一度履けば、クセになる。オールデンのローファーが愛され続ける理由とは

一度履けば、クセになる。オールデンのローファーが愛され続ける理由とは

米国製高級紳士靴の代表といっても過言ではない『オールデン』。なかでもローファーはアメトラに欠かせない1足です。創業から100年以上愛される秘密を解説します。

那珂川廣太

2020.01.23

オールデン(ALDEN)
レザーシューズ
ローファー

アメトラ好きは必携。『オールデン』のローファーは特別な存在だ

1884年にマサチューセッツ州で創業した老舗高級紳士靴メーカー『オールデン』。主にグッドイヤーウェルト製法で1足あたり約3週間かけて仕立てられるその靴は、いずれも抜群の履きやすさとアメリカ物らしい男らしい雰囲気が特徴。アメリカントラッドなスーツスタイルからカジュアルなジーンズまでマッチするドレスシューズとして、高い人気を誇っています。

アメリカの高級紳士靴『オールデン』の名が日本に轟いたのが、1979年に『ブルックスブラザーズ』が日本上陸を果たしたとき。当時の日本では『G.H.バス』や『セバゴ』、『ヴァンヂャケット』などのガラスレザーを使ったカジュアル寄りのビーフロールローファーが一般的でした。そんなシーンにおいて、『ブルックスブラザーズ』のローファーは高級皮革であるコードバンをアッパーに使用して仕立ても極めてドレッシーと一際目立つ存在に。そのため「この靴は一体なんだ!?」と服好きの間で大きな話題になったのです。結果、そのローファーの製造元であった『オールデン』まで脚光を浴びることになりました。

以来、『オールデン』の靴は『ブルックスブラザーズ』のボタンダウンシャツと同様に、アメリカントラッドのカテゴリにおいて永世定番アイテムとして数えられることになったのです。

大人たちを虜にする『オールデン』のローファーの秘密は、職人の超絶技巧にある

ローファーは、2枚の革を縫い合わせてアッパーを仕立てるのが一般的。一方で『オールデン』のローファーは、アッパーに1枚革を使用して革の内部のみに糸を縫い通すことでU字状のモカ縫いを形作る“スキンステッチ”と呼ばれる手法を採用しています。スキンステッチは縫い目が靴の内部まで貫通しないため、堅牢で防水性に優れつつ足馴染みの良い靴に仕上がるのが特徴です。また『オールデン』が得意とするコードバンは薄いうえに硬質な扱いづらい革。そのため、スキンステッチを行えるのは『オールデン』の職人の中でもわずか4人だけといわれています。

また、グッドイヤーウェルト製法では、一般的に革靴の前半分の土踏まず部分まで出し縫いを行ってかかとの部分は釘で留めるのが一般的。しかし、『オールデン』の外羽根式の靴では、全周を出し縫いする“オールアラウンドグッドイヤーウェルト製法”が採用されています。出し縫いの際に靴を360°回転させる必要がある職人泣かせの製法ですが、釘を使わずに済むため非常に軽く仕上がります。

高い汎用性を誇る大定番・ペニーローファーは、細かな好みに合わせて選びたい

『オールデン』のローファーの中でも、最も定番にして人気なのがペニーローファーでしょう。『ブルックスブラザーズ』とタッグを組んだ伝説のアンラインドペニーローファーが製造中止になって久しいのが残念ですが、現在でも『オールデン』は積極的にブランドやセレクトショップと別注を行っています。定番モデル以外にも革やラストの別注を行ったモデルも多数存在しているため、自身の足型やスタイルに合った1足をゆっくりと探してみてはいかがでしょう。

▼ジーンズでもスーツでもこなしてくれる、万能さが売りのペニーローファー

「最もカジュアルなドレスシューズ」として、アイビーリーガーたちに愛されてきたペニーローファー。さらに気品を兼ね備えた『オールデン』ならば、ジーンズからスーツまで幅広くフィットする抜群の対応力を見せてくれます。

オンスタイルにはビジネスタイムにも臨機応変に対応できるカジュアルなスーツスタイル

グレーフランネルの1型(3つボタン段反り)スーツと『オールデン』というアメトラ定番のセットアップを、ギンガムチェックのシャツとワッチキャップでドレスダウンしたコーディネート。オンタイムは白シャツ&ソックスを合わせておき、アフターファイブはシャツを柄モノに変えて素足に、といった着こなしの幅広さも『オールデン』の魅力です。

オフスタイルにはラギッドなミリタリーコーデを足元から品良く仕上げる

ヴィンテージの山岳部隊用オーバーコートやファティーグパンツなど、武骨なミリタリーアイテムを中心に構成。足元にブラウンのペニーローファーを合わせ、ボトムスの裾をジャストに設定することでスッキリとした品の良さが生まれています。トゥに丸みがある『オールデン』のコンパクトさなら、こんな味系コーデも思いのままです。

