知ってるようで知らない? オックスフォードシューズについて詳しくなる
わかったつもりでいるけれど、実はわかっていないかもしれないオックスフォードシューズという靴用語。由緒正しきドレスシューズの基本の“き”をおさらいしましょう。
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オックスフォードシューズの定義って、知っていますか?
知っているようでフワッとしている靴用語の1つが、オックスフォードシューズという呼称。靴探しにおいては意外と需要なキーワードでもあるので、この機会にそのモヤモヤを解消しておきましょう。まず、名称の由来から。これは、1660年代の英国でオックスフォード大学の学生が履き始めたことからそう呼ばれるようになった呼称。英国屈指の名門校だけあって大学なのにサブファクスと呼ばれる制服があることで有名で、正装時の服装規定も定められています。そんな由緒正しい大学の正装にふさわしい靴であることが認められているのが、このオックスフォードシューズというわけです。
次に、デザイン的な特徴。これを見極めるための意匠が、靴ひもを通すためのアイレットを支えているフェイシング、もしくはアイレットタブと呼ばれる部分の仕様です。この部分がアッパーと一体化するように縫い付けられており、腰革がつま先革の内側に縫い付けられているもの、つまり内羽根式がオックスフォードシューズを特徴づける意匠ということになります。ちなみにアッパーのデザインに関してはプレーントゥが王道ですが、内羽根であればストレートチップもフォーマルシューズの範疇とされており、セミブローグがオックスフォードシューズの1つに含まれることも。この辺りの認識は、ブランドによる解釈に寄るところも大きくなっているのが近年の傾向です。
アイレットタブがアッパーの一部のようになったオックスフォードシューズは、トゥから履き口までが流れるようなラインでつながって見えるのも特徴。そのシルエットからは正装靴にふさわしいエレガントさが感じられ、つま先からパンツの裾まで継ぎ目なくつながって見えることから脚長効果も期待できます。アイレットタブの下方が開かないため、脱ぎ履きの楽さに関しては後述するダービーシューズに軍配が上がりますが、足の甲に吸い付くようなフィット感を得られ、その佇まいも極めてドレッシーです。
オックスフォードとよく間違えられる、ダービーシューズとは?
オックスフォードシューズと混同されがちなのがダービーシューズ。ですが、似て非なるものなのでお間違いなく。これは、アメリカではブラッチャーと呼ばれるもので、アイレットタブが後付けで縫い付けられているのが特徴。いわゆる外羽根式と呼ばれる仕様です。アイレットタブを開き切ることができるので脱ぎ履きがしやすく、足幅が広めな人や甲高の人が履きやすい仕様でもあります。カントリーシューズやワークブーツにも採用されていることからスポーティな仕様として認識されており、オックスフォードシューズと比べると印象はカジュアルなものとなります。
“ヴァンプ”の形で見分けるべし。オックスフォードシューズ、基本の3種
オックスフォードシューズを、もう一歩踏み込んで見てみましょう。実は一口にオックスフォード靴といっても、いくつかのバリエーションに枝分かれしています。その違いを表しているのが、“ヴァンプ”と呼ばれる羽根とアッパーの切り替え部分の形状。代表的な3タイプをご紹介します。
種類1
その名もそのまま“オックスフォード”。シンプルに美しい曲線美に惚れ惚れ
靴の側面からヒールに向かって美しい曲線を描いたヴァンプを採用したものは、“オックスフォード”と呼ばれています。これが最も一般的かつ伝統的なデザインとされ、クラシカルな印象の足元を演出してくれます。
種類2
名付けからして由緒正しい、“バルモラル”はドレス靴に欠かせない
一方、ヴァンプがヒールに向かって水平のラインを描いているものは、“バルモラル”と呼ばれます。この名称はスコットランドのバルモラル城を由来とするもので、ビクトリア女王の夫君アルバート公が別荘であるバルモラル城で履くための靴として、1853年に王室御用達の靴屋で仕立てものがルーツで、それ以来、貴族たちに親しまれてきたという歴史があります。
種類3
高い技術力の結晶。魅せる内羽根をお求めなら“アデレード”を
ヴァンプが竪琴のシルエットのようなラインを描いているものは、 “アデレード”と呼ばれるタイプ。ブローグによって装飾性を加味した、ひと手間かかる作り込みがなされています。側面には切り返しがなく、その分、シューレース周りの曲線が強調され、よりエレガントな足元をアピールすることが可能。ビスポークを出自とする意匠ゆえに技術的な難易度が高く、違いを印象付ける一手にもなります。
プロでも迷う。“ホールカットシューズ”はオックスフォードに含まれるのか?
