
一度履けば、クセになる。オールデンのローファーが愛され続ける理由とは
米国製高級紳士靴の代表といっても過言ではない『オールデン』。なかでもローファーはアメトラに欠かせない1足です。創業から100年以上愛される秘密を解説します。
アメトラ好きは必携。『オールデン』のローファーは特別な存在だ
1884年にマサチューセッツ州で創業した老舗高級紳士靴メーカー『オールデン』。主にグッドイヤーウェルト製法で1足あたり約3週間かけて仕立てられるその靴は、いずれも抜群の履きやすさとアメリカ物らしい男らしい雰囲気が特徴。アメリカントラッドなスーツスタイルからカジュアルなジーンズまでマッチするドレスシューズとして、高い人気を誇っています。
アメリカの高級紳士靴『オールデン』の名が日本に轟いたのが、1979年に『ブルックスブラザーズ』が日本上陸を果たしたとき。当時の日本では『G.H.バス』や『セバゴ』、『ヴァンヂャケット』などのガラスレザーを使ったカジュアル寄りのビーフロールローファーが一般的でした。そんなシーンにおいて、『ブルックスブラザーズ』のローファーは高級皮革であるコードバンをアッパーに使用して仕立ても極めてドレッシーと一際目立つ存在に。そのため「この靴は一体なんだ!?」と服好きの間で大きな話題になったのです。結果、そのローファーの製造元であった『オールデン』まで脚光を浴びることになりました。
以来、『オールデン』の靴は『ブルックスブラザーズ』のボタンダウンシャツと同様に、アメリカントラッドのカテゴリにおいて永世定番アイテムとして数えられることになったのです。
大人たちを虜にする『オールデン』のローファーの秘密は、職人の超絶技巧にある
ローファーは、2枚の革を縫い合わせてアッパーを仕立てるのが一般的。一方で『オールデン』のローファーは、アッパーに1枚革を使用して革の内部のみに糸を縫い通すことでU字状のモカ縫いを形作る“スキンステッチ”と呼ばれる手法を採用しています。スキンステッチは縫い目が靴の内部まで貫通しないため、堅牢で防水性に優れつつ足馴染みの良い靴に仕上がるのが特徴です。また『オールデン』が得意とするコードバンは薄いうえに硬質な扱いづらい革。そのため、スキンステッチを行えるのは『オールデン』の職人の中でもわずか4人だけといわれています。
また、グッドイヤーウェルト製法では、一般的に革靴の前半分の土踏まず部分まで出し縫いを行ってかかとの部分は釘で留めるのが一般的。しかし、『オールデン』の外羽根式の靴では、全周を出し縫いする“オールアラウンドグッドイヤーウェルト製法”が採用されています。出し縫いの際に靴を360°回転させる必要がある職人泣かせの製法ですが、釘を使わずに済むため非常に軽く仕上がります。
高い汎用性を誇る大定番・ペニーローファーは、細かな好みに合わせて選びたい
『オールデン』のローファーの中でも、最も定番にして人気なのがペニーローファーでしょう。『ブルックスブラザーズ』とタッグを組んだ伝説のアンラインドペニーローファーが製造中止になって久しいのが残念ですが、現在でも『オールデン』は積極的にブランドやセレクトショップと別注を行っています。定番モデル以外にも革やラストの別注を行ったモデルも多数存在しているため、自身の足型やスタイルに合った1足をゆっくりと探してみてはいかがでしょう。
▼ジーンズでもスーツでもこなしてくれる、万能さが売りのペニーローファー
「最もカジュアルなドレスシューズ」として、アイビーリーガーたちに愛されてきたペニーローファー。さらに気品を兼ね備えた『オールデン』ならば、ジーンズからスーツまで幅広くフィットする抜群の対応力を見せてくれます。
オンスタイルには
ビジネスタイムにも臨機応変に対応できるカジュアルなスーツスタイル
グレーフランネルの1型(3つボタン段反り)スーツと『オールデン』というアメトラ定番のセットアップを、ギンガムチェックのシャツとワッチキャップでドレスダウンしたコーディネート。オンタイムは白シャツ&ソックスを合わせておき、アフターファイブはシャツを柄モノに変えて素足に、といった着こなしの幅広さも『オールデン』の魅力です。
オフスタイルには
ラギッドなミリタリーコーデを足元から品良く仕上げる
ヴィンテージの山岳部隊用オーバーコートやファティーグパンツなど、武骨なミリタリーアイテムを中心に構成。足元にブラウンのペニーローファーを合わせ、ボトムスの裾をジャストに設定することでスッキリとした品の良さが生まれています。トゥに丸みがある『オールデン』のコンパクトさなら、こんな味系コーデも思いのままです。
▼型番により細かく異なるディテールやラストを理解して選ぶ
ローファーで使用されるバリーラストのほか、矯正靴用として開発されたモディファイドラスト、ドレッシーな面持ちのアバディーンラストなど『オールデン』の基本的なラストのラインアップ。それぞれサイズ感やルックスも異なるため、じっくりと試着して選んでみるのがおすすめです。
1足目
987
