アランか、ガンジーか。フィッシャーマンニットで温もりのある男になる

アランか、ガンジーか。フィッシャーマンニットで温もりのある男になる

優秀な防寒着としてはもちろん、そのデザイン性からおしゃれ着としても人気が高いフィッシャーマンニット。秋冬コーデの最終兵器となりえる、その魅力を読み解きます。

TASCLAP編集部

2019.02.15

トップス
ニット・セーター

1着でコーデが完成する、存在感抜群のフィッシャーマンニット

トラッドブームの勢いもあり、人気が再燃しつつあるフィッシャーマンニット。ミドルゲージ〜ローゲージでがっしりと編まれたニットは袖を通すだけで重厚な雰囲気を生み出し、そこにアウターをサラッと羽織るだけでもスタイリングが完成するような圧倒的な存在感を有しています。海の男の仕事着がルーツなだけあり、男らしさ、武骨さを表現できるのもフィッシャーマンニットを取り入れるメリットでしょう。

そんなフィッシャーマンニットですが、実はガンジーセーター、アランセーター、フェアアイルセーターといくつかの種類に分かれています。ところ違えば文化も違うということで、その生まれた土地によって海の男の作業着にも差があるわけです。

そのなかでも質実剛健さからとくに人気のあるガンジーセーター、アランセーターにフォーカスし、その魅力と取り入れ方を考察していきましょう。

ガンジーセーターとアランセーター。フィッシャーマンニットの代表格を深堀り

主にヨーロッパ北部が発祥とされるフィッシャーマンニット。その代名詞とも言える2種類のセーターに注目し、両者のディテールに迫ります。

▼種類1:合理性から生まれた独特な形状が持ち味の“ガンジーセーター”

アイルランドはアラン諸島が由来とされるアランセーターに対し、イギリスとフランスの間に浮かぶチャンネル諸島、そのガーンジー島で長く編まれてきたのがこちらのガンジーセーターです。日本だとアランセーターのほうが有名ですが、実はフィッシャーマンニットの元祖はこのガンジーセーターだと言われています。

見た目の大きな特徴は、前後対称になった作り。デンマークの『アンデルセンアンデルセン』などもこの形状がベースになっています。

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見た目にも関連しますが、前後がないデザインは漁師が暗闇の海でも前後を気にせず着用できる、汚れたら前後裏返して着ることができるなどの利便性を追求して生まれたもの。また毛糸は脂分をたっぷり含み、空気を含みやすい撚りがしっかりしたモノが使用されています。これにより天然素材でも防風、防水効果が得られるわけです。さらに、熱を逃がさないようタイトなシルエットが基本。それでも動きやすいようにと、脇下、立ち襟、肩線の間にマチが設けられており、編みも変えることで可動域を広げる工夫がなされています。

また、裾に取られたサイドスリットもポイントでしょう。着丈を短く、フィット感をタイトにしながらも、動きやすさを確保するためのディテールとして考案されたものです。つまるところガンジーセーターとは、実用性に特化した海の男のためのニットなのです。

▼種類2:肉厚なケーブル編みが主張する“アランセーター”

前述のとおり、アイルランドのアラン諸島で長年継承されてきたのがアランセーター……、と言われていますが、アラン諸島で編まれ始めたのは実は19世紀末〜20世紀初頭からという考察もあり、その由来が明らかになっていないニットだったりします。海の男たちが遭難した際にセーターの編みから個人が判別できるよう家庭ごとに決まった編みがある、という話にも諸説あるようで、袖を通しながらその歴史に思いを巡らせるのも面白いニットなんです。

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最大の特徴は、アラン編みと呼ばれる厚みのある編み地。現在では多種多様な色が存在するアランセーターですが、本格といわれるのは羊毛本来の乳白色を生かしたモノと言われます。素材には、脱脂されていない重厚な羊の毛を使用。ガンジーセーターが比較的薄手のモノが多かったのに対し、アランセーターはケーブル編みにすることでより分厚く、風を通さず熱を逃がさないニットへと仕上がっています。

日本でもっとも有名なアランセーターのブランドといえば、やはり『インバーアラン』でしょう。アランセーターの伝統を守り、いまなおスコットランドのニッターたちが1人1着、ハンドメイドで編み上げています。そのため同じサイズでもややタイトだったりゆるめだったりと個体差が出てしまいますが、それもまた味。作り手の顔を想像しながら着込んでいくのも、『インバーアラン』、ひいてはアランセーターならではの醍醐味ではないでしょうか。

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フィッシャーマンニットはどう着こなすのがおしゃれ?

