ハイテクノロジーとアナログ顔の融合。大人はトゥルームを知っている

ハイテクノロジーとアナログ顔の融合。大人はトゥルームを知っている

セイコーエプソンが時計市場に投入した『トゥルーム』は、次世代アナログウォッチの理想形。今もっとも注目すべきといっても過言ではない国産時計の魅力を解き明かす。

ワダ ソウシ

2018.09.27

腕時計
クォーツ

アナログウォッチの至宝『トゥルーム』を生んだセイコーエプソンとは

『トゥルーム』を知るうえで、まず押さえておきたいのが、製造元がプリンターなどで知られる「セイコーエプソン」であること。“セイコー”の名を冠しているので勘違いしやすいが、セイコーホールディングス(現セイコーウオッチは同社傘下)の前身である服部時計店から独立した第二精工舎の諏訪工場などが母体となったのが、現在の「セイコーエプソン」であり、セイコー本体とは別企業である。

同社は、かの有名な世界初のクォーツウォッチ「セイコー クオーツアストロン」を発明したことでも知られ、紹介する『トゥルーム』や『リスタブルGPS』といった腕時計を自社のオリジナル商品として手掛ける一方で、現在もセイコーウオッチ向けにGPSソーラーウォッチ「セイコー アストロン」などの開発・製造も行っている。いわばセイコーウオッチが誇る最先端のエレクトロニクスウォッチ分野を担っており、『トゥルーム』は「セイコーエプソン」の高度な技術力をアピールするべく開発された、メーカー渾身の逸品なのである。

複雑な背景もあるが、「セイコーエプソン」が持つ技術を総動員して誕生した新ブランド『トゥルーム』は、GPSや各種センサーを搭載しつつ、時計らしいアナログ表示にこだわった点が評価されている。とくに本物志向の時計好きや他人と違う時計を好む層を中心に人気となり、百貨店や量販店の時計売り場のほか、老舗時計店でも取り扱われている。

トゥルームを構成する、3つの軸

『トゥルーム』の魅力をより深く知るべく、最先端テクノロジーを積んだムーブメントや高級時計に匹敵する外装の仕上げ、アナログウォッチの可能性を広げるデザインの3つの軸に着目し、ディテール写真とともに詳しく解説しよう。

軸1アナログなルックスの裏に潜んだ、最先端技術の粋

『トゥルーム』は一見、スタイリッシュなアナログ式クロノグラフに見えるものの、GPSや気圧・高度、方位(一部モデルを除く)のセンサーを搭載している。しかも文字盤裏側のソーラーパネルでエネルギーを生み出す“ライトチャージ”での駆動を実現し、内蔵GPSモジュールには高感度&低消費電力の“サテライトリンク”を採用。要するに外部からの充電を必要とせず、正確な位置や環境のデータを取得することが可能なのだ。また一部を除くLコレクションはエクスパンデッドセンサーとBluetooth通信でリンクすることで、温度、紫外線、歩数、消費カロリーも表示できる。

軸2ラグジュアリー感を醸し出す、上質な素材使い

ケース素材は、軽量ながら高い強度を誇るチタニウム合金(Cコレクションのみステンレススチール)を採用。耐食性にも優れており、金属アレルギーを引き起こしにくいことから『トゥルーム』のような未来的な腕時計にぴったりなマテリアルといえる。チタンは製造に技術と手間がかかることが難点だが、「セイコーエプソン」では独自の熱間鍛造製法を導入し、生産効率を上げることに成功。そしてヘアラインを主体とする加工は熟練の職人が手作業で仕上げ、精度の高い各パーツを組み上げることによって上質な外装を生み出している。

軸3ルックスはあくまでアナログ。腕時計としての在り方にこだわったデザイン

先進的なハイテク機能と最上級モデルに匹敵するケースを備える『トゥルーム』だが、そのこだわりはダイヤルにも及ぶ。情報過多によって視認性が低下しやすい多機能アナログウォッチの弱点を克服するべく、光の反射を抑える黒文字盤、立体的なインデックスと太い指針、絶妙なサイズとバランスのインダイヤル、外周に並ぶ数字や英字などをシンメトリーにポジショニングすることで、腕時計としての純粋さを貫いている。これらによって運針ならではの“腕に着ける計器”が形づくられ、時刻はもちろん各種数値や表示を瞬間的に読み取れるデザインが実用化された。

L、M、C、そしてS。4つのシーンを切り取る『トゥルーム』

『トゥルーム』は異なる着用シーンを想定した4つのコレクションを展開している。その各シーンの頭文字を取って“L”、“M”、“C”、“S”と名付け、ライフスタイルへの適合や求めるスペックに対し、こだわりのデザインを含めた独創性で応えている。

