
モンブランの腕時計。ドイツ発の筆記具メーカーが時計で成功した理由とは
『モンブラン』といえば泣く子も黙る万年筆の王様。実は腕時計でもマニアをうならせる傑作を発表しています。そんな『モンブラン』の腕時計について深掘りしてみましょう。
もはや筆記具のみにあらず。『モンブラン』の腕時計は、今やステータスだ
多くの人が大人になったら所有したいと思う銘品の1つに『モンブラン』の万年筆が挙げられます。その作りの良さだけでなく、創業以来100年以上続く歴史の重みが『モンブラン』ブランドの名声を高めていることはいうまでもないでしょう。腕時計業界も同じで、名だたる名門ブランドは200~300年の歴史を持っているのが当たり前の世界。しかし、『モンブラン』は時計製造を始めてからわずか二十数年たらずで同じようなステータスを獲得した稀有な存在なのです。この記事では、その『モンブラン』の時計製造の歴史とおすすめモデルを紹介していきます。
取り組みはここ20年。『モンブラン』はいかに時計事業を成功させたのか
1906年にアルフレッド・ネへミアス氏とアウグスト・エーデルシュタイン氏によって設立されて以来、『モンブラン』は高級万年筆の代名詞として確固たる地位を築いてきました。長い歴史を誇る同ブランドですが、腕時計を製造し始めたのは1997年と比較的最近のこと。それから現在までのわずかな年月で、腕時計ブランドとしての名声を高めてきました。それでは、腕時計でも高い評価が定着している『モンブラン』の腕時計への取り組みをご紹介しておきましょう。
『モンブラン』は1980年、高級ファッションブランド『ダンヒル』に買収されます。その『ダンヒル』も巨大ラグジュアリーコングロマリットであるリシュモングループに1993年に買収されることになり、『モンブラン』もその傘下に入ります。リシュモングループは、『カルティエ』に『ジャガー・ルクルト』『A.ランゲ&ゾーネ』や『IWC』をはじめとする超名門時計ブランドを抱えていました。やがて『モンブラン』も長年のモノ作りのノウハウを生かして時計製造を始めることとなったのです。
そして1997年、ドイツではなく時計製造の本場スイスのル・ロックルに「モンブラン モントレ SA」を設立、ついに『モンブラン』は時計製造に踏み出します。1997年の時計見本市「ジュネーブサロン」では、『モンブラン』が誇る万年筆の看板シリーズ「マイスターシュテュック」の名を冠した新作腕時計を発表、高いデザイン性とクラフトマンシップ溢れた精緻なモノ作りで高い評判を呼びました。その後も、「スポーツ」や「プロファイル」など、コストパフォーマンスの高いモデルを発表し、腕時計の世界でもその名を確固たるものにしていったのです。
そんな『モンブラン』に転機が訪れたのが2006年のこと。1858年に設立され、多くの名ムーブメントを生み出してきた「ミネルバ」を買収したのです。ヴィンテージ市場で高い人気を誇る「ミネルバ」とともに、2008年には完全自社製ムーブメントを発表。世界で数少ないマニュファクチュールとなります。それまで『モンブラン』の腕時計を懐疑的な目で見てきた時計マニアたちを納得させ、名実ともに腕時計のトップメーカーとなったわけです。
お値頃なエントリーモデルから超絶技巧まで。『モンブラン』の価格帯は、幅広い
もちろん『モンブラン』はプレミアムブランド。昨今の高級腕時計の高騰を考えると、雲の上の存在と思われがちです。しかし、実は10万円台で購入できるモデルも多くラインアップしています。先に説明した完全自社製のハンドメイドムーブメントを搭載したモデルはかなり高価なものの、憧れの『モンブラン』を頑張れば手が届く現実的な価格で提供しているところも同ブランドの魅力といえるでしょう。
半球儀を2つ文字盤で回転させるという超絶ギミックを搭載した「1858 ジオスフェール クロノグラフ」や、「ミネルバ」の自社開発ムーブメントを搭載した「スターレガシー」など、100万円を超えるモデルもラインアップしています。技術力の粋を集めたこれらのモデルは時計愛好家から高い評価を得ています。
同社の万年筆を思わせるクラシカルな顔立ちは、『モンブラン』の武器だ
歴史ある『モンブラン』の腕時計は、万年筆同様、どれもクラシカルで上質感溢れるものばかりです。特に「ミネルバ」買収後は、「ミネルバ」が19世紀前半から20世紀中頃まで製造していたマスターピースをイメージしたモデルも多く誕生させています。これらはヴィンテージ好きを惹きつけるとともに、自分を大人っぽく演出できるオーセンティックな名品としてマニア以外の人々にも高い人気を誇っています。
旧き良き腕時計に固執しない。『モンブラン』にはスマートウォッチもある
クラシカルさが魅力の『モンブラン』ですが、なんとスマートウォッチも用意しています。でもそこは『モンブラン』、人気モデル「サミット 2」は、ヴィンテージ感を演出するオニオンリューズを採用、ステンレススチールのケースも丁寧な磨きが施され、中身は最新のWear OSを搭載しているにもかかわらずルックスは優美な高級時計そのもの。爆発的に普及しているスマートウォッチですが、『モンブラン』のモデルを身に着けることで他人と差をつけることが可能です。
人気シリーズ毎に紹介。今手に入る『モンブラン』の腕時計10選
現在『モンブラン』のメンズモデルは主に4つのシリーズで構成されています。「スターレガシー」シリーズは、19世紀末から製造されている「ミネルバ」の懐中時計にインスパイアされたクラシックなコレクション。「モンブラン 1858」シリーズは「ミネルバ」がかつて冒険家や軍用に作っていたモデルを現代に甦らせたもので、デザインソースは1920年代のミリタリーウォッチとなっています。「ヘリテージ」シリーズは1940年代の「ミネルバ」のモデルから着想された、ヴィンテージ感いっぱいのモデル。「トラディション」はエレガントなドレスウォッチで、もっともシンプルといえます。この他にスマートウォッチの「サミット」シリーズをラインアップしています。
1本目
スターレガシー
