こだわりと個性が溢れ出る。部屋と服、おしゃれの相関関係

こだわりと個性が溢れ出る。部屋と服、おしゃれの相関関係

暮らし方と着こなし方。異なるジャンルではあれど、個性が反映されるという点では共通する。だからこそ、素敵にコーディネートされた部屋の住人には、洒落感が漂うのだ。

菊地 亮

2020.09.11

アダム エ ロペ(Adam et Rope')
アーバンリサーチ(URBAN RESEARCH)
ナノ・ユニバース(nano universe)
ビーミング by ビームス(B:MING by BEAMS)
シップス(SHIPS)
秋の着こなし・コーデ

部屋と服。両者のコーディネートに浮かび上がる個性が楽しい!

好きなモノに囲まれて暮らしたい。その願いはきっと誰もが抱いていること。こだわりを持つ大人ならば、尚のこと部屋と服のテイストは似てくるはずだ。というわけで、人気セレクトショップのなかでもおしゃれな部屋に住んでいる方々に自身の“城”を紹介してもらいつつ、ファッションスナップも敢行。双方の関係性まで探ってみた。

【CASE.01】趣味のモノを配置した海への愛が透けて見える空間

サーフボードとウェットスーツが立てかけられたこのお部屋。ご想像通り、主人は海をこよなく愛するサーファーである。「妻とは好きなモノに囲まれて過ごしたいねとよく話しています」との言葉通り、窓辺に並べたカラフルなフィンや、これまた「好きな部類」と語る色鮮やかなモロッコラグが部屋に彩りを添え、明るい雰囲気をもたらしている。

彼の脳裏に焼き付いているのはサンフランシスコにあるモラスクサーフショップ。そのため、ウッディな空間にサーフボードやウェットスーツが置いてある同店ならではの風景を目指した。高台に位置するこの場所は、出窓から朝日が差し込み、夜は夜景を一望。広いバルコニーでは、家族でランチを共にし、ハンモックでまったりとした時間を過ごすなど、憩いの場として機能している。坂の多い周辺の地形は、さながらサンフランシスコの住宅地のよう。「もう少し緑を増やしたい」と願望を語る笑顔からは、好きなモノに囲まれる幸福感が伝わる。

そんな部屋の住人は……池谷翔大さん(アーバンリサーチ プレス)

サーファー歴6年を誇る『アーバンリサーチ』プレスの池谷さん。その着こなしは、常に自然体を信条とする彼らしい、何ものにも縛られないたっぷりな身頃のシャツが中心だ。その内側には白Tをはさみ、さらに白パン合わせた姿はスカイブルーとの配色も相まってこの上なく清々しい。そして、節々には彼ならではのこだわりが見え隠れする。

オーバーサイズを選びジャケットのように羽織ったシャツは、数々のブランドをコンサルテーションしてきた『ロウワーケース』と業界内でもファンの多い『エンジニアドガーメンツ』とのコラボ。ヴィンテージのボタンダウンシャツをベースに現代的解釈で仕上げた1枚である。「休日はサーフィンやスケートを楽しむので常に動きやすいワーク系が基本」というパンツは、意表を突くイージー仕様のシェフパンツ。スリッポンや、「最近父になったので(笑)」と少しでも威厳を出すため良く掛けているというメガネに黒を選びながら全体を引き締めた点も素晴らしい。

【CASE.02】ウッドの柔らかさがやさしく包み込むナチュラルな空気感

“シンプル”、“生活に馴染む色”、“心地良さ”がテーマとの言葉通り、この部屋にはミニマルでウッディな家具が目につく。その代表が山形県の伝統を今に伝える天童木工と、スウェーデンの世界的家具職人、ブルーノ・マットソン氏のコラボであるソファとオットマン。「ここでよく寛ぎながら映画を見ています」というお気に入りの場所である。

さらに、「ベランピングをやってみたくて自粛期間中に頑張りました」というベランダは、ウッドを敷き詰めよりナチュラルな空間に。そんなウッドや天然色のマイルドな雰囲気に程良いアクセントを添えているのが、各所に配置したモダン家具だ。『シンプルヒューマン』のダストボックスは、カタログの撮影で訪れたスタジオで一目惚れして即ネットで購入。生活感をひた隠すメタリカルなフォルムと上蓋の開閉の静けさがスマートである。さらにBluetooth(R)対応のスピーカーにより余計なコードも排除。それに伴い、部屋全体がどこか洗練された趣に。

そんな部屋の住人は……梅田悠貴さん(ビームス プレス)

主に『ビーミング by ビームス』のPRを担当する梅田さんは、オンブレチェックシャツにブラウンカラーを取り入れ季節感をグッと引き寄せた。さらに、インナーはグレーTを挿し、ワーク風味な黒パンを選びながら安定のベーシックアイテムで脇を固めている。その中、程良い抜け感を漂わせるサンダルのチョイスがまた心にくい。

