
キーワードでたどる80年代ファッションの今と昔。定番の礎がここにある
数々の新しいスタイルが産まれた1980年代のファッションは、現代にも多大な影響を残しています。その当時を振り返りながら、“今風”に着こなすポイントをナビゲート!
今につながるファッションカルチャーが開花。とにかく勢いのあった80年代
1980年代はファッションがライフスタイルとして確立された時代といって良いでしょう。好景気を背景に“消費時代”が始まり、世代を問わず洋服へ投資する人が増加。音楽やカルチャーなどさまざまな要素を吸収しながら、ファッションシーンは急速に進化をしていきました。なかでも80年代のシーンに大きなインパクトを与えたのが『コム デ ギャルソン』と『ヨウジ ヤマモト』。両ブランドは1981年にパリコレクションデビューを果たし、DCブランド(日本メーカーが手掛ける高級ファッションブランド)ブームの火付け役となります。
そして同じく80年代前半、20代の若い世代でプレッピーファッションが大流行。多くのファッション誌で特集が組まれ、関連本も登場するなど市場を席巻します。また80年代中盤に入ると、『メンズビギ』のデザイナー・菊池武夫が自身の名前を冠した『タケオキクチ』を設立するなど、世は第二次DCブランドブームへ。さらに、DCブームの反動からカウンターカルチャー的に「渋カジ」という新たなスタイルも誕生します。アメカジへの憧れを色濃く反映したそのスタイルは、若者の間で爆発的な流行となりました。その他、ヒップホップやニュー・ウェーブの台頭も80年代における大きなトピックといえるでしょう。80年代後半に本格的なバブルに突入すると、さらにファッションの多様化は進んでいきました。
キーワードでたどる80年代ファッションと、現代の着こなしに合うアイテム選び
ここからは多彩な個性が咲き乱れた80年代ファッションの中でも、今なおシーンに色濃く影響を残す4つのスタイルをピックアップ。単なる当時のコスプレにならないよう、現代的に着こなすためのコツ&キーアイテムを合わせてご紹介していきます。
▼キーワード1:DCブランドがけん引した「オールブラック」スタイル
『コム デ ギャルソン』と『ヨウジ ヤマモト』は、反逆を連想させるとしてそれまでタブーとされていた“黒”を前面に押し出したコレクションを1981年のパリコレで発表。「宗教的」などとも評されましたが、かつての常識を打ち崩すそのデザイン提案は“黒の衝撃”として世界中に多大なインパクトを与えます。そしてそれは日本のストリートシーンにも多大な影響をもたらし、 “カラス族”と呼ばれる全身黒ずくめのファッションでまとめた若者が多く見られるようになりました。
マントのようなロングコートに2タックのぶかっとしたパンツを合わせるなど、とにかくボリュームのあるモノトーンスタイルが印象だった当時。ただし、今のファッションシーンにおいてそれはトゥーマッチ! ジャストシルエットなトップスを選び、すっきりまとめるのが今季流といえるでしょう。写真のコーデのように靴の素足履きで肌見せを取り入れ、ブラック特有の重々しさを緩和するのも有効的なテクニックです。
アイテム1
『ナノ・ユニバース』ユニフレッシャーリネン キーネックシャツ
80年代モノトーンといえばオーバーサイズがお決まりでしたが、今っぽく仕上げるのであれば過度なルーズシルエットはご法度。ジャストなサイズ感のトップスをセレクトし、スマートさを演出するのがベターです。『ナノ・ユニバース』のキーネックシャツは、モダンなシルエットに加えて抗菌防臭機能が付属するのもポイント。おまけに、麻混素材だけあって通気性にも秀でています。
アイテム2
『ティーケータケオキクチ』360度ストレッチ ワイドテーパードパンツ
ボトムスに関しては、昨今のトレンド事情を踏まえてワイドめを選んでOK。ただ、この『ティーケータケオキクチ』のスラックスのようにテーパードが掛かったメリハリあるシルエットのほうがよりあか抜けた雰囲気です。360度どの方向にも伸びる高機能ストレッチ生地を採用した、コンフォータブルな着心地もこの1本の大きな美点。
アイテム3
『ダニエル レポリ』キルトタッセル ビットローファー
足元には、モードさの中にほんのりとくつろぎ感も宿すレザーローファーをレコメンド。素足で軽快に履きこなせば、重々しくないモノトーンスタイルに仕上げられます。イタリアの老舗シューメーカーによる1足は、トスカーナ地方の良質なレザーを素材に抜擢。しかも、表地だけでなくライニングやインソール部分にも本革を使用するなど、細部まで美意識が行きわたっています。
▼街がシティボーイで溢れた'80s「プレッピー」スタイル