コレクション1武骨で男らしい。ブランドの序章を飾った「Lコレクション」

『トゥルーム』の第1弾として2017年夏に発表されたのが、クロノグラフと関係性が深いクルマをイメージした“陸=LAND”の「Lコレクション」だ。GPSを用いた正確なワールドタイム機能に加え、気圧・高度と方位の表示を搭載。さらにエクスパンデッドセンサー付きモデルは温度、紫外線、歩数、消費カロリーも計測できるコレクションきっての多機能派である。バリエーションは、エクスパンデッドセンサー付属モデルはチタンブレスタイプの3機種とレザーベルトタイプの2機種。付属しないモデルはチタンブレスタイプの2機種を用意。チタンケースは直径48.6mm、厚さ15.5mm。

「Lコレクション」を象徴するデザインは、アーマーオーナメントと呼ばれるケースからバンドへと続くラインのスマートな設計が特徴。これによってコレクション最大のサイズながら、精悍なイメージにまとめている。またラグ部の迫力あるビス留めしかり、大型で操作しやすいねじ込み式リューズもアクセントとして作用。『トゥルーム』共通ディテールとしては、4時位置ケース側面に気圧・高度センサーを搭載。出っ張りを抑えつつ、計測の際の風による影響や物理的な衝撃からセンサーを保護するカバーを備えている。

コレクション2冒険心をくすぐるレザーストラップ。「Mコレクション」

第2弾は“海=MARINE”の「Mコレクション」として誕生し、ダイバーズではなく主に海上での着用を想定としたコンセプトに基づく。GPSによる現在地の時刻や、センサーで気圧・高度、そして方位を示す高機能を光充電のみで可能とする。文字盤とセラミックベゼルに、オリジナルデザインの「T2フォント」のアラビア数字を使って瞬時の視認性を高めた。ラインアップはチタンケース&ブレスの2機種(うち、1機種はプロテクトコーティングモデル)と、プロテクトコーティングケースにレザーストラップをセットしたアウトドアライクな一本を揃える。直径45.9mm、厚さ15.5mm。

ダイヤルには船のパーツやファッションに多く取り入れられているエンジカラーか、快晴のクルージングを彷彿とさせるブルーを取り入れている。また海水や潮風による腐食を防ぐため、ケースからバネ棒までチタンを使っているのも特徴だ。そしてレザーストラップモデルの革には、100年以上の歴史を持つ伝統の製法でなめした上質なホーウイーン社製クロムエクセルを採用。使い込むほど馴染み、風合いが変化するエージングも楽しめる。また同モデルのみ伸縮に強く耐久性が高いコーデュラバリスティックナイロンバンドが付属する。

コレクション3都会の大人の色気を表現する「Cコレクション」

Mコレクションと同時に発表されたのが、“街=CITY”での使い勝手を追求した「Cコレクション」である。『トゥルーム』共通の“最先端技術でアナログウォッチを極める”にならい、都会に生きる大人たちの冒険心をかき立てるモデルとして開発された。4種のコレクションで唯一、インダイヤルに特徴的なカラーを使わずにホワイト単色でまとめているのも特徴的。ビジネスにおけるあらゆるシーンに適応するデザインに仕上げるなど、徹底した“配慮”が見る者に好印象を与えるだろう。ベゼルは他と同様のセラミック製を採用しているが、ケースとブレスをステンレススチール製にしているのもどうコレクションの個性。直径45.9mm、厚さ15.5mm。

都会派ビジネスマンをターゲットにしているため、ラインアップの6機種はすべてブレスレットがセットされている。そのうち1機種にカーフレザーストラップが付属し、3機種にはアドバンティック仕上げのレザーストラップが付属する。これはブラッシュオフ仕上げの一種で、カラーの上に濃色のベールを塗布して部分的に擦り取る手法。使っていく過程で上層の下から下層の塗装が少しずつ現れ、オンリーワンの経年変化を味わうことができる。カラーはクロノグラフ針に合わせたレッド、ブルー、グリーンが用意されており、シックなブレスとの交換も楽しめる。

コレクション4計器然とした見た目にこだわり抜いた「Sコレクション」

最新作は空への憧れを表現した“空=SKY”の「Sコレクション」。コックピット計器由来のデザインを特徴とし、1秒間に何メートル上昇、または下降したかを測定できるアナログ式バリオメーターを10時インダイヤルに備える。チタンケース側面を「ストーンフィニッシュ」(バレル研磨)で粗い質感に仕上げ、あえて使い込んだツールとして演出。ラインアップは2機種で、ケースにプロテクトコーティングしたホーウイーン社製クロムエクセルのレザーストラップ付きモデルと、チタン色を生かしたカーフレザーストラップモデルが揃う。両機ともブレスレットが付属。直径46.3mm、厚さ15.5mm。

航空時計としてのリアルさを追求し、コックピット計器に範を取った針やコントラストを高めるインダイヤルのメタルリング、複数種類のアラビア数字、さらに航空分野のエマージェンシーカラーとしても使われているオレンジを配色するなど、空への好奇心を刺激する意匠を多分に採用している。高度での照りつける強い日差しに対しても視認性を保つため、『トゥルーム』で唯一反射の少ないマットなブラックダイヤルをセット。ケース表面にヘアライン加工を、リューズ&プッシュボタンにポリッシュ加工をかけ、ストーンフィニッシュとの陰影をつけた仕上げにも抜かりがない。

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