アランか、ガンジーか。フィッシャーマンニットで温もりのある男になる

アランか、ガンジーか。フィッシャーマンニットで温もりのある男になる

優秀な防寒着としてはもちろん、そのデザイン性からおしゃれ着としても人気が高いフィッシャーマンニット。秋冬コーデの最終兵器となりえる、その魅力を読み解きます。

牟田神 佑介

牟田神 佑介

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2020.12.11

1着でコーデが完成する、存在感抜群のフィッシャーマンニット

1着でコーデが完成する、存在感抜群のフィッシャーマンニット

Golden State

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しばらく続いたトラッドブームも落ち着き、アウトドアMIXスタイルが覇権を握りつつある中、フィッシャーマンニットは変わらず人気継続中。ミドルゲージ~ローゲージでがっしりと編まれたニットは袖を通すだけで重厚な雰囲気を生み出し、圧倒的存在感を放ちます。上からアウターを羽織るだけでスタイリングが完成するとあり、着こなしに悩む忙しい朝にも重宝。海の男の仕事着がルーツなだけあり、男らしさ、武骨さを簡単に表現できるのもフィッシャーマンニットを取り入れるメリットでしょう。

1着でコーデが完成する、存在感抜群のフィッシャーマンニット 2枚目の画像

ZOZOTOWN

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そんなフィッシャーマンニットですが、実はガンジーセーター、アランセーター、フェアアイルセーターといくつかの種類に分かれています。ところ違えば文化も違うということで、その生まれた土地によって海の男の作業着にも差があるわけです。

その中でも、質実剛健かつヘビーデューティな作りから特に人気のあるガンジーセーター、アランセーターにフォーカスし、その魅力と取り入れ方を考察していきましょう。

ガンジーセーターとアランセーター。フィッシャーマンニットの代表格を深堀り

主にヨーロッパ北部が発祥とされるフィッシャーマンニット。その代名詞ともいえる2種類のセーターに注目し、両者のディテールに迫ります。

▼種類1:合理性から生まれた独特な形状が持ち味の“ガンジーセーター”

▼種類1:合理性から生まれた独特な形状が持ち味の“ガンジーセーター”

JACKPOT

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アイルランドはアラン諸島が由来とされるアランセーターに対し、イギリスとフランスの間に浮かぶチャンネル諸島、そのガーンジー島で長く編まれてきたのがこちらのガンジーセーターです。日本だとアランセーターのほうが有名ですが、実はフィッシャーマンニットの元祖はこのガンジーセーターだといわれています。

見た目の大きな特徴は、前後対称になった作り。すっかり冬ニットの定番となったデンマークの『アンデルセンアンデルセン』なども、この形状がベースになっています。

▼種類1:合理性から生まれた独特な形状が持ち味の“ガンジーセーター” 2枚目の画像

JACKPOT

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見た目にも関連しますが、前後がないデザインは漁師が暗闇の海でも前後を気にせず着用できる、汚れたら前後裏返して着ることができるなどの利便性を追求して生まれたもの。素材の毛糸には脂分をたっぷり含み、空気を含みやすい撚りがしっかりしたモノが使用されています。これにより天然素材でも化学繊維に巻けない防風、防水効果が得られるのです。さらに、熱を逃がさないようタイトなシルエットが基本。それでも動きやすいようにと、脇下、立ち襟、肩線の間にマチが設けられており、編みも変えることで可動域を広げる工夫がなされています。

▼種類1:合理性から生まれた独特な形状が持ち味の“ガンジーセーター” 3枚目の画像

JACKPOT

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また、裾に取られたサイドスリットもポイントでしょう。着丈を短く、フィット感をタイトにしながらも、動きやすさを確保するためのディテールとして考案されたものです。つまるところガンジーセーターとは、実用性に特化した海の男のためのニットなのです。

▼種類2:肉厚なケーブル編みが主張する“アランセーター”

▼種類2:肉厚なケーブル編みが主張する“アランセーター”

ZOZOTOWN

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前述のとおり、アイルランドのアラン諸島で長年継承されてきたのがアランセーター……、といわれていますが、アラン諸島で編まれ始めたのは実は19世紀末~20世紀初頭からという考察もあり、その由来が明らかになっていないニットだったりします。海の男たちが遭難した際にセーターの編みから個人が判別できるよう家庭ごとに決まった編みがある、という話にも諸説あるようで、袖を通しながらその歴史に思いを巡らせるのも面白いニットなんです。

