
クロノグラフの新機軸。セイコー スピードタイマーはなぜ評価されているのか?
“スピードタイマー”という伝説的な名を持つモデルが2021年に復刻され、人気を博しています。ここではその秘密を読み解きつつ、どのようなモデルなのか解説しましょう。
名機の系譜。「セイコー スピードタイマー」の歴史は半世紀以上前に始まっていた
2021年に『セイコー』から発売された「セイコー スピードタイマー」が着々と人気を高めつつあります。目玉となる機械式モデルはいうにおよばず、ソーラー・クォーツモデルも品薄という状況が続いているのです。これほど人気を博す理由として、『セイコー』ならではの高い機能性や信頼性、端正なルックスも挙げられますが、特に時計通を中心に“スピードタイマー”という名に特別な魅力を感じている人が多いのも事実です。それもそのはず“スピードタイマー”という名は、クロノグラフの歴史を語るうえで決してハズすことのできない伝説的モデルに冠されたものだったからです。そんな同モデルの歴史をたどりながら、現行モデルの魅力に迫っていきます。
名機の系譜。「セイコー スピードタイマー」の歴史は半世紀以上前に始まっていた
時計史において『セイコー』の成し遂げた技術的実績は多々あるものの、クロノグラフ機構に対する貢献はその中でも大きなものといえます。1964年の東京オリンピックで1/100秒まで計測できるストップウォッチを開発し公式タイムキーパーを務めた『セイコー』は、そこで計時機構の経験を積み、1964年に国産初のクロノグラフ「クラウン クロノグラフ」を発売します。そして1969年、世界初の垂直クラッチ自動巻きクロノグラフを登場させ、世界を驚かせるのです。そのモデルこそ、「1969 スピードタイマー」です。
「1969 スピードタイマー」が登場した1969年は、時計マニアなら特別な年として記憶されています。この年、『ゼニス』が「エル・プリメロ」、そして現在の『タグ・ホイヤー』『ハミルトン』『ブライトリング』、そしてムーブメーカー『デュボア・デプラ』の合同チームが「キャリバー11」という自動巻きクロノグラフをほぼ同時に発表したのです。その3者中でも『セイコー』だけが「垂直クラッチ」という機構を搭載していました。コンパクトで安定した運針を実現したこの垂直クラッチは、現在『ロレックス』など、名だたるブランドの自動巻きクロノグラフに採用されるほど革新的なものでした。そんな背景を考えると、“スピードタイマー”という名がいかに特別な響きを持っているかがわかるでしょう。次から、そんな伝説的なバックグラウンドを持つ新生「スピードタイマー」について詳しく見ていきます。
この“計器顔”が気分にドハマり。“メカニカルクロノグラフ”が素直にカッコイイ
新生「スピードタイマー」には機械式モデルとソーラーモデルがラインアップしていますが、これまで説明した通りオリジナルモデルで革新的な機構として採用されたクロノグラフムーブメント、その後継機を搭載した機械式モデルがやはり時計通には評判が高くなっています。特に機械式の中でもマニア垂涎なのが、1964年の東京オリンピックの公式計時を務めたストップウォッチをイメージさせる白ダイヤルの限定モデルです。
ストップウォッチの最も大切な機能は言うまでもなく、時間を計測すること。ストップウォッチにインスパイアされたこの「スピードタイマー 限定モデル」は、ダイヤル最外周部に配された簡易速度表示目盛りタキメーターまでしっかりと届く長い秒針を採用。さらに秒の目盛りにもバーより見やすいといわれるドットをセットしています。とにかく判読性に徹底的なこだわりを見せているわけです。
1964年の東京オリンピックで使われたストップウォッチは、ハンマータイプのプッシュボタンが装備されていました。ゆえに、こちらの限定モデルも大型のハンマータイプを採用。指からしっかりとボタンに力を伝えることができ、失敗の許されない時間計測時にも安心して使用できます。また、リューズも大型で引き出しやすい構造になっています。
搭載されているムーブメントは「キャリバー8R46」。1969年に発売された「スピードタイマー 1969」が世界で初めて自動巻きクロノグラフに搭載した垂直クラッチを採用しており、当然ながら現代の技術でアップデートが施されています。垂直クラッチを起動させるスイッチには、プッシュしたときに手応えのある感覚が官能的なコラムホイールを使用しており、“良いモノ”感も満点です。
スタンダードモデルは、色が変わっただけじゃない
機械式のレギュラーモデルは、現在クールなチャコールグレーモデルとレトロなくすみブルーモデルをラインアップしています。これらのモデルは限定モデルのただの色違いというわけではありません。デザインソースは1964年に発売された日本初の手巻きクロノグラフ「クラウン クロノグラフ」。限定モデル同様「キャリバー8R46」を搭載し、プッシュボタンに押しやすいハンマー型を採用するなど、ストップウォッチの実用性にこだわった点は限定モデルと同様です。しかし、よりクラシカルでエレガントなモデルに仕上がっています。
スタンダードモデルは、ヴィンテージ風の経年加工を施した夜光塗料や楔形の針によって、非常にクラシカルなドレスウォッチになっています。また、カーブが美しい3連のブレスレットも非常にエレガント。計時機能の実用性に配慮しながら、大人がオンスタイルで使っても恥ずかしくない重厚な高級感を持ち合わせているのです。
39mmの魔力。“ソーラー クロノグラフ”の人気も急上昇中
ムーブメントの観点から考えると、新たな「スピードタイマー」の正統モデルは機械式モデルと思われがちですが、「スピードタイマー 1969」に近いデザインが欲しいとなると、これからご紹介するソーラークロノグラフもおすすめです。実用面でもソーラーゆえバッテリー交換の必要がなく、また価格面では機械式が定価で30万円を超えてくるのに対しこちらは7万円台。機能やプライス面で大きなメリットを感じられるでしょう。
すでに述べた通り、デザイン面では「スピードタイマー 1969」に最も近いのが特徴です。サイズも39mmとオリジナルと同じで、風防はクラシカルなカーブサファイアを採用。ベゼルに施されたタキメーターが非常にスポーティな点も共通点です。オリジナルのエッセンスを踏襲しながらサテンとポリッシュの磨き分けを行うなど、現行モデルは上品さを加味し、オンスタイルにもマッチするテイストを持っていることもポイントでしょう。
バリエーション1
SBDL089
こちらは文字盤にアイボリーカラーを採用し、ヴィンテージな魅力いっぱいのカラーバリエーション。見た目とは裏腹に最新のソーラーパネルを搭載し、フル充電時には光に当てなくても6か月駆動し続けるという高性能ぶりも魅力です。レトロさと最新技術が融合した今っぽい1本といえます。
バリエーション2
SBDL091
スポーティな印象のクロノグラフですが、ブラックダイヤルモデルならスーツやジャケットを着用すべきシーンでもしっかり対応してくれます。カレンダー表示や24時間針を採用することで、ビジネスウォッチとして使用しても、機能的にまったく不足を感じさせません。3・6・9・12時位置に配されたベージュのポイントが、さりげないレトロ感を注入します。
バリエーション3
SBDL087
当時「5スポーツ」としてリリースされた、オリジナルに最も近い配色を持つのがこちらのモデルです。ブルーとレッドを使用することにより、アクティブかつスポーティな表情を獲得しています。鮮やかな赤がポイントで入っていることで、カジュアルスタイルのアクセントに使えるファッションアイテムとしても便利に活用できます。
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『セイコー』 SBEC007
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『セイコー』 SBDL085
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『セイコー』 SBDL089
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『セイコー』 SBDL091
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『セイコー』 SBDL087
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