イッセイ ミヤケの腕時計には、プロダクトデザイナーの意欲作が揃う

イッセイ ミヤケの腕時計には、プロダクトデザイナーの意欲作が揃う

三宅一生氏が興したアパレルブランド『イッセイ ミヤケ』は、ディレクションの立場で腕時計も参画している。そのスタイリッシュなデザインは好評で独創性に満ちたものだ。

ワダ ソウシ

2019.03.31

イッセイ ミヤケ ウォッチ(ISSEY MIYAKE WATCH)
腕時計

その全貌は、『イッセイ ミヤケ』による贅沢なプロジェクト

1970年創業の『イッセイ ミヤケ』といえば、ニューヨークやパリ、ミラノで開かれる格式あるコレクションに出展する世界的なブランドである。腕時計は『セイコー』とタッグを組んで2001年にスタートし、毎回“斬新なデザインであること”、“アナログウォッチであること”、“国産であること”を基本にコレクションを展開している。それが、『イッセイ ミヤケ ウォッチ』だ。また、これまでに著名なプロダクトデザイナーが開発に参加したプロジェクトも実施。同社のブランドスピリットにアレンジを加えた意欲作もリリースしている。

斬新なデザインながら、大人の着こなしにも溶け込む洗練を宿す

『イッセイ ミヤケ ウォッチ』の腕時計はどれも、前述の通り著名なプロダクトデザイナーが手掛けた個性的なルックスのモノばかり。だがそれらは決して華美ではなく、斬新なアイデアの元に描き起こされながらも“引き算の美学”が効いた洗練された表情に仕上がっている。インテリアに、車に、現代美術……、目の肥えた大人の好む分野にて活躍してきた偉人たちが携わっているのだから、それも当たり前かもしれない。もちろん、スーツの腕元からジャケパンスタイル、きれいめなオフコーデまで幅広くマッチしてくれる。

『イッセイ ミヤケ ウォッチ』を手掛ける6人のデザイナー

腕元に収まる直径4cm前後のアイテムだが、デザインによってはコーディネートの“核”となるのが腕時計といえる。そんな抜群の存在感を発揮するのが、世界的な名匠たちが手掛ける『イッセイ ミヤケ』のタイムピースである。ここからは、このプロジェクトに参画しているデザイナー陣と、彼らが手掛けた製品を紹介していこう。

▼1人目:吉岡徳仁/TOKUJIN YOSHIOKA

吉岡徳仁氏は、2000年に吉岡徳仁デザイン事務所を設立し、デザイン、建築、現代美術に至るまで幅広く活動。詩的かつ実験的な作品が高く評価されており、国際的なアワードを多数受賞するほか、その多くがMoMA(ニューヨーク近代美術館)などに永久所蔵されている。

金属の塊から削り出したような造形の「TO」

金属の塊を荒々しく削って、彫刻を施したかのような強烈な外観が特徴の1本。マテリアルそのものの選択から着想し、素材感を活かすために時計としての装飾を極限まで削ぎ落とすことで、オリジナリティあふれるクリエーションが創出された。円盤針は外側が時を、内側が分を示す。ブレスレットはコマ同士の連結部に凹凸をつけ、剛性がありながらも腕に沿うしなやかな動きを実現。直径38mm、厚さ8.2mmのステンレススチールケース。クォーツ。

感覚を超越するガラスのオブジェ「Glass Watch」

透明なガラスの塊からクリエイトされた彫刻作品のような腕時計。自然光を受けて輝きを放つ分厚いドーム型ハードレックスの風防の底に、シルバーで統一した文字盤&時分針を備え、まるで時が止まったかのような静寂さを感じさせる独自デザインを構築している。肌触りのよいカーフレザーストラップをセットしており、約75gと軽量のため、ペアやシェアウォッチとしても利用可能だ。直径39mm、厚さ15.6mmのステンレススチールケース。クォーツ。

水からヒントを得たピュアデザイン「O(オー)」

“ISSEY MIYAKE WATCH”の記念すべき第10作目として生まれたバングルタイプ。形がない水にインスピレーションを受け、瞬間の輝きを放つ光をコンセプトとする。モデル名はフランス語で水を意味する「eau(オー)」に由来。わずか25gの重量で、アクセサリー感覚で身に着けられるユニセックスモデルだ。弾性の高いプラスチックの一種、グリルアミド製のケースは厚さ12mmで、バンドの幅は33mm。装着可能な腕回りのサイズは最大180mm。クォーツ。

