“見られること”を意識して選ぶ、良いモノ|大人のMY定番
旬なファッション業界人に定番の選び方やコーデのイロハを学ぶ人気連載も今回でvol.6。多方面で活躍するスタイリストの森田さんが、独自のこだわりを明かしてくれました。
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あらゆるメディアで引っ張りだこの、スタイリスト森田晃嘉さん
俳優やアーティストに始まり、ブランドカタログ・広告・ファッションマガジンまで。人気連載の第6回目は、多彩なフィールドで手腕を振るう人気スタイリストの森田晃嘉さんが登場。数々の媒体に出演するファッショニスタでもあり、そのセンスは折り紙付きです。ベーシックも最先端トレンドも網羅する深い知見を有し、クライアントのあらゆるニーズに対応する森田さんにMY定番と着こなし術について詳しく教えてもらいました。
定番を単なるシンプルで終わらせない、森田さんの“メソッド”とは
定番スタイルは「シンプル&ダークトーン、かつ快適に」と話す森田さん。ただし、そこには多くのこだわりが内包されています。
「シンプルなだけのありふれた定番じゃ周囲に埋もれてしまうし、相手の印象にも残らないと思うんです。だから、アイテムにせよ着こなしにせよ“見られること”を意識することが大事だと考えています。僕個人としては、パッと見はベーシックだけどシルエットに変化があったり、ディテールが面白かったりと、目に入る要素のあるものが好きですね。昔は好きなものを好きなように着るだけでしたが、今は“この人は考えて着ているんだな”って相手に伝わるものを選んでいます。また、TPOを念頭に置きつつコーデを考えるのも重要かなと。今日はどんな場面でどんな人と会うのか、コーディネートを決める前にいつもシミュレートしています」
「体型的な相性では日本のブランドも好きなんですが、“一見シンプル、なおかつ差別化を狙えるもの”を意識していたらクローゼットにはハイブランドを中心としたインポートモノが自然と増えていました。海外の良いブランドってなかなか高額なので昔は敬遠していたんですが、いざ着てみると高いなりの理由がよく分かるんです。カッティングや意匠、素材とかへの注力が半端じゃなくて、何気なく着るだけでも絵になります。着心地も驚くほど快適で、デザインアプローチも新鮮。また、海外の一流ブランドには身にまとうことで高揚感を得られるというメリットもあります。最終的なコスパを考えたら、むしろお得なんじゃないかと思うぐらいです(笑)」
「ちなみに、個人的には上下とも同じブランドで揃えるということはしません。合うのは分かりきっているからそれもなんとなくつまらないし、単調に感じちゃうんですよね」
森田さんの現在の定番とは。愛用の逸品を紹介
海外ブランドを偏愛している森田さんの定番品を公開。クローゼットの中にある膨大なアイテムから厳選された10品は、いずれもベーシックなだけでなく上質な雰囲気を漂わせています。“ひとクセ”を感じさせるアイテムが多いのも森田さんならでは。
MY定番1
“綿麻ジャケット”は同系色の刺繍がさり気ないアクセント
ベルギーを代表するメゾンブランドである『ドリスヴァンノッテン』の1着。「コットン×リネンのMIX素材で軽いタッチなので、今の時期の羽織りとしてちょうど良いですね。モノトーンカラーでボトムスを選ばないから、仕事でも遊びでもフル活用してします。同系色の刺繍が両袖と左胸に入っていて、クールなアクセントになっているところも良いんですよ」
MY定番2
利便性の高さで重宝している“ネイビーブルゾン”
「フロントや袖に加えて、背面にもポケットが付いていて収納力が高いので手ぶらで過ごしたい1日はだいたいコレ。しなやかなシャツ地ブルゾンで重く見えないのもGOODです。同じくネイビーのボトムスと合わせて、セットアップ風に着る場合が多いですね」。鈴木大器氏がデザイナーを務めるNYブランド『エンジニアドガーメンツ』より。
MY定番3
ユニークな仕様を取り入れた“ビッグT”
「トレンド感あるオーバーシルエットと、左袖に結び目が作られたユニークなディテールを気に入って購入。シンプルに見えて個性的な、まさに僕的にドンズバなアイテムです。洗濯するとき、毎回結び目をほどかなくてはいけないので面倒ですけどね(笑)」。英国ブランド『JWアンダーソン』のTシャツはスーパーエーマーケットにて入手。
MY定番4
着心地極上な“無地T”はオールシーズン活用
「これもスーパーエーマーケットで買ったもので、ブランドは『ジル・サンダー』。もともとゆったりめのシルエットですが、XLを選んでさらにゆるさを強調しています。滑らかなコットン地で着心地が良く、着回し力も高いので秋冬はインナーとしてなくてはならない存在です」。ガンガン洗ってもくたびれない丈夫な作りもさすが。
MY定番5
ボリューミーなシルエットが持ち味の“ベルテッドパンツ”
ミニマルなデザインを十八番とするパリ発のブランド『ルメール』の1本はシボネにて。「今季新たに買い足した新定番。ハイウエスト&ワイドシルエットのボリューミーな形が今の気分に合っていますね。フォルムはインパクトがありますが、デザイン自体はプレーンなので汎用性にも秀でています」
MY定番6