フィッシャーマンニットはガンジーセーターの項でも述べたように、もともと作業の妨げにならず防風性も考慮したタイトフィットが基本。ただ、今なら少々ゆとりのあるサイズ感が気分です。

また、重厚な羊毛を使用している分トラッド色が強く出てしまうのもフィッシャーマンニットならでは。合わせるパンツやアウターは、ディテールを抑えたミニマルな見た目のモノが良いでしょう。柄を取り入れるなら、パターンの細かいモノがおすすめです。

フィッシャーマンニットのおすすめブランド8選 

ガンジーセーター、アランセーターの代名詞的的な老舗から、デンマークやフランスの人気ブランドまで本格派の8ブランドを紹介しましょう。手編みにこだわった一生モノから、取り入れやすい高子スパな1着まで、バリエーション豊かにピックアップしました。

ブランド1『ガンジー ウーレンズ』

英国領ガーンジー島で1976年に創業。フィッシャーマンが愛用した伝統的なガンジーセーターをベースに、当時のタフさを反映したような男らしいアイテムを展開しています。本作も特徴的なデザインやディテールを踏襲していますが、モダンなフィッティングや色使いでアレンジされています。

ブランド2『アンデルセンアンデルセン』

デンマークの船乗り、バイキングが着用した、セーラーセーターをベースにしている『アンデルセンアンデルセン』。前後対称となった、ガンジーセーターのディテールを取り入れた作りとなっています。上質なメリノウールを使ったイタリア製で、フィッシャーマンの骨太感と品の良さを兼ね備えた人気ブランドです。

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ブランド3『ル トリコチュール』

1964年創業、ガーンジー島のニットブランド。ガンジーセーターの大きな特徴である、前後のない形状、手仕上げによる身頃と袖のマチなど、伝統的な作りが継承されています。ウールももちろんおすすめですが、春まで着回したいなら薄手のコットン素材を選ぶのも1つの手段でしょう。フィット感はややタイトめなので、購入の際はサイズ感にご注意を。

ブランド4『アルダニー』

ガーンジー島の北東に位置する姉妹島、アルダニー島にあるニットファクトリーブランド。半世紀近い歴史があり、長年伝統的なマリンニットのOEMを手掛けていました。ピュアヴァージンウールやディテールを踏襲しながら、胸部のポップコーン編みによる切り替えがアクセントになっています。

ブランド5『セントジェームス』

『セントジェームス』のルーツは、船乗りが愛用したウールセーター。そして「ビニック2」は、ボーダーシャツが生まれる以前のニットのプロトタイプがモチーフとなっています。同ブランドといえばボーダーカットソーが主力ですが、実はこちらのニットがオリジンなんですね。一時は日本での展開がなくなりましたが、現在はフランス製の商品が販売されています。『セントジェームス』も、海の男が愛用したニットに深い関わりがあります。

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ブランド6『インバーアラン』

アランセーターといえば、『インバーアラン』は欠かせません。プルオーバーのクルーネックタイプ「A1」がとくに有名ですが、朴訥としたウッドボタンが目を引くカーディガンタイプならレイヤードや体温調節も容易に行うことができます。前身頃のポケットもさりげないデザインアクセントに。

ブランド7『アテナデザイン』

アイルランド南部で1890年代から続く老舗ニットブランド『アテナデザイン』。ギリシャ神話に登場する芸術の女神に由来するブランド名の通り、熟練のニッターの手による表情豊かな編みを強みとしています。カーディガンタイプでは、温もりを感じさせるウッドボタンを採用。スタンドカラータイプなので、空っ風が寒い日でも暖かく過ごせます。

ブランド8『ケリー・ウーレン・ミルズ』

1904年にアイルランドで創業した『ケリー・ウーレン・ミルズ』。オーガニックにこだわったピュアニューウールを使用しながらも、今回挙げたブランドのなかでもトップクラスのコストパフォーマンスを実現しているブランドです。その理由は、機械編みを取り入れた合理的な生産背景にあります。もちろん、アランセーターならではのオーセンティックなディテールはしっかりと踏襲しており、伸縮性に富んだ軽やかな素材は着心地も抜群です。

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