足元もTPOをわきまえて。革靴のデザインの違いと履き分け方

足元もTPOをわきまえて。革靴のデザインの違いと履き分け方

大人の男性であればTPOはわきまえてしかるべき。衣類は考慮しがちですが、足元への注意を怠ってはいませんか? TPOにそった革靴を選べるよう、基本を押さえましょう。

池田 やすゆき

2017.10.18

革靴
アイテムの選び方

何でもOKじゃない。革靴のデザインとシーンの関係を押さえよう

革靴を履く時、何を基準にしていますか? もしも見た目だけの好みでセレクトしているならば少々リスキーです。なぜなら、革靴はトゥのデザインや、ひもの有無、さらにはひもを通す穴部分の作りによってシーンがある程度限定されているから。

たとえば、『パラブーツ』のシャンボード。大人の男性に人気の1足ですが、こちらのシューズはどんなデザインでどのようなシーンに向いているかを即答できるでしょうか? シューズのデザインやシーンによっては不向きなモノもあるので、知識が曖昧な方はぜひ基本から見直してみましょう。

革靴のデザインの基本。外羽根と内羽根の違いとは?

ひもで結ぶタイプのレースアップシューズには、羽根開き部分に外羽根と内羽根の2種類があります。内羽根は、ボディからひと続きで上部から切れ込みが入ったモノで、フォーマルに分類されます。冠婚葬祭には内羽根がマストですが、黒を選べば間違いはありません。

一方、外羽根はひもを通す穴部分のパーツが靴本体とは別に扉状に取り付けられているモノ。カジュアルに分類されるので普段履きに適しています。

押さえておきたい革靴のデザインは6種類。特徴とおすすめを紹介

外羽根と内羽根に加えて、革靴にはひもなしのスリッポンやベルトでとめるモンクストラップなど複数の種類があります。

■プレーントゥ
■ストレートチップ
■ウイングチップ
■Uチップ
■スリッポン
■モンクストラップ

当記事では、上記6タイプそれぞれの特徴とおすすめのシューズを解説していきます。革靴選びに迷っている方や、足元のTPOをしっかり学びたい方はぜひチェックを。

種類1:プレーントゥ

プレーントゥとは、トゥが靴のボディとひと続きで、切り替えや飾り穴のないモノ。なかには、1枚革でアッパーを成形したホールカットと呼ばれる内羽根も含みます。外羽根のものは、穴数が少ないほどドレッシーに見え、2穴や1穴のものはトゥまでの距離があるためスマートに見せられるのが特徴。

4穴や5穴となると、装飾性を排したユニフォーム靴としてワークシューズやミリタリー靴などに使われることも多くなります。

現代のプレーントゥは羽根の内外を問わずビジネス靴や普段履き、フォーマルにも履くことができます。ただし、トゥがぽってりと丸いものほどカジュアルな印象に見えることは忘れずに。スーツに合わせるならば、トゥは適度にスマートかつドレッシーなモノを選びたいところですが、つま先がとがりすぎているものは避けましょう。

1707年、スペインにて創業した老舗シューメーカーの外羽根プレーントゥ。2アイレットでつま先が長く見えるのがポイントです。グッドイヤー製法かつソールには英国製のダイナイトソールを採用しているため、ディテールも十分。雨の日でも歩きやすいゴム底です。

優雅なイタリア靴のイメージを、日本の技術で再現したコレクションライン。アッパーを1枚革で成形したワンホールカットの内羽根靴は、ドレス感あふれるものでフォーマルな席にも適しています。ラバー製のアウトソールはグリップ力が高く、室内の絨毯や雨の日の屋外、大理石のロビーでも歩行性を損なうことはありません。

種類2:ストレートチップ

トゥ部分が真一文字に切り替えられ、キャップが取り付けられたようになっていて、この部分に装飾がなく、切り替えのラインも縫い糸が見えるだけで穴飾りなどがないモノをストレートチップといいます。

ストレートチップならば、やはり冠婚葬祭用の内羽根式を押さえたいところ。ビジネスシーンにもハマるデザインですから、大人としては1足はゲットしておきましょう。

『ユニオンインペリアル』は、イタリアの靴作りの技法をいち早く取り入れた日本靴のブランドとして知られています。手作業でアッパーや中底、ウェルトを縫い付けるハンドソーンウェルテッドにより底の返りがよく、履きやすいと定評があるブランドです。アウトソールはビブラム社のラバーソールを採用。見た目も機能も申し分のないシンプルな1足として、ワードローブに組み込んでは?