こちらは定番のヴァンラストを使用した「987」。通称レジャーモカシンと呼ばれます。アッパーに使用されているホーウィン社製のシェルコードバンはたっぷりとオイルを含み、靴作りに最適なしなやかさを備えています。なお、かつてホーウィン社の経営危機を『オールデン』が救ったことから、ホーウィン社は常に最高品質のコードバンを『オールデン』に優先的に供給しているといわれています。この“ならでは”のツヤ感も、そんな両社の関係性があってのモノなのです。
2足目
6845
アバディーンラストを使用した「6845」。トゥがやや細く、ドレッシーな印象をもたらします。パンツはデニムかチノパンを合わせ、仕上げにブレザーを羽織れば王道のアメトラスタイルの完成です。
3足目
『ビームス プラス』別注スエードペニーローファー
メイン素材にネイビーのスエード使用しつつ、甲部分、履き口、ヒール部分をネイビーの表革を使用した”同色異素材”で構築することで、奥行きのある1足を実現。ラストはローファー定番のヴァンラストを採用しています。
うんちくを備えた『オールデン』のタッセルローファーは素材の違いで履き分ける
ハリウッド俳優のポール・ルーカス氏が渡英した際に、英国王が房飾り付きの靴を履いているのを目にし、帰国後にNYとLAのショップに房飾り付きのシンプルな靴をオーダーしたことから誕生したタッセルローファー。両店ともたまたま『オールデン』に製造を依頼したことから、同社がタッセルローファーの元祖と呼ばれるようになりました。ビジネスシーンでの着用を敬遠する人もいますが、前述の通りタッセルローファーの出自は英国王が履いていた靴。米国では「弁護士の靴」と呼ばれるほど格式の高い靴でもあり、積極的にオンタイムで着用したい1足です。
▼シャープでエレガント。ビズシーンで真価を発揮するタッセルローファー
ジャケットの柄からショーツの丈、スポーツソックスにカレッジリングといった組み合わせまで、名著『TAKE IVY』から抜け出してきたかのようなオーセンティックなスタイリング。当時のアイビーリーガーはペニーローファーを履くのが主流でしたが、あえてタッセルを合わせているあたりが現代的なツイストです。
▼タッセルローファーは、素材により表情を大きく変える
ルーカス氏が「よりシンプルな靴」とオーダーしたこともあって、タッセルローファーは極めてシンプルな靴。そのため素材の違いによってさまざまな表情を楽しむことができます。
1足目
664
ホーウィン社のシェルコードバンをアッパーに採用した「664」。細身なアバディーンラストとシングルレザーソールにコードバンならではの深いツヤが相まって、ドレッシーな美しさを備えています。
2足目
666
『オールデン』と聞くとコードバンが思い浮かびますが、タッセルローファーの場合はアッパーにスエードを採用したモデルも人気です。起毛革ではありますが毛足が短くエレガントさが先に立つため、オールシーズンで着用できます。
3足目
563
ホーウィン社のシェルコードバンをアッパーに採用した563。前出の666や664は兄弟モデルとされおり、細身のノーズやシングルオークレザーソールを採用するなど、共通点はさまざま。カラーリングで微妙な違いがあるため、手持ちのパンツなどと合わせて検討を。
4足目
662
上品で柔らかなカーフスキンをアッパーに使用。細身のアバディーンラストがドレッシーさに拍車をかけます。カラーはバーニッシュドタンで、明るめのブラウンが、着こなしに上品さとカジュアルさのいい塩梅です。
5足目
561
ダークブラウンカラーを纏った上品な面持ちのタッセルローファーは「561」です。アバディーンラストを採用しており、細身のトゥがカジュアルなパンツを上品なスタイルに格上げします。トラディショナルな着こなしと特に相性の良い一足です。
この記事の掲載アイテム一覧(全8商品)
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『オールデン』 987
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『オールデン』 6845
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『オールデン』×『ビームス プラス』 別注スエードペニーローファー
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『オールデン』 664
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『オールデン』 666
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『オールデン』 563
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『オールデン』 662
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『オールデン』 561
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