▼2人目:岩崎一郎/ICHIRO IWASAKI

「ソニーデザインセンター」勤務後、ミラノのデザイン事務所に所属。帰国後の1995年に「イワサキデザインスタジオ」を設立し、国内外の企業と協働してインテリアから精密電子機器のデザインを手掛け、代表作に『iida』の「G9」や「lotta」などがある。グッドデザイン賞、iF デザイン賞、レッドドットデザイン賞に代表される権威あるアワードを複数獲得している。

クロノグラフとしての美を極める「C」

岩崎氏による“クロノグラフは、クロノグラフであることに徹すれば徹するほど、美しくなるんじゃないか”との考えをもとに、無用な要素を省いた結果生み出されたミニマルな1本。情報量を限定した線と数字から構成される文字盤は、楽譜や数式のような美しさを持つとともに視認性にも優れる。ブランドロゴを横書きのまま縦に据えるなど、他社にはない発想も秀逸。直径42.4mm、厚さ12.1mmのステンレススチールケース。クォーツ。

午前と午後の2つのフェイスを持つ「f」

1日を分ける午前と午後、そしてユーザーが活動する1日のストーリーからデザインアプローチしたラウンドウォッチ。午前を中心に活動する人は、1〜12のインデックスをメインとした爽やかなホワイトモデル(写真)を。逆に午後を中心に活動する人は、13〜24のインデックスをメインとした精悍なブラックモデルがお薦め。文字盤色やストラップ違いなど、10種類のバリエーションを揃える。直径39mm、厚さ9.2mmのステンレススチールケース。クォーツ。

▼3人目:深澤直人/NAOTO FUKAZAWA

『無印良品』のアドバイザリーボードとしても活躍するなど、プロダクトデザイナーの立場から世界各国のブランドのデザインや大手企業のコンサルティングを手掛ける。“Without Thought”と表現する思想をベースに、人間の無意識の記憶や行為からデザインを導き出すワークショップを開催している。2006年、ジャスパー・モリソン氏とともに「SuperNormal」を設立。

12角形の中でシンプルに時間を示す「TWELVE」

できるだけ単純で強いウォッチのデザインを目指したという2針時計。ケースそのものが12時間を表す12角形フォルムを採用し、数字や略字といった類をいっさい省いた文字盤とインパクトあるハンドをセットした。側面からだと円筒状に見えるケースは、六角レンチにインスパイアされたもの。モノトーンの中で短針上のブランドロゴが絶妙なアクセントとして利いている。直径38mm、厚さ9.2mmのステンレススチールケース。カーフストラップ。クォーツ。

▼4人目:和田 智/SATOSHI WADA

日産自動車で自動車のエクステリアデザインを手掛けた後、『アウディAG/アウディ・デザイン』へ移籍。“世界でもっとも美しいクーペ”と評される「A5」を担当し、ブランドの世界躍進に貢献した。2009年に独立してデザインスタジオ、「SWdesign TOKYO」を設立。カーデザインを中心に、“新しい時代のミニマルなものや暮らし”を提案している。

カーデザイナーらしい、日本の美意識とカーデザインの融合を実現した「W」

直径43mm、厚さ12.8mmの力強いケースはアルミホイルより、細長い赤針が印象的なダイヤルはメーターからという、自動車のディテールに着想を得た外観を備えるクロノグラフ。美に対する日本固有の感覚を重視したことで、ミニマルで美しいデザインが完成した。秒針の動きやクリック感を楽しめる硬めのプッシュボタンなど、クォーツながら機械式のようなアレンジを加えたことも特徴である。1/5秒〜12時間まで計測できるストップウォッチ機能を搭載。

