
次世代のイージーパンツ。シェフパンツのシルエットが今、旬
程良くワイドで、リラクシー。リアルなワークシーンに根差したシェフパンツが、注目され始めている。ヘビロテ必至のその理由を、読み解いていこう。
はくだけでスタイルが完成。シェフパンツが手放せない
別名、コックパンツとも呼ばれるシェフパンツ。もともと現職のシェフたちが厨房で愛用していた仕事着に由来するだけあり、運肢を邪魔しない太さとせわしなく動き回ってもずり落ちてこないウエストゴムやドローコードを装備しているのが特徴だ。いわゆるイージーパンツのような肩肘張らないはき心地で、オーバーサイズ人気が続く2020年にももってこいのアイテムとして注目を浴びている。
また、無地だけでなくストライプやチェッカーなど色柄にバリエーションがあるのもシェフパンツを選ぶメリットの1つ。今季的なワイドシルエットも手伝い、シンプルなトップスをサラッと合わせてもサマになってくれるので実に頼もしい存在だ。
特に、2019年の冬頃からは各セレクトショップからグッドプライスで見栄えもさまざまなシェフパンツブランドが乱立。決してマイナーではなく、主要パンツカテゴリの一因に数えられるようになった今、チェックしておいて損はない。
快適で、ファッショナブル。スタイル不問のシェフパンツ
作業着がベースのシェフパンツ。しかしワークにとどまらず、そのスタイリングの振り幅には目を見張るものがある。リゾート、ミリタリーなど旬のテイストにも落とし込めることを、それぞれファッショニスタの着こなしを参考にしながら証明していこう。
コーデ1
まずは王道。ネイビー基調のワークコーデにすんなり馴染む
『エンジニアドガーメンツ』のラフな短丈ワークジャケットに、ボリュームのあるシェフパンツは文句なしの好相性。裾に向かって強くテーパードが効いているため、全体のシルエットはあくまで都会的だ。より落ち着いたスタイリングを作りたいなら、コーデのようにアイウェアやレザーシューズなど知的な印象のアイテムを取り入れてみると良いだろう。
コーデ2
リラックスシルエットのストリートコーデも難なく攻略
裾に向かってテーパードのかかったシェフパンツは、ルーズにも見えてしまうオーバーサイズトップスを着こなす鍵になり得る存在。プライス的にもこなれたモノが多いので、柄に挑戦するのも面白い。柄モノのスラックスなどと比べても、素材的に気負わずはきこなすことが可能だ。なお、シェフパンツの裾はカジュアルに着こなす際はロールアップせず、ワンクッション生まれるぐらいが見栄えも良い。
コーデ3
ミリタリーだってお手の物。ハリのある素材なら清潔感も呼び込める
ディテールとカラーで軍モノ感を出したテーラードジャケットに、ロールアップでジャスト丈に仕上げたシェフパンツをマッチ。ワークパンツならではのコシのある素材感が、ワイド幅にもかかわらず下半身をすっきりと仕上げてくれる。カーキとグレーの掛け合わせで淡く仕上げた分、ニットとスニーカーでトーンを締めている点にも注目したい。
コーデ4
ジャケットスタイルに合わせるときは、裾丈に気を配るべし
ここまでシェフパンツの万能さを説いてきたが、着こなし方に少々のアレンジを加えるだけで服との相性はグッと良くなる。例えば、クリーンなテーラードジャケットなどと合わせる際にはカジュアル色を薄めるために少々丈感に注意を払うと良い。靴にかかるかかからないか、ソックスが見えるかどうか、ぐらいに裾上げをすることで一気にスマートな印象に仕上がる。柄モノを選んだ際などは、なおさらだ。
専業ブランドから人気セレクトショップまで。旬の10本を厳選
比較的新しいトレンドながら、続々とリリースされているシェフパンツ。素材にシルエット、ディテールまで各ブランドそれぞれの個性を反映した10本から、まずは1本見繕ってみよう。
1本目
『クックマン』シェフパンツ
アメリカ西海岸で働く料理人たち。従来の快適さに加え、よりファッショナブルな仕事着を求める彼らの声に応える形で誕生したのが『クックマン』だ。ワークパンツにおける理想的な混紡率を実現したエステルコットンを使用し、耐久性をキープしつつも強いテーパードをかけることでモダンなシルエットを叶えている。さらに同ブランドにおいて着目すべきは、コストパフォーマンス。堅実なバックボーンを持つブランドのアイテムがこの価格で手に入るというのは、うれしい限りだ。ポケット内にはキーホルダーも提げられるループを用意。
