
永世定番。ベックマンを知らずにレッド・ウィングのブーツは語れない!
ブーツの名門『レッド・ウィング』のなかでも、「ベックマン」は代名詞的な存在。その魅力を改めて知ることで、相棒として長く付き合っていきましょう。
創業者の名を冠するブーツ。「ベックマン」は定番にふさわしい
『レッド・ウィング』の創業者であるチャールズ・H・ベックマン氏の名を冠した「ベックマン」といえば、「アイリッシュセッター」と並んでブランドを代表するマスターピース。20世紀初頭より存在する同社の6インチラウンドトゥブーツをベースに、現代的な素材&テイストを落とし込んで製作されています。質実剛健な作りと完成されたルックスを兼ね備えており、アメカジ好きの大人たちにとっては欠かせない定番ブーツです。
「ベックマン」のルーツはドレスシューズ。だから、佇まいの美しさはブランド随一
開拓時代の面影を残す約100年前の米国西部では、シンプルな6インチ丈ブーツがドレスシューズとして履かれることが多かったそう。実は「ベックマン」の原型となる6インチラウンドトゥブーツも、ワーカー用ではなくドレスシューズとして履けるよう開発されたモノなのです。1920年の『レッド・ウィング』のカタログにおいても、原型モデルはフォーマルな用途を想定し“for General Wear”として紹介されています。そんな出自を持つ「ベックマン」だけに、佇まいはワーク然とし過ぎずシャープで紳士的。すっきりした形状&上質な素材感ゆえ、ジーンズからスラックスまで幅広いパンツとマッチします。
しかし、その耐久性は一線級のワークブーツにもまったく引けを取りません。堅牢なグッドイヤーウェルト製法を駆使して作り上げられ、アウトソールにはブランド独自のベックマン・ソールを採用(一部モデルを除く)。端正なレザーソールにグリップ力&耐久性に秀でるラグソールを半貼りした仕様となっているベックマン・ソールは、上品さと実用性を兼備しています。悪天候だってナイーブになる必要がない頑丈な作りですから、日常でのヘビロテも余裕! もちろんソール交換もOKです。
「ベックマン」のアッパー素材といえばフェザーストーンレザー
「ベックマン」の大半で使われているレザーといえば、オリジナルで開発されたフェザーストーンレザー。牛1頭からわずか5%しか取れない最高品質の牛革を使い、自社が所有するタンナリーにてなめされるプレミアムなレザーは、極上の透明感と強靱な耐久性を両立しています。また、オイル&ワックスをたっぷりと含んでいるので履くほどに深い色合いへと育っていき、やがて自分だけの1足に仕上がるのです。
こちらはブラウンのモデルを履き込んだのがもの。トゥなど擦れる箇所は白っぽくなり、逆に履きジワ部分やタン部分などはより深い色調へと変化しているのがわかります。また、初めは透明感のある光沢をたたえていたアッパーの表面もマットな見た目へとシフト。アッパーとソールをつなぐウェルト部分も変化し、重厚なイメージを強めています。ブーツに詳しくなくても目を奪われるこの渋い経年変化こそ、フェザーストーンレザーのブーツを持つ醍醐味でしょう。
ちなみに、「ベックマン」は2017年から2種類存在している
「ベックマン」のラインアップには、2017年より「ベックマン フラットボックス」という新型が加わっています。パッと見は非常に似ている両者ですが、最大の違いはトゥ部分に硬い先芯が入っていない点です。この“先芯無し”の仕様は、現代のブーツにおいてはかなり少数派。1960年代までは一定数存在し、かつて『レッド・ウィング』でも先芯無しのブーツは製造されていましたが、時代の変化とともに徐々に見る機会はなくなっていきました。そんなオーセンティックなディテールを再現したモデルというワケです。
トゥに入った先芯は強度を高める役割を担うため、長期間履き続けてもつま先は変形しません。しかし先芯がない「ベックマン フラットボックス」は、耐久性こそ先芯入りブーツに劣るものの、その分つま先の革が足に馴染むため履き心地が極めて快適なんです。経年変化により革の膨らみは落ち着き、写真のようにシャープなルックスとなります。なお、アウトソールは定番のベックマン・ソールから変更。柔らかくて反りの良いグロコード・メダリオン・ソールを用いて、着用感を一段と快適なものにしています。また、一部のモデルではブラック・クロンダイクと呼ばれる、茶レザーを黒い塗膜でコーティングした“茶芯”のレザーを使用しています。
先人に倣う。「ベックマン」ラバーたちはこう履きこなしている
最後は、「ベックマン」を取り入れた着こなしサンプルをお届け。王道のジーンズを筆頭として、その他にもさまざまな好相性ボトムスが存在するので、ここでチェックしておきましょう。
