20世紀初頭の革命。カルティエが切り拓いた腕時計の歴史

20世紀初頭の革命。カルティエが切り拓いた腕時計の歴史

トップジュエラーとして君臨する『カルティエ』だが、“世界初の男性用腕時計”を生んだ時計ブランドという顔も持つ。その卓越した技術は継承され、傑作を生み続けている。

ワダ ソウシ

2019.01.28

カルティエ(Cartier)
腕時計

独自の世界観を確立する『カルティエ』の腕時計

独自の世界観を確立する『カルティエ』の腕時計

『カルティエ』の腕時計というと、近年まではレディースウォッチの評価が非常に高く、メンズ向けはその延長上にあるビッグサイズ仕様という印象や認識があった。しかし2010年にブランド初のメンズ専用シリーズ「カリブル ドゥ カルティエ」が誕生したことで、一気にラインアップの幅を広げることに成功したといえる。もちろん先述したように時計製造の歴史は深く、また一大ラグジュアリーブランドグループである「リシュモン」の筆頭ということもあって、リリースされるコレクションはいずれも美しさと機能性を兼ね備えた名作が多い。

ジュエリーブランド『カルティエ』で腕時計が作られるまで

1847年、ルイ=フランソワ・カルティエがパリにジュエリー工房を開いたことで始まった『カルティエ』が、どういった道をたどって時計分野に進出し、最高峰へと上り詰めたのか。年代を追って解き明かす。

1890年代『カルティエ』誕生から約50年。ルイ・カルティエ氏が経営に参画

『カルティエ』誕生から約50年。ルイ・カルティエ氏が経営に参画

創業者の息子で2代目オーナーのアルフレッド・カルティエ氏が、長男であるルイ・カルティエ氏を共同経営者に据えたのが1898年のこと。ルイは類まれな手腕を発揮し、翌年には現在も本店を構えるパリのラペ通り13番地に店舗を移転させたほか、ガーランド様式によるプラチナ製のジュエリーを発案して宝飾業界に革命をもたらすなど、『カルティエ』の躍進に大きく貢献したのだった。その後、数々の傑作ウォッチを手掛けたのである。

1900年代飛行士、サントス・デュモン氏との出会いで生まれた”世界初”

飛行士、サントス・デュモン氏との出会いで生まれた”世界初”

3代目オーナーとなったルイ・カルティエ氏は、友人で飛行士のアルベルト・サントス=デュモン氏より飛行機の操縦中でも時刻を確認しやすい腕時計のオーダーを受ける。そこで開発したのが、“世界初の男性用腕時計”こと「サントス」(1904年)だった。レザーストラップを付けたこの革新的な1本の発明によって、ルイ氏は腕時計に大きな将来性を感じ、ジュエリーと並行して力を注ぐようになる。そして1906年には初の量産型腕時計として「トノーウォッチ」を発表し、1917年には戦車をモチーフにした写真の「タンク」も完成させたのだった。

そのモデルに背景あり。語りたくなる『カルティエ』の名品3本

エドワード7世に“王の宝石商”と言わしめた稀代のジュエラーは、腕時計ではスイスとは異なるアプローチからユニークなタイムピースを輩出してきた。とりわけ「サントス」「タンク」「パシャ」は同社のシンボルとして、今なお輝き続けている。

1本目サントス

サントス

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1904年に生まれた「サントス」は、“ブラジルの飛行機王”ことアルベルト・サントス=デュモン氏のために製作された。それまでの腕時計は懐中時計にベルトを付けたようなデザインが大半だったが、「サントス」は正方形ケースで、その四隅に流麗なラグを設けてレザーストラップを通すというスタイルを確立。時刻の読み取りがスムーズで、装着性も優れることから高く評価され、1910年代には市販化。代表的シリーズとして継続されている。

2本目タンク

タンク

もうひとつのスクエアフォルムの名作、「タンク」もまた100年を越える歴史を持つ。ヨーロッパに暗い影を落とした第一次世界大戦中の1917年、平和をもたらす象徴とされた“戦車”を題材にしたモデルとしてデビュー。ケース両側面の上下をキャタピラーのように突き出し、そこにストラップをセットしたエポックメイキングな外観で人気を博したのだった。それは1920年代に全盛期を迎えるアール・デコ様式のシンボリックな存在ともなったのである。

3本目パシャ

パシャ

エバンス 楽天市場店エバンス 楽天市場店

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1930年代、マラケシュ太守だったエル・ジャヴィ公が『カルティエ』に“プールで泳ぐ際に使える防水時計”をオーダーし、開発されたのが角型ケースの「タンクエタンシュ」だった。このモデルをベースに、丸型にしてリューズプロテクターや両サイドをビス留めするラグ、アラビア数字を使った文字盤、グリッド(格子状のマスク)を備えたモデルを1943年に発明する。これが「パシャ」のルーツとされており、現在もこれらの特徴を受け継いでいる。

