ジョージコックスはパンクスだけのものじゃない! 大人にすすめたいその理由
ツイストを刻むテディーズから、ポゴダンスを跳ぶパンクスの足元まで飾ってきた『ジョージコックス』のシューズ。音楽好き御用達な靴の新たな魅力を、改めて読み解きます。
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そろそろ革靴の気分。今、新調するなら本場英国を感じるこんなブランドを
ここ数年続いたスニーカーブーム。特にトレランシューズの台頭以降の足元選びは、ボリューミーでコンフォートなソールを装着したスニーカー一辺倒ともいうべき状況でした。しかし、そろそろそんな潮目が変わりそうな気配。複数のメゾンブランドからヒールブーツがリリースされ、長らく続いていたスニーカーから再び革靴が注目を浴びる流れになってきました。
とはいえ、体に染み付いた楽な靴を履く快感はなかなか忘れられないところ。そこでTASCLAP編集部が注目したのが、かっちりしたルックスの革靴でありながら、トレンド感のある分厚いソールと高いクッション性を備えたアイテム。そう、『ジョージコックス』です。英国・ノーザンプトン生まれな老舗としての格もありつつ、音楽好きからモードな着こなしまで取り入れられてきた『ジョージコックス』は、足元選びのネクストトレンドになり得る存在ではないでしょうか!?
初めてのラバーソールはここだった。音楽とともにあった『ジョージコックス』の100年
イギリス靴の聖地、ノーザンプトンで1906年に誕生した『ジョージコックス』。当時は有名デザイナーやショップの靴を製造するOEMファクトリーとして活動してきましたが、その名が一躍知られるようになったのが1949年に世界で初めて革靴にゴム底を採用した「ブローセル・クリーパーズ」を発売したこと。日本では“ラバーソール”の呼び方でお馴染みの靴ですが、当時は紳士靴にゴム底を張るなど、極めてありえない行為。加えて名前も“brothel Creepers”(=売春宿を忍び歩きする人)となかなかにブラック。発売当初はあまりの異形ぶりに英国紳士のほとんどが驚き、眉をひそめたことは想像に難くありません。
そして、そんな異形の靴に目をつけたのが、当時のイギリスの不良たち。テディボーイズと呼ばれた彼らは労働階級ながらサヴィルロウで仕立てたエドワード7世風の懐古主義的なドレープジャケットにスリムジム・タイを結び、タイトなスラックスを履く伊達男。異彩を放つ見た目なうえに、足音がしないためダンスや悪さする時にもぴったりな「ブローセル・クリーパーズ」は、傾奇者の彼らにとってまさに求めていた1足でした。
彼らテディボーイズはイギリスにとって音楽とファッションと不良文化が初めてクロスオーバーした、英国におけるカウンターカルチャーの源流ともいえる存在。彼らが『ジョージコックス』を愛したことで、その後にやってくる60年代のモッズや70年代のパンクスのファッションにも取り入れられ、若者のスタイルが変遷した後も『ジョージコックス』は変わらずに反骨精神を表す靴として彼らの足元を飾り続けることになったのです。
「セックス・ピストルズ」のジョニー・ロットン氏、「クラッシュ」のジョー・ストラマー氏といったUKパンク勢はもとより、甲本ヒロト氏やチバユウスケ氏といった日本のミュージシャンも愛用。そのインパクト溢れるルックスから、映画や漫画で作中人物の衣装として目にする機会も多い『ジョージコックス』。そのオリジナリティはデザイナーの創造力も刺激するようで、『コム・デ・ギャルソン』や『サカイ』、『アンダーカバー』などをはじめ、毎シーズンのようにさまざまなブランドとコラボレーションを発表しています。『ジョージコックス』の見た目は好きだけれど、別にパンクスではないし……という人はコラボアイテムを選ぶのも手ではないでしょうか。
ラバーソールだけが『ジョージコックス』ではない。英国銘柄ゆえの職人技術にも注目