2本目
『レッドキャップ』シェフパンツ
『ディッキーズ』と並びアメリカのワークシーンを支えてきた『レッドキャップ』も、シェフパンツをリリースしている。ポリエステル100%のドライタッチな生地は、春夏のコーディネートにふさわしい軽やかな着心地を提供。シルエットは、上記『コックマン』よりもやや太めのテーパードタイプとなっている。ロゴはバックポケットの小さな挟みタグのみで記されており、実に潔い。ドローコードによりウエストの調整が可能だ。
3本目
『ユニバーサルオーバーオール』CHEF PAINTER PANTS
ホワイトをベースに清涼感のあるストライプを載せたナチュラルな風合いの1本は、老舗ワークウェアブランド『ユニバーサルオーバーオール』のモノ。シェフパンツをベースとしつつも、ハンマーループやツールポケットなどのペインターパンツのディテールを押さえたユニークなデザインとなっている。裾に向かって程良くすぼまるベーシックなシルエットは、スタイリングの幅も広い。
4本目
『フリークスストア』シェフパンツ
ウエストにタックを効かせ、程良くゆるいシルエットを構築した『フリークスストア』オリジナルのパンツ。こちらの強みは、その豊富なバリエーションにある。写真のキャッチーなバンダナ柄だけでも数色用意しているほか、レオパード、マルチストライプ、デニム、シアサッカー、そして当然無地も展開。価格も5,000円程度とお手頃なので、2本3本と揃えるのもありだろう。
5本目
『コーエン』シェフパンツ
コストパフォーマンスに優れたアイテムを揃える『コーエン』からは、履き心地の良いコットン100%のラインアップでお届け。税込みでも4,000円以下に抑えながら、きちんと厚みのある生地を使用している点は流石だ。なお、ブラック、ブラウンの基本色以外はWEB限定での販売となるため、要チェック。
6本目
『ジャーナル スタンダード レリューム』CALIFORNIA コーデュロイ シェフパンツ
起毛感や繊維の細さから変更しているサマーコーデュロイに比べると少々ほっこりした印象になるが、細畝のコーデュロイなら春も引き続きワードローブに組み込める。『ジャーナル スタンダード レリューム』のそれは既存のシェフパンツに倣い太めのシルエットとなっているが、テーパードを強く掛けたスマートなシェイプが印象的だ。左ポケットに配されたさりげないピスネームも、良いアイキャッチに。
7本目
『ラコレ』シャギーチェックコックパンツ
機能系素材に一家言ある『ラコレ』らしく、レーヨンを配合した肌触り良く柔らかな素材を使用。ポリウレタンも配合しているため、ストレッチ性も上々だ。元々丈感が短めに設定されているので、裾上げせずともすっきりとはきこなせるのはうれしいポイントだ。
8本目
『カリフォルニア アウトフィッターズ』ヘリンボーン ワイドシェフパンツ
タックを入れることで腰周りにゆとりを持たせたデザインが特徴的。ワイドでありながら野暮ったさのない美しいシルエットが実現するのは、素材にきめの細かいスーツ素材を採用しているため。ヘリンボーンの生地模様と相まって、程良く上品な仕上がりとなっている。肌触りもサラッとしているため、履き心地も申し分なし。
9本目
『アレクサンドラ』シェフパンツ
イギリスのワークウェアブランド『アレクサンドラ』のシェフパンツ。一見、オールブラックのベーシックなパンツに思われるが、素材のコットン生地にはテフロン加工が施されている。撥水・防汚性を高めている点は、ユニフォームメーカーならではのうれしいポイントだ。ヒップポケットを省いたデザインのため、バックスタイルはミニマルですっきりとした印象。
10本目
『アンコモンスレッズ』シェフパンツ
グレーのチェック柄がクラシカルな印象だが、こちらもれっきとしたシェフパンツ。テーパード感も強くなく、クリーンな印象だ。ゴムウエストにワイドシルエットと、リラックス感のある仕様はちゃんと押さえられているのでご安心を。本作は同型で千鳥格子柄や複数のストライプ柄もラインアップ。いずれもシックな色味の大人っぽいデザインで、きれいめなトップスや革靴とも好相性だ。
ブツ欲が動力源のモノ好き編集部員
牟田神 佑介