
さりげない“ミリ感”を味方に。カーキのコート、その作法を解説
保守的に見え過ぎず、男らしさを醸せるコートの色として改めて注目したいのがカーキ。ミリタリー感漂う男の定番カラーを味方につけるための作法、そして選択肢を深掘り!
メンズファッションの定番色。秋冬のコートもカーキが都合良い
コートの季節を迎えると、毎年のようにモヤモヤするのが色選び。例えばお手軽に大人感を出せる黒は、着こなしの占める面積が広い分重たい印象になりがちです。そしてネイビーは無難な半面、かっちり感が強過ぎてコーデの幅が狭いし、かといってベージュは取り入れ方を1つ間違うとおじさん見えするのでやや上級者向け……。そんな定番色ならではの一長一短が、悩みの種につながるんですよね。ですが、そんな迷える男たちに救いの手を差し伸べる配色が意外と身近にあるってご存じですか? そう、それが今回フォーカスを当てるカーキです。
ちなみにここでいうカーキとは、いわゆるオリーブ、あるいは軍モノにおけるオリーブドラブのこと。何が良いのかというと、まずミリタリーを連想させる配色ゆえに男らしさを味方につけられること。これにより、地味さやコンサバ感なしのコート姿に導くことができます。また、服飾史においてもミリタリー自体がもはやメンズファッションの基礎科目となっていて、デフォルト化しています。なので、実はカジュアルな装いはもちろん、ドレスな装いにも馴染みやすく、容易にコーデを完成させることが可能なんです。大人のコートの配色として考えれば、カーキは“弁慶に薙刀”な存在といっても過言ではありません。
カーキのコートと相性が良い色は? コーデとともに学ぶカラーマッチング
カーキ色のコートを生かすも殺すも、コーデに合わせる色次第なところがあります。果たして持ち味であるミリタリー感、あるいはそれに由来する男らしさを味方につけながらどんな印象変化を楽しめるのでしょうか。良きお手本になりそうなコーデサンプルから見ていきましょう。
カラーサンプル1
カーキ×ブラック:男っぽさを補完しつつアーバン&ストリートな空気を醸成
パンツやシューズに黒を足すことで、カーキ本来の男らしさをブーストしつつソリッドな空気感を加味。コートはオーバーサイズを選び、パンツをフレアにすれば今どきのストリートテイストを醸すのも朝メシ前です。カーキが占める割合が多い分、パンツの黒が重たく見えないという利点もあります。
カラーサンプル2
カーキ×ベージュ:土っぽい組み合わせが、こなれた大人カジュアルを演出
今度は、パンツにベージュを加えた場合のスタイルサンプルを見てみましょう。カーキとベージュは、どちらも土っぽさが漂う配色にして、ミリカジ(=ミリタリーカジュアル)の定番色同士。ゆえに、これぞ「ザ・アメカジ」ともいうべき安定の男らしさを印象付けられます。その一方で、どちらもアースカラーとしても認知されているナチュラルな配色という側面も。リラックス感のあるコート姿を目指すなら、この色合わせが近道になりますよ。
カラーサンプル3
カーキ×グレー:ホワイトよりも取り入れやすく、今っぽさを前面に押し出せる
カーキ色のコートが放つ男らしさをちょっとだけいなして、大人な印象に引き寄せたいときに使えるのがグレーを加えるこの色合わせ。写真のコーデで合わせているのは、グレンチェック柄のスラックスですが、グレーを効かせたことでクリーンさとタフさが同居する装いに落とし込めています。オフホワイトや白にも同様の効果が期待できますが、夏っぽさが前面に出てしまいがち。コートの季節感とトレンド感の訴求という意味合いでは、やはりグレーが好適といえそうです。
カテゴリごとにピックアップ。カーキのおすすめコート12着
カーキコートの長所や色合わせの勘どころがわかったら、お次は自分好みの1着を見つけるステップに駒を進めましょう。選択肢となるのは、4タイプ。モッズコートやキルティングコートといったこの色に馴染みのあるコートに加え、今季はステンカラーコートやダッフルコートといったトラッド顔コートにもカーキのものがお目見え。同じカーキ色でもその印象は“四者四様”です。
▼カテゴリ1:カーキといえば、これ。3シーズン活躍する「モッズコート」
モッズコートといえば、米軍が1950年代から60年代にかけて採用していた野戦用パーカーのこと。その出自からしてカーキという配色が板についているのは、言わずもがな。加えて、ミリタリー服とアメカジの親和性の高さも手伝って、いつものカジュアルに自然に取り入れることができます。また、海外ではウェルドレッサーと称賛される洒落者たちがドレス系の装いに取り入れることもしばしば。この冬はトラッド再燃の機運も高まっていますので、スラックスやジャケットの良き相棒にもなってくれそうです。ライナーの着脱によって、ロングシーズン着られる点も魅力。
