アメリカ腕時計業界が生んだ実力派。ブローバの魅力を読み解く

アメリカ腕時計業界が生んだ実力派。ブローバの魅力を読み解く

革新的技術により時計史に残る“初”を生み出し、140年以上もの歴史を誇るアメリカ発の『ブローバ』。世界的となった3つの代表モデルを軸に、その実力をご覧いただこう。

小林 大甫

2019.07.17

ブローバ(BULOVA)
腕時計

革新的技術の宝庫。『ブローバ』とは

1875年、ジョセフ・ブローバ氏によりニューヨークに開いた小さな宝飾店から始まった『ブローバ』。1909年に雑用係として雇い入れたジョン・バラード氏の提案により、1911年より本格的に時計製造を開始した。19世紀における時計生産大国であったアメリカでは当時懐中時計が優位であったが、商才に秀で先見の明を持つバラード氏の采配により、『ブローバ』は腕時計に力を入れることとなる。

1912年にはスイス・ビエンヌに工場を構え、その後航行用クロックや高度計測器をはじめとする航空計器を開発するなど飛躍的な技術革新を遂げていく。その技術は時計業界において数々の“初”を生み出し、世界的なブランドとして地位を確立していった。また、価格レンジの拡大や機械式時計のラインアップ拡大を目的とした『シチズン』が海外メーカー買収の皮切りとして『ブローバ』を2008年に買収。2010年には日本法人もでき、我々にとってもより身近に感じられる存在へと変わっていった。

個性派実用腕時計の殿堂、アメリカ発の名門ブランド

個性派実用腕時計の殿堂、アメリカ発の名門ブランド

ロレックスを筆頭に、世界の時計市場を席巻しているスイスブランド。その一方で、カジュアルウォッチを中心に、根強いファンが存在しているのがアメリカブランドです。

MASAFUMI YASUOKA

常識にとらわれない発想と開発力

『ブローバ』最大の魅力は、何といってもその技術開発力。腕時計業界におけるはじめの一歩を生み出すテクノロジーは、世界的に見ても優れている。機械式腕時計が主流だった1960年に“音叉”を使用した高精度のムーブメントを作り上げたことに始まり、その高精度技術を生かした1本を月への宇宙飛行にも採用。2000年に入ると機械式のようにスムーズに針が動く“スイープ運針”をクォーツ式に搭載したり、最近では自然と腕に馴染む形状を求めてクロノグラフムーブメントを屈曲させたりと、その改革はとどまることを知らない。

3本の名機に見る、『ブローバ』の技術革新

前述にも出てきた世界初の音叉時計、月への渡航に採用された「ムーンウォッチ」、そして最新技術である「カーブ」。『ブローバ』のテクノロジーを語るならば、世界的にも有名なこの3つの名機を知らないことにはまず始まらない。

1本目ブランドの代名詞、音叉時計「アキュトロン」

1960年、機械式時計が主流の時代に誕生した「アキュトロン」。“時計の歴史を変えた”と評された音叉式電子機能は、水銀電池の電力で音叉を振動させる、まったく新しい技術だった。音叉の振動を緻密な歯車を通して針の動きに変換することで、それまでの機械式をはるかにしのぐ月差1分以内という高精度を実現。腕時計業界の度肝を抜いた。この「アキュトロン」が世界に『ブローバ』という名を広めたこともあり、デザインを引き継ぎつつクォーツ式となった後継機においてもブランドのロゴにはこの音叉マークが使用されている。

2本目月に行った腕時計“ムーンウォッチ”

『ブローバ』の高精度な機構はNASAからも注目され、採用はかなわなかったが公式腕時計として『オメガ』の「スピードマスター」と争った経緯を持つ。その熱意は後継機へも引き継がれて月への宇宙飛行へと用いられるようになり、1971年にアポロ15号が4度目の月面着陸に成功した際には船長が月面で使用したモデルとして有名となったのがこの通称“ムーンウォッチ”である(実際のモデル名は、「ルナ・パイロット クロノグラフ」)。タキメーター機能を擁した高精度クロノグラフは復刻され、今でも高い人気を獲得している。

3本目腕時計を曲げるという発想から生まれた「カーブ」

独自の技術変遷を送ってきた『ブローバ』が2016年に新たに誕生させたのが、世界初となるカーブしたクロノグラフムーブメントを搭載した「カーブ」コレクションだ。“時計があるべき形は何か”という視点から、これまでのクロノグラフムーブメントでは不可能だった流線型の人間工学に基づいた設計を実現。過去の常識では考えられないムーブメントとケース、ダイヤルのフィット感に加え、独自の高精度クォーツを搭載した『ブローバ』の技術革新の最たるモデルだ。

今買える名作。『ブローバ』の人気腕時計7選

140年を超える歴史が生み出す画期的技術と宝飾由来の美しい造形美が魅力的な『ブローバ』は、上に掲げた3つの名機に負けずとも劣らない数々のラインアップを抱えている。中でも高い人気を誇る7モデルを紹介していこう。

モデル1プレシジョニスト クロノグラフ

一般的なクォーツムーブメントに比べて6倍の精度を誇る高精度クォーツを搭載し、1秒間に16ステップという細やかな秒針の動きによる“スイープ運針”を実現した「プレシジョニスト」シリーズ。さらに、1/10秒と1/100秒両方を計測する12時カウンター、時・分カウンター、レトログラード表示の1/1000秒計測器という4つのサブダイヤルを配置したクロノグラフ仕様によりメンズ好みのメカニカルさを加速させている。46mmサイズのケースも相まって、腕元の存在感は別格だ。

