
手間が掛かっている、は価値だ。フラワーマウンテンのスニーカーに学ぶこと
レッドオーシャン化したスニーカー業界で異彩を放つ、謎多き新星として話題の『フラワーマウンテン』。ミニマル顔に食傷気味な大人に刺さる快作から、目が離せません。
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脱・ミニマルな足元へ。快進撃を続ける『フラワーマウンテン』とは?
『テスラ』の近未来的なEV車を例に出すまでもなく、昨今はミニマリズムと合理性に根ざしたデザインがあらゆる業界における一大潮流に。こうしたうねりは、スニーカー業界にも例外なく押し寄せています。引き続き厚底がハイスペック系の主力とはいえ、デザイン自体は空気抵抗や反発力といったデータから導き出されたもの。ゆえにその造形は極めてシャープで、装飾性もそぎ落とされています。しかし、そんな時流にすべてがすべて前ならえになってしまうのも、味気ないもの。今回ご紹介する『フラワーマウンテン』は、ミニマル化の流れに抗うような攻めたデザインで世界から注目を浴びているブランドなのです。
その魅力の詳細は後述しますが、同社は日本人デザイナーの太田圭輔氏が中国人デザイナーの楊超(ヤン・チャオ)氏をパートナーに迎え、2015年に立ち上げた日中混合のフットウェアブランド。現在は取引先の9割が海外で、ニューヨークの「キス」やロンドンの「オフスプリング」といった名うてのスニーカーショップがこぞって買い付けているという輝かしい取引実績が、世界からの評価の高さを物語っています。同ブランドのスニーカーを特徴付ける過激なまでに攻めたデザインは、手間も時間も掛かるハンドメイドを用いることで生み出されたもの。一方で、性能面においても一切の妥協がなく、こちらも徹底して作り込まれています。日本人の足に対するフィット感を追求したラストや独自開発のアウトソールといった、こだわりのスペックが満載なんです。そんな才色兼備な『フラワーマウンテン』のスニーカーを一度でも体験すれば、その存在の貴重さとありがたみが嫌というほどわかるはずでしょう。
デザインもスペックも。『フラワーマウンテン』に見る、手作業の恩恵
出自の異なるデザイナーがもつ感性を融合させた無国籍なデザインにはじまり、ハンドメイドを多用した生産体制にいたる何もかもが異色な『フラワーマウンテン』。まずは、そんなスニーカーブランドの足跡を駆け足で辿っていきましょう。
中心人物であるデザイナーの太田圭輔氏は、浅草に本社を構える老舗の靴問屋において、海外での買い付けやOEM製品の生産管理といった靴作りの現場をひと通り経験してきた人物。2013年に独立を果たすまでは、自ら志願して勤務した工場でバフ掛けなどの仕上げや型紙の製作といった一連の技術も習得していました。晴れて大手アパレル企業のOEM製品の企画会社を立ち上げた太田氏は、たまたま出向いた中国の工場で後にパートナーとなるヤン・チャオ氏と運命的な出会いを果たし、意気投合します。どちらからともなく、ともにブランドを作ろうということになったのだとか。ちなみにブランド名は、ヤン氏がハイキングで度々訪れている山に自ら名付けた愛称からとられたもの。まるで音楽性に共感したミュージシャン同士がバンドを結成するかのようにブランドを立ち上げ、曲名のように響きの良い言葉をブランド名として掲げる。そんな靴作りの現場を知り尽くしているからこそ成り立つスタンスもまた、レッドオーシャン化したスニーカー業界においては新しい風として感じられるのかしれません。
運命的な出会いを果たしたふたりが情熱を注ぎ込んでいるスニーカーは、これまた運命的な出会いを果たした広州のとある工場とのタッグによって生み出されています。『フラワーマウンテン』のスニーカーには、花をイメージさせる意匠や手仕事を感じさせるステッチなどが盛り込まれていますが、これらはすべて太田氏が「品質に加え、手仕事を大切にする」と認める同工場の存在なくしては表現できないもの。工業製品としての完成度の高さと機能性を有していながら手の温もりも伝わってくる。こうした相反する要素が不思議なバランスで同居したその佇まいも、このブランドのスニーカーを唯一無二たらしめているポイントといえます。
『フラワーマウンテン』のスニーカーの多くは太田氏のヤン氏の共同作業によって作り出されていますが、とりわけ太田氏が情熱を傾けているのが、アウトソールの開発。現在採用されている新開発のソールでは、硬さが異なる素材を重ねた2層構造を採用し、衝撃吸収性や反発力といった性能を高いレベルで実現しています。また、設計自体は木型から手がけ、日本人の足形に合わせてウィズを広めに設定。袋仕立てにしたライニングで足を包み込むボロネーゼ製法がもたらすやさしい履き心地にも、太田氏のこだわりが息づいています。
『フラワーマウンテン』のスニーカーは、着こなしにどう刺さるのか?