1着目
『ワイエムシーエルケーワイ』M-65フィールドパーカー レプリカ
M-51フィールドパーカーの後継モデルとして1965年に誕生した、M-65フィールドパーカーを忠実に再現したレプリカモデル。先代モデルとの違いは、一体型だったフードを着脱式に変更され、ヘルメット対応の大型フードにサイズ調整が施されたこと。また、エポーレットを廃止し、ライナーがウールパイルからキルティングに変更されたのも1965年以降のモデルからといわれています。
2着目
『ロスコ』M-51 フィッシュテールパーカー
こちらは、M-51型フィールドジャケットの民生用モデル。手がけているのは、米軍サプライヤーとしてさまざまな装備品を供給してきた『ロスコ』です。度詰めのコットンサテンボディやブラス製ジッパーといった本格ディテール満載で、当時の軍規格に限りなく近い佇まいを再現しています。フードは取り外せない作りですが、着脱可能なキルティングライナーが付属。エポーレットが男らしさの主張に一役買ってくれます。
3着目
『ヒューストン』ワイパー別注 M-51フィールドパーカー
「ヒューストン」のM-51フィールドパーカーが、「踊る大捜査線」の衣装として採用されていたというのは有名な話。本作は、そんな同社の定番に対し、ミリタリー系セレクトショップの『ワイパー』が別注をかけたこちらは、従来モデルと比べて身幅とアームを少しすっきりとさせ、サイズバランスを取るために着丈も気持ち短めに設計されています。着脱式のライナーは、ボディはパイル地で両袖がキルティング仕様になったハイブリッド型。
▼カテゴリ2:ミニマルゆえに映えるカーキ。「ステンカラーコート」の汎用性が心強い
正統派のすまし顔コートの代名詞であるステンカラーコートにも、カーキ色は増殖中。スーツやジャケットスタイルに新鮮さを持ち込める一方、インナーの色やデザインで遊んでも、コート自体の折り目正しさが大人らしさを担保した装いに落とし込んでくれます。
1着目
『グレンフェル』スリム キャンベル
エリザベス女王からのロイヤルワラントを授かった英国の老舗による、正統派のステンカラーコート。ですが、採用しているコットンギャバジンは非常に高密度に織られたもので、防風性と耐久性に加え、撥水性も備わっています。「スリム キャンベル」自体は、定番として人気を博しているモデルで、トップボタン以外は比翼仕立てなのですっきりと印象で着こなせます。
2着目
『マッキントッシュ』GTS ダンカン
『マッキントッシュ』のステンカラーコートといえば「ダンケルド」が有名ですが、本作はそれをオーバーサイズにアレンジした新定番。ウールにナイロンを混紡し、温かみと軽さを兼備させたツイルには、撥水性も備わっている一方、ほんのり浮かぶ光沢で高級感を印象付けることも。身幅と袖にゆとりがあり、今どきのゆったりシルエットで着こなせます。
3着目
『バブアー』ニュー バーレー
乗馬用コートとして誕生した「バーレー」という定番モデルに対し、現代的なアップデートが施されたのが本作。インナーカフスや脇下のベンチレーション穴といったディテールはそのままですが、着丈を膝が隠れるくらいの長丈に変更。表地はオイルドクロスではなく、撥水性に優れる2レイヤー素材を採用して軽やかな着心地に仕上げられています。
▼カテゴリ3:今年はこういう選択肢も。旬感も担保してくれる「キルティングコート」
古き良き乗馬コートからミリタリーライナーから派生したモノまで、キルティングコートにおいてもカーキは馴染み深い配色。とりわけ後者は、ミリタリー人気が再燃中という時流を味方につけられるという意味合いでも注目すべき価値は大いにありそうです。
1着目
『バブアー』ニュー バーレー キルトナイロン
人気モデルの仲間入りを果たしているロングコート仕様の「ニュー バーレー」に、キルティングボディのモデルがお目見え。微光沢が浮かぶナイロンツイルにダイヤモンドキルトを走らせたこの生地も、オイルドクロスと並ぶブランドの顔として広く認知されています。シルエットをスポイルしない絶妙な厚みの中綿で、確かな保温力も確保。
2着目
『ラベンハム』レイドン