米国東海岸の名門大学に通う学生たちの上品なファッションとして、1950年代に一世を風靡したアイビースタイル。80年代には、それを今っぽく着崩したプレッピースタイルがアメリカで流行します。その人気は瞬く間に日本にも飛び火し、「ポパイ」や「メンズクラブ」といった有名なメンズファッション誌でも取り上げられることに。“お坊ちゃん”的なイメージが強かったアイビースタイルに対し、'80sプレッピースタイルではフードジャケットやスウィングトップ、ポロシャツといった程良くスポーティな洋服が取り入れられていました。
80年代と同様に、スポーティなアイテムは随所に取り入れるのが正解! 肩の力の抜けたこなれた雰囲気へと帰結します。一方のサイズ感は少し注意が必要。当時と同じルーズなサイジングだと野暮ったく見えやすいので、ジャスト~ややゆるめを意識しましょう。そして当時のプレッピースタイルといえば、遊び心あるカラフルな色使いも大きな特徴。ただ、強い色を使いすぎるのは現代においてはやりすぎ感があるので、使うにしても挿し色程度がベストと心得ましょう。
アイテム1
『ラコステ』L.12.12
プレッピースタイルの定番といえば、今も昔も変わらずポロシャツ。当時はポロシャツの上にボタンダウンシャツを着るスタイルが流行しました。ほのかにスポーティなアイテムゆえに、白シャツを合わせるよりも肩ひじ張らない印象に仕上がります。ブランドはやはり正統派がイチ押し! 特に『ラコステ』の「L.12.12」のような名品中の名品は、長く相棒として活躍してくれるはずです。
アイテム2
『バラクータ』×『ビームス プラス』別注 G9 クラシックモデル
アウターはやはりスウィングトップが外せません。ポロシャツやニット、ラガーシャツの上からさらりと羽織るのが'80sのお約束でした。とはいっても、その当時のようなぶかっとしたモデルは現代の着こなしにはハマりにくいのでご注意を。こちらの1着のように、オーバーサイズすぎない“ちょいゆる”ぐらいがベストバランスです。なお、今作は裏地がブラックウォッチ柄となっており、ジップオープンで着用した際には絶妙な挿し色として機能します。
アイテム3
『カンビオ』ウール混チェックイージーパンツ
ボトムスはほのかにポップさのあるチェックパンツが鉄板。ベルト要らずなイージーウエストタイプなら、楽ちんなはき心地も入手できてよりGOODです。『カンビオ』が放つこの1本は、上質なウールをMIXしておりひとさじの大人っぽさを感じさせてくれます。カタチはややゆっためとなっていますが、テーパードがかけられているため無駄なもたつきはありません。
▼キーワード3:NY発信の「オールドスクールヒップホップ」スタイル
火付け役となったのはNY出身のラップグループ、ランDMC。ちなみに“スクール”とは学校ではなく主義という意味を持ちます。彼らは1985年にラッパーとして初めてハードロックギターを取り入れた楽曲「ウォーク・ディス・ウェイ」を発表し、それが世界的な大ヒットに。PVでは原曲をプレイしていた大物バンド「エアロ・スミス」との共演も果たしました。音楽シーンでのブレイクと同時にそのファッションも注目を浴びることになり、上下『アディダス』のジャージに足元は同ブランドの「スーパースター」といったスタイルがビッグトレンドに。彼らはそれまで“野暮ったい”とされていた、ジャージにスニーカーという服装を流行の中心まで持っていきました。
オールドスクールヒップホップスタイルを代表する『アディダス』のジャージは今のファッションシーンでも不動の人気。その他、『カンゴール』のハットなどもこのスタイルを象徴するアイテムでした。現代的な目線で装うならば、上下ジャージというガチガチのセットアップコーデよりも、ワイドパンツやアンクルパンツといった抜け感あるボトムスにジャージを合わせるようなスポーツMIXが◎。足元に関しても、あえて「スーパースター」以外を選びハズしてみるのも良いでしょう。
アイテム1
『アディダス』アディカラー クラシックス ベッケンバウアー プライムブルー トラックトップ
着るだけでオールドスクールなノリを描き出せるアイテムといえば、スリーストライプスのトラックジャケット。80年代と同様に色はブラックを選びたいところです。写真の1着は、サッカー王者フランツ・ベッケンバウアーを讃えて生まれた60年代モデルの復刻版。リサイクルポリエステルを混紡したサステナブルなダブルニット素材へとアップデートされています。なお、形はすらりとしたスリムフィットで、“運動着っぽさ”はありません。
アイテム2
『ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ』ドットエア スリム アンクルパンツ
オールドスクールを意識するにしても、上下ジャージセットアップは大人の日常着として少し高難度。センス良くまとめるのであれば、ボトムスは旬感あるリラックス系を選ぶのが正解です。例えば、こちらのアンクルパンツ。今季らしい軽やかなくるぶし丈が、オールドスクールな着こなしに洒脱さを呼び込んでくれます。素材には東レのドットエアを駆使しており、快適性も折り紙付き!
