
北欧腕時計ブランドのおすすめ12選。普遍的な魅力を宿すその理由とは
センス良く纏える腕時計としてそのスタイルを確立している、北欧ブランドのタイムピース。北欧家具にも通ずる、普遍的かつ実用的なデザインの魅力を読み解きます。
ファッションで選ぶならこれ。北欧ブランドの腕時計はやっぱりおしゃれだ
腕時計デザインにおける新潮流として脚光を浴び、現在は時計業界におけるひとつのスタンダートとしてそのスタイルを確立させている北欧ブランドの腕時計。『スカーゲン』に代表される先駆的ブランドが打ち出したミニマルかつ洗練されたダイヤルや薄型ケースといったディテールは、それまでのウォッチデザインの文脈には存在しなかったスタイリッシュさを放っていました。その台頭は時計業界に衝撃を与え、現在に至ってはそれがファッション的な観点で腕時計を選ぶ人たちに愛され続けている理由ともなっています。
腕時計について見る前に。北欧デザインとは何か、を知っておく
北欧系腕時計のデザインは、家具やインテリア、雑貨、建築の世界で広く知られる“北欧デザイン”に根ざしています。ミニマルかつ合理主義的といわれる北欧デザインは、自然美をモチーフとしたフォルムや色使いを持ち味とする一方、隣国のドイツで興ったデザイン運動であるバウハウスの影響が色濃く反映されているのが特徴。生活の中で良質なデザインの恩恵を得ることを重視しているがゆえに、巨匠といわれるデザイナーが手掛けた名作家具や建築の多くが機能性と耐久性、そしてデザイン性の高さを併せ持っています。また、北欧自体が地理的に辺境の地であったため他の欧州諸国より工業化が遅かった歴史があり、それゆえに伝統的な手工業の文化が根強く生き残ったのです。手作業ならではの温かみもまた、北欧デザインに属する製品の強みでしょう。
こうした北欧デザインは、時計業界においても強い影響力を持っています。実際、インテリアや建築に限らず、壁掛け時計などにも北欧デザイン界の巨匠が手掛けた名作が数多く存在します。アルネ・ヤコブセン氏が1942年に設計した、デンマークのオーフス市庁舎の壁掛け時計もそのひとつ。ヤコブセン氏は、他にもデンマーク国立銀行の「バンカーズクロック」を作成したことでも有名です。これらの名作は北欧を代表するブランドである『ローゼンダール』の手で忠実に再現され、インテリアの世界ではマスターピースとなっています。他にも時計デザインに携わった巨匠を挙げれば、ヤコブ・イェンセン氏、エリック・ローゼンダール氏など、枚挙にいとまがありません。
デザインだけが能じゃない。北欧ブランドの腕時計の強みを3ポイントで
北欧ブランドの腕時計の魅力は、前述の北欧スタイルに根ざしたデザイン性の高さだけにあらず。その配色や使い勝手においても、他ジャンルの時計にはない強みが備わっています。
北欧腕時計の強み1
ファッション小物として優秀。自然と着こなしに馴染むカラーリング
ファッション性に重きを置く腕時計選びにおいて、北欧系腕時計がアドバンテージの高さを発揮している理由のひとつがカラーリングです。ニュアンスカラーを多用したその配色は着こなしにおいて決して突出せず、それでいてセンスの良さを感じさせてくれます。ファッション小物としての優秀さ、そして見栄えの良さは大きな強みといえるでしょう。
北欧腕時計の強み2
スーツの袖口でだって邪魔をしない、ミニマム&薄型の造形
過度に主張せず、さらりとセンス良く纏えるケースのサイジングも北欧腕時計ならではの持ち味です。ケース自体は薄型のものが多く、シャツの袖口にもすっきり収まり、腕元を洗練された印象に導いてくれます。ダイバーズウォッチなどにおいても決してマッシブなスタイルには寄せておらず、それでいて正統派のドレスウォッチとはまた違うクリーンさを味方につけられます。
北欧腕時計の強み3
数本持ちも夢じゃない。肩ひじ張らないプライスも、北欧腕時計の魅力
北欧家具や雑貨の場合、一般的な高級ブランド家具より高嶺の花にならないプライスでも上質な逸品に出会える点が魅力。ですが、これは北欧系腕時計にもいえることです。2~3万円台から良作を手にすることができ、有名デザイナーの名を冠したモデルであっても5万円程度というケースも珍しくありません。数本持ちしてコーディネートや気分に合わせて使い分ける、アクセサリー的な取り入れ方も決して夢ではないわけです。
デジタルウォッチにだって、北欧デザインらしさが反映されている
北欧時計というとシンプルこの上ない3針というイメージもありますが、実はデジタルウォッチにも名作が揃っています。デジタル表示とはいえ、決してハイテク感を前面に押し出していないのが特徴。直線的かつミニマルなデザインが基調です。北欧系腕時計というジャンルの中で違いを印象付ける選択肢として、覚えておいて損はありません。
群雄割拠の北欧腕時計シーン。鉄板のおすすめ12ブランドをピックアップ