▼5人目:奥山清行/KIYOYUKI KEN OKUYAMA

『ゼネラルモーター』ではチーフデザイナー、『ポルシェ』ではシニアデザイナー、「アートセンターカレッジオブデザイン」では工業デザイン学部長を歴任。「フェラーリ エンツォ」や「マセラティ クアトロポルテ」などの高級スポーツカーのほか、オートバイ、鉄道、船舶、建築、ロボット、テーマパークのデザインを幅広く手掛ける。2007年より「KEN OKUYAMA DESIGN」代表に就任。

「GT」のコンセプトは“グランド・ツーリング”

奥山氏のフィールドである“GT(グランド・ツーリング)”のコンセプトから生まれたレーシング・クロノグラフ。セイコーが誇る本格派の自動巻きムーブメント、キャリバー8R48を搭載し、30分と12時間の積算計カウンターのほか、外周におよその時速を算出できるタキメーターを備える。スピードメーターに似せたスモールセコンドが、モータースポーツの世界観を体現。直径45.2mm、厚さ15mmのステンレススチールケース。シースルーバック。

▼6人目:ジャスパー・モリソン/JASPER MORRISON

「ロイヤル・カレッジ・オブ・アート」卒業後、1986年にデザイン事務所を設立。現在では「JasperMorrisonLtd.」として、ロンドン本社に加えてパリと東京に支社を構える。家具をはじめ、キッチン用品、照明、電子機器のほか、公共スペースやシューズまでデザイン業務を拡大しており、自身の店舗をロンドンに出店し、オンラインショップも立ち上げている。

プリーツの服からインスパイアした「PLEASE」

『イッセイ ミヤケ』のウェア象徴する、プリーツ。その流れるようなドレープを想起させる、立体感ある文字盤とウレタンストラップが特徴の「PLEASE」は、モリソン氏が同社コレクションを撮影した写真から受けた衝撃を具現化したコレクション。腕元のアクセントになるブルーのほかにレッドやグリーン、ホワイトなどもラインアップするほか、ブレスレットタイプのバリエーションも揃える。直径40mm、厚さ9.5mmのステンレススチールケース。クォーツ。

    KEYWORD関連キーワード
    RECOMMENDEDあなたにおすすめの記事
    ハミルトンの定番人気モデル、ベンチュラの魅力を読み解く

    ハミルトンの定番人気モデル、ベンチュラの魅力を読み解く

    『ハミルトン』の定番かつ人気モデルといえば「ベンチュラ」。2017年には誕生から60周年を迎えましたが、半世紀を経てもなお新鮮に映るデザインは名作と呼ぶに値します。

    黒野 一刻

    “バウハウス”をお手頃に。ドゥッファの時計が今、欲しいワケ

    “バウハウス”をお手頃に。ドゥッファの時計が今、欲しいワケ

    建築や美術の世界で今なお語り継がれるドイツの造形大学、バウハウス。その流れを汲んだ『ドゥッファ』の時計が、洗練のデザインとリーズナブルな価格で注目されています。

    須賀 哲

    Gショックの気になる新作は? 2019年のおすすめは、この18本

    Gショックの気になる新作は? 2019年のおすすめは、この18本

    多種多様なモデルが次々とデビューし、今もなお我々に刺激を与え続けてくれる『Gショック』。2019年の新作から厳選した18本と、それぞれの特徴を解説します。

    夏目 文寛

    トレンドのサコッシュ。人気18ブランドをレコメンド!

    トレンドのサコッシュ。人気18ブランドをレコメンド!

    一過性のものではないサコッシュ人気。どんな風に使用すればいいのかも合わせて、好みのテイスト毎におすすめブランドをレコメンドしていきます。

    編集ナス

    Tシャツ完全ガイド。人気23ブランドから選ぶおすすめの1枚

    Tシャツ完全ガイド。人気23ブランドから選ぶおすすめの1枚

    Tシャツは2019年の春夏も必需品。23の人気ブランドと、各ブランドのラインアップから厳選した1枚を一挙に紹介します。Tシャツ選びの参考に、ぜひチェックしてください。

    平 格彦

    グランドセイコー20傑。男が持つべき名作を厳選

    グランドセイコー20傑。男が持つべき名作を厳選

    国産時計の雄『セイコー』が1960年に生み出したハイエンドコレクションが『グランドセイコー』です。スイス時計を超越する高精度のジャパンブランドに迫ります。

    黒野 一刻

    BACK