イギリスで経験を重ね、インドネシアで本国仕込みのグッドイヤーウェルト靴を展開する『ジャランスリワヤ』。ストレートチップの美しいフォルムと、確かな仕上がりは英国靴の気品そのもの。それでいてリーズナブルな価格設定で、国内のセレクトショップや百貨店でも人気のブランドです。

種類3:ウイングチップ

トゥに鳥が羽を広げたようなWのキャップが切り替えられているのが、ウイングチップの特徴。穴飾りが施されたり、切り替え部分にピンキングと呼ばれるギザギザのカットが施されるなど、デザインが入ることも多くあります。これは野山を歩く際に靴に傷がついても目立ちにくくするため。

ウイングチップはドレス靴というよりもワークシューズ的役割の靴に付けられた装飾と言われているため、カジュアルなウェアとも好相性。

ワークシューズ由来のウイングチップは、ビジネスには問題ありませんがフォーマルな席には不向き。英国のカントリーシューズによく見られるデザインなので、大人のカジュアルスタイルに合わせる革靴としてスタンバイさせましょう。

『トリッカーズ』は英国王室御用達のシューメーカー。英国靴の聖地ノーサンプトンに現存する最古のグッドイヤーウェルテッド工場としても知られる、伝統的な英国靴の老舗です。フルブローグと呼ばれる全面に穴飾りを施したウイングチップは、英国貴族が野山を歩くときの伝統的なカントリーシューズを今に伝える1足。同ブランドならではの気品ある色みは、エイジングの過程も楽しみたいもの。

ウイングチップの両端がサイドに延長してヒールまで届いている形状は、ロングウイングチップと呼ばれるアメリカンウイングチップの定番デザイン。幅が広く、稿が高い日本人の足の形状に合わせた木型使いは、日本の老舗靴メーカー『リーガル』ならでは。

種類4:Uチップ

Uチップとは、甲の上にU字型の革を使ったタイプのこと。U字の革を縫い合わせる部分を“モカ縫い”といい、縫い合わせ方によって「乗せモカ」や「伏せモカ」、「つまみモカ」などさまざまな呼び名があります。冒頭で紹介した『パラブーツ』のシャンボードもUチップの一種です。

Uチップは、北欧の漁師の靴やアメリカのネイティブのモカシン、あるいはゴルフ用のスポーツシューズなど、ハードな使い方をするのが前提。外羽根式が一般的で、革靴の分類としてはカジュアルな印象です。しかしこれを逆手に取って、ドレス靴として履くのもアリ。

多くのセレクトショップや、高級百貨店で扱われる英国靴の老舗『クロケット&ジョーンズ』の代表的なUチップモデル。こちらは頑強なリッジウェイソールを搭載した別注モデルですので、カジュアルなスタイリングにマッチします。

『ヤンコ』はスペインを代表するシューメーカー。程良くドレッシーで、程良くカジュアルというルックスが普段使いに重宝します。甲が高く設計されているため、日本人の足型になじみやすいのがうれしいところ。

種類5:スリッポン

スリッポンとはひもなし靴の総称で、とくに短靴を指します。Uチップのスリッポンに甲革をあしらったものをローファーと呼び、コインローファー、タッセルローファーなどもその一種。

ひもなしで、足を滑り込ませるだけで履けるので、本来はジャケパンなどのカジュアル用とされてきました。しかし昨今はドレスとカジュアルの垣根が曖昧になってきていることもあり、スーツに素足でローファーというスタイルも目立ちます。

『フェランテ』は、スリッポンを得意とするイタリアはナポリのシューメーカー。スマートなトゥが特徴のドレッシーなスリッポンに定評があります。カラーバリエーションや素材が豊富で、カジュアルに白パンで合わせるイタリアンスタイルも得意。

世界で初めてローファーを作ったメーカーとして知られる『バス』。故・マイケル ジャクソン氏も愛用していたというエピソードをご存じの方も多いでしょう。話題性だけではなく、履き込む度に足に馴染んでいく革の質感やシンプルな見た目など、その実力も十分。コストパフォーマンスに優れているのも同ブランドの特徴です。

種類6:モンクストラップ

「モンク」とは「僧侶」の意。僧侶が履く靴が原型といわれるこの靴は、甲革をベルトでとめるデザインが特徴です。このベルト部分にはさまざまな仕様があります。ベルト1本のシングルモンク、ベルト2本のダブルモンク、ストラップが横取り付けられるサイドモンクなど。

シングルモンクは今、あまり見られないかもしれません。一般的なのはベルト2本でとめるダブルモンクストラップ。稀代のウェルドレッサー、ウィンザー公が特別に作らせたもの。シューズのドレスコードとしてはスーツにもジャケパンにもカジュアルにも合わせられるとされています。

英国靴最大の生産地、ノーサンプトンのシューメーカー。現在はイタリアの高級ブランド、プラダ傘下です。こちらのウェストバリーは、昔ながらのシングルモンク。むだをそぎ落としたプレーントゥのシングルモンクは、大きめのバックルが特徴的です。

ダブルモンクは英国のウィンザー公が、ロンドンのジョンロブにオーダーしたのがその最初。しかしそのロブから依頼を受けてダブルモンクを完成させたのは、パリの理社=ルポンヴェール社、つまりこのパラブーツの親会社だというのが定説です。その証拠に、ジョンロブもパラブーツもダブルモンク甲革の形状が酷似しており、しかも名前はともに「ウィリアム」といいます。

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