今や群雄割拠状態の北欧腕時計ブランド。ですが、果たして各社にはどのような持ち味があるのでしょうか。ここでは主要ブランドの魅力を、要注目モデルとともにご紹介します。
ブランド1
『スカーゲン』
北欧腕時計ブームの火付け役的なブランドとして知られているのが、1989年にデンマークで産声をあげた『スカーゲン』。同社のデザイン哲学は、デンマークデザインの根幹を成す“less is more”を体現するかの如く機能的かつ合理的なもの。それでいて、グレーネンという海岸線から着想を得たとされるマイルドな曲線で温もりを漂わせ、日常へと溶け込むタイムピースに落とし込まれています。代表作である「グレーネン」の特徴的な超薄型ケースも海岸線を彷彿とさせる柔らかな曲線を描き、そこに深遠なる海を想起させるブルーダイヤルがよく映えます。
ブランド2
『ベーリング』
デンマークが誇る冒険家、ヴァイタス・ベーリング氏の名を冠し、同じく冒険家であるレネ・ケルスコフ氏によって2010年に創業された『ベーリング』。高級時計でも使用される上質な素材を用いて機能美を体現する一方、最先端素材の導入にも意欲的で、とりわけケース素材として多用するハイテクセラミックが代名詞となっています。創業当初からの代表作となっている「32039-227」にも同素材を採用し、手首に心地良く馴染む薄型ケースに仕上がっています。
ブランド3
『ダニエル・ウェリントン』
創業者のフィリップ・タイサンダー氏が旅行中に出会った英国人男性の紳士的な態度に感銘を受け、その名を冠した時計ブランドとして2011年に設立。クラシック系と北欧系を融合させたデザインを打ち出し、群雄割拠の北欧勢の中で独自の路線を確立しています。ベゼルや文字盤の主張を抑え、ダイヤルは秒針を持たない2針仕様が主軸。エレガントさとシンプルさを同居させたスタイルが、各モデルに共通するデザインコードとなっています。また、付属の専用工具でストラップを簡単に交換できる設計なのも特徴。代表作の「クラシック」においてもその機構が採用されており、カジュアル使いする際はNATOベルトに取り替えるといったアレンジが自在に楽しめます。
ブランド4
『クヌートガッド』
実業家のカール・ヨハンガッド氏によって、2014年にスウェーデンのストックホルムで創業した『クヌートガッド』。創業パートナーであるヨハンガッド氏の妻がアンティーク時計店の経営者でもあることから、1970年代の腕時計からインスパイアされたヘリテージテイストのデザインを持ち味としています。この「ヘキサゴン」を特徴付けるクッション型ケースもヴィンテージウォッチが着想源。放射状のサンレイ仕上げで装飾性を持たせたダイヤルと相まって、エレガントさの中に個性を主張してくれます。
ブランド5
『トリワ』
エコ先進国であるスウェーデンにおいて、環境配慮型の時計作りで存在感を放っているのが『トリワ』です。海洋汚染問題と向き合い、かけがけのない海を守るための取り組みとして海洋プラスチックだけで作ったケースを採用。海洋廃棄物をアップサイクルするために加工を行う際の電力も太陽エネルギーを使う徹底ぶりです。この「タイム フォー オーシャン サブマリナー」もそのひとつで、ストラップもリサイクルナイロン製となっています。
ブランド6
『ノードグリーン』
2017年にデンマークで創設され、持続可能な社会を目指すサステナブルな取り組みに注力するブランドとして評価されている『ノードグリーン』。腕時計の購入時に、環境・教育・健康という3つのジャンルの慈善団体からひとつを選び、寄付支援ができる社会貢献プログラムを実施しています。ブランド初のクロノグラフである「パイオニア」においては、自国の風車をモチーフにした秒針を採用。環境先進国であるデンマークのアイデンティティを表しています。
ブランド7
『アルネ・ヤコブセン』
デンマークを代表する建築家として、北欧デザインの礎を築いたアルネ・ヤコブセン氏。氏が建築物の設計時に手掛けたウォールクロックをダウンサイジングし、壁掛け時計と腕時計のコレクションとして展開しているのが本ブランドです。こちらの「バンカーズウォッチ」は、デンマーク国立銀行内のウォールクロックを腕時計に置き換えたモデル。細長い棒状に見える独創的なインデックスは12個のブロックで構成されており、アートワークのような装飾性を楽しませてくれます。
ブランド8
『エルラーセン』
腕時計の企画とデザインに加え、製造に至るまでの全工程を、アトリエを構えるコペンハーゲンで行うデンマークブランド。装飾性をそぎ落としたダイヤルにニュアンスカラーを効果的に用いたデザインを得意とし、6時位置に誇らしげに施す“MADE IN DENMARK”のシグネチャーがアイコンな意匠として認知されています。こちらは、ブランドの顔「LW32」より「147STRGY」。北欧の緑豊かな森をイメージしたグリーンでダイヤルを彩り、同色に染め上げたレザーストラップで清々しさを底上げしています。
