
その作り、質実剛健。ドイツ発腕時計ブランド10選
機械式腕時計というとスイスが有名だが、ドイツもまた腕時計大国の1つ。一時はスイスさえも凌駕したという歴史的背景と、実用性に特化したそのラインアップをご覧あれ。
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腕時計好きがたどり着く、ドイツ腕時計という選択
腕時計産業、といえばまず誰もが思い出すのがスイスだろう。だがその裏で、確かな技術力と歴史に裏打ちされたモノ作りにより腕時計好きから高い評価を獲得している国がある。『A.ランゲ&ゾーネ』をはじめとした世界的マニュファクチュールブランドを数多く有し、2度の大戦を乗り越えなお技術的革新を続ける国、それが今回紹介するドイツだ。ドイツの腕時計の特徴は、視認性や精度などの基本性能を徹底的に追求し、決して華美でなくミニマルかつ実直であること。腕時計に触れ、腕時計を知り、その真髄を理解する大人にこそ味わってほしい質実剛健な世界が、そこにはある。
動乱と波乱に満ちた、ドイツ腕時計の歴史を知る
ドイツ腕時計産業の歴史は、1人の時計技師と戦争によって語られる激動の歴史だ。魅力あふれるブランドの紹介を行う前に、その下地としてそれらが生まれるに至る背景を知っておこう。
歴史1
ドイツ腕時計産業の始まりと隆盛
1845年にドレスデン出身の時計師、フェルディナント・アドルフ・ランゲ氏がドイツの東端グラスヒュッテの地に工房を開くことに端を発するドイツの腕時計産業。アドルフ・ランゲ氏が編み出した合理的な製造方法を用いることで多くの職人が高品質な腕時計を製造できるようになり、同地は世界的にも大規模な精密機械産業地帯として世界的に知られるようになる。
それと並行して、南西部のシュトゥットガルト地方では『ポルシェ』や『ダイムラー』などの世界的大企業が乱立。同時に、『ユンハンス』や『ポルシェ・デザイン』などの工業デザインを得意とする腕時計ブランドが並び立つことになる。以降この2つの土地を軸として群雄割拠の様相を見せることになり、最盛期には技術力においてかのスイスさえもしのいでいた。
歴史2
国営化される有力ブランド、そして復興への道
しかし、第二次世界大戦の旧東ドイツ時代に多くのブランドが国営化の道をたどることに。今では世界5大ブランドに数えられる『A.ランゲ&ソーネ』も、かつてそのあおりを受けて消失していたブランドのひとつだ。だが、近年同ブランドを筆頭に数々の名門が復刻を遂げつつある。そこに『モンブラン』『シャウアー』など力のあるブランドが次々と合流。2000年には『グラスヒュッテ オリジナル』がスウォッチグループの、『A.ランゲ&ゾーネ』がリシュモングループの傘下に加わることとなり、大規模な資本を背景に業界においてドイツのブランドが占める比重はさらに大きくなっていった。
一生愛せる実用派ばかり。ドイツの腕時計ブランド10選
ドイツブランドを語るためのベースが整ったところで、いざ今注目するべき10傑を紹介していこう。機能性を突き詰めた腕時計にはおのずと美しさが宿り、男心を強く引きつけてやまない。ここに揃えたのは、老舗から新興までドイツの歴史と機能美に裏打ちされた人気のあるブランドばかりだ。無駄をそぎ落とした無垢な腕時計に触れて、ぜひ一生をともにするにふさわしい1本を見つけてほしい。
ブランド1
『A.ランゲ&ゾーネ』
世界5大腕時計ブランドにおいて、唯一のドイツブランドである『A.ランゲ&ゾーネ』。ドイツ腕時計業界の父として知られるアドルフ・ランゲ氏を創業者とする、雲上ブランドのひとつである。他のドイツブランド同様、第2次世界大戦を機に1度はブランド消滅の憂き目を見ることになるが、1990年に同ブランドの代表的な意匠を盛り込んだランゲ1を引っさげて堂々たる復活を果たした。特徴的なのは、品格と絶対的なオリジナリティを漂わせる、ダイヤル同士が隣接する繊細な文字盤デザイン。アウトサイズデイトと呼ばれる大型の日付表示は、当時ほかの腕時計ブランドの意匠に多大な影響を与えた。
ブランド2
『グラスヒュッテ オリジナル』