一見普通とも思えるアイテムチョイスも、それで終わらせないのが梅田流。誰もが馴染みのあるチェックシャツではあるが、「たっぷりなシルエットを選び、衣文抜きのように背後へ比重を掛けながらラフに着こなしました」と、その活用法により新鮮さをプラス。しかも、リネン混の生地を採用しているため、独特のシャリ感が清涼感を生み、秋らしい色味とのギャップを演じている。Tシャツは裾をインさせたことでウエストラインがスッキリ。それだけでなくプレーンな革ベルトの品の良さまで生かす、実に計算づくなコーディネートである。

【CASE.03】ウッディな家具、配色、緑。三位一体のほっこり部屋

白い壁、クリーミーな床、そしてウッディなカーテンやテーブルにシェルフ。そこへ違和感なく溶け込むボタニカルやくすみがかったオレンジのソファ。ナチュラルさに軸足を置いた配色やインテリアの数々は、最良の心地良さを演出する一手に。「好きなモノをごちゃごちゃ見えないようバランス良く取り入れた」という配置もお見事だ。

そんな“好きなモノ”の代表格が植物。ドラセナ・マッサンゲアナやアンスリウム、さらには多肉植物などバリエーション豊富に揃え、しかも、普段から目に入りやすい位置に置かれている。「もともとこちらへ引っ越すタイミングのときに、緑の溢れる空間にしようと決めていました」。そのため部屋中にウッド系の家具を多く配置。植物関連の雑貨にも興味を持ち始め、温もりを感じさせる花瓶は、「イエローのラインに一目惚れしました」という神戸旅行時の戦利品だ。今では、朝の水やりが日課で、日々目の当たりにできる植物の成長が癒やしと語る。

そんな部屋の住人は……江崎裕支郎さん(アダム エ ロペ 熊本ニューズ店 スタッフ)

同店きってのファッショニスタとしても知られる名物スタッフ。そんな彼の着こなしは、トップスもボトムスもゆったりシルエットが基本。ただ、だらしなく見えないよう、丈感はジャストサイズを目指し、より品良く見える生地感のアイテムを選択している。抜き過ぎず、キメ過ぎない、その絶妙なバランスこそ江崎さんの真骨頂である。

彼のスタンスが顕著に表れているアイテムはトップスだろう。「熊本店では人気の上位に必ず入ってくる」というNORITAKEシリーズのロンT。身幅にゆとりをとり大胆に肩をドロップさせたシルエットは、それだけでもリラックスしながら袖を通すことができる。サラッとしたタッチは残暑の厳しい時期にもありがたく、薄手でレイヤードしやすく、ソフトな生地感が気持ち良いため秋のインナーとしても申し分なし。ほのかに放つ光沢からは、品の良さすらうかがえる。そこへとろみとツヤのあるチェックパンツを合わせることで、遊びもプラスした点は技アリだ。

【CASE.04】地中海を彷彿させる白壁とヴィンテージ家具たち

イタリアのアルベロベッロやスペインのフリヒリアナを思い起こさせる白を基盤とした空間に、味わい深いチェアやテーブルが並ぶ様はどこかヨーロッパ的。イメージの拠り所は、映画『パターソン』の主人公夫婦が住む部屋だ。床は部屋の空気感に合うよう、わざわざ部屋のサイズに合わせてタイルをカットし敷き詰めるほどのこだわりようである。

雰囲気作りに一役買っているのは旅の思い出の品々。「キューバ旅行のメインイベントに『ブエナ・ビスタ・ソシアルクラブ』のライブを見る予定でしたが、僕らが行ったときには中止で……。その悔しさも思い出と割り切ってバンドメンバーの絵を購入しました」。そんな当時の余韻に浸れる絵画が壁面いっぱいに飾られている。そして、ウッドチェアの上に置かれた瓶のドライフラワーは、「式当日の幸せな気持ちを忘れないように」と結婚式で使ったブーケを入れ照明代わりに。多くの思い出が詰まった部屋は、夫婦の幸せに満ちた空間だった。

そんな部屋の住人は……川村翔次朗さん(ナノ・ユニバース WEB戦略部)

『ナノ・ユニバース』にてWEB記事やECサイトの運営を担う川村さんの装いは、クラシックがベース。ダブルブレストのジャケットにグレーのスラックスを合わせた姿は、実にシックである。しかも、今の空気感と足並みを揃えるためシャツではなくロンTを、足元にはスニーカーを加えながらストリート感をプラスするあたりはさすがだ。

変に浮くことなく、古めかしさをいなすキーアイテムとなったのがロンT。しかもこちらには特筆すべき旨味もある。「これはジャケットのインナー用として作られた1枚で、後襟を高めに設定してあります。それによりジャケットとの擦れを防ぎ、皮脂汚れもつきにくい。しかも、シルケット加工を施しているのでシルクのような光沢がロンTらしからぬ品の良さを演出してくれます」。片や、スラックスは堅苦しさをいなす赤ラインをさりげなく落とし込んでいる。カジュアルアップとカジュアルダウンの絶妙な間隙を突くアイテム選びに脱帽だ。