同社のキルティングコートの最古参モデルといえば「ミルデン」ですが、この「レイドン」はそのモディファイド版。「ミルデン」の王道感のあるボックスシルエットを細身のフィッティングに仕上げているのが特徴で、アームホールも可動域はしっかり確保しながらすっきり着られるサイズ感に。ジャケットの上にも羽織れますが、ニットやシャツに直接羽織ってもサマになるシルエットを意識して作られています。
3着目
『タイオン』ミル Vネック ダウンコート
アウターとして主役も張れるインナーダウンで頭角を表しつつある、タイオン」。瓢箪キルトでミリタリー感を前面に押し出したこちらのコートも、中綿ではなくダウンを贅沢にフィリングしています。表地はリップストップ織りのポリエステル生地なので、タフさは申し分なし。左右の裾には、ファスナーで開閉できるサイドベント兼ベンチレーションも備わっています。
▼カテゴリ4:冬にカーキを取り入れるなら「ダッフルコート」がさりげない
旬のビッグシルエットで着るコートの選択肢として、セレクトショップからの提案を目にする機会が増えているのがダッフルコートです。教科書通りにカッチリ着るというより、ゆる~い印象に振り切って着るのが今の気分。なので、その配色も王道感のある紺やベージュではなく、力が抜けて見えそうなカーキがテンション的にもちょうど良いんです。そもそもはミリタリー由来の服ですが、今となっては文化系っぽい香りが漂うコートという位置付けに。なので、カーキの軍モノ感に苦手意識がある人にもおすすめです。
1着目
『インバーティア』ニュートン アボット エキストラロング
ダッフルコートの歴史を語るうえで、必ずその名が浮上するのが、かつて『エルメス』のために生地を供給していたムーアブルック社という老舗生地屋。生産効率は非常に悪いものの、生地目がはっきりと浮かび上がるヘリンボーン生地は他にはない美しさゆえ、多くのメゾンブランドに愛されていたのだとか。このコートは、そんな伝説的なヘリンボーン生地をかつてムーアブルック社が使用していた旧式の織機を見つけ出して再現したもの。生地自体の厚さからは想像もできない軽やかな着心地は、紛れもない逸品であることを実感させます。
2着目
『グローバーオール』3681
ダッフルコートの代名詞ブランドといえば、1951年の創業以来、英国内での生産を守り続けている『グローバーオール』。本作は、日本人の体型に合わせて製作されたスリムフィットの「920」をベースに、着丈を長く設計したロングコートモデル。採用しているメルトンは、裏地なしでも仕立て映えするウールとナイロンの混紡素材。堅牢な作りのレザーループや本水牛トグルなど、愛着を持って長く着るものとして仕立てられたコートであることを感じさせる意匠が満載です。
3着目
『ロンドントラディション』モンティ
英国の老舗ファクトリーブランドが手がけたこちらは、流行に左右されないほどよくゆとりを持たせたシルエットに木製トグルを3つだけ施したすっきり顔が特徴。フードの開き具合は縁にあしらわれたスナップボタンで自在に調節でき、被っているときのフィット感に加えてフード自体のシルエットも自在に調整が行えます。
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『ワイエムシーエルケーワイ』 M-65フィールドパーカー レプリカ
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『ロスコ』 M-51 フィッシュテールパーカー
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『ヒューストン』 ワイパー別注 M-51フィールドパーカー
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『グレンフェル』 スリム キャンベル
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『ラベンハム』 レイドン
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『インバーティア』 ニュートン アボット エキストラロング
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『グローバーオール』 3681
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『ロンドントラディション』 モンティ
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