
無地Tシャツをおしゃれに着こなす。参考コーデとおすすめブランド
万能さを優先するならTシャツは無地に限るけれど、その淡白さには一抹の不安も。無難に収まりがちな悪癖を覆し、洒落た雰囲気を上乗せするための着こなし&ブランドとは?
シンプルで使える無地Tシャツ。実は着こなすのが難しい?
Tシャツは、デザインを通して自身を主張するツールだった。しかし、年を重ねた今はあらゆるスタイルに馴染んでくれる無地Tがことさら頼もしい存在。ワル目立ちすることなくあらゆるスタイルへすんなり馴染む特性は、カジュアルシーンだけにとどまらず今やビジネスの場でも重宝。クセのない佇まいが、クリーンさや大人っぽさを表現するうえでも実に効果的に作用する。
とはいえ、看過できないハードルもある。例えば、シンプルすぎるがゆえに、着こなしがどうも“普通”になりがち。無個性ゆえに無難とも見えかねないのだ。あらゆるものをそぎ落としたアイテムだけに、シルエットやネックの締まり具合、生地の風合いなど、さほど気にも留めていなかった“アラ”も顔を出してしまう。となれば、それらを意識したアイテム選びが必然的に求められるだろう。
おしゃれに着こなすには? 無地Tシャツのコーデ術
取り入れやすいが、周囲との差別化も図りにくい。なんとも悩ましい無地Tの着こなしにおいて、その解決策となりうる5つのコーデサンプルを紹介。いたって普通に見えるけれどなぜか印象に残る、そのヒミツについて探っていきたい。
コーデ1
時おり見せる優しさが好印象を生むカギ
無地Tは、強い色でもあり万能色でもある黒を選択。小物にも積極的に採用し、シャープさを一気に盛り上げている。ボトムスはというと、ゆったりシルエットのマイルドなブラウンを起用。時おり見せたその優しさが、周囲からの好印象を引き出している。
コーデ2
端正なボトムスとの違和感で個性を出す
ラフなTシャツにはカジュアル志向のボトムスを合わせるのがいわば王道。それをあえて、センタークリースのしっかり入った端正なスラックスに変え、テンションのギャップを図った点が絶妙。その違和感により、いつもとは違うTシャツスタイルを生んでいる。
コーデ3
シルエットへの配慮が定番を洒脱に見せる
白Tにデニムはもっとも一般的な着こなし。そこに洒脱さを匂わせるならシルエットがモノを言う。トップは程良くゆとりを持たせたボックス型。ボトムスは緩やかなテーパードライン。双方ともにロールアップすることで軽快さとスマートさを演出した点も見逃せない。
コーデ4
ウエストへのひと挿しで変わる印象
ネイビーの無地Tへ合わせたのは、軽やかにしてシャープな茶ボトムス。一見シンプルな組み合わせではあるが、ウエストへストライプ柄のシャツを巻くことでポイントを作り、変化をつけた点が出色。胸元や足元に作った抜け感もスタイルを軽やかに見せている。
コーデ5
巧妙なレイヤードがアクセントにちょうどいい
白Tにネイビースラックスと、アイテムの組み合わせ自体に目新しさはないが、内側に潜ませたインナーのヘムラインを大胆に裾から見せたことで表情に変化を作った。トップスとボトムスの配色を踏襲した小物も、アクセントにはちょうどいい。
無地Tシャツのおすすめブランド10選
無地Tはシンプルなデザインゆえ、選びには細かい部分にまで気を回す必要がある。素材に違いを見出したり、シルエットで品の良さを強調させたりと、配慮ひとつで印象も一変。それをよく心得たこだわり10ブランドを取り上げる。
ブランド1
『ループウィラー』×『ロウワーケース』別注
クリエティブディレクターの梶原由景氏率いる『ロウワーケース』とのコラボ。同氏の“好きだからこそ一年中着たい”をテーマに仕上げた作品は、ヘビー天竺を使ったスウェットシャツ型。スウェットのように着ごたえがあり、カットソーのように軽快な抜群の着心地。
ブランド2
『ギ ローバー』
仕立て屋の技術をオールマシンメイドで表現する実力派。有名ブランドのOEMも手がけたその実績は伊達ではなく、魅力はパイル地製のこちらからもより伝わる。カジュアルな生地だがフォルムや襟の開き具合がドレッシーを演出。快適にして端正な着こなしが可能に。
ブランド3
『スティア』
パターンや生地にこだわり、その先にあるシルエットや着心地において常にドレス性を意識したTシャツ作りを行う稀有な存在。それはアークテイルの裾デザインからも読み取れる。タイトめなモックネックはキリッとした印象を生み、サイドポケットも機能的だ。
ブランド4
『サンスペル』×『ユナイテッドアローズ』別注
創業150年以上の歴史ある英国カットソーブランドの名門に、『ユナイテッドアローズ』が別注。通常のクルーネックより表情を出しやすいモックネック型で、ペールトーンカラーがマイルドな表情を描く。ゆとりのある身幅も着やすさを促す要因に。
ブランド5
『ソーイ』
2001年のデビュー以降、東京のリアルクローズを発信し続けてきた『ソーイ』。デザインアプローチやミックス感が独特で、ラウンドしたヘムラインのTシャツがそれを端的に表している。Tシャツらしからぬ、まるでシャツのような出で立ちがとにかく新鮮だ。
ブランド6
『ソフネット』
一見ベーシックなTシャツと思いきや、袖を通して気づくハーフスリーブ。幅広のネックリブはどこかトリムTのようで、肩の動きを阻害しないラグランスリーブがスポーティ。程よくタイトだが、機能的なソロテックスファブリック仕様のため常に快適。
ブランド7
『アンフィル』
微細に放たれる光沢から素材の良さは嫌が応にも分かる。ホワイトキングなるオーガニックコットンをベースに、度目を極力詰めながら編んだジャージー素材は、発色がよく見た目も美しい。滑らかな着心地に加え、バイオ加工を施すことでしなやかさも手に入れた。
ブランド8
『マーカ』
エルボーパッチが特徴のブランドを代表するTシャツ。アメリカン的なフットボールTを、毛羽の少ない糸で丁寧に織り上げたことで高級感のある趣に仕上げている。その生地はシャリ感があり肌離れも良好。ゆとりのあるシルエットに今の空気も込めた。
ブランド9
『デサント ポーズ』
自然と漂う上質感。それもそのはず。素材には、羊毛の中でもっとも白く細いことで知られ、クランプが強いため弾力性がありかつふっくらとした触感を生むとされるメリノウールを惜しげもなく投入。美しさに加え、優れた吸水生と通気性まで兼ね備えている。
ブランド10
『スタジオ ニコルソン』
2017年に満を持してメンズラインを展開し、より注目度が高まった『スタジオニコルソン』。“らしい”ジェンダーレスなアプローチはこのTシャツを通して存分に堪能できる。女性の体型をベースにダラッと見せないパターンワークや素材の美しさは惚れ惚れするほど。
無類のスポーツ好き。得意ジャンルは革靴
菊地 亮