【CASE.05】時を超え愛されるデザインを日常の一コマに

今どきのプロダクトも魅力的だが、長く愛されてきたアイテムもまた良い。こちらにお住まいの住人は後者を選択。「プロダクトとしての完成度はこれまでの歴史が証明していますよね。それを身近に感じられる日常はきっと素敵だと思うんです」。それを表すかのごとく、各所には1950~70年代のヴィンテージファニチャーが随所に散りばめられている。

「王道は高い認知度ゆえに新鮮味に欠けると思うかもしれませんが、時代を問わず愛され、今なお多くの人を虜にしている事実はそれ自体がもう偉大です」。アメリカが誇るミッドセンチュリー期の代表的名門家具メーカー『イームズ』。そのチェアは今なお世界中に愛される名作揃いで、こちらの住人も率先して購入。窓際に置かれたモノは1950年代製だ。他にも、「店舗で使用していたモノをそのまま譲り受けた」という植物とともに吊るされた照明など、モダンな空間に溶け込み存在感を放つヴィンテージ家具が随所に散見。空間に味わいをもたらしている。

そんな部屋の住人は……瀬谷俊法さん(シップス メンズカジュアル バイヤー)

若くしてシップスのメンズカジュアルのバイイングや企画を担当する瀬谷さん。その根底にはアメカジやアメトラへの敬意があるが、それに固執せず現代的に着こなすあたりに巧さがある。今回は、往年のラインパンツでスポーティかつラフに装いながらも、洗いざらしのようなシャツをサラリと羽織ることでグッと大人っぽく仕上げて見せた。

ライン入りジャージーパンツと聞けば、オールドスクールを筆頭にストリート感が漂い、どこか懐かしさを匂わせるが、こちらはピンタックをセンタークリースに見立て、細身のテーパードシルエットで製作。スミクロのようなマットなブラックにしたことで、ジャージーパンツ特有のテカりを控え、程良い品をプラスしている。しかも、丈感を9分丈に設定したところも実によくわかっている。そんなアイテムに足並みを揃えるかのごとく、腕元に1990年代のユーズドのスウォッチは加えた点も巧妙。落ち着いた色合いの中に光る個性が他と一線を画す決め手となっている。

▲池谷さん(アーバンリサーチ プレス)着用アイテム
シャツ25,000円/エンジニアドガーメンツ×ロウワーケース(アーバンリサーチ プレスルーム TEL:03-6388-6604)、Tシャツ5,000円/パドロール×フリーマンズ スポーティング クラブ(フリーマンズ スポーティング クラブ ギンザ シックス TEL:03-6263-9924)、パンツ6,000円/サニーレーベル(アーバンリサーチ サニーレーベル グランツリー武蔵小杉店 TEL:044-982-3131)、シューズ12,000円/リプロダクション オブ ファウンド×アーバンリサーチ、キャップ3,500円/エカル(ともにアーバンリサーチ ルミネ新宿店 TEL:03-5339-2515)

▲梅田さん(ビームス プレス)着用アイテム
シャツ7,200円/ビーミング by ビームス、パンツ11,000円/ラングラー、サンダル34,000円/パラブーツ、ベルト8,800円/ヴァイナルアーカイブ(以上すべてビーミング ライフストア バイ ビームス コクーンシティ店 TEL:048-788-1130)

▲江崎さん(アダム エ ロペ 熊本ニューズ店 スタッフ)着用アイテム
ロンT5,800円/アダム エ ロペ、シューズ15,000円/コンバース フォー アダム エ ロペ(以上すべてアダム エ ロペ 熊本ニューズ店 TEL:096-278-7118)

▲川村さん(ナノ・ユニバース WEB戦略部)着用アイテム
ロンT4,000円/ナノ・ユニバース、ジャケット15,000円/ナノ・ユニバース、パンツ33,000円/チルコロ1901(以上すべてナノ・ユニバース カスタマーサービス TEL:0120-705-088)

▲瀬谷さん(シップス メンズカジュアル バイヤー)着用アイテム
パンツ12,000円/フレッドペリー[シップス別注]、シャツ70,000円/クリスタセヤ、シューズ12,000円/リーボック エクスクルーシブ フォー シップス(以上すべてシップス 渋谷店 TEL:03-3496-0481)

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※掲載の金額はすべて税抜価格です
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Photo_Yuta Kono(Snap)

地方の出版社にて編集を経験した後、独立。フリーのエディター・ライターとしてメンズファッションを中心に、スポーツ、グルメ、音楽など幅広い分野で活動。現在は、生まれ故郷である岩手県、そして東北の魅力を発信すべく東奔西走中。
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