アイテム3
『カンゴール』バミューダ カジュアル メトロ ハット
当時のBボーイにとってのマストアイテムだったのが『カンゴール』のハット。そして、時代を超え現代においても不動のマスターピースとしてストリートで愛されて続けています。ご覧の通りのシンプル・イズ・ベストな完成されたデザインですので、今のスタイルとも高い親和性を発揮。定番色から華やかなカラーまで、豊富にラインアップされるカラバリも魅力的な要素です。
▼キーワード4:DCブームのアンチテーゼとして生まれた「渋カジ」
日本全国が空前のDCブームに沸き、それがファッショントレンドとして隆盛を極めていた1980年代。そのカウンターカルチャーとして85年頃に誕生し、その後90年代前半頃まで高い人気を博したのが渋カジスタイルです。主に渋谷・センター街に集う若者たちの間で広がっていったこのスタイルのベースとなるのはアメリカンカジュアル。『バンソン』のレザージャケットや『リーバイス』の「501」、『レッド・ウィング』のブーツなど、米国の定番ブランドが偏愛されていました。
昨今、再びストリートでトレンドとなっている渋カジ。当時を経験した大人世代にとっては懐かしく、未経験の若い世代の間にとっては新鮮に映っているようです。その雰囲気を表現するなら、やはり当時を象徴するデニム系アイテムはマストといえるでしょう。また、今っぽさに訴求するならば清潔感も重要ポイントに。シャツなどのきれいめなアイテムを織り交ぜ、子供っぽく見えないように仕上げるのがベターです。
アイテム1
『ダントン』丸えりオックスシャツ
革ジャンやチェックシャツ、カレッジパーカーなど、ド直球な渋カジアイテムをチョイスするのも良いですが、大人感あるスタイルを狙うならこういった爽やかな白シャツを取り入れてみるのも手。ハリのあるオックス生地を使った今作は『ダントン』のもので、スモック風のプルオーバーデザインや丸みを帯びた襟型が特徴となっています。左胸にはお馴染みのロゴマークが付属。
アイテム2
『リーバイス』リーバイス 501 CT
渋カジの象徴的存在である『リーバイス』のジーンズは現代のコーディネートにおいても確実な一手! こちらの「501CT(カスタムテーパード)」はオリジナルの「501」をベースに、膝下部分をシャープに絞ったモダンなシルエットとなっています。ハードにウォッシュの入った男らしいモデルよりも、まずは写真のような汎用性の高い濃紺カラーから押さえておくと良いでしょう。
アイテム3
『レッドウィング』6インチ クラシックモック
渋カジ全盛期、多くの男性たちの足元を彩ってきた『レッドウィング』。その質実剛健なブーツは、今なお根強い支持率をキープしています。表地のレザーはたっぷりとオイルを含んでおり、履き込むほどに味わいが増幅。さらに、クッション性に優れたアウトソールがストレスフリーな着用感を叶えてくれます。ソール交換が容易なグッドイヤーウエルト製法も見逃せないメリット!
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『ナノ・ユニバース』 ユニフレッシャーリネン キーネックシャツ
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『ラコステ』 L.12.12
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『リーバイス』 リーバイス 501 CT
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『レッドウィング』 6インチ クラシックモック
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