そのルックスやカルチャーとのかかわりばかりが語られがちな『ジョージコックス』ですが、実は作りも秀逸。日本企画のライセンスモデルなどは海外生産ですが、定番アイテムは今なおノーザンプトンのファクトリーで製造されており、英国靴らしいこだわりを味わうことが可能です。『ジョージコックス』同様に厚底のクレープソールを装着した靴は他にもありますが、その多くが生ゴムのテープでソールとアッパーを覆って接着するマッドガード製法と呼ばれる仕立て方であり、基本的に修理はNG。しかし『ジョージコックス』の「ブローセル・クリーパー」の場合は独自のウェルト製法を用いており、ソール交換が可能です。ただし使用する部材が他の靴と比べて特殊なため、修理店に対応可能かどう尋ねたほうが良いでしょう。また、70年代以降の『ジョージコックス』製品でも使用しているエアクッションソール(『ドクターマーチン』と同じソール)の場合はソールを熱圧着しており修理方法も特殊なため、ソール交換の難易度が高い点もご注意を。
まずは『ジョージコックス』の代表作。「ブローセル・クリーパー」をおさらい
まず『ジョージコックス』で押さえておきたいのが、いわゆる厚底のクレープソール「ブローセル・クリーパー」を履いたモデルでしょう。なかでもこの「3588 ギブソン」はヴィヴィアン・ウエストウッド氏 とマルコム・マクラーレン氏が ロンドンのキングスロードで開いたセレクトショップ「セディショナリーズ」で取り扱われたことで当時のパンクスたちがこぞって履いた1足。マクラーレン氏がプロデュースしていた「セックス・ピストルズ」はもちろん、「ダムド」に「ストラングラーズ」「シャム69」「バズコックス」「ジェネレーションX」とそうそうたるメンバーの足元を飾ってきた名作シューズとして知られています。90年代後半には『ミルクボーイ』のボンテージパンツや『クリストファーネメス』のクロップドデニムと一緒に、原宿のキッズたちの間で人気を博したのも記憶に新しいところです。
その最大の特徴であるソールは実は厚さによって複数のバリエーションがあり、ソールが厚くなるに従ってIV、V、VIと数字が増えていきます。ちなみにVソールでつま先約23mm&かかと部35mm、VIソールでつま先28mm&かかと部40mmといった具合。クッション性の高さは言うまでもなく、足長&身長補正の効果もあるため、履けば視界が変わって自分のスタイルに少し自信が湧くところもうれしいオマケです。ちなみにソールの内部は40mmみっちりとゴムが詰まっているわけではなく、軽量化や安定性の確保のために構造材で底上げされているため、ソール交換はマメにおこなうのがおすすめです。また、見た目通りしっかりと重いため、厚手のソックスと合わせたほうが良いでしょう。
ソールの種類も多種多様。『ジョージコックス』のレパートリーおすすめ12選
定番の「クリーパーソール」を採用したモデル以外にも、エアクッションソールのモデルからリップルソールのモデル、スニーカーまでさまざまなバリエーションを備える『ジョージコックス』。トレンドは20年周期で繰り返すといわれるものですが、そろそろ同ブランドが再び注目を浴びそうな気配が濃厚です。
1足目
14307 チャッカ
『ジョージコックス』といえば白×黒や赤×黒のコンビカラーのモデルやレオパード柄のハラコなど、ロックなカラーや素材を使った短靴仕様が定番。しかし今履きたいのは、逆にこんなモデルではないでしょうか? 6ホールのチャッカタイプで、サンドベージュのスエードレザーのアッパーならロックやパンク以外のスタイルにもフィットしつつ、ボリューム感も抜群。しなやかな素材のため、履きはじめから足馴染みが良い点も魅力です。ホールド感に優れるチャッカタイプなら、ネックの重さも気にならないでしょう。
2足目
3705 ギブソン
ラウンドトゥの「3588 ギブソン」よりも、テディボーイズ&ロカビリー感の強いアーモンドトゥを採用したのが「3705 ギブソン」。ソールもVIソールと比べて約5mm薄いVソールが装着されており、つま先の柔軟性が確保されているため歩きやすいのもうれしいところ。
3足目
12508 ガラシュブローグ
ロングウイングチップのアッパーに、ブローセル・クリーパーソールを装着したこちらのモデルはどことなくモードな雰囲気。さすがノーザンプトンブランドだけあって、ドレスなアッパーの仕立ても秀逸です。ドレスシューズのアッパーにラバーソールを履かせるのは『フット・ザ・コーチャー』が得意としているツイストですが、もちろんそれは“『トリッカーズ』に『ジョージコックス』のソールを履かせたらどうなるか?”というのが発想の原点だったハズ。こうしてラバーソールの本家からリリースされることを待ち望んでいた人も多いのでは?