▼チェック1:王道中の王道。「ベックマン」×ジーンズの黄金律を3賢人に見る
やはり「ベックマン」と相思相愛のボトムスといえばジーンズ。いたって簡単に、こなれたアメカジスタイルに仕上げられます。街のファッショニスタたちの間でも、ジーンズ×ベックマンの組み合わせは定番化しています。
コーデ1
きれいめ感を注入したワーク感溢れるコーデ
濃紺のデニム生地を使ったカバーオールに、テーパードを効かせたカーゴパンツを組み合わせれば、男らしさの中に品格を感じさせるコーデが完成。足元のすらりとした「ベックマン」もボトムズのシルエットを邪魔せず、着こなしのクリーンさを加速させる一因となっています。
コーデ2
ミリタリーアメカジにブーツであか抜け感をひとさじ
刺繍によるカスタマイズが目を引くヴィンテージのミリタリージャケットに、90’sの『リーバイス』を合わせたミリタリー×アメカジの古着MIXスタイル。足元には履き込んでくたり感の出た「ベックマン」をピックアップし、あか抜けた印象を注入しています。赤茶とインディゴブルーの色味もベストチョイスですが、カーキカラーとの相性も抜群なんです。
コーデ3
アクティブな印象のダウンをベックマンで街っぽく着こなす
ダウンジャケットは本来、アクティブな雰囲気の色濃いアイテム。ですが、程良く褪せたジーンズと細身の「ベックマン」の投入によりタウンコーデっぽく料理することに成功しています。被りものにキャップではなくハットをプラスすれば、装いの都会感はさらにアップします。
▼チェック2:美しい出で立ちで汎用性抜群。「ベックマン」はこんなパンツとも好マッチ
ほんのりと上品さを感じさせるブーツは汎用性に秀でていて、合わせるパンツはジーンズに限りません。特にチノパンツ・ワイドパンツ・コーデュロイパンツとは抜群の好相性を発揮。着こなしをワンランク上へ導けます。
コーデ1
クールなモノトーンコーデを赤茶のブーツで味付け
グレーチノパン×ブラックレザージャケットによる、クールなモノトーンスタイルがベース。すっきりした装いですが、足元にはコクのある色味を纏うフェザーストーンレザーを使った「ベックマン」を取り入れ、さりげなく味を出しています。
コーデ2
今っぽいオーバーサイズな着こなしとも難なくマッチ
必ずしもほっそりとしたパンツに合わせなくてはいけないかというと、そんなこともありません。例えばこちらは、ワイドシルエットのイージーパンツ&カバーオールにより抜け感漂うオーバーサイズで仕上げたコーデ。ボリュームを抑えた「ベックマン」は、ゆるい着こなしの引き締め役としても作用します。全体的に落ち着いた色味を意識したのも高ポイント。
コーデ3
安定感あるボトムス×シューズなら、トップスや小物で遊べる
秋冬らしいほっこり顔のコーデュロイパンツも、奥深い表情の「ベックマン」と親和性の高いアイテム。安定感ある組み合わせのため、ジャケットやインナー、被りもので色や柄を取り入れてもバランス良く見せられます。
コーデ4
ジャケットとの合わせが、大人の余裕を生み出す
本来はドレスブーツだった、という出自を思い起こさせてくれるのがジャケットスタイルとのマッチング。遊び心のある金ボタンのブレザーとブーツをリンクさせるコーデュロイパンツのセレクトで、全体を巧みにまとめ上げています。フォーマルすぎるスーツではミスマッチにもなるでしょうが、こんなジャケパンスタイルなら「ベックマン」の重厚さもよく似合います。大人になったからこそ試したい、上級者スタイルです。
10年愛するために。「ベックマン」はマメにお手入れを
きちんとメンテナンスすればずっと愛用できる「ベックマン」。特にホコリや汚れを落とすためのブラッシングは、履くたびに実施したほうが良いでしょう。そして定期的にオイルやコンディショナー、クリームなどでレザーのケアを行うこともお忘れなく。ケア製品は『レッド・ウィング』が自社で出しており、そちらを使用するのがベターです。ホームページやYouTubeの公式チャンネルでケアの方法が紹介されているので、ぜひそちらも参考に!
なお、基本は無色のクリームを使用しておけばOKですが、ブーツ愛好家の中には赤茶のレザーのメンテにブラックのクリームを使用することで重厚な色味に仕上げている方もいます。陰影がはっきりするため、より男らしくラギッドなスタイルに似合う顔立ちに変化するのです。ただ、あくまで自己責任なので試してみる前に先人たちのエイジングサンプルはチェックしておきましょう。

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