キーワードはワークテイストと手作り感|おしゃれな人の服と部屋

キーワードはワークテイストと手作り感|おしゃれな人の服と部屋

ファッションもインテリアも、その人の個性を映し出す鏡のようなもの。その2者の相関関係を探るべく、おしゃれな人の服と部屋を巡る連載をスタートします。

2018.03.30
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伊藤 勝太

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伊藤 勝太
ファッションとインテリアを中心に雑誌、カタログ、WEBなどで活動中。現在は大手アパレルブランドのHPのディレクションにも携わる。ただただサッカーとスケボーが好き。 記事一覧を見る
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DIYが生み出す“手作り感”。ワークテイストあふれるお部屋を訪問

ファッションにこだわりを持つ人は、自宅の部屋にも同様のこだわりを持つ人が少なくありません。ちまたにはインテリア家具やライフスタイル雑貨のショップがあふれ、SNSなどを通じて簡単に情報が入手できるようになっています。

DIYが生み出す“手作り感”。ワークテイストあふれるお部屋を訪問

いまや理想の部屋を作ることは、毎日の服を選ぶのと変わりないほど身近な作業。ファッションとインテリアが密接にリンクすることで、そこには統一感や予想外の化学変化が生まれるのです。おしゃれに気を遣う人の、お気に入りのブランドや着こなしの好みは、部屋作りにどのような影響を与えるのでしょうか。ライフスタイルにこだわりを持つ人をピックアップし、ファッションとインテリアの相関関係から見えてくるリアルな部屋作りをご紹介します。

記念すべき第1回目は、インテリアスタイリスト・遠藤慎也さんのご自宅におうかがいしました。

幅広い分野で活躍されているインテリアスタイリスト、遠藤慎也さん

幅広い分野で活躍されているインテリアスタイリスト、遠藤慎也さん

雑誌やブランドカタログをはじめ、広告、CM、ショップディスプレイなど多彩なステージで活躍中の遠藤さん。最近ではレクサスの展示会の会場ディスプレイも手掛けるなど、ジャンルを問わないスタイリングの幅広さは業界屈指です。プライベートでは月に1度はキャンプに出掛けるアウトドア好きだけあって、自然にインスパイアされたナチュラルさやDIYに通じるワークテイストをスタイリングに取り込むこともしばしば。その引き出しの多さは、自身のライフスタイルにも色濃く反映されています。

私服、愛用品から見えてくるこだわり

仕事であるインテリアのスタイリング同様に、普段のファッションにもクラフト感を漂わせる逸品やナチュラルカラーを取り入れるのが遠藤さん流。家具を配置するようにアイテムをうまく組み合わせ、着こなしに広がりをもたらしている手法も見どころのひとつです。

▼着こなしのポイントをチェック

▼着こなしのポイントをチェック

キルティングジャケットはフリマで購入したリメイク品。外出するときも部屋の中でも気軽に羽織れるのがポイントだそう。インナーは近所のショップで購入した『ジャックマン』のサーマルカットソーで、こちらもさらりと着られる楽さとがお気に入りだとか。古着のコーデュロイパンツは、細畝の上品さとゆったりとしたシルエットが生み出すリラックス感が共存しています。使い込まれた、体によく馴染む風合いや着心地。それでいて、野暮ったくならないためのエレガントさをポイントで取り入れた絶妙なスタイル。ナチュラルな質感やヴィンテージ感のあるアイテムを好む遠藤さんのセンスは、ファッションとインテリアの垣根を越えてリンクしています。

▼スタイルを表現してくれる、お気に入りのファッションアイテム

その1

『スティル バイ ハンド』のシャツ

『スティル バイ ハンド』のシャツ

タイトフィットできれいめに着こなせるシャツ。袖がリブ仕様になっているので、カジュアルテイストにもよく馴染みます。「ニットやジャケットのインナーにするときは、リブを少し見せることもあります。1枚で着るなら、太めのパンツを合わせてメリハリのあるシルエットを意識しますね。袖リブ付きで腕まくりがしやすいので、工作時や撮影の際にも重宝しています」。

その2

『デイタム』のリュック

『デイタム』のリュック

ここ5年ほど毎日使っているというのが『デイタム』のリュック。「ロールトップ仕様なので、DIYの材料や工具なども上から放り込むように入れられます。サイドのジップからもサッと取り出せるので、とにかく便利です」。普段はカーキ系の服を着ることが多いので、ボディのオレンジがアクセントカラーとしてコーディネートに映えてくれるそう。

その3、4

『マウンテンリサーチ』のマウンテンハット、『サビルロウ』のメガネ

『マウンテンリサーチ』のマウンテンハット、『サビルロウ』のメガネ

着こなしに小物をプラスするのも遠藤さんのスタイル。「ラフでカジュアルな着こなしが多いので、これらの“きちんと感”のある小物でバランスを取るようにしています。ハットはジャケットやニットにシャツをレイヤードするときなどに、全身のボリューム感を調整するのにも役立ちます。メガネは『サビルロウ』のヴィンテージものを3年ほど愛用中。1度フレームが割れましたが、修理に出して今も大切に使っています」。