ブランド9
『ピクトウォッチ』
デンマークで父の機械工場を引き継いだスティーン・ゲオルグ・クリステンセン氏が、友人のアーリング・アンデルセン氏とともに1984年に創業した『ピクトウォッチ』。ブランド名は、“ピクチャー”と“ピクトグラム”を掛け合わせた造語で、手掛ける腕時計にも絵やピクトグラムのように直感的に情報が伝わるデザインを導入しています。ブランドアイコンとなっている本作も、指針が1本しかないという独創的なもの。同じくひとつしかないドットが時間の経過とともに回転しながら時刻を表し、指針が分を表すという遊び心溢れるデザインが新鮮です。
ブランド10
『ヴォイド』
2008年にブランドを立ち上げたデイヴィッド・エリクソン氏は、創業前はスウェーデンのデザイン会社で機械エンジニアとして手腕を発揮した人物。デビュー作としてブランドの存在を知らしめた正方形のデジタル時計からも、どこかエンジニア出身のデザイナーらしいインダストリアルなセンスが感じられ、それがまた個性の演出に一役買ってくれます。こちらの「PXR5」もその系譜に属するモデルで、面ファスナーのナイロンベルトはパンツのベルトやバッグのハンドルにも取り付けられるように設計されています。
ブランド11
『ヤコブ イェンセン』
アルネ・ヤコブセン氏と同様にデンマークを代表する建築家兼デザイナーとして活躍、建築やインテリア、家具、プロダクトデザインにおいて歴史的な名作を生み出したヤコブ ・イェンセン氏。腕時計自体のデザインも手掛けた実績があり、1985年に自身の名を冠したブランドから発表されてニューヨーク現代美術館にも所属された「クラシック」シリーズの腕時計はその代表作です。バイカラ―を生かしてダイヤルやケース、ストラップをひとつのデザインとして調和させつつ視認性を高めたデザインは、今見ても色褪せない新鮮さに満ち溢れています。
ブランド12
『オーレ・マティーセン』
比較的手ごろなプライスが揃う北欧腕時計界隈にも、歴史に根差した高い価値を持つブランドが存在します。『オーレ・マティーセン』の歴史は古く、スイス出身の時計職人オーレ・マティーセン氏がデンマークの首都コペンハーゲンで創業したのは1845年のこと。創業当初はデンマーク王室御用達業者として国王フレデリック7世やダナー伯爵夫人に懐中時計などを献上した実績を誇ります。その後、クォーツが隆盛を極めた時代を迎えると、質の高いクォーツウォッチの開発に注力し、クラシカルな様式美を感じさせつつもタイムレスな魅力を放つ良作を生み出してきました。代表作の「OMN020010」のようにその多くが2針で、薄型ケースと相まってジャケットスタイルの腕元を上品に彩ってくれます。
この記事の掲載アイテム一覧(全12商品)
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『スカーゲン』 グレーネン
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『ベーリング』 32039-227
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『ダニエル・ウェリントン』 クラシックシェフィールド
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『クヌートガッド』 ヘキサゴン
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『トリワ』 タイム フォー オーシャン サブマリナー
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『ノードグリーン』 パイオニア
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『アルネ・ヤコブセン』 バンカーズウォッチ
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『エルラーセン』 147STRGY
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『ピクトウォッチ』 43364-0820
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『ヴォイド』 PXR5
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『ヤコブ イェンセン』 クラシック
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『オーレ・マティーセン』 OMN020010
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