「ミネルバ」のポケットウォッチからインスパイアされた「スターレガシー」らしく、円が強調された優美なケースやオニオンリューズを採用。文字盤センター部には、『モンブラン』ロゴを中心に高級時計感を高める複雑なギョーシェが施され、ベルトも針の色と合わせたブルーアリゲーターを使用しています。ムーブメントは自動巻きながら、お値段は10万円台中盤~という驚きのモデルです。
2本目
スター
こちらは旧モデルの「スター」コレクション。青焼きのリーフ針など、クラシカルな意匠には『モンブラン』らしさが覗きますが、潔いほどシンプルでモダン。その分、汎用性が高く、どんな人でも着けこなせてしまうのが魅力といえます。なにより、10万円台から買えてしまうのがうれしい一本です。
3本目
スター レガシー ニコラ リューセック クロノグラフ
2008年、『モンブラン』が初めて自社ムーブを搭載して発表した「ニコラ・リューセック モノプッシャークロノグラフ」。こちらはその復刻モデルでかなり高価なものの、時計ファンにはたまらない逸品です。モデル名にある“ニコラ・リューセック”は、ルイ18世に仕え、19世紀当初に活躍した時計師の名。彼はクロノグラフ機構の開発者として知られています。もちろん当モデルもクロノグラフで、ボタンひとつでスタート、ストップ、リセットができるモノプッシャーとなっています。
4本目
モンブラン 1858 ジオスフェール
近年の『モンブラン』を代表するアイコニックな存在となっているのが、こちら「モンブラン 1858 ジオスフェール」です。なんと、文字盤の南北の半球儀が回転し、世界の時刻がわかる驚きのGMTウォッチとなっているのです。もちろん、こちらは『モンブラン』の職人たちによるマニュファクチュールムーブメントを採用。そのルックスに目を奪われがちですが、チタンを採用し軽量化を実現するなど、冒険家へ向けた腕時計らしく着け心地への配慮も一級品です。
5本目
モンブラン 1858 クロノグラフ
1920~30年代に製造されていた「ミネルバ」製ミリタリーウォッチがベース。インデックスが焼けた味感を忠実に再現するなど、ヴィンテージ感が溢れるモデルでNATOストラップを採用したのも相まって『モンブラン』の中でもっともカジュアルスタイルに合うものとなっています。
6本目
モンブラン ヘリテージ
1940年代に「ミネルバ」が製造していたアラビアインデックスモデルにインスパイアされた「ヘリテージ」。控えめなインデックスを備えたシンプルな印象の文字盤に、エッジィなドーフィン針を採用し存在感を出したバランス感が見事です。アラビアインデックス部は円周状にグレイン加工が施されているのも絶妙なアクセントになっています。GMT仕様なので、旅行好きにも最適。
7本目
ヘリテージ
上でご紹介した「ヘリテージ」とは打って変わって、こちらはややドレス寄り。光の当たり方で表情を変えるサンレイ加工を文字盤に施し、エレガントさを備えながら、アラビアインデックスの採用であまり堅苦しい印象を与えないのもポイントです。秒とカレンダーはサブカウンターで表示するのもデザイン上のアクセントになっています。
8本目
トラディション
ローマンインデックスを採用し、非常にエレガントな印象を漂わす「トラディション」。そのローマンインデックス部には貴金属ロジウムコーティングが施され、プレミアム感は満点です。また、クラシック時計の代表的なディテールであるレイルウェイ目盛りが文字盤外周に配されており、大人の気品を感じさせるルックスとなっています。
9本目
モンブラン トラディション
エレガントさをさらに追求するなら、12時間すべてのインデックスがローマン数字、かつゴールドカラーのこちらがおすすめ。手巻きモデルですが、その分厚みがなく非常にすっきりと腕に馴染むのが特徴です。また文字盤の余白部分が非常に広いため、知的で清潔な印象を与えることができます。
10本目
モンブラン サミットライト
『モンブラン』のスマートウォッチのエントリーモデル。とはいえ、お値段は15万円を超えます。かなり高価に思えますが、プレミアムブランドの“スマウォ”を身に着ければ、かなりの注目を集めることは間違いありません。ウォッチフェイスも最新機械式モデルと同じものが用意され、さらに独自のフィットネスアプリの搭載など便利な機能も満載です。
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『モンブラン』 スターレガシー
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『モンブラン』 スター
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『モンブラン』 スター レガシー ニコラ リューセック クロノグラフ
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『モンブラン』 モンブラン 1858 ジオスフェール
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『モンブラン』 モンブラン 1858 クロノグラフ
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『モンブラン』 モンブラン ヘリテージ
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『モンブラン』 ヘリテージ
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『モンブラン』 トラディション
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『モンブラン』 モンブラン トラディション
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『モンブラン』 モンブラン サミットライト
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