
問答無用の温かさ。ヒーターベストがあれば、厳冬だって怖くない
冬の本格的な寒さを乗り切るための秘密兵器、その意外な注目株がヒーターベストです。ファッションとの距離感もグッと近づいてきた今が、まさに買いどきかもしれません。
これぞ冬の装備品。実用性満点のヒーターベストが、ワードローブを変える
ヒーターベストとは、電気毛布のように電力でヒーターユニットを発熱させて保温力を発揮するベストのこと。電熱ベストと呼ばれることもあり、これ自体は以前から存在していました。釣りやバイクのウェア、あるいはワークウェアに詳しい人なら一度は目にしたことがあるかもしれません。そんなある種、ガチ系ガジェット的な位置付けだったこのベストの立ち位置が、ここにきて変わってきたことをご存じでしょうか。バッテリーの小型化に象徴される技術的な進化に加え、ファッションブランドがこのジャンルに参戦し始めたことが追い風となり、より日々のおしゃれに取り入れやすいアイテムになりつつあるのです。
ヒーターベストの良さといえば、アウターの中に仕込んで着られる点。最近はダウンや中綿のインナーベストが市民権を得ていますが、まさにそれと同じような感覚で気軽に取り入れらます。それでいてダウンや中綿に勝る温かさを得られるので、重ね着するアイテムを最小限に抑えることが可能。着膨れ知らずのおしゃれを楽しめる点は、大きな強みといえます。
ヒーターベスト初心者は必見。選ぶときにチェックしたい3ポイント
ここからはヒーターベストを冬のおしゃれに導入する際にチェックしておくべきポイントを見てみましょう。毎日のように使う可能性のあるものだけに、機能面や使い勝手の違いに留意して選ぶのが賢い選択といえそうです。
ポイント1
段階的な温度調節機能や、スマホ連動などライフスタイルに見合ったモノを
都市生活においては、アウトドアとは使用環境が大きく異なります。ずっと外で過ごすのではなく、電車に乗ったり、屋内と屋外を頻繁に行き来したりして、体を取り巻く気温がころころと変わることも珍しくありません。このような使用環境がメインの場合は、温度調整機能を備えたヒーターベストを選ぶのがおすすめ。最近は、スマートフォンとワイヤレス接続し、手元で温度調節が操作できるものも登場しており、操作性が劇的に向上しています。
ポイント2
自宅で洗えるかどうかは、お手入れのしやすさに直結
寒さが厳しくなれば、ヒーターベストの登板数もきっと増えるでしょう。かなりのヘビロテが見込まれる場合は、洗濯可能なモノを選びましょう。うれしいことに最近は、モバイルバッテリーを外してそのまま洗えるものも増えています。洗濯機で洗えるタイプと手洗いできるタイプが存在しますが、いずれにしても清潔感を保ちながら気持ち良く着用することが可能です。
ポイント3
専用バッテリーのアリナシは、モバイルバッテリーの有無で選ぶのも◎
ヒーターベストの電源には専用バッテリーを使用するものが多いのかと思いきや、バッテリーが付属しておらず外部バッテリーに接続して使うタイプも存在します。普段からスマホやPC用にモバイルバッテリーを持ち歩いている人は、こうした外部バッテリーが接続可能なモデルを選ぶのも1つの手。共有できるバッテリーがあれば、外出時間が予想以上に長くなったときなども安心感がありますね。
家電感もあるヒーターベスト。選ぶならズバリ、黒
ファッション目線のヒーターベストが増えたとはいえ、機能面を重視すると家電感が強めなモノもなきにしもあらず。黒やグレーといった都会的な配色であれば、こうした家電臭を消臭でき、スタイリッシュな印象に持ち込むことが可能です。汎用性も見込めるため、初めてのヒーターベストを購入するときには覚えておくと良いでしょう。
温かさも、見た目も重視。気軽に試せる6着のヒーターベスト
ファッションブランドやダウンの老舗も参戦して、選択肢の幅がグッと広がってきたヒーターベスト。温かさの面でも優秀な6着の注目株をご紹介しましょう。
1着目
『ラブレス』ホットピア ベスト
ハイネックとのレイヤードも映えるノーカラーを採用したこちらのヒーターベストは、三機ユニシスと信州大学繊維学部が共同開発した「ホットピア」という布ヒーティングシステムを搭載。銀繊維をニット状に編み込んだ発熱体で遠赤外線を発生させ、圧巻の保温力を発揮します。スマートフォンとBluetooth接続して、アプリ上での温度調節が可能となっています。表地は撥水性に優れる「ソロテックス」を使用しており、フロントジップも止水仕様に。
2着目
『ゴー トゥ バイ ミズノ』サーモブリッドベスト
『ミズノ』が手掛けたこちらのベストは、マイクロカーボンファイバーを採用した「サーモブリッド」というヒーターを背面に搭載。加えて、ベスト自体の服地には肌から常に発散されている微量の水蒸気を吸収して発熱する「ブレスサーモ」を採用しています。ヒーターと吸湿発熱素材がダブルで体を温めてくれる、というわけです。スポーツウェアにもカジュアルにも映えるミニマルデザインながら、両脇の切り替えに溶け込むポケットの収納力も申し分なし。
3着目
『ナノ・ユニバース』ホットピア ロングマウンテンパーカー
こちらは「ホットピア」という発熱体の繊維で編まれたヒーターベストを、インナーベストとして採用したマウンテンパーカー。ベスト自体は着脱式なので単体で着用することも可能で、他のアウターのインナーとして使えばコーデの幅も広がります。マウンテンパーカーには、特殊紡績で耐摩耗性を高めた「ヴォーテックス」と呼ばれる生地を採用。ベストと同様、装飾性をそぎ落としたミニマルデザインゆえに、ビジネスシーンにもよく映えます。
4着目
『ジェリー』ヒートブースター
後ろ身頃の上下2か所に、ヒーターを搭載。内ポケットを兼ねたバッテリーポケット内はUSB接続コードが用意されており、ここに市販のモバイルバッテリーをつないで使える設計になっています。3段階の温度調節が可能で、中綿がフィリングされているので前身頃部分も申し分のない保温力を発揮。ベスト自体は、コートやジャケットのインナー使いもしやすいVネック仕様です。
5着目
『ロゴス』ヒートユニット・ベスト
アウトドアギアブランドの『ロゴス』が手掛けたこのベストは、カーボンファイバーを採用した発熱体を採用。こちらも市販のモバイルバッテリーをつないで使うタイプで、3段階の温度調節が可能になっています。低温やけど防止のため1時間経過すると自動的に電源がオフになるタイマーも搭載。発熱体を内蔵した裏地から表地を取り外せるようになっていて、汚れたらこの表地を手洗いすることが可能です。
6着目
『ディスコート』ヒートダウンベスト
こちらは、厚みを抑えながらダウンとフェザーをフィリングしたインナーダウンベストに、発熱体を内蔵したタイプ。こちらもバッテリーは付属していないタイプで、他のモバイルギアのために持ち歩いている市販のモバイルバッテリーをつないで使うことができます。発熱体とバッテリーは着脱式で、取り外せば普通のインナーダウンとしてお手入れ可能。
紺ブレもビーサンも守備範囲。雑食系服飾ライター
遠藤 匠