『フラワーマウンテン』のスニーカーが放つ唯一無二の個性には、シンプルにまとまりがちな大人の着こなしに“華”を添える効果が期待できます。クセが強そうに見えますが、国籍やスタイル、年齢といった型にはまらない自由奔放なデザインゆえ、実はどんな装いにも馴染んでくれるという側面があるんです。思い思いのスタイルで着こなしを楽しみましょう。
着こなし1
Tシャツ姿に足りない“見どころ”を1点投下で演出
Tシャツを主役にした装いにつきまとう物足りなさも、『フラワーマウンテン』の攻めたデザインが解消してくれるという好例がこちら。ワイドパンツと足元の配色を馴染ませつつも、ディテールやフォルムの存在感によって見どころをしっかり作ることができます。ベレー帽やベストといったちょっとクセのある小物とのバランスが取りやすいというのも魅力です。
着こなし2
個性派スポサンの威力でモノトーンも華のある装いに
ハイテク顔のソールが目を引くスポサンも、『フラワーマウンテン』の持ち味が十分に発揮されているアイテム。厚底とデザイン性の高いストラップでキャラ立ちが狙えるデザインゆえ、黒パンツに白Tというミニマルに達した装いもこれ一発でどこか華やいだ着こなしに持っていくことが可能となっています。ワイドパンツのボリュームに負けない存在感も出色ですね。
着こなし3
都会派コーデの“脱・ありきたり”に、技ありハイカットが威力を発揮
『フラワーマウンテン』のハイカットスニーカーは、黒一色であっても造形的に他とは別格の存在感。ゆえに黒スキニーデニムに淡色ブルゾンという都会的な装いにスッと溶け込みつつも、決して当たり障りのないムードには傾かず、印象的なスタイルに仕上げることができます。ここで着用したモデルは履き口やベロがボリューミーなので、細パンツの裾に形成されるクッションにさえ雰囲気があります。
目移りしちゃうバリエーション。『フラワーマウンテン』のスニーカー&サンダル12選
『フラワーマウンテン』のスニーカーはとにかく多彩で、最近はスニーカーのソールテクノロジーを応用したスポーツサンダルも人気を博しています。加えて、継続して作られている定番モデルが多数存在し、シーズンによってアッパーのテキスタイルや配色が異なる新作が発表されるのもお楽しみの1つです。一度履いたらやみつきになる大人が続出している『フラワーマウンテン』。もしかしたらこの中に、あなたが沼にハマるきっかけになる1足があるもしれません。
1足目
ライキリ
独創的なシューレースをアクセントに効かせたデザインは、“ストゥケレ”と呼ばれるアイヌ民族の履き物をモチーフにしたもの。同民族の伝統柄をプリントしたハニカムナイロンのグラフィックも、無個性に映りがちな黒スニーカーに違いをもたらしてくれます。ちなみに全モデルに共通して、インソールはコルク材の採用で吸湿性を高め、内部には銀イオンによる抗菌・防臭効果が期待できるアギオン社の高機能素材を使用しています。
2足目
コテツ
「コテツ」と名付けられた本モデルは、2018年秋冬のリリース以来、欧州マーケットで1番人気を誇る1足。アッパーはハニカム構造の3Dメッシュと、ネオプレン素材のコンビネーションで素材感の変化をつけているのが特徴。単色のモデルも存在しますが、周囲と差をつけるなら遊び心のある配色をセンス良くまとめたマルチカラーが強い味方になってくれます。
3足目
ハニカム
蜂の巣や亀の甲羅などに散見されるハニカム形状をモチーフに採用し、それをグラフィカルなアッパーのメッシュ構造として表現。随所に散りばめられたフラワーモチーフの穴飾りは、通気性の向上と装飾性という2つの役割を担っています。脱ぎ履きが苦にならないスリッポン仕様で、ドローストリングスによってヒール周りのフィット感を高めることも可能。
4足目
マスタード ウォルナッツ コーデュラ 55
ハイカットを採用したこちらは、ファーストコレクションから存在する看板モデル。ミリタリー仕様のリップストップ素材にナチュラルレザーを組み合わせ、ハイテク感と古き良き登山靴の佇まいが同居する独自の世界観が表現されています。フラワーモチーフの穴飾りやハンドステッチといった意匠は本モデルによって確立され、ブランドを特徴付けるディテールとして世界に認知されました。
5足目
バックカントリー
トレッキングや軽登山に対応できる機能を満載した、ハイスペックシリーズの代表モデル。モデル名は決して伊達ではなく、雨天を気にせず歩ける完全防水仕様。ソール側がトゥに向かって迫り上がったマッドガード仕様なので、ぬかるんだ道さえ怖くありません。一方で、本格派のアウトドア靴はまず採用しないであろう配色からは、持ち味の遊び心が滲みます。
