
趣向を変えて懐中時計はいかが? 腕に巻かない時計を、ちょっと検討してみよう
マンネリしがちな時計ラインアップに懐中時計はいかがでしょう? 腕時計のルーツでもあるこの時計は姿形だけでなく、懐から取り出す所作までもが味わい深いのです。
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大人になった今こそ手に取りたい。たまには懐中時計も良いんじゃない?
世は久々の腕時計ブーム。一部の腕時計ブランドの在庫がすべて空っぽになったり、目玉が飛び出るほど市場価格が高騰したり、メディアでもさまざまな白熱ぶりが取りざたされていますよね。ただ、時計愛好家の中には、腕時計を取り巻くそんな状況に食傷気味……、という人もいることでしょう。
そんな人々が今改めて注目している変わり種のひとつが、懐中時計なのです。そう、昔の映画などで紳士がポケットに入れて持っているあの時計です。
確かにレトロなデザインといい、懐からサッと取り出す仕草といい、懐中時計には男心をくすぐる優雅な趣があります。それにスーツのポケットに忍ばせるも良し、バッグのハンドルから提げてみるも良しと、アクセサリー的な楽しみ方もいろいろ。何より腕時計ブームの裏をかく“あえての懐中時計”は、個性やセンスを演出するのにうってつけのアイテムです。
また、選択肢もアンティークとは限りません。腕時計でお馴染みの人気ブランドが手の取りやすい価格帯のモデルを発売しており、精度やメンテナンス面でも安心。さあ、さっそくあなたを奥深い懐中時計の世界へご案内しましょう!
腕時計が登場する前は皆これだった。懐中時計とは、そもそも何モノだ?
懐中時計(ポケットウォッチ)とは、読んで字のごとく服のポケットなどに入れて使う時計のこと。その歴史は古く、17世紀にはすでにヨーロッパで使用されていたといわれています。当時は一部の王侯貴族だけが持つ高級品でしたが、時計技術の発達と生産体制が整うにつれ、多くの人々の手に渡るようになりました。
長らく携帯時計の主役に君臨していた懐中時計ですが、近代の戦争をきっかけにその座を明け渡すことに。1880年に南アフリカで始まったボーア戦争では、すばやく時間を読み取るために懐中時計を腕に巻きつける将校が現れ、これが腕時計の始まりとなりました。その後、1914年に勃発した第一次世界大戦をきっかけに腕時計は世界中へ広まっていったという経緯があります。
ちなみに日本にも懐中時計に関するエピソードが伝わっています。江戸時代の1860年には、アメリカ大統領から14代将軍・徳川家茂に『ウォルサム』が贈られ、1869年には薩摩藩主の島津忠義が西郷隆盛に金の『ロンジン』を与えています。
時計好きとして知られた明治天皇は功臣たちに金の懐中時計を与え、帝国陸海軍の学校や帝国大学の成績優秀者にも御賜時計として贈られたという歴史があります。当時の懐中時計はエリートのステータスシンボルであり、同時に一般庶民にとっては富の象徴でもあったのです。
現代では腕時計に比べてマイナーな存在ではあるものの、人と違うモノを求める時計愛好家の間で根強い人気を誇っています。ファッション的なアイテムとしても人気があり、英国紳士を気取ってカントリーなスーツスタイルに合わせたり、アメリカ西部のワークマンよろしくデニムのカバーオールに突っ込んでおいたりと、幅広い着こなしにアクセサリー感覚で合わせることが可能です。
高機能を売りにする腕時計も良いですが、昔ながらの懐中時計で時をゆったり読む。これもまたおしゃれのひとつの形といえるのではないでしょうか?
