいいけど、生地に成分が残るのが気になることも。実はタバコや焼き肉のにおいは、外に干して風に当てておくだけでほとんど取れます」

ダウンジャケットにカビが生えてしまった……

「着ようとしてダウンジャケットにカビが生えたからといって捨てるのはまだ早いです。カビが生えてしまっても、白いカビで表面だけだったら今回の要領で洗えば大丈夫。湿気がカビの原因となるので、洗い終わったらしっかりと乾燥させましょう。黒カビの場合は、家庭での洗濯では難しいので、プロにお任せすることをおすすめします」

大切なダウンジャケットだからこそ、きちんとお手入れをしましょう

このように、ダウンジャケットを次のシーズンもまた気持ちよく着られるようにするためには、シーズン終わりのお手入れはマスト! 自宅で手軽に洗えるので、ぜひ試してみてください!

撮影協力/センタクスタジオ

洗濯家・中村祐一氏が主宰する日本で唯一の洗濯専門スタジオ。カフェに訪れたかのようなおしゃれな空間には、ドイツのプレミアムブランド、ミーレの家電など洗濯に必要なものが勢揃い。中村氏に直接洗濯を教えてもらえる洗濯レッスンも行われています。

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近間 恭子

メンズファッション誌編集長を経て、現在フリーランスエディター/ライター。好きなものは海、雑誌、パン。
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