6足目
モヒカン
モカシンを思わせる革紐のステッチや足全体を包み込むフォルムから、ネイティブアメリカンの伝統靴をモチーフにしていることが伝わる本モデル。それでいてネオプレンのインナースリーブや迫力あるアウトソールからは90年代スニーカー的なハイテク感が感じられ、その独創的なバランスが新鮮さの演出に一役買ってくれます。
7足目
ナスカ
2019年にデビューを果たし、『フラワーマウンテン』のスポーツサンダルにおける看板モデルとなった「ナスカ」。ハニカムメッシュの甲部を面ファスナー付きのストラップでフィットさせると驚きのホールド感が得られ、フットベッドの心地良い反発力によって軽快な歩行をアシストしてくれます。確かなグリップ力が期待できるアウトソールには、心許ない印象になりがちなサンダル姿の足元に力強さをもたらす効果も。
8足目
ヤマノ 2
ローカットの代表作の素材とデザインをブラッシュアップし、コンビネーションカラーを採用した「ヤマノ」の後継モデル。手作業によるフラワーモチーフの穴飾りに代表される初代から継承された意匠に加え、見る角度によって印象の変わる多色使いの切り替えが目を楽しませてくれます。横から見るとつま先とかかとが少し競り上がった船底型のアウトソール形状は、スムーズな重心移動を促すためのもの。
9足目
キャンプ
「キャンプ」と名付けられたこちらのスリッポンは、かかとを踏んでスリッパのように履くことも可能なステップイン構造。テントの出入りなど、靴の脱ぎ履きが何かと多いキャンプやビーチで頼りになるモデルです。カラフルな配色も用意されていますが、黒無地でもアイヌ民族の伝統柄をモチーフにしたグラフィックが浮かび、違いのわかる足元をアピール可能。かかと部分は通気性が高く、水はけの良いメッシュ素材になっています。
10足目
パンパス
外羽根部分に施されたフラワーモチーフの装飾以外はディテールの主張を抑え、19世紀イギリスの巨匠、ウィリアム・モリス氏が手がけた自然モチーフのテキスタイルを引き立てた1足。靴底には三角形のスパイク状のドレッドパターンが施されており、砂利道や山道でも確かなグリップ性能を発揮、ローカットとしては出色の安定感が期待できます。
11足目
アスカ
こちらは、1970年代のランニングシューズに対するオマージュとして製作された温故知新なモデル。ハイテク感を前面に押し出した他モデルとは打って変わって、靴底もアッパーもレトロでロープロファイルな佇まいに。ですが、アウトソールのトレッドパターンはトレイルランニング用に開発した最新型で性能面はしっかりアップデートされています。
12足目
スペック9
2021年夏にデビューを果たした新顔のスポーツサンダルは、これまでなかったミリタリーテイストを前面に押し出したデザインを採用。ミルスペックの強度を誇るナイロンストラップに加え、頑強なバックルからもタフさがみなぎる1足に仕上がっています。足に吸い付くようにフィットし、衝撃を和らげてくれるフットベッドやグリップ力自慢の靴底を採用したソールシステムは変わらずハイスペックゆえ、アウトドアシーンの足元を安心して任せられます。
この記事の掲載アイテム一覧(全7商品)
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『フラワーマウンテン』 コテツ
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『フラワーマウンテン』 モヒカン
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『フラワーマウンテン』 ナスカ
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『フラワーマウンテン』 ヤマノ 2
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『フラワーマウンテン』 パンパス
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『フラワーマウンテン』 アスカ
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『フラワーマウンテン』 スペック9
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