そのデザインに理由あり。ポストマンもやっぱりレッド・ウィング

そのデザインに理由あり。ポストマンもやっぱりレッド・ウィング

『レッド・ウィング』と聞くと名作「アイリッシュセッター」や「ベックマン」が思い浮かぶ。だが、「ポストマン」シリーズもまたコアなファンを抱え続ける人気銘柄だ。

編集ムタガミ

2018.12.22

レッド・ウィング(RED WING)
レザーシューズ

本職の郵便配達員も愛用。ポストマンシューズの祖「#101」から紐解く

『レッド・ウィング』の「ポストマン」のはしりとなる「ポストマンオックスフォード(#101)」が考案されたのは、1954年のこと。当時の警官とポストマンのために彼らの制服にも似合うようドレスタイプのアッパーを採用しつつ、クッション性に富むソールを装着した画期的なシューズとして登場した。ソールは当時クッションクレープソールと呼ばれていた、今で言うトラクショントレッドソールを使用。1952年に8インチ丈のモックトゥブーツに採用されていたもので、その適度なクッション性から先んじて高い評価を獲得していた。見た目良く、疲れにくい。そんなポストマンシューズはアメリカのリアルワーカーの間に広く受け入れられていった。

これらの功績もあり『レッド・ウィング』の「ポストマンオックスフォード」はUSポスタルサービス(アメリカ合衆国郵便公社)の指定靴となる。その名残はサイドのタグにも見られ、小さな黒い記事の上にグリーンの刺しゅうで“SR/USA”と記されているのがわかるだろう。これは同社が設けた安全基準をクリアした靴にのみ付けることができる栄誉なものであった。

その後チャッカタイプ、カラバリと幅を広げながらファッションシーンにおいても猛威を振るった「ポストマン」は、2000年代前半に1度惜しまれながらも廃盤となる。しかし、ファンからの根強い後押しもあり2010年代に復活。それ以降、ブランドの顔の1つとして現在まで愛され続けている。

「ポストマン」が愛され続けている理由をピックアップ

ただシンプルであること、歴史的背景があることだけが「ポストマン」の魅力ではない。天候を気にすることなく、1日中履いていても疲れにくい。そんな同シリーズの機能を支えるポイントを3つ、代表的なモデルである「ポストマンオックスフォード」より抽出してご紹介しよう。

特徴1芝生を傷めないようにと考慮された、フラットなソール

前述のとおり、ソールのベースは『レッド・ウィング』ではお馴染みのトラクショントレッドソール。軽量でグリップ力があり、フラットな形状により異物に引っかかりにくいという点から狩猟用ブーツのアウトソールとして使われていた経歴がある。「ポストマン」においては、各宅の芝生に踏み込むことが多い郵便局員の仕事現場を鑑みて、芝生をいたずらに傷つけないようにという理由から採用された。

現代においては芝生云々という需要はないだろうが、同ソールならではの優れたクッショニングは現代においてもうれしいディテールとして活きている。

特徴2足馴染みの良いワンピース構造のアッパー

これは「ポストマンオックスフォード」に限った話になるが、同モデルが誕生から現在までまったく同じ形状だったかというと実は違う。現在のように羽根につながる部分まで一枚革で成形するようになったのは、1960年のこと。縫製部分が減ったことにより足に当たる部位も少なくなり、より“疲れにくい”靴として進化を遂げたのである。もちろん、『レッド・ウィング』のこだわりが詰まった上質で足馴染みの良いレザーの存在も、一役買っている。

特徴3実用性重視。磨くほどに光沢が増すシャパラルレザーの採用

シャパラルレザーはガラスレザーに近しいモノと考えてもらえれば良い。いわゆる加工レザーで、仕上げの段階で皮革の表面に塗料を塗りこむことで独特な艶感と耐久性を獲得している。復刻時にはシャパラルレザーも黒光りする艶やかな仕上げだったが、2013年頃から同じシャパラルでもマットでソフトな質感にモノに変更が入った。ガラスレザーにありがちなひび割れのような細かなシワも軽減しつつ、履き馴染みも良くなった分、よりリアルクローズとしての需要が高まったように思われる。革そのものは変わっていないので、以前の艶が欲しければクリームで丹念に磨いてあげればフォーマルにも使える顔立ちに生まれ変わってくれるはずだ。

もちろん、丹念にポリッシュしていつまでも新品のような艶感を保つことだけが正解ではない。傷が入り、塗料が剥げ、そのたびにケアを繰り返して自分だけの“味”を表現することもまたワークシューズならではの楽しみだろう。「ポストマン オックスフォード」ファンのなかには、黒タグがクリームで真っ黒につぶれているのが格好良いと語るオーナーもいる。ドレスライクにも、カジュアルにも。幅広いエイジングの可能性を秘めているのもまた、同素材の魅力だ。