4足目
13575 サドル オックスフォード
ロカビリーな着こなしはもちろん、アメリカントラッドな着こなしに欠かせないサドルシューズ。ですが、あえて英国ブランドの『ジョージコックス』を選ぶという手はいかがでしょう。こちらは店舗別注によってレザーソールが装着されており、英国靴らしくトゥの丸みも穏やかでシルエットもすっきり。アメリカ製のサドルレザーでありがちなガラスレザーではなく、スムースレザーをアッパーに使用しているため、ドレスシューズの延長線上で履きこなせる品の良さも加わっています。
5足目
7409 エンジニアブーツ
90年代後半から2000年代前半にかけて『ジョージコックス』が注目を浴びた理由の1つが矢沢あいの漫画『NANA』の存在。作中でもさまざまな登場人物が「ギブソン」をはじめとしたモデルを履いていましたが、こちらのエンジニアは映画版の『NANA』で中島美嘉氏演じる主人公が履いていたエンジニアブーツと同じもの。リップルソールの厚底仕様という攻めたソール構成に『ジョージコックス』らしさが光ります。
6足目
900B チェルシーブーツ
ハンブルグ時代の「ビートルズ」が履いていたことでもお馴染みのチェルシーブーツに、エアクッションソールを装着。ラバーソールだけでなく、エアクッションやレザーソールなど多様なソールを巧みに使い分けることができるのは『ジョージコックス』の強みであり、さまざまなブランドのOEMを担ってきた経験と実力のほどがうかがえる部分でもあります。
7足目
タッセルローファー
スキンズから愛用された『フレッドペリー』とのコラボレーションモデルでは、彼らの足元に欠かせないタッセルローファーをベースに選択。細身のラストにクレープソールを組み合わせており、『フレッドペリー』の黒×黄ポロシャツやサスペンダー、ライトブルーの「505」と組み合わせれば正統派なスキンズスタイルが完成!
8足目
14150 fホール
パッと見は定番の「ギブソン」と同じように見えますが、こちらはサイドにグレッチのギターを彷彿とさせるマークが施された「fホール」。特にこちらの別注モデルは黒×赤の配色と相まってかなり音楽的要素が強いデザインのため、思いきりロック&パンクに履きこなすのも正解ではないでしょうか。
9足目
37B 3ホール ギブソン
エアクッションソールを採用したオックスフォードタイプの3ホールブーツ。『ドクターマーチン』の歩き心地は好きだけれど、イエローステッチが施されているので会社で履くのはちょっと……とためらっている人はこちらをどうぞ。今でもMADE IN ENGLANDを守り抜いている点もうれしいポイントです。
10足目
ウイングチップレザーシューズ
ホワイトのピッグスエードを使ったアッパーに、厚めのエアクッションソールを採用したウイングチップ。タイトなモッズスーツと合わせるのはもちろん、アメリカ式のロングウイングのため、ホワイトバックスの感覚でプレッピーな装いにツイストを加える、といった着こなしも可能ではないでしょうか。
11足目
14481 8ホール インサイドジップ ダービー
シューレースをパラレルで通し、ガチガチに締めて履くのがUKワークブーツの正解。そのため脱ぎ履きが非常に面倒なのが難点ですが、こちらのダービーシューズは内側にジップが付いているため楽ちん。スエード素材のため足当たりも非常にしなやかで、ハード過ぎないルックスなのもうれしいところです。
12足目
15364 ギブソン パテント シャークソール
クリーパーソールとエアクッションソールに加えて、『ジョージコックス』が靴作りで多用するのがシャークソール。もともとジャングル地帯のミリタリーブーツ用として開発されたシャークソールは、その名の通りサメの歯のようなギザギザなパターンが特徴。クリーパーやエアクッションと同様に弾むような歩き心地を備えており、ボリューム感ある見た目も印象的です。
この記事の掲載アイテム一覧(全12商品)
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『ジョージコックス』 14307 チャッカ
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『ジョージコックス』 3705 ギブソン
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『ジョージコックス』 12508 ガラシュブローグ
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『ジョージコックス』 13575 サドル オックスフォード
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『ジョージコックス』 7409 エンジニアブーツ
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『ジョージコックス』 900B チェルシーブーツ
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『ジョージコックス』 タッセルローファー
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『ジョージコックス』 14150 fホール
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『ジョージコックス』 37B 3ホール ギブソン
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『ジョージコックス』 ウイングチップレザーシューズ
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『ジョージコックス』 14481 8ホール インサイドジップ ダービー
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『ジョージコックス』 15364 ギブソン パテント シャークソール
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