好みに応じて手に取りたい。懐中時計を選ぶときの4つのポイント
一口に懐中時計といっても種類はさまざま。主な違いはムーブメントやダイヤルのデザイン、蓋の有無、チェーンの留め具のタイプなど。好みや用途に合わせて選びましょう。ほこり対策など腕時計とは異なる注意ポイントも要チェックです。
ポイント1
手巻きか、クォーツか、はたまたソーラーか。用途に応じて選ぶ“ムーブメント”
現在販売されている機械式腕時計は、自動巻きが主流。ですが、懐中時計はほとんどが手巻きです。これはポケットに入れて持ち運ぶため、ローターの振動を動力源とする自動巻きでは十分な恩恵にあずかりにくいという理由に加え、懐中時計を好む人には機械式時計のメカニズムを愛する人が多いということもあるでしょう。実際、懐中時計にはムーブメントの動きを鑑賞できるシースルーバックのモデルが多く存在します。
なお、近年は高い精度が売りのクォーツモデルや電池交換の必要がないソーラーモデルも続々とリリースされています。手の出しやすい価格帯ということもあり、懐中時計ビギナーの人は、こちらを選ぶのもありでしょう。
ポイント2
見やすさ重視か、クラシックさ重視か。懐中時計のテイストで考える“顔つき”
懐中時計のダイヤルには、ローマンインデックスが採用されたクラシックなデザインがよく見られます。また、装飾品としての役割も持っていたことから、ケースには華やかな装飾が施されたものも少なくありません。
その一方で、鉄道の運転士や看護師たちに使われた背景から時間を読み取りやすいアラビアインデックスが用いられた実用性重視のモデルも。こうした鉄道時計やナースウォッチは視認性を高めるため、総じてダイヤルはシンプルでケースの装飾も控えめです。ちなみに現在でも、JRなどほとんどの鉄道の運転士が『セイコー』のクォーツ式の懐中時計を使用していたりします。
ポイント3
オープンフェイスか、ハンターケースか。蓋の有無で選ぶ懐中時計
懐中時計の形には、大きく分けて「オープンフェイス」と「ハンターケース」の2種類があります。まず、オープンフェイスとはその名の通り蓋がなく、風防が剥き出しになったデザイン。風防の破損には注意する必要があるものの、蓋を開閉する手間が省けるため、すぐに時刻を確認できるというメリットがあります。一方のハンターケースは開閉式の蓋が付けられたデザインのこと。まだ硬質なガラスが開発されていなかったころに生まれたもので、この蓋は狩猟などに携行した際、風防が傷つくのを防いでいました。蓋に装飾が施されたモノも多く、懐中時計ならではの雰囲気を楽しめます。また、ハンターケースの蓋に丸い穴を開けることで、蓋を閉じたまま時間がわかるように設計された「ハーフハンターケース(別名デミハンター・ナポレオン)」という珍しいデザインも存在します。
ポイント4
チェーンだけにあらず。ひもやクリップタイプも、懐中時計のひとつ
腕に固定する腕時計に比べ、懐中時計はうっかり落としてしまう可能性が高いアイテム。そこで昔から懐中時計にはチェーンやひもが付けられています。チェーンにも種類があり、ジャケットの内ポケットやパンツのベルトに引っ掛けやすい「クリップタイプ」のほか、パンツのベルトループやジャケットの内ポケットのボタン穴などに引っ掛けやすい「引き環タイプ」、ジャケットやベストのボタン穴に掛ける「ピンバータイプ」があります。時折チェーンが別売りのモデルもあるので、購入の際はチェックを忘れずに。
あくまで精密機器ですから。ほこりや糸くずが溜まったポケットには注意を
懐中時計をジーンズのポケットにねじ込む。そんな風にクラシックな時計をラフに使うのもまた味わいがあります。しかし、時計の大敵であるほこりにはくれぐれもご注意を。ウェアやパンツのポケットには、思いのほか微細なほこりや糸クズが溜まっているもの。そこに精密機械である懐中時計を入れる行為には故障の危険が伴います。
最近はオープンケースでもほこりが入り込みにくいよう設計されたものが多く見られますが、アンティーク時計などは少々不安が残ります。懐中時計をポケットに入れる際はほこりや糸クズに用心しましょう。
実は人気ブランドからも。今買えるおすすめの懐中時計10選
長い歴史を持つだけあって、世界各国の名だたる時計ブランドが懐中時計を作っています。スイスの『アエロウォッチ』のように懐中時計で知られるブランドもあれば、『セイコー』や『ティソ』といった腕時計の世界でも確固とした地位を築くブランドも。名門ブランドが作る手巻きの本格モデルでも10万円台~という手の出しやすい価格設定も懐中時計の魅力です。
アイテム1
『セイコー』SVBR003
1929年に初の国産鉄道時計として採用された精工舎の懐中時計19型「セイコーシャ」。その伝統を受け継ぐモデルが「SVBR003」です。実際の鉄道時計と同じ仕様で、ムーブメントは耐磁性に優れたクォーツキャリバー“7C21”。3針&アラビアインデックスのベーシックなダイヤルデザインは視認性に優れ、幅広いコーデにマッチします。傾向に便利な紐付き。サイズ:50mm、ステンレス鋼、クォーツ。
アイテム2
『シチズン』BC0420-61A
『セイコー』と並び、日本を代表する時計ブランドとして名を連ねる『シチズン』からも懐中時計がリリースされています。SS製の着脱可能なチェーンが付属したシンプルな3針時計は、35.5mm径という小ぶりさが売り。バーインデックスとバトン針の取り合わせも非常にミニマルで、クォーツムーブメントの採用により実用性の高さも備えています。サイズ:約35.5mm、SSケース、クォーツ。
アイテム3
『シチズン レグノ』ポケットウォッチ