“パジャマパンツ”はきれいめ感とリラックスムードが共存
2年前に購入したという逸品は『ヴァレンティノ』。「ウールモヘア素材、しかもセンタープレス入りなのでスラックス風に見えますが、実はイージーウエストのパジャマパンツ。上品さと抜け感のバランスが絶妙で、無地トップスに合わせるだけでもこなれて見えます」。白のパイピングを配してメリハリを出しているのもポイントの1つ。
MY定番7
シーン不問に使える“ビットローファー”
“オーセンティックモダン”をコンセプトとするイタリア発シューズブランド『レユッカス』の逸品。日本人デザイナーの村瀬由香氏がブランドを手掛けています。「レショップで購入したローファーは、『グッチ』のヴィンテージビット付きでクラシックな雰囲気。ただ、シルエットは現代的な細身仕様です。どんなシーンにも馴染むので頼りになります」
MY定番8
クラシカルななかに個性息づく“ラウンドメガネ”はヘビロテの1品
レトロな面持ちの丸メガネはドイツブランド『マルクスティー』。「先日、青山のブリンクベースで買ったアイテムです。ラウンド型では珍しいアンダーリムっていうところに惹かれましたね。細身のフレームでどんなコーデにも溶け込みやすいから、最近はしょっちゅう掛けています。チタン製で着け心地も軽やか」。野外でも室内でも掛けられるよう、レンズは調光レンズに変更済み。
MY定番9
遊び心の薫るデザインが心にくい“レザーベルト”
『メゾン マルジェラ』のベルトはリステアで約2年前に購入して以来、ずっと愛用中。「ガチャベルトなのにレザー素材が使われた変わりダネ。そんな遊び心に物欲をそそられましたね。スタイルを問わず使えますし、上質な本革製だから味出しも楽しいです。バックルのヴィンテージっぽい色合いも好きですね」
MY定番10
重ね着けがお決まりとなっている“バングル”&“アップルウォッチ”
シルバーバングルと「アップルウォッチ」はともに『エルメス』でリンク。「両手がふさがっていても通話ができる「Apple Watch」は仕事にマスト。どうせなら周りと違うものを、と思って『エルメス』モデルを買いました。ブレスレットの方はすらっとしたフォルムで腕時計と相性が良いので、いつも重ねて着けています」。腕時計はベルトを色々と着け替えて楽しんでいるそう。
厳選アイテムで構築する、森田さんのコーディネート
ここからは、先ほど紹介した定番アイテムをベースとした森田さんの日常コーディネートを見ていきましょう。大人っぽさとあか抜け感を両得した技ありのスタイリングは必見!
コーデ1
シックな色合いでまとめた、仕事モードの着こなし
「スタイリストという職業柄、ドレスコードはないようなもの。ですが、リース時や撮影現場ではさまざまな方にお会いするので、失礼のないように心掛けています。最近は、シックな雰囲気を出せるうえにトレンド感もあるワントーンコーデが鉄板ですね」。ヘビーに見えないよう袖のロールアップや足元の素肌見せで軽さを出しているのも好印象。
全体的に落ち着いたカラーリングに徹した分、足元は肌を見せてワントーンコーデ特有の重さを程良く緩和。ローファーのビットやボトムスのパイピングは装いにリズムを与えるスパイスとしても奏功しています。
コーデ2
ゆるさの中に引き締め感も取り入れたワンマイルコーデ
休日のワンマイルコーデをテーマとした着こなし。「コットンリネンのジャケットやワイドパンツなど、休みの日はノンストレスなアイテムで快適さを優先。足元も革靴じゃなくてスニーカーがお決まりですね。ただ、いくらご近所コーデとはいえだらしなく映るのは避けたいので、すっきり見えるモノトーンカラーを基調にしています」
カットソーのタックインは今季らしい旬テクニックであると同時に、着こなしを引き締めてくれる効果もあり。また、裾をインすることでボトムスのワイドシルエットが一段と際立っています。
自分本位ではなく、常に人の視線を考えて
「当たり前ですが服装は見られるもの。だから、自信を持って身に着けられるアイテムを見つけることが大切かなと思います。その点で言うと、シンプルななかに工夫が凝らされたインポートブランドの“良いモノ”はMY定番として最高の存在。着こなしを洗練させてくれるし相手の印象にも残るので、恐れず挑戦してみても良いんじゃないでしょうか。もちろん、どんなに良質なアイテムであってもシーンにそぐわなければ意味がないので、その日の場面をしっかり考えたうえで着こなして欲しいですね」
自己満足で完結させるのではなく、あくまで相手ありきで着こなしを考える。それは大人のマナーであり、好印象な装いを作るうえでも欠かせないファクターとなるはずです。
プロフィール
森田晃嘉/スタイリスト
1979年生まれ。2000年に名古屋ファッション専門学校を卒業後、イギリスへの留学やイベント制作会社勤務を経て2006年よりスタイリストの宇佐美陽平氏に師事。2010年に独立を果たし、フリーランスとして活動を開始する。的確なリサーチと豊富な知識に基づいた説得力のあるコーディネートを武器に、ジャンル問わず数多くのメディアで活躍中。
Instagramアカウント
@akiyoshimorita
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