オックスフォードシューズとは別物として認識されているのが、“ホールカット”と呼ばれるタイプです。これは写真をご覧の通り、アッパーを1枚革で仕立てているのが特徴。それゆえにヴァンプが存在せず、流麗なフォルムではあるもののフォーマルシューズを特徴づける内羽根式ではないため、オックスフォードシューズとは別ジャンルとして捉えるのが賢明です。
正統派のドレス顔からカジュアル顔まで。おすすめオックスフォードシューズ10選
フォーマル靴の王道を体現する名靴に加え、カジュアル対応も任せられる新顔まで、オン・オフで即戦力になってくれるに違いないオックスフォードシューズをピックアップ。
1足目
『クロケット&ジョーンズ』ウェンブリー
2006年に製作された360と呼ばれるラストを使い、特徴的なロングノーズシルエットを描いた「ウェンブリー」。ラウンドトゥとしては極めてエレガントな顔付きが特徴で、Eワイズを採用した細めのフォルムながら革自体がやわらかく、履いているうちに足に馴染み、吸い付くようなフィット感を得られます。
2足目
『チャーチ』コンサル
『チャーチ』におけるアイコンモデルの1つに位置付けられるのが本作。採用している173と呼ばれるラストは、創業年を冠した73ラストを愛好家たちからの熱烈なラブコールを受けて復刻したもので、低くなったつま先と甲部から立ち上がるラインがすっきりとした足元を演出し、心地良いフィット感も生み出します。
3足目
『ジャラン スリワァヤ』98913
鋭角に切り落としたようなチゼルトゥが目を引く本作は、手縫いを用いるハンドソーンウェルト製法がもたらす足馴染みの良さも魅力です。内羽根式のプレーントゥというエレガントなスタイルを体現する一方、ゴムが伸びるエラスティック仕様を装飾的に取り入れているのも特徴。脱ぎ履きが多いシーンにおいても頼れる1足です。
4足目
『ヤンコ』14169
スペインの老舗が得意とするグッドイヤーウェルト製法で仕立てられた本作。つま先にメダリオンのないクォーターブローグにアデレード仕様を用い、華やかな見どころを加味している点が特徴です。採用した777-10ラストは、つま先の高さを抑えたロングノーズのチゼルトゥで、つま先周りとかかとにラバーを配したハーフソールで、実用性にも配慮した作りになっています。
5足目
『エドワード グリーン』チェルシー
内羽根式のストレートチップにおける不朽の名作と賞賛されているのが、ノーザンプトンの古参の代表作として名高い「チェルシー」。シューレースの脇に走らせた「スワンネック」と呼ばれるS字カーブを描くステッチや、ソールのヒール側に打たれた3連打のピンなど、英国靴好きがロマンさえ感じる象徴的意匠を満載しています。
6足目
『ジョンロブ』シティII
『エドワード グリーン』と双璧を成す英国靴の代名詞『ジョンロブ』の看板靴に位置付けられるのが、こちらの内羽根式ストレートチップ。同社の美意識を体現する7000番ラストを採用したもので、廃盤となった先代モデル「シティ」のボリューム感とはまた違う、程良いロングノーズの洗練されたフォルムのラウンドトゥが普遍の美しさを讃えています。
7足目
『トリッカーズ』アップルトン
本作は、カントリーラインとは一線を画す、すっきりとしたラストが目を引くドレスラインの定番モデル。ウェルトの中央部に細革で山状の盛り上がりを設けるストームウェルトを排除し、コバの張り出しも抑えたドレッシーな設計で、透明感のあるカーフの美しさも相まって上品さを感じる足元を演出してくれます。
8足目
『エンツォ ボナフェ』ディ コジモII
『ビームス』のエクスクルーシブラストを採用し、流行に左右されない程良い丸みのラウンドトゥに仕上げた「ディ コジモII」。本底を取り付ける最終工程の出し縫い以外は手作業で仕上げる九分仕立てを採用し、しなやかな履き心地を追い求めた1足です。底革を縫い付けている糸を隠すチャネル仕上げを用いるなど、細部からも美しさと実用性に対するこだわりが感じられます。
9足目
『オールデン』オックスフォード シューズ
『オールデン』におけるドレスシューズ要素が強いモデルといえば、内羽根式のストレートチップを採用した本作。トゥ部のみのブローギングにより、カジュアル感をさりげなく加味したデザインが特徴です。採用しているラストは、モディファイドラストと並び、足形をあまり選ばないラストとして知られるハンプトンラストで、つま先にゆとりを持たせつつ、土踏まず周りのフィット感を高めた作りになっています。
10足目
『エヌピーエス』099-188
本作は、英国陸軍から『ドクターマーチン』まで、多くのブランドの靴を手がけてきたノーザンプトンの歴史あるファクトリーが手がけるオリジナルブランドのもの。堅牢さに定評のあるグッドイヤーウェルト製法で底付けし、コマンドソールで耐久性と耐水性に高めた、ドレス感と武骨さが同居した佇まいが魅力です。丸みが強くノーズも短めなそのフォルムは、ジーンズやワイドパンツの足元にもスッと馴染んでくれます。
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『クロケット&ジョーンズ』 ウェンブリー
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『チャーチ』 コンサル
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『ヤンコ』 14169
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『エドワード グリーン』 チェルシー
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『ジョンロブ』 シティII
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『トリッカーズ』 アップルトン
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『オールデン』 オックスフォード シューズ
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『エヌピーエス』 099-188
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