表情豊かなアランニットで冬コーデをほっこりと

ウェア・コーデ

表情豊かなアランニットで冬コーデをほっこりと

独特の編み柄がざっくりした厚手の生地感を強調し、見た目にも温かいアランニット。寒い季節に大活躍してくれるこのニットは、着こなしにどう取り入れればいいのでしょう。

平 格彦

2020.12.07

▼種類2:肉厚なケーブル編みが主張する“アランセーター” 2枚目の画像

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最大の特徴は、アラン編みと呼ばれる厚みのある編み地。現在では多種多様な色が存在するアランセーターですが、羊毛本来の乳白色を生かしたモノこそが本格的だといわれます。素材には脱脂されていない重厚な羊の毛を使用。ガンジーセーターが比較的薄手のモノも多かったのに対し、アランセーターはケーブル編みにすることでより分厚く、風を通さず熱を逃がさないニットへと仕上がっています。

▼種類2:肉厚なケーブル編みが主張する“アランセーター” 3枚目の画像

ハンキードリー

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有名なアランセーターのブランドといえば『インバーアラン』でしょう。アランセーターの伝統を守り、スコットランドのニッターたちが1人1着ハンドメイドで編み上げてきたニットは抜群の存在感を放ちます。そのため同じサイズでもややタイトだったりゆるめだったりと個体差が出てしまいますが、それもまた味。作り手の顔を想像しながら着込んでいくのも『インバーアラン』、ひいてはアランセーターならではの醍醐味ではないでしょうか。

なお、そんな『インバーアラン』のニットも本国での生産は終了。現在ではEU諸国を含む海外での生産行っています。上記のようなニットを手に入れるなら、早い者勝ちかもしれません。

インバーアランならずっと着続けられる。 人気ニットの定番モデルとその魅力

ウェア・コーデ

インバーアランならずっと着続けられる。 人気ニットの定番モデルとその魅力

ニットウェアの専業ブランドとして歴史ある『インバーアラン』。セレクトショップやブランドからの別注依頼も多く、高い人気を誇る同ブランドの魅力を掘り下げます。

平 格彦

2020.11.24

フィッシャーマンニットはどう着こなすのがおしゃれ?

フィッシャーマンニットはどう着こなすのがおしゃれ?

ICORA(イコラ)

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フィッシャーマンニットはガンジーセーターの項でも述べたように、もともと作業の妨げにならず防風性も考慮したタイトフィットが基本。ただ、今なら少々ゆとりのあるサイズ感が気分です。

また、重厚な羊毛を使用している分アウトドア感が強く出てしまうのもフィッシャーマンニットならでは。合わせるパンツやアウターは、ディテールを抑えたミニマルな見た目のモノが良いでしょう。逆に、今の空気を受けたアウトドアMIXの着こなしを楽しみたいならニット同様に素材感のあるパンツもアリ。なお、編み地の主張が強い分、柄を取り入れるならパターンの細かいモノがおすすめです。

フィッシャーマンニットのおすすめブランド7選 

ガンジーセーター、アランセーターの代名詞的的な老舗から、デンマークやフランスの人気ブランドまで本格派の7ブランドから8着を紹介しましょう。手編みにこだわった一生モノから、取り入れやすい高コスパな1着まで、バリエーション豊かにピックアップしました。

ブランド1

『ガンジー ウーレンズ』

『ガンジー ウーレンズ』

インポートショップ メイン

インポートショップ メイン

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英国領ガーンジー島で1976年に創業。フィッシャーマンが愛用した伝統的なガンジーセーターをベースに、当時のタフさを反映したような男らしいアイテムを展開しています。本作も特徴的なデザインやディテールを踏襲しており、強く撚りを掛けたウールはオイルを多量に含んでいるため多少雨に降られたぐらいでは保温性が損なわれることはありません。

ブランド2

『アンデルセンアンデルセン』

『アンデルセンアンデルセン』

Golden State

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デンマークの船乗り、バイキングが着用した、セーラーセーターをベースにしている『アンデルセンアンデルセン』。前後対称となった、ガンジーセーターならではのディテールを取り入れた作りとなっています。上質なメリノウールを使ってイタリアでていねいに編み上げられており、フィッシャーマンならではの骨太感と品の良さを兼ね備えた特異な1着となっています。

感度高めの大人が注目。アンデルセンアンデルセンのニットが愛される理由とは?