▼型番により細かく異なるディテールやラストを理解して選ぶ

ローファーで使用されるバリーラストのほか、矯正靴用として開発されたモディファイドラスト、日本限定のミリタリーラスト、ショップ限定のトムラストを含めると、13種類にも及ぶ『オールデン』の基本的なラストのラインアップ。また「986」などで使用されているものを日本人の足型に合わせて甲高に調整した「99162」用のバリーラストも用意されるほか、時折別注企画として13種類以外のラストを使用したモデルも存在しています。それぞれサイズ感やルックスも異なるため、じっくりと試着して選んでみるのがおすすめです。

1足目986

オールデンのローファーといえば真っ先に名前が挙がるのがヴァンラストを採用した「986」、通称レジャーモカシンが有名。ローファー専用に開発されたヴァンラストはつま先に丸みを持たせつつ、アッパーが垂直に近い角度で立ち上がるエッジの効いたスクエアシルエットが特徴です。

2足目987

同じくレジャーモカシンのバーガンディカラーが「987」。こちらのローファーでもアッパーに使用されているホーウィン社製のシェルコードバンはたっぷりとオイルを含み、靴作りに最適なしなやかさを備えています。なお、かつてホーウィン社の経営危機を『オールデン』が救ったことから、ホーウィン社は常に最高品質のコードバンを『オールデン』に優先的に供給しているといわれています。この“ならでは”のツヤ感も、そんな両社の関係性があってのモノなのです。

3足目984

「984」ではコードバンではなくバーガンディのカーフを使用しているため、雨天時でも気兼ねなく履くことができます。また、レジャーモカシンの場合は日本人向けにラストを調整した「99612」や「99362」といったモデルもラインアップされており、甲高幅広な足型の人はそちらを選ぶのがおすすめです。

4足目N5203F

近年では、コードバンと並ぶホーウィン社の代名詞・クロムエクセルレザーをアッパーに使用したモデルもリリース。落ち着いたトーンのネイビーを採用しているため、ブラックの紳士靴と同じ感覚でスーツにも合わせられます。また、オイルをたっぷりと含んだしなやかな革のため足馴染みが良く、激しい経年変化を見せるのも魅力です。

5足目683

『オールデン』が所有する木型の中で、最もナローなアバディーンラストを使用した「683」、通称フルストラップスリッポンです。ヨーロッパ風のシャープなシルエットのため、オンタイムのスーツとの相性は抜群です。

うんちくを備えた『オールデン』のタッセルローファーは素材の違いで履き分ける

ハリウッド俳優のポール・ルーカス氏が渡英した際に、英国王が房飾り付きの靴を履いているのを目にし、帰国後にNYとLAのショップに房飾り付きのシンプルな靴をオーダーしたことから誕生したタッセルローファー。両店ともたまたま『オールデン』に製造を依頼したことから、同社がタッセルローファーの元祖と呼ばれるようになりました。ビジネスシーンでの着用を敬遠する人もいますが、前述の通りタッセルローファーの出自は英国王が履いていた靴。米国では「弁護士の靴」と呼ばれるほど格式の高い靴でもあり、積極的にオンタイムで着用したい1足です。

▼シャープでエレガント。ビズシーンで真価を発揮するタッセルローファー

ジャケットの柄からショーツの丈、スポーツソックスにカレッジリングといった組み合わせまで、名著『TAKE IVY』から抜け出してきたかのようなオーセンティックなスタイリング。当時のアイビーリーガーはペニーローファーを履くのが主流でしたが、あえてタッセルを合わせているあたりが現代的なツイストです。

▼タッセルローファーは、素材により表情を大きく変える

ルーカス氏が「よりシンプルな靴」とオーダーしたこともあって、タッセルローファーは極めてシンプルな靴。そのため素材の違いによってさまざまな表情を楽しむことができます。

1足目664

ホーウィン社のシェルコードバンをアッパーに採用した「664」。細身なアバディーンラストとシングルレザーソールにコードバンならではの深いツヤが相まって、ドレッシーな美しさを備えています。

2足目662

『オールデン』と聞くとコードバンが思い浮かびますが、タッセルローファーの場合はアッパーにスエードを採用したモデルも人気です。起毛革ではありますが毛足が短くエレガントさが先に立つため、オールシーズンで着用できます。

3足目『ブルックスブラザーズ』カーフタッセルローファー

『オールデン』の場合、コードバンばかりが注目されカーフのモデルは後回しになりがち。そこでおすすめしたいのがこちら。実は『ブルックスブラザーズ』のタッセルローファーは今も『オールデン』が製造を担当しています。かかとに施されたフォクシングステッチは、『ブルックスブラザーズ』限定の仕様です。

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バイク専門誌と男性向けライフスタイル誌で編集を約8年務めたのちに独立。ファッションはアメリカンカジュアルからトラッドまで幅広く執筆を行い、特にブーツやレザー、ジーンズ、古着など男臭いアイテムの知識が豊富。また乗り物やインテリア、フードまでライフスタイル全般にわたって「ラギッド」を切り口に執筆する。
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