プロの技が散見。テクニックが満載のお部屋をチェック

手作りのドライフラワーやDIYによる家具など、クラフト感のあるオリジナル品が散りばめられた遠藤さんの部屋。至るところにお気に入りの小物を飾り、自身の趣向を反映させた雰囲気を作り上げています。加えて、モノが多くても雑多に見せない収納テクニックも見逃せません。インテリアスタイリストならではのスキルとこだわりに満ちた部屋作りは要チェックです。

ポイント1

空中のオープンスペースを彩る自作のドライフラワー

空中のオープンスペースを彩る自作のドライフラワー

仕事の際、スタイリングのアイテムとして生花を用意することも多いので、それも有効活用。撮影が終われば自宅に持ち帰り、木製ハンガーに吊してドライフラワーにしています。「吊しておくだけで、空中空間のインテリアとして一役買ってくれるんです。色んな種類があった方が見栄えがいいですね。この中からお気に入りのドライを一輪挿しのベースに移したりして、気分によってアレンジできるのも楽しみのひとつです」。部屋に飾って終わりではなく、別の仕事でスタイリングに使ったり、友人にプレゼントしたりと、活用方法は広がっていきます。

ポイント2

手作りの温かみを感じる作家もののオブジェで、奥行き感を意識

手作りの温かみを感じる作家もののオブジェで、奥行き感を意識

着こなしに小物をプラスして視覚的な奥行きを持たせる遠藤さんらしく、室内空間にもオブジェや金魚鉢などを取り込み、立体感を演出。アイテムを飾る台には、『IKEA』で購入したウッド製の脚立や、日本人作家である『シゲキ フジシロ』のペーパー製スツールなど、単なるラックや飾り棚ではなく、別用途のものや単体でもインテリアになるものを使っている点にも注目です。「最近は作家さんが作るオブジェをよく購入しています。ほとんどが展示会で見つけたものですね。最初は見るだけのつもりで足を運んでいるのに、気付けば衝動買い(笑)。作家ものならではの独特の佇まいや雰囲気、大量生産とは違うハンドメイドの趣に惹かれます」。

ポイント3

名作とDIYを駆使して、壁面を効果的に使うディスプレイ

古着やクラフト的な雰囲気を愛する遠藤さんの、好みとこだわりが感じられるエリアを発見。左の壁面収納は、ミッドセンチュリーを代表する名作『ウーテンシロ』。現在流通しているのは復刻版がほとんどですが、これは1969年に発表されたオリジナルです。「カーキとベージュが混ざったような独特の色合いが珍しいですよね。ランダムに配置された大小のポケットに、文房具から工具、日用品まで多種多様なものを収納しています」。

名作とDIYを駆使して、壁面を効果的に使うディスプレイ

右のボードは、遠藤さんが手作りした壁掛けディスプレイ。2×4(ツーバイフォー)材2本を天井と床の間に立て、その前面にパンチングボードをビス留めしただけのお手軽な“作品”ながら、使い勝手は抜群。「部屋のスペースやサイズ感にマッチするインテリアが作れるのがDIYのメリットです。パンチングボードを使えば、フックなども好きな位置にセットできるレイアウト自在の収納ディスプレイが簡単に作れます」。

ポイント4

愛着が詰まったアレンジ自在のシェルフ

実家に住んでいたときから使っているというこのシェルフ。アシスタント時代に師匠であるインテリアスタイリストの窪川勝哉氏から譲り受けた『E&Y』のディスプレイシェイルブズです。「このシェルフは長年愛用しているお気に入り。単体で置いておくだけでも存在感を示すデザインはもちろん、何を飾ってもうまく溶け込んでサマになるのが素敵です。師匠からもらったものですから、特別な思い入れもありますね」。

愛着が詰まったアレンジ自在のシェルフ

上段には友人の北欧みやげの照明や前述のドライフラワーを、中央にはネイティブアメリカンの人形や『アレキサンダー・ジラルド』の魚のオブジェなどをディスプレイ。遠藤さんが日常の中で出会った、雑多とも言える小物たちが、シェルフの中では小気味良い調和を見せています。ベースとなるディスプレイ空間次第で、飾るものの印象が明らかに変わる好例と言えるでしょう。

ポイント5

DIYのアイデアが光るダイニングスペース

DIYのアイデアが光るダイニングスペース

ダイニングとして利用しているこのスペースにも、遠藤さんのDIYテクニックが活かされています。テーブルは、壁面に立てかけるように突っ張らせた2×4材に、脚と天板を連結させて作ったオリジナル。さらに、無機質なデザインの男らしい照明が、温かみのあるウッド素材のテーブル周りにアクセントを加えます。照明は、柱の裏側から配線を通して手元でスイッチ操作ができるように工夫が施されました。「テーブルの脚を1本にしたのもポイントです。限られたスペースを効率的に使うために、極力無駄を省きたかったので」。最近購入したという手前の『IKEA×HAY』のベンチも、テイスト、サイズ感ともにうまくマッチしています。

遠藤慎也さん/インテリアスタイリスト

遠藤慎也さん/インテリアスタイリスト

立教大学在学中、バンタンデザイン研究所のインテリアスタイリスト科にも在籍し、スタイリングを学ぶ。卒業後は窪川勝哉氏のアシスタントを経て独立。気鋭のインテリアスタイリストとして活躍中。

Interview&Text_Shota Ito
Photo_Keiichi Ito

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