デザインに『A.ランゲ&ゾーネ』に似た匂いを感じたなら、それは正解だ。『グラスヒュッテ オリジナル』は、『A.ランゲ&ゾーネ』の創業者であるアドルフ・ランゲ氏が1845年に立ち上げた時計工房を前身とするブランド。ムーブメントから一貫した自社生産を行うマニュファクチュールとして、機械式腕時計を数多く輩出している。そのなかでも、パノコレクションと呼ばれるラインアップはハイエンドモデルと位置づけられており、ランゲ1を連想させるデザインが特徴的だ。パノリザーブは、その名のとおりパワーリザーブインジケーターを文字盤右上に備えた1本。ドイツ最高峰の手巻きムーブを巻き上げる喜びを、視覚的にも感じることができる。
ブランド3
『ノモス グラスヒュッテ』
ドイツブランドを象徴するような、バウハウスデザインの極地ともいえるミニマルな腕時計が欲しいなら断然『ノモス』をおすすめしたい。1906年に懐中時計のメーカーとして発祥したものの、第2次世界大戦の影響を受けて休業に追い込まれる。その後東西ドイツ統一後の1990年に復活。以降、どの傘下にも属さない珍しい独立型腕時計ブランドとして知られている。タンジェントは、そんな『ノモス』の顔として有名なモデル。手巻きムーブメントを採用しているため非常に薄型で、日本人の細腕への収まりも良好だ。ほぼ同じフェイスで自動巻きモデルのタンゴマットもあるので、そこはお好みで。
ブランド4
『ジン』
ブランドの正式名称は『ジン スペツィアルウーレン』。日本語に翻訳すると「ジン特殊時計会社」となる。その名のとおり、過酷な環境においても腕時計としての責務を十二分に発揮できるよう特殊な機構を有した腕時計を得意とするメーカーだ。ケース内にシリコンオイルを封入することで厚みを出さずに高い耐圧性能を得られるハイドロ、セラミックと同等かそれ以上の硬度を実現するテギメント加工など、日常生活においてはオーバースペックともいえるテクノロジーの数々は男心をくすぐってやまない。こちらは、機構内部の湿気を除去するドライカプセルを搭載した1本。高い耐磁性能も有した、ドイツ特殊部隊正式採用モデルとなっている。
ブランド5
『ユンハンス』
日本ではバウハウス最後の巨匠マックス・ビル氏の手がけた同名モデルで知られる『ユンハンス』。その歴史は古く、『ユンハンス』として時計の製造を始めたのが1866年、実際はそれ以上前より時計部品に特化した製造業を営んでいた。一時期は3000人を抱える世界一の腕時計メーカーとして名を馳せ、1960年以降は電波時計やソーラーなど新分野を次々と開拓していった。だが、やはり押さえるべきは「マックスビル」。シンプルで機能的な文字盤が特徴的だが、大人の腕元に合わせるなら縦目ダイヤルがスタイリッシュなクロノグラフも程良い主張がありおすすめだ。
合わせて読みたい:バウハウスデザインの極致をその腕に。ドイツの名門ユンハンス
ブランド6
『モンブラン』
筆記具界の重鎮、『モンブラン』がリシュモングループのノウハウを得て腕時計事業に参入したのは1997年のこと。約10年後となる2006年には世界一のクロノグラフムーブメントメーカーと呼ばれていたミネルバ社を買収し、名作ニコラ リューセック クロノグラフの発表をもってマニュファクチュールブランドへ堂々の仲間入りを果たすことになる。そんな『モンブラン』の世界に手軽に触れたい、という人におすすめしたいのが、このタイムウォーカーシリーズ。建築デザインから着想を得たという意匠は、視認性の高さと同社の文具に通じる品格と知的さを備えている。初めてのミドルプライスウォッチとしてもぜひおすすめしたい1本だ。
ブランド7
『ミューレ グラスヒュッテ』
時計はあくまでも測定機器であるという理念の下に、機能面を優先させたドイツブランドらしい堅実なデザインを得意とする『ミューレ グラスヒュッテ』。ことムーブメントのチューニングに関しては強いこだわりを持っており、「ミューレファインチューニング」と名付けられた高精度の調整は有名だ。テラスポーツ1は、同ブランドの中でもとくにシンプルないでたちのパイロットウォッチ。44mm径のビッグフェイスに、スーパールミノバを塗布したリーフ針と端正なアラビアインデックスが乗っており、高い視認性を誇る。12時位置の三角マーカーも、伝統的なデザインであると同時に良いアイキャッチとなっている。
ブランド8
『モリッツ・グロスマン』
