カルティエのタンク。憧れ時計の筆頭について、知っておくべきこと

カルティエのタンク。憧れ時計の筆頭について、知っておくべきこと

誰もが一度は憧れる腕時計界のスーパースター、『カルティエ』の「タンク」。角型のエレガントな佇まいは、ドレスウォッチの王様といっても過言ではありません。

夏目 文寛

2020.05.31

カルティエ(Cartier)
腕時計

名作を身に着ける喜び。やっぱり『カルティエ』の「タンク」が欲しくなる

『カルティエ』のアイコン的存在というだけではなく、腕時計史の中でも指折りの傑作といえる「タンク」。直線を基調としたシンプルなケースやローマンインデックスのクラシカルなルックスは、持つ者のステータスを高めてくれる存在として世界中の著名なセレブリティやアーティストから100年にわたり愛され続けてきました。ファッション業界人にもファンが多く、さまざまなコーデを格上げしてくれる逸品として重宝されています。これから「タンク」の歴史と、バリエーションをご紹介していきましょう。

革新的デザインを有して誕生した初代「タンク」と、その歴史

「タンク」の誕生は1917年のこと。その名の通り、モチーフは第一次世界大戦で活躍した連合国の「戦車」です。上下に突き出したケースサイド部分が、戦車を真上から見たときのキャタピラのように見えないでしょうか。実はこのデザイン、当時の常識からすると実に革命的だったのです。その時代、男性用の携帯用の時計といえば懐中時計のこと。そして腕時計は、懐中時計にひもを付けて腕に縛り付けるぐらいの感覚でした。しかし、文字盤と同じぐらい太い専用ベルトを取り付けるように設計されたこの初代「タンク」は、設計から完全に腕時計を念頭に作られたモノ。懐中時計の延長ではなく、腕時計として作られた「タンク」は、まさに腕時計の歴史を作ったといっても過言ではない逸品なのです。

腕時計史においてエポックメイキングな存在である「タンク」ですが、現在でも変わらぬ高い評価を得ている理由に、その卓越したデザイン性があります。アール・デコを先取りした直線的でシンプルな角型フォルムは、誕生当時は時代の最先端。そして今見ても決して古臭いと思わせない魅力があります。さりげなくカボションが埋め込まれたパール形状のミル打ちが美しいリューズや、ドレス映えするあでやかなエキゾチックレザーベルトなど、「宝石商の王」と呼ばれるジュエラー『カルティエ』にふさわしい細やかなディテールは見事の一言。決して主張はしないものの、着ける者に確かな気品と自信を与えてくれます。そのデザイン性は時代を超えて、現在でも普遍的な輝きを放っています。

伝統を継承する憧れの1本。「タンク ルイ カルティエ」を押さえておく

「タンク ルイ カルティエ」は、「タンク」を代表するコレクションです。モデル名にある“ルイ・カルティエ”は、創業者の孫で、「タンク」をこの世に送り出した張本人。そのことからも、この「タンク ルイ カルティエ」が、同コレクションにあっていかに特別な存在かがわかるでしょう。「タンク ルイ カルティエ」は1924年に発売され、初代モデルの角張ったエッジをなだらかに仕上げることで、よりエレガントさを醸し出すことに成功。ドレスウォッチの大定番としてベストセラーになりました。誕生から100年近く経った現在でも、「タンク ルイ カルティエ」は「タンク」の顔であり続けています。

ローマンインデックスに青焼きの針を持つ、ドレスウォッチのコードを忠実に守った気品ある逸品。自社製の手巻きムーブメントを搭載し、その薄さはなんと5.1mm。難易度の高いゴールドカラーでも、シンプルな造形のケースと主張しすぎないピンクゴールドなら、誰でも着けこなせます。

新鋭にしてすでに定番。「タンク」入門機にも選びたい、「タンク ソロ」

「タンク ソロ」は、2004年に誕生した新しいコレクション。「タンク」のデザイン性がそのまま楽しめて、しかも比較的リーズナブルなのが特徴です。一見「タンク ルイ カルティエ」とそっくりですが、よりフラットなケースフォルムを採用することでモダンな印象になりました。「タンク ルイ カルティエ」がケースに貴金属を使用し、リューズにサファイアカボションやダイヤモンドを用いているところ、こちらの「タンク ソロ」はケースにステンレススチール(ゴールドもあり)、リューズに人工スピネル カボションを採用するなど、コストダウンが図られています。しかし、その佇まいは往年の「タンク」そのもの。特にクォーツ式は定価で30万円前半から手に入れることができ、非常にお買い得です。機械式特有のメンテナンスが面倒な人には、むしろこちらがおすすめ。