モデル2マリンスター

100m防水を施した「マリンスター」シリーズは、ダイバーズウォッチのエントリーとして最適なモデルを揃えている。なかでもこちらは王道のダイバーズを象徴する1本。ブラックベゼル&フェイスと視認性の高いインデックスデザインが特徴で、オン・オフを問わない汎用性の高さが魅力だ。また『ブローバ』らしい精度の高いクォーツムーブを搭載しているうえ、コストパフォーマンスにも優れているのもうれしい限りだ。3針モデルも用意されているが、より男らしさを主張できるクロノグラフをピックアップ。

モデル3ヴィンテージ

飽きのこないタイムレスなルックスでその名のとおりレトロな印象の「ヴィンテージ」。40mmのミニマルなゴールドケースやドーム型風防、型押しのレザーストラップといったクラシカルなディテールは腕時計本来の味わいを楽しませてくれる。インデックスにはミリタリーモチーフのアラビア数字を採用しつつ、ミニマルなデイト3針仕様にすることで視認性も確保した。ドレスライクな顔立ちは、シーンを問わず活躍が期待できそうだ。

モデル4シーキング

高気圧防水や316Lステンレススチール、逆回転防止ベゼルなどを搭載したダイバーズウォッチの最上位モデル「シーキング」。『ブローバ』が独自で開発した、標準のクォーツ式の8倍の制度を有するUHFムーブメントを搭載している。また、ベゼルのビス打ちや武骨なシルバーケース、凹凸のあるタフなラバーベルトなど、海を愛する武骨な男にはたまらない抜群の存在感をアピールできる。オールブラックなら、スマートな空気も期待できる。

モデル5オートマチック

高性能クォーツが注目される同ブランドは、機械式モデルにもこだわりがたっぷり。「オートマチック」シリーズには、精密な作りのムーブメントの動作をうかがえる、スケルトンデザインを採用した機械式が揃う。とくに惹かれるのは、見るからにメカニカルな印象のこの1本。大胆にくり抜かれたスケルトンフェイスからのぞく緻密なムーブメントと、品のあるピンクゴールドをマッチさせた格式漂うルックスとのギャップが物欲を誘う。見た目から人と違う機械式時計を身に着けたいのであれば、ぜひ。

モデル6ミリタリー

米軍のために実際に開発された過去のアーカイブをデザインソースとし、復刻を果たした「ミリタリー」コレクション。針やインデックスだけでなく、“BULOVA”のブランドロゴも当時の武骨なものを再現している。懐古的な見た目ながら、中身には自動巻きムーブメントを搭載。実用性は十分だ。

モデル7エアロジェット オートマチック

近代的な機械式モデル「オートマチック」とは異なり、1960年代のディテールを懐古した「エアロジェット オートマチック」。当時見られた文字盤上の十字ラインとバーインデックス、6時位置から機構を味わえるオープンハート仕様が特徴だ。品のあるローズゴールドPVD加工を施した41mm形ケースと型押しレザーストラップが、クラス感のある手元を演出してくれる。また、いちいち腕時計をはずさずに操作できる2時位置のリューズもユニークな意匠だ。

アパレル業界から出版社編集を経て、エディター&ライターとして独立。紙・WEBを問わず男性ファッションを中心に執筆中。読者に寄り添えるファッション提案がモットー。
この編集者の記事を見る
    KEYWORD関連キーワード
    RECOMMENDEDあなたにおすすめの記事
    高級腕時計ブランド45選。ステータス性を備えた一生モノ勢揃い

    高級腕時計ブランド45選。ステータス性を備えた一生モノ勢揃い

    生涯をともにできるアイテムは意外と少ないもの。そのなかでも腕時計は、最も身近な存在ではないでしょうか。一生モノにふさわしい逸品の選び方と傑作をご紹介しましょう。

    夏目 文寛

    メンズが腕時計を選ぶなら、機能かルックスかブランド力か。知っておきたい5つの基準

    メンズが腕時計を選ぶなら、機能かルックスかブランド力か。知っておきたい5つの基準

    腕時計は実用品であると同時に、着用者の人物像やセンスを反映する装飾品。ここでは機能と見た目、そしてブランドなど、さまざまな面から腕時計の選び方を解説します。

    夏目 文寛

    本場にも負けないモノ作り。日本発の腕時計ブランド12選

    本場にも負けないモノ作り。日本発の腕時計ブランド12選

    腕時計の本場がスイスというのは、否定できない事実。しかし、実用時計においては日本が世界一といっても過言ではありません。その理由と珠玉のブランドを語り尽くします。

    牟田神 佑介

    グランドセイコーを買う前に。国産時計最高峰のすべてを知っておく

    グランドセイコーを買う前に。国産時計最高峰のすべてを知っておく

    世界でもっとも知られている国産高級時計ブランドが『グランドセイコー』。日本の時計製造技術の粋を集めて作られた『グランドセイコー』の魅力をたっぷりご紹介します。

    夏目 文寛

    スマートウォッチに今できること。基礎の基礎からみっちりおさらい

    スマートウォッチに今できること。基礎の基礎からみっちりおさらい

    日々存在感を強めているスマートウォッチ。しかし「興味はあるけどスマートウォッチって何ができるの?」という人もまだ多いのでは。ここで基礎からみっちりお教えします。

    夏目 文寛

    アイテムリスト

    BACK