「ポストマンオックスフォード」と「ベックマンオックスフォード」の違い

ちなみに、「ポストマンオックスフォード」と同じプレーントゥシューズに、「ベックマンオックスフォード」がある。読んで字の通り、創業者の名を冠した「ベックマン」シリーズの短靴だ。「ポストマンオックスフォード」とはアッパーの形状から大きく異なっており、「ベックマン」のほうがヒールの高さこそ同じだが履き口が浅く、トゥまでがシャープに伸びるドレス靴を想起させる形状となっている。対する「ポストマン」は、足の甲まで深く覆い、ぽってりとしたトゥがどこかレトロさを感じさせるワークブーツ然とした作り。この2つは好みで使い分けると良いだろう。

仕事靴の極み。「ポストマン」シリーズのバリエーションを知る

ここまで「ポストマン」シリーズの軸となる「ポストマンオックスフォード」に寄った話を続けてきたが、ここからは同モデルの紹介も含めてそのバリエーションをご覧いただこう。ファッションシューズとしての側面も強まった現代においては、アッパーの種類も多岐にわたっている。

アイテム1ポストマンオックスフォード 101

もっともベーシックなプレーントゥシューズ「ポストマンオックスフォード」。履き馴染み良くも野暮ったさのない、才色兼備なアッパーの形状はワークブーツの老舗『レッド・ウィング』だからこそできる芸当だろう。スタイリングによっては、ビジネスシーンもカバーできる懐の深い1足。

アイテム2ポストマンチャッカ 9196

このチャッカタイプのもととなった「#195」がラインアップに加わったのは、「#101」の発売から4年後となる1958年のこと。履き口が足首まで伸びた分、トゥまでの形状がシャープになり、よりドレスライクな顔立ちとなっている。こちらのモデルでもシャパラルレザーを採用しており、悪天候でも気にせず履くことができるのはうれしいポイント。ハトメの金具もブラックで統一されているので、きれいめな着こなしにももってこいだ。

アイテム3ポストマンオックスフォード 9101

「#101」のアッパーを、素材はそのままにチョコカラーに変更。実はこのモデルにも元ネタがあり、1960年代半ばに販売休止となった「#401」というモデルがそれにあたる。1970年代に「#9401」として1度復刻し、1990年代をもって再度廃盤に。この「#9101」は実質2回目のリバイバルという形になる。余談だが、USポスタルサービスの指定靴として認められたのはブラックのみだった。なので、こちらのモデルには黒タグがつけられていない。

アイテム4ポストマンブーツ 9147

一瞬「ベックマン」かと見まがうが、これもトラクショントレッドソールを装備した「ポストマン」シリーズの1足。トゥのボリュームはそのままに、より足首までホールドしてくれる堅ろうなモデルに昇華されている。「#101」のワンピース構造こそ受け継いでいないもののラストは同じ210番を使用しており、「ベックマン」よりラギッドさを抑えたすっきりとした見た目に。

アイテム5ポストマンオックスフォード 9112

履きジワを気にせず楽しみたいなら、『レッド・ウィング』お馴染みのラフアウトレザーを使用した「#101」もおすすめしたい。一般的なスエードと異なり、革の裏面を起毛させただけであえて毛足を整えず、文字通り“ラフ”でラギッドな風合いを楽しめる素材だ。かといってクリーンな着こなしに合わないかと言われればそんなこともなく、ステッチまでオールブラックで揃えているため幅広いコーディネートで楽しむことができる。

アイテム6ポストマンオックスフォード 3103

「#101」との大きな変更点は、アッパーの素材とソールの変更。アッパーにはカッパー・ラフアンドタフと呼ばれるヌバックレザーの1種を使用しており、オイルとワックスを多分に含むことによる独特なムラ感が持ち味となっている。履き込むうちに表面の毛がつぶれ、スムースレザーにはない鈍い光沢が生まれてくるのも面白い。ソールは従来のトラクショントラッドソールと形状を異にするアトラストレッドソール。サイドから見た際のフォルムがすっきりとしつつも、持ち前のクッション性とグリップ力はキープしている。

アイテム7ポストマンオックスフォード 3117

こちらも「#101」のアッパー&ソール違い。ソールはアトラストレッドソールを使用しつつ、アッパーにオックスブラッドメサというレザーをあしらっている。しっとりと柔らかな肌触りで、内側から革の部分を押し上げてやるとオイルの移動により色の変化が見て取れるほどしっかりとオイルを含んでいる、革好きにはたまらない素材だ。

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