3連かつソリッドなブレスレットタイプのこちらは、レザーベルトタイプよりもフレッシュな印象で、20代が着けても違和感がありません。特に腕が細い人には、今ではかなり小ぶりな部類になる縦約35mm×横約27mmのケースサイズ(LM)が腕に馴染むはずです。価格も30万円を切っており、歴史的な「タンク」のデザイン性を気軽に味わいたいという人には絶好の1本です。

腕元で個性を描くなら。『カルティエ』の「タンク」、4つのラインアップ

続いて、「タンク」が誇る人気シリーズを紹介します。初代のデザイン哲学を継承した角型であること、またどれも優美なドレスウォッチであることなど、「タンク」らしさを存分に感じさせながら、ケースの縦横比や細かなディテールでそれぞれに宿るコンセプトを存分に発揮しています。

モデル1タンク アメリカン ウォッチLM 

1989年デビューの「タンク アメリカン」は、手首に沿ってカーブする縦長フォルムのケースが特徴的。かつて存在した「カルティエ ニューヨーク」をイメージソースとしているそう。細身のケースはオリジナルの「タンク」が持っていた武骨でソリッドな部分がそぎ落とされ、繊細でエレガントな雰囲気を醸し出しています。こちらはステンレススチールケースを採用したモデルで、機械式ながら定価60万円台で手に入るモデル。アリゲーターストラップでより瀟洒な印象に仕上がっています。

モデル2タンク フランセーズ MM

1996年に発表された「タンク フランセーズ」です。特にレディースに人気がある、モダンで端正なモデルになります。スクエア文字盤を持つケースのシャープさにも目を引かれますが、「タンク フランセーズ」はメタルブレスレットにも特徴があります。中ゴマがケースと同じ曲面を描くことで、パッケージとしての一体感が高い次元で実現されているのです。そのため、腕に着けたときも間延びすることなく、コンパクトですっきりした感じを味わうことができます。さりげなくアクセントを効かせる腕時計が好きな人にはたまらない1本です。

モデル3タンク アングレーズ LM

「カルティエ ロンドン」で作られていたモデルからインスピレーションを得て、2012年に発表されたモデル。“アングレーズ”はイギリスの、という意味のフランス語で、「タンク アメリカン」、「タンク フランセーズ」に続く国シリーズの1つです。その最大の特徴は、丸みを持ったケースと3時位置のケースサイドをくり抜くように配置されたリューズ。モダンな「タンク フランセーズ」、エレガントな「タンク アメリカン」よりボリューミーな印象で、初代に近いフォルムが好みならこちらがおすすめです。そして、こちらの「タンク アングレーズ」はすでに生産終了しており、新品が欲しいなら今すぐゲットすべきでしょう。

モデル4タンク サントレ

「タンク ノーマル」に続く2番目の「タンク」が、「カルティエ サントレ」のオリジナル。はじめて世に出たのは、1920年頃です。そのフォルムからわかるように、すでに紹介した「タンク アメリカン」の元となりました。そんな「タンク サントレ」のオリジナルが2018年に復刻。12時・6時のみのアラビア数字インデックスを採用したヴィンテージらしい色使いの文字盤は、「タンク」の長い歴史を感じられる仕上がりです。また、搭載された手巻きムーブメント8971MCは、名門時計ブランド『ジャガー・ルクルト』の「レベルソ」にも採用されているCal.846と同じというのもマニア心をくすぶるポイントです。

「タンク」のサイズは4種類。オンラインで購入するならご注意を

現在、メンズでは小さい順にSM、LM、MM、XLのサイズ展開。モデル名の後ろに表記されています。ただし、SMは、「タンク ルイ カルティエ」の1モデルしかラインアップしておらず、縦29.5 mm ×横22 mm×厚さ6.8 mmとほぼレディースサイズと考えて良いでしょう。また、MMは縦長の「タンク アメリカン」、「タンク サントレ」のみに使われています。

なお、同じLMでも、「タンク ソロ」が縦34.8mm×横27.4mm×厚さ5.55mm、「タンク ルイ カルティエ」が縦33.7mm×横25.5mm×厚さ6.35mmとシリーズによってサイズが異なるので注意が必要です。

20世紀初頭の革命。カルティエが切り拓いた腕時計の歴史

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トップジュエラーとして君臨する『カルティエ』だが、“世界初の男性用腕時計”を生んだ時計ブランドという顔も持つ。その卓越した技術は継承され、傑作を生み続けている。

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夏目 文寛

出版社勤務時にはファッション誌、モノ情報誌の編集を15年にわたって従事。各雑誌で編集長を歴任し、2017年よりフリーの編集者に。男の嗜好品に詳しく、特に腕時計は機械式の本場スイスをはじめとするヨーロッパに何度も取材に行くほど情熱を傾けている。興味のない人にもわかりやすく!がモットー。
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