手の届きやすい価格と確かな品質を両立する『シチズン レグノ』から。時刻を読み取りやすいアラビアンインデックスや大ぶりのデイト表示といった実用性の高いデザイン性もさることながら、注目すべきはソーラー電波という点。電池交換の必要がないうえ、電波を受信して時刻を調整するため時刻合わせも不要です。クリップタイプのチェーンが付属。サイズ:41mm、SSケース、ソーラー電波。
アイテム4
『ティソ』ブリッジポート レピーヌ メカニカル
実用時計の名手として名を馳せるスイスの老舗は、今なお機械式の懐中時計を作り続けています。なかでも人気の高い1本が「ブリッジポート レピーヌ メカニカル」。香水瓶を思わせるチューリップ型リューズや青いスチール針、文字盤のギョーシェ彫りがラグジュアリームードを醸成します。最長46時間のパワーリザーブを備えた手巻きキャリバー“ETA6497”を搭載。サイズ:45mm、SSケース、手巻き。
アイテム5
『ラコ』ヴィルヘルムスハーフェン
1925年に創業したドイツの『ラコ』の名を世に知らしめたの「ヴィルヘルムスハーフェン」。ミリタリー時計らしい無駄のないデザインを持つ手巻き時計のルーツは、深夜の暗い海洋上でも時刻を認識しやすいよう開発された1940年代のネイビーウォッチにあり。特殊な塗装によって全体が発光する文字盤が高い視認性を発揮します。引き環のチェーン付き。サイズ:約58mm、手巻き。
アイテム6
『モンディーン』ポケットウォッチ ジェネレーション
スイス国鉄オフィシャル鉄道時計としても知られる『モンディーン』のクォーツ式懐中時計。ホワイトダイヤルに映える太い時分針と黒いバーインデックス、赤い秒針が優れた視認性を発揮します。ケース径43mmという懐中時計としてはコンパクトなサイズ感も、トラベラーたちの間で好評だとか。チェーンのほか、持ち運びに便利な赤い専用レザーポーチも付属します。サイズ:43mm、SSケース、クォーツ。
アイテム7
『ウォルサム』WS29
1850年に創業し、世界で初めて高性能ムーブメント生産のオートメーション化に成功するなど時計の発展に多大な貢献をなした『ウォルサム』。その歴史の息吹を感じられる正統モデルが「WS29」です。大ぶりのローマンインデックスとスモールセコンド、シルバー製のハンターケースが辺りを払う風格を放ちます。スイス製の手巻きムーブメントを搭載。サイズ:53mm、シルバーケース、手巻き。
アイテム8
『エポス』ユニタス 6497
本格的な懐中時計が欲しいけど、それほど予算がない。そんな人には1925年からスイス・ジュウ渓谷で手巻きの懐中時計を生産し続ける『エポス』がおすすめ。本作は優美なローマンインデックスと8時位置がくり抜かれたスケルトンデザインが特徴。7万円台というプライス以上の高級感とクオリティを見せつけます。手巻きキャリバー“6497”を搭載。サイズ:約49.5mm、パラジウムプレーテッドケース、手巻き。
アイテム9
『アエロウォッチ』50818 NO01
1世紀を超える歴史を持つ『アエロウォッチ』はスイスでは数少ない懐中時計専門のウォッチブランド。アンティークライクなデザインも得意ですが、中にはこんな手巻きモデルも。ブラックに統一されたカラーと大ぶりの蓄光アラビアンインデックスがモダンな印象を強めます。ビジネススーツからアメカジ、モードな着こなしにもマッチする万能の1本です。サイズ:約48mm、SSケース、手巻き。
アイテム10
『ゼノウォッチ バーゼル』ZT-100-i2-rom
“ゼウスの贈り物”という意味の名を持つ『ゼノ ウォッチ』は、1868年に創業し、第二次世界大戦中の軍用時計で名を馳せたスイスの名門。懐中時計の評価も高く、こちらはローマンインデックスと6時位置のスモールセコンド、ネイビーブルーの針がエレガントなムードを演出する人気モデル。装飾性も控えめゆえ、フォーマルなスーツとの相性も◎です。サイズ:約47mm、SSケース、手巻き。
この記事の掲載アイテム一覧(全10商品)
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『セイコー』 SVBR003
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『シチズン』 BC0420-61A
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『シチズン レグノ』 ポケットウォッチ
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『ティソ』 ブリッジポート レピーヌ メカニカル
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『ラコ』 ヴィルヘルムスハーフェン
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『モンディーン』 ポケットウォッチ ジェネレーション
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『ウォルサム』 WS29
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『エポス』 ユニタス 6497
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『アエロウォッチ』 50818 NO01
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『ゼノウォッチ バーゼル』 ZT-100-i2-rom
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