グラスヒュッテで19世紀半ばに活躍していた時計師、モリッツ・グロスマン氏の数々の遺産をもとに2008年に設立された異色のブランド『モリッツ・グロスマン』。実はモリッツ氏はアドルフ・ランゲ氏の弟弟子にあたる人物。それを示すように、『A.ランゲ&ゾーネ』のモノ作りに通ずる高品質で革新的なモデルを数多くリリースしている。独創的なルックスもさることながら、マニュファクチュールブランドとして他社に類を見ない貴重な機構を積極的に採用。今作アトゥム・ピュアMも5振動の手巻きキャリバー201.0を積んでおり、裏蓋からのぞく2/3プレートからなるムーブメントには眺めているだけで所有欲を満たしてくれる美しさがある。
ブランド9
『ポルシェ・デザイン』
1964年の登場より、50有余年。今なお名車と名高いポルシェ911をデザインしたフェルナンド・アレクサンダー・ポルシェ氏が設立したのがこの『ポルシェ・デザイン』だ。実は筆記具やファッショングッズも手がける同ブランド、腕時計への足掛けは『IWC』とのコラボレートモデルであるオーシャン2000がきっかけだった。当時まだ新しい素材だったチタニウムを採用し、2000m防水を実現した同機は業界を震撼させた。今回は、ラグの空間を大胆に使用して美麗な流線型を描く汎用性の高い1本をピックアップ。チタンを使用したケースは見た目の重厚感に反して軽く、飽きのこない洗練されたデザインと合わせて長く愛せる予感に満ちている。
ブランド10
『シャウボーグウォッチ リンドバーグ&ベンソン』
『シャウボーグウォッチ リンドバーグ&ベンソン』の設立は1998年。ドイツはサクスニー地方の小さな町、リンテルンにて青年実業家であると同時に腕時計愛好家でもあるフランク・ディルバコフスキー氏の手によって誕生した。真の腕時計好きのために生産される腕時計は、なんと年間わずか1,500本程度。大量生産でコストダウンを図るのではなく、完成度の高い製品を採算度外視で世に送り出しているその姿勢には、腕時計マニアからも熱い視線が送られている。こちらは、そんなブランドの姿勢を代表する大胆な月齢表示が目を引く1本。職人による少量生産だからこそかなう、工芸品のような丁寧な作りは1度触れておいて損はない。
この記事の掲載アイテム一覧(全10商品)
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『A.ランゲ&ゾーネ』 グランドランゲ1
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『グラスヒュッテ オリジナル』 パノリザーブ
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『ノモス グラスヒュッテ』 タンジェント
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『ジン』 603 EZM3
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『ユンハンス』 マックスビル クロノスコープ
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『モンブラン』 タイムウォーカー アイボリー MB105813
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『ミューレ グラスヒュッテ』 Terrasport I
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『モリッツ・グロスマン』 アトゥム・ピュアM
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『ポルシェ・デザイン』 1919デイトタイマー・エタニティ
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『シャウボーグウォッチ リンドバーグ&ベンソン』 ムーンメテオライト
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