独創的なデザインが揃う『カルティエ』のおすすめモデル6選

腕時計の草創期を築いた『カルティエ』は、独自路線で時代を切り開いてきた。とくに近年のメンズウォッチの進化は目覚ましく、自社製自動巻きムーブメントを採用するコレクションを数多く発売するなど、魅力的なモデルを連発している。

1本目サントス ドゥ カルティエ ウォッチ LM Ref.WSSA0009

サントス ドゥ カルティエ ウォッチ LM Ref.WSSA0009

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アイコンウォッチの「サントス」が2018年にリニューアル。トレードマークの丸みを帯びたスクエアフォルムやベゼル上のビスなどを踏襲しつつ、工具なしでコマの調整が可能な「スマートリンク」付きのブレスレットを初採用した。そのブレスのほかにカーフスキンストラップが付属し、どちらも「クィックスイッチ」を備えているので容易に交換できるように。自社製の自動巻きムーブ、キャリバー1847 MCを搭載。

■DATA
ケース縦47.5×横39.8mm、厚さ9.08mm

2本目カリブル ドゥ カルティエ ダイバー ウォッチ Ref.W7100056

カリブル ドゥ カルティエ ダイバー ウォッチ Ref.W7100056

2010年にリリースした同社初のメンズ専用シリーズである「カリブル ドゥ カルティエ」の派生型として、2014年に誕生したISO6425に準拠するダイバーズ。300m防水、耐傷性を上げるADLC加工を施したステンレス製の逆回転防止ベゼル、肉厚なラバーストラップ、暗闇での視認性を確保するスーパールミノバ夜光など、プロ仕様の本格スペックを備える。自社製の自動巻きムーブ、キャリバー1904-PS MCを搭載。

■DATA
ケース径42mm、厚さ11mm

3本目カリブル ドゥ カルティエ クロノグラフ ウォッチ LM Ref.W7100046

カリブル ドゥ カルティエ クロノグラフ ウォッチ LM Ref.W7100046

ブランド初の自社開発ムーブメントをベースにクロノグラフ機能を追加した、キャリバー1904-CH MCを搭載するモデルとして2013年にデビュー。クラシカルなツーインダイヤルを採用し、3時位置に30分積算計、9時位置に12時間積算計を配する。さらに6時位置に弧を描いた窓の日付を備えて、美的感覚に優れるシンメトリーデザインを完成させた。ベゼルにレールウェイトラックを刻印。シースルーバック。自動巻き。

■DATA
ケース径42mm、厚さ12.66mm

4本目タンク アメリカン ウォッチ LM Ref.WSTA0018

タンク アメリカン ウォッチ LM Ref.WSTA0018

レクタンギュラーシルエットで、腕に沿うようなエレガントな曲線美が特徴の「タンク アメリカン」に2017年加わったメンズサイズモデル。従来はゴールドケースのみのラインアップだったが、ファンの要望に応えて初めてステンレススチール製で登場した。サンレイ仕上げのシルバーダイヤルに、古典的なローマ数字インデックス&ブルーの指針で知性を演出。アリゲーターストラップ。自動巻き。

■DATA
ケース縦45.1×横26.6mm、厚さ9.65mm

5本目バロン ブルー ドゥ カルティエ ウォッチ Ref.WSBB0025

バロン ブルー ドゥ カルティエ ウォッチ Ref.WSBB0025

スイス製のインハウスムーブメント、キャリバー1847 MCを搭載する2018年リリースモデル。「バロン」(フランス語で“風船”の意味)が表す通り、盛り上がったラウンドシェイプを特徴とする。さらにシンセティック カボションシェイプ スピネルを備えるリューズも独創的。中央に緻密なギョーシェ装飾を配した文字盤に、ローマ数字インデックスと剣型針を用いることでトラディショナルなデザインを生み出した。

■DATA
ケース径42mm、厚さ13mm

6本目ドライブ ドゥ カルティエ ムーンフェイズ ウォッチ Ref.WSNM0008

ドライブ ドゥ カルティエ ムーンフェイズ ウォッチ Ref.WSNM0008

縦40×横41mm(厚さ12.15mm)のクッションケースに、マニュファクチュールムーブメント、キャリバー1904-LU MCを備えるエレガントな1本。シースルーバックからは、コート・ド・ジュネーブ装飾を施した精緻なメカニズムを眺めることができる。ローマ数字を規則的に配したシルバーフランケダイヤルの6時位置に、大型のムーンフェイズをレイアウト。ファセットしたシンセティックスピネルをオクタゴン型リューズにセット。自動巻き。

『カルティエ』を選ぶメリットの1つ。コンプリートサービスとは

『カルティエ』を選ぶメリットの1つ。コンプリートサービスとは

『カルティエ』のアフターサービスに、「コンプリートサービス」がある。これは機械式とクォーツ式のどちらも、搭載ムーブメント自体を交換するメンテナンス方法。いわゆる分解→点検→洗浄→組み立て→調整を行うオーバーホールとは異なり、内部メカを新品と同様の状態に戻す修理である。業界の常識を覆す新時代のサービスとして、現在脚光を浴びている。

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