ウェア・コーデ

感度高めの大人が注目。アンデルセンアンデルセンのニットが愛される理由とは?

『アンデルセンアンデルセン』のニットに注目。セレクトショップでは即完売、ネットでも品薄という人気の理由や大人らしい着こなし方について考えてみます。

深澤 正太郎

2020.11.06

ブランド3

『ル トリコチュール』

『ル トリコチュール』

Golden State

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1964年創業、ガーンジー島のニットブランド。ガンジーセーターの大きな特徴である、前後のない形状、手仕上げによる身頃と袖のマチなど、伝統的な作りが継承されています。一般的にタイトな作りのガンジーセーターですが、アイテム名にあるとおりこちらはやや広めの身幅が魅力。腕ぐりも広めなのでゆったりとした着心地が楽しめます。

ブランド4

『アランウーレンミルズ』

『アランウーレンミルズ』

W.H.E

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1968年に創業した『アランウーレンミルズ』のフィッシャーマンニット。編みの立体感、重厚さに見合った伝統的なアイルランド製を踏襲しつつ、圧倒的なコストパフォーマンスを実現しています。上質なメリノウールを使って、マシンメイドによる編みを行っているのが良心的なプライスの理由でしょう。サイジングも比較的ゆとりがあるので、ざっくりとした着心地を楽しめます。

ブランド5

『インバーアラン』

『インバーアラン』

Rakuten Fashion

Rakuten Fashion

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アランセーターといえば、『インバーアラン』は欠かせません。中でも、プルオーバーのクルーネックタイプ「A1」が特に有名。しっとりとツヤを放つウール、良い意味で肉厚過ぎるリブ、大きく豊かなドレープを見せる重厚な編み……、とどれを取ってもアランセーターの教科書ともいうべき出来。手入れ次第で障害付き合える1着……というのは、決して伊達ではありません。

ブランド6

『アテナデザイン』

『アテナデザイン』

ZOZOTOWN

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アイルランド南部で1890年代から続く老舗ニットブランド『アテナデザイン』。ギリシャ神話に登場する芸術の女神に由来するブランド名の通り、熟練ニッターの手による表情豊かな編みを強みとしています。カーディガンタイプにおいては温もりを感じさせるウッドボタンを採用したことで、より一層あたたかみを感じるデザインに仕上げています。

ブランド7

『ケリー・ウーレン・ミルズ』

『ケリー・ウーレン・ミルズ』

ROCOCO attractive clothing

ROCOCO attractive clothing

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1904年にアイルランドで創業した『ケリー・ウーレン・ミルズ』。オーガニックにこだわったピュアニューウールを使用しながらも、今回挙げたブランドの中でもトップクラスのコストパフォーマンスを実現しているブランドです。その理由は、機械編みを取り入れた合理的な生産背景にあります。もちろん、アランセーターならではのオーセンティックなディテールはしっかりと踏襲しており、伸縮性に富んだ軽やかな素材は着心地も抜群です。

ちなみに

『インバーアラン』1A カシミヤ100% セーター

『インバーアラン』1A カシミヤ100% セーター

MAVAZI(インポートクロージング)

MAVAZI(インポートクロージング)

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前述の『インバーアラン』ですが、繊維の宝石、カシミヤを100%使用したとんでもない1着も存在します。ただでさえ立体的で装飾が多く、その分使用する毛糸も膨大になるアランニット。それをカシミヤで再現したとなるとこの価格も納得でしょう。ウールの荒々しさが売りのアランニットではありますが、今モデルではその表情もどこか柔らかで繊細なものとなっています。

男のニットコーデ15選。周囲と差をつけるこなれた着こなしに

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男のニットコーデ15選。周囲と差をつけるこなれた着こなしに

ニットが主役の季節到来。その暖かさを享受しつつ、大人ならこなれ感も意識したいものです。トレンド感ある5タイプに着目し、旬度あるニットコーデを提案します。

山崎 サトシ

2019.12.24

牟田神 佑介

ブツ欲が動力源のモノ好き編集部員

牟田神 佑介
「Men’s JOKER」、「STREET JACK」と男性ファッション誌を経た後、腕時計誌の創刊に携わり現職。メンズ誌で7年間ジャンルレスに経験してきた背景を生かし、TASCLAPでは主に腕時計や革靴、